制度的リーダーシップの考え方が何となくしっくりきた
「エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方」を読みながら、リーダーシップとは一体何だろう、と疑問に思った。
すっきり腑に落ちなかったけれど、「制度的リーダーシップ」という概念で改めて考えてみたら、自分としては納得できそうだった。
ラフなメモ書き。
間違っていれば後で直す。
【参考】
セルズニックが提唱した制度的リーダーシップの意味が何となくわかった | 日々の練習
戦略論の復習④…SWOT分析と戦略立案プロセスの発展|田舎者の受験日記
制度的リーダーシップ(せいどてきりーだーしっぷ)とは - コトバンク
第11話 企業経営理論④ リーダーシップ論 ~自称週末ファーマーの国家試験受験記~ - 自称週末ファーマーの菜園ブログ
連結ピン(リッカート提唱)とは?マネジメントに必要な連結ピン | BizHint HR(人事の悩みにヒントを届けるニュースサイト)
【1】リーダシップのある人は、外から見るとオーラがある。
その人に皆が付いて行く感じ。
アジャイル界隈なら、平鍋さん。
コミュニティでは、そのオーラは、その人の個性、人格、能力から発生する時が多いと思う。
その人が発する意見、言動から、自然に周囲の人が感化されて、たんぽぽみたいに散らばっていくけど、その種は絶えることはない。
コミュニティでリーダーシップのある人は、影響力という能力を自然に持っている。
一方、企業のような硬い組織でも、リーダーシップらしきものを見かける時がある。
企業は所詮、営利団体なので、売上と利益が全て。
売上と利益を目標にした企業行動があり、その影響を受けて、管理職も社員も追随する。
管理職がそういう話をする時、無茶な売り上げや利益が出るときもあるから、普通は話半分で聞いている人が多いのではないか。
ある組織構造の利益責任を直接負うのは管理職以上であり、社員は単独の案件の管理責任に閉じているから。
すると、企業のような組織ではリーダーシップは見えにくいように思われるが、そうでもない。
特に社長は、自分は将来、こうしたいのだ、と宣言して、実際に行動する。
たとえば、組織構造をいじったり、大きな人事異動をしたり、M&Aをやったり。
その行動を見ると、違った意味でのリーダーシップを見ているような気がしている。
では、何が違うのか?
【2】セルズニックが提唱した制度的リーダーシップの意味が何となくわかった | 日々の練習では、こんなコメントがあって、なるほどと思った。
(引用開始)
「制度的リーダーシップ」は、かねてから意味が飲み込めずに困っていた用語であった。
原価計算論の教科書トレーニングで予算のところを練習していたところ、
予算の計画機能の具体的アクションとしては各管理者の目標を公式化することがある
と書かれてある箇所に、
組織内に制度として組み込む
というメモ書きがあった。
おそらく教科書にある記述を先生が別の表現で説明してくれたのだろう。
制度化とは公式的に組織に組み込む、ということがわかった。
とすると、制度的リーダーシップとは、
リーダーシップという精神、考え方、コンセプト、ぼんやりした抽象的なものを、
見える形でシステムとして組織に取り込むこと
だといえそうだ。
これならしっくりくる。
一応は納得することができた。
(引用終了)
(引用開始)
企業が外部環境の変化に対応するため組織を変更すると(命題:組織は戦略に従う)
組織は内部整合性をとるために新たな価値を注入する必要がある(命題:制度的リーダーシップ)、
といった具合に外部・内部環境を関連させて考慮するようになったのです。
(引用終了)
企業という組織は、売上目標や利益目標が必ずある。
その目標を達成するために、何らかの行動を起こさなくてはならない。
普通は、社長などの経営陣が売上目標や利益目標、経営戦略を立てて、その方針を実行するのが管理職。
すると、管理職は「連結ピン」の役割を担うと同時に、事業部の売上目標・利益目標を実行する具体的な行動をリーダーシップとして制度的に埋め込むわけだ。
つまり、管理職は必然的に、組織からリーダーシップを強制される。
そういうリーダーシップという性質を管理職が持たなければ、社員は影響されないし行動しないから。
それが制度的リーダーシップというものなのだろう。
たとえば、簿記1級の管理会計では、事業部の業績評価と事業部長の業績評価は異なる、という指摘がある。
事業部長が管理可能なコストと、事業部のコストは一致しないから。
事業部長は自身の評価を上げるために、組織の売上目標・利益目標を達成しようとする。
そのために、彼自身はリーダーシップを発揮する必要があり、それは、制度的リーダーシップとして、組織から公式的に与えられたミッション、リーダーシップとして付与されるわけだ。
【2】制度的リーダーシップの概念で、過去に思っていた幾つかの疑問は解けた気がしている。
【2-1】以前、役職が上がる人ほど、実際の言動は厳しくても、言う言葉がすごく綺麗事になっている気がしていて、不思議に思っていた。
そんな綺麗事を言っていても、実際の行動は違うじゃないか、と。
その理由は、社会的地位が高くなるほど、そういう人達は自然に制度的リーダーシップを持つようになるのだろうと推測する。
社会的地位という組織構造が、制度的リーダーシップを個人に強いるわけだ。
リーダーシップを発揮するように、その人個人を変えてしまうこともあるだろう。
「立場が人を作る」という言葉は、役職に就いた人が制度的リーダーシップによって成長した、という道もあることを示唆しているのではないか。
【2-2】制度的リーダーシップは、組織構造から離れると、その人からリーダーシップは消えてしまうのではないか。
なぜなら、事業部長という役職にいるからこそ、そのリーダーシップは発揮されているわけで、役職を外れたら、ただのおじさんに過ぎないから。
制度的に埋め込まれたリーダーシップを外された事業部長が、自身でリーダーシップを発揮できるのだろうか?
会社一筋に生きてきた人が、会社から離れると、すごく影響力がない人に変わってしまう現象があるが、その理由は、そこにあるのだろうと推測する。
【3】では、リーダーシップとは、個人が自然に持つ性質と、組織から公式的に付与されて制度として組み込まれる性質(制度的リーダーシップ)の2種類があるとしたら、その違いの本質は何なのか?
リーダーシップには、個人に由来する性質と制度に由来する性質がある。
制度に由来するリーダーシップは電磁石みたいなもの。
電気があれば、制度的リーダーシップは発揮されるが、電気がなくなると磁力が切れてしまうのと同様に、制度的リーダーシップも消えてしまう。
一方、個人に由来するリーダーシップは天然磁石みたいなもの。
その人個人が自然に持つ影響力(磁力)が自然にリーダーシップに変わる。
そう考えることは出来ないだろうか。
【追記】
門屋 浩文さんのツイート: "@akipii 職務に忠実なリーダーシップは本当のリーダーシップな?と懐疑的です あくまで職務に忠実なだけなのでは? 職務に忠実なのも大事なことですが"
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