カイゼンジャーニーの感想~アジャイルサムライの再来かな
「カイゼンジャーニー」を一気に読んだ。
昔読んだ「アジャイルサムライ」の雰囲気に似ている。
興奮しすぎて、理解した内容をまとめきれていないけど、ラフなメモ書き。
付箋を引いた所だけ、思いつくまま書いておく。
ロジカルでないので、後で直す。
akipiiさんのツイート: "素晴らしい本で凄く惹き込まれました。コラムの知識もウンウンと頷くと共に、中身の濃い本と思いました。ストーリー形式もいいですね。… "
【1】(P.80)「何のために、このチームは、こんな追い立てられるように仕事しているの?」
「ベロシティを上げることを目的とする限り、このチームは目先のタスクに圧倒され続けるやろうね。みんながそれを選択してしまっている。」
ソフトウェア開発の途中では、当初のゴールや目的を忘れて、日々のアウトプットを作るだけになってしまう時がある。
タスクの消化だけに目が向いている。
しかし、実際に作り上げたシステムは、受け入れテストで実は顧客の思いと違っていた、という結果になる事態は経験上よくある。
「カイゼンジャーニー」はここでインセプションデッキを使う。
紹介されているインセプションデッキは、筆者独自にカスタマイズされている。
そのノウハウを読むと、数多くの現場で叩かれて、鍛えあげられたのだろう、とその背景を想像してしまう。
【2】(P.117)狩野モデル
狩野モデルと商品企画:部門別スキル - 品質管理なら日本科学技術連盟
チームが狙うべきシステムの品質を狩野モデルの3つの品質で区別しようとしている。
「カイゼンジャーニー」の文脈では、アーキテクチャや開発基盤を安定させることを重視する当たり前品質から攻めるのか、iPhoneのようにユーザエクスペリエンスを重視した魅力的品質から攻めるのか、作戦を考えるべきだ、という。
僕は、狩野モデルをメーカーのハードウェア製品の観点で理解することしか知らなかったから、ソフトウェア開発における狩野モデルに軽いカルチャーショックを受けた。
製造業の品質管理における狩野モデルでも、機能安全を重視する当たり前品質から攻めるか、iPhoneや一時期のソニー製品のような魅力的品質から攻めるか、という観点が同様にある。
もう一つの別の狩野モデルの観点では、製品ライフサイクルによって、魅力的品質→一元的品質→当たり前品質へと顧客から見た品質の観念が変わっていく、と言う考え方もある。
たとえば、販売当初の熱気がある頃は魅力的品質があれば多少のキズも大目に見てもらえるが、売れ出して一巡すると、ユーザはちょっとした機能不足に不満を感じ、最終的には、そういう機能はあって当然でしょ、みたいな感覚となり、シビアに見られてしまう。
僕はむしろそちらの方がしっくりいく。
【3】(P.162)タックマンモデル
この理論も僕は好きだ。
タックマンモデルとチームビルディング – ゲームを用いて貴社のチームビルディング研修,グループワーク,階層別研修をサポートします | 株式会社HEART QUAKE
似たような話として、「世界で闘うプロダクトマネージャになるための本」の中では、プロダクトマネージャが持つべきスキルの一つとして「転換点を意識する」というものがあった。
プロジェクトの中で、ある時点(転換点)を超えると、急に決断しやすくなったり、状況が大きく変わる時がある。
そういう転換点を意識して乗り越えるようにすべきだ、と。
タックマンモデルでいう「雨降って地固まる」みたいな転換点を意識して作り出し、それを乗り越えるように、プロジェクトリーダーはそういうスキルを準備すべきなのだろう。
【4】(P.175)モダンアジャイル
(引用開始)
モダンアジャイルの4つの指導理念は以下である。
人々を尊重する
安全な状態を前提とする
素早い実験と学習
価値を継続的に届ける
(引用終了)
2001年のアジャイル原則は、確かに時代から少しずつズレている気はする。
もっと今風の言葉で、2018年の現在に合うような言葉で言い換えたくなる。
心理的安全という言葉は、「アジャイル開発は、組織駆動ではなく、個人のパフォーマンス駆動で行うものだ」という観点では、個人の安全欲求が満たされた状態で本来のパフォーマンスを発揮してもらうための環境づくり、とも言い換えられると思う。
【5】(P.219)仮説キャンパス、(P.234)ユーザーストーリーマッピング
リーンキャンパス、ビジネスモデルキャンパスは僕も一時期、使ってみようとして色々試してみたが、まだしっくりきていない。
たぶん、ぼくの理解が未熟だからだろう。
ユーザーストーリーマッピングも実戦で試せてないので、本を読んでみると試したくなってくる。
実際の理論と現実の狭間、衝突が面白いのだ。
【6】(P.251)SL理論
リーダーシップの状況適合理論も、僕は好きだ。
2/4 リーダーシップは部下の成熟度で変化させる [リーダーシップ] All About
プロジェクトリーダーとして、チーム運営する時に、リーダーシップを発揮せざるを得ない状況になった時、チームの成熟度に応じて、自分はどんなリーダーシップの振る舞いをすべきか、をこの理論は教えてくれる。
自分の振る舞いとチームの現実が合わない場合、裸の王様に近い感じになる。
【7】(P.255)ハンガーフライト
僕がハンガーフライトと似たような感覚を持つ場所は、新しいコミュニティを立ち上げる時だ。
自分で何かをやりたい、と思った時、傍に同志がいて、彼らと夢を語り、そのエネルギーを使ってコミュニティを立ち上げる。
初めてやってみるのは多少怖いけれど、やってみれば意外に報われる時が多い。
【8】他のプラクティスにも、僕が知らないものもあったし、今までの経験でモヤモヤしていたものが「カイゼンジャーニー」を読んで改めて気づかされたものもあった。
また感想を書いておく。
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