Redmineのガントチャート改善パッチに注目している
最近、Redmineのガントチャート改善パッチに注目している。
以下、ラフなメモ書き。
【1】Redmineの導入メリットの一つは、ガントチャート機能が標準で付属している点だろう。
開始日・期日のチケット入力さえ徹底できれば、ガントチャートは即座に表示できる。
日本ではSIであれ、製造業であれ、ガントチャートによる進捗管理が普通なので、ガントチャート機能は必須の要件。
Redmineユーザの観点では、頭の固いマネージャに対しては、きれいなガントチャートを見せておき、実際の開発現場では、チケット管理でアジャイルに作業していけばいい、と思っている。
ガントチャートは所詮、マネージャ向けのビューの一つに過ぎない。
本来は、チケット管理の運用が重要なのであり、そこが上手く回れば、進捗管理のビューはガントチャート以外にもいくらでもあるのだから。
しかし、Redmineのガントチャートは、まだまだ改善の余地がたくさんある。
たとえば、FS関係の表示、イナズマ線の表示、ガントチャートの日付の表示など、いくつかの機能改善はされてきたが、MS Projectに比べるとまだ機能不足の面がある。
それらに関しては、過去に色々考えてきた。
RedmineのガントチャートはMS ProjectのWeb版になりうるか?: プログラマの思索
Redmineのガントチャート機能改善の要望チケット: プログラマの思索
Redmineのガントチャート改善part2: プログラマの思索
Redmineのガントチャートに担当者を表示するプラグイン: プログラマの思索
Redmineのガントチャート画面に暦週や日付を表示するプラグイン redmine_gantt_with_date: プログラマの思索
Redmineでガントチャートの幅を広げるパッチ: プログラマの思索
MS Projectを使いこなせない理由: プログラマの思索
【2】最近、Redmine本家にガントチャート改善パッチが出ていて、いくつか注目すべきチケットがある。
【2-1】Feature #20481: Gantt: right and left resizable panel - Redmine
※画像は、Redmine本家のチケット#20481からリンク。
ガントチャートのチケット欄の幅をリサイズするパッチ。
これはとても欲しい機能だ。
利用シーンとしては、たとえば、親子チケットの階層が5階層のように階層が深くなった場合、チケット欄が狭いとタイトルが隠れてしまうので、そんな時に幅を広げたい。
僕も、Redmineでガントチャートの幅を広げるパッチ: プログラマの思索のように、わざわざ本体のソースにパッチを当てたりしていたので、このパッチが実現されれば、個人パッチが不要になる。
日本の利用企業では、おそらく、WF型開発でRedmineを運用しているだろうから、ガントチャートのチケット欄の幅を広げる機能改善は、ユーザにとってすごく大きなメリットだろう。
そして、リサイズのパッチが実現されれば、次は、チケット欄に担当者を表示する機能改善に注目されることになるだろう。
リサイズできるようになって画面に余白ができるようになれば、担当者を表示したくなるからだ。
Redmineのガントチャートに担当者を表示するプラグイン: プログラマの思索のように、担当者を表示するプラグインなども提供されているが、Redmine本体の機能の一部になればいい。
【2-2】Feature #10485: Add new context menu in Gantt view for each issue - Redmine
※画像は、Redmine本家のチケット#10485からリンク。
ガントチャート画面上で、チケット編集のコンテキストメニューを追加するパッチ。
これも非常に欲しいパッチ。
現在のRedmineのガントチャート画面は、単純な表示機能だけであり、編集することができない。
編集するには、別画面でチケット編集画面を表示する必要があり、操作が面倒。
ガントチャートにチケット編集のコンテキストメニューがあれば、チケット一覧画面の編集コンテキストメニューのように直感的に操作できる。
パッチの中身を見ると、RedmineにはコンテキストメニューのAPIが既に用意されているので、それをガントチャート画面のオブジェクトで呼び出しているだけ。
つまり、パッチの中身は難しくないので、おそらくバグもないだろうと思うので、本家に取り込んで欲しい。
但し、このパッチで、ガントチャート編集が全て解決できるわけではない。
最終的には、下記チケットのような大幅な機能改善が必要だろうと思う。
Feature #2024: gantt chart editing - Redmine
上記チケットを見ると、2008年から2012年にかけて、数多くの日本人がパッチを提供していた。
日本の開発現場では、とても欲しい機能なのだろう。
【3】個人的には、Redmineのガントチャートは、最終的にはMS Projectが持つ機能をすべて実現する方向へ進化していくだろうと思う。
他に欲しい機能は下記があるだろう。
・ガントバーをD&Dで、期間を移動
・ガントバーをD&Dで操作して、期間を短くしたり、長くしたりする
・ガントバーの進捗率をD&Dで操作して、進捗率を設定
・先行後続の関連をD&Dで引く
・チケット欄で、チケットをD&Dして、階層間を自由に移動する
・チケット欄で、チケットを自由にソート
・予定と実績の明確な区別と表示
・クリティカルパスの表示
つまり、MS Projectにあるガントチャート機能は全てWeb画面上で操作したいのだ。
そうすれば、MS Projectのような高額なパッケージ製品を購入しなくても、OSSのRedmineで十分に運用できるようになるはず。
今後のRedmine本体の改善に注目している。
Feature #26409: Show assignee on gantt - Redmine
※画像は、Redmine本家のチケット#26409からリンク。
#26409 のコメントに別のユーザが書いたコメント「Gantt without assignee is no a gantt」(担当者の無いガントチャートはガントチャートでない!)が面白すぎる。
世界中のプロジェクトマネージャも日本人と同じ感想を持っているわけだ。
【追記3】
Redmineのパッチを書くときに気をつけていること - ファーエンドテクノロジー株式会社
【追記3】
改善パッチを作成した開発者のコメントが書かれている。
Redmineを改善するパッチを書いて、OSSへの貢献もする仕事 - ファーエンドテクノロジー株式会社
【追記4】 下記のアイデアが提供されている。
Feature #27672: Show selected columns on gantt chart - Redmine
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