Redmineをもっと強化できるポイントpart2~コミュニケーションツール連携・かんばん機能
「Redmineをもっと強化できるポイントpart1~上流工程のトレーサビリティ強化」の続き。
【1】障害チケットの活動ログをSlackのようなコミュニケーションツールと連動させる
結合テストや総合テスト工程では、従来は、朝会や夕会でメンバー全員を集めて、障害の優先順位付け、障害の担当者割り振り、修正状況の進捗確認などが行われていた。
メンバー全員の手が一時的に止まるので、結構ロスも多かった。
そこで、Jiraでは、Hipchatでチャットルームを作り、Hipchatに障害チケットの更新通知を流し、議論のやり取りをチャットにしてしまう運用があった。
つまり、Hipchatのチャットルームは、いわゆるWarRoom。
この運用で、総合テストの朝会や夕会で全メンバーが集まり、進捗状況を確認する運用がなくなった、とのこと。
なぜなら、オンライン上でリアルタイムに作業状況や進捗状況がやり取りできるので、全員が集まる必要がないからだ。
この運用は、RedmineからSlackへ障害チケットの更新通知をリアルタイムに配信し、Slack上でコミュニケーションを取ることで解決できるのではないか。
たとえば、テスターが障害チケットを起票したら、Slackに流れて、誰かがその障害を担当するか、Slack上でやり取りして決める。
決まったら、障害チケットに担当者が正式にアサインされ、その後の修正と動作確認はチケットのコメントで残す。
また、大規模プロジェクトでは、各チームの障害チケットがSlack上に流れるので、どのチームの障害が多いのか、どの人がどんな仕事をしているのか、というやり取りが全て見える化される。
見える化するような仕組みづくりは不要になる。
最近のソフトウェア開発では、Slackのようなコミュニケーションツール上で、仕様を議論したり、進捗状況を確認したりする時が多い。
なのに、逐一メール通知で気づくというやり取りは、情報連携のスピードが遅い。
SlackをSIerに導入した話。そしてSIerの未来 : 小野和俊のブログ
歴史あるSI企業でSlack導入に成功した方法――そして社内の風通しが良くなりムダや停滞感も消えていった (1/3):EnterpriseZine(エンタープライズジン)
今後は、Slackのようなコミュニケーションツールとチケット管理システムの連携が重要になってくるだろう。
RedmineにもSlack連携プラグインがあるが、最新バージョンでも動くのかな?
redmine-slack プラグインを使ってみたメモ - Qiita
sciyoshi/redmine-slack: Slack notification plugin for Redmine
【2】ガントチャートだけでなく「かんばん」も標準機能にして、場面ごとに使い分ける
Redmineが使えない、という人たちは、チケット一覧画面を多用しすぎる。
無造作に蓄積された多量のチケットに途方に暮れている。
乱発されたチケットを定期的に棚卸しする工夫を行わないと、すぐにチケットは放置されて、ゴミ箱になる。
だから、チケット駆動開発では、大量のチケットが発行されるので、何らかの方法でチケットをグループ化したり、他のチケット集計ビューを使ったりすることで、チケット管理を行うのが普通。
また、日本の普通のSIやメーカーのプロジェクトリーダーは、ガントチャートによるチケット管理が大好きだが、メンバー個人の立場ではガントチャートは使いにくい。
むしろ、小規模チームやメンバー個人では、タスクかんばんの方が作業しやすい。
たとえば、以前の東京Redmine勉強会の講演でも、IOT企業では、ガントチャートとかんばんを使い分けてチケット管理している、という事例があった。
RedmineがIoT企業に異常にマッチしてしまった話 - 僕のYak Shavingは終わらない
「RedmineがIoT企業に異常にマッチしてしまった話」の記事がすばらしい: プログラマの思索
第11回東京Redmine勉強会の感想~Redmineエバンジェリストが日本各地で出現しているらしい #redmineT: プログラマの思索
Redmineでは、複数プロジェクト機能があるので、かんばんもプロジェクト単位に分割できる一方、上位プロジェクトで横断的にかんばんのチケットを見ることもできるのがメリットになる。
よって、Redmineのようなチケット管理ツールでは、従来のマネージャ層向けのガントチャートと、メンバーが自身の担当状況を把握するためのかんばんの2つのチケット集計ビューが必須だろうと思う。
残念ながら、Redmine標準でかんばん機能はないので、実現されて欲しいと思う。
【3】「上流工程のトレーサビリティの強化」「コミュニケーションツール連携」「かんばん機能」は、最近の有償のチケット管理ツールにはどれも付属しているだろう。
これら機能は、プロジェクト状況の見える化、情報共有を現代風に強化したものと思える。
これら機能の効果は、以前よりも大規模な人数による大規模開発や、地理的に離れた開発チームによるオフショア開発がやりやすくなることだ。
つまり、大人数の開発者同士、地理的に離れた開発者同士のコミュニケーションをリアルタイムに行えるようにして、情報共有、さらには信頼関係を促進する方向へ、チケット管理ツールがどんどん進化している。
従来のソフトウェア工学では、コミュニケーションパスが増えるほどソフトエアの複雑性も非線形で増大するが、その問題を根本的に解決する方法はない、みたいな話があったように記憶する。
しかし、チケット管理ツールはその問題の症状を和らげて、より大規模かつ地理的に広範囲なチームでもソフトウェア開発できる環境を整備しようとする方向へ進化している。
この流れをRedmineの機能にも盛り込んでいきたい。
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