自分の天分を知るとは何だろうか
ネットでウロウロしていたら、『物理の道しるべ―研究者の道とは何か』に関して、物理学者が自分の天分を知る事について記事があったのでメモ。
すごく心を揺さぶられた。
以下はラフなメモ。
【参考】
『物理の道しるべ―研究者の道とは何か』を読んだ - shiroshippo's blog
(引用開始)
少し前に読んだ。
元は雑誌『数理科学』の連載で,物理学者たちがその人生について振り返ったエッセイを集めたもの。
出てくる先生の人生も,運とか人のつながりで決まってるんだなと思った。
p.154, 155から引用。
私が物性理論という分野を選ぶまでにはいろいろな紆余曲折がありました。
高校時代は数学が3度のご飯より好きで,東大の理科I類に入学したときには当然数学科に進むつもりでいました。
実際,当時の雰囲気は最もできる学生が数学科に進学するという感じだったのです。
ご存じのように,東大では最初の2年間は駒場で教養課程を修了し,その後(実際は1年の夏休み明けごろに)学部・学科を決めるという進学振り分け制度が行われています。
その駒場での2年間,自分の適性というものを試してみるチャンスがあったわけです。
まず,大きな期待を持っていた数学ですが,すぐに自分には無理だとわかりました。
解析は良かったのですが,線形代数の講義が,いきなり体とか環とか抽象的なものばかり出てきて,公理・定理・補題…の連続に頭が痛くなってしまったからです。
その反動か,今度はドイツ文学や哲学に惹かれて文学部に進もうかと考えたり,そうかと思うと今度は化学こそは現実の世界に最も肉迫できる学問だと考えていろいろ勉強したりしていました。
ちょうどそのとき,化学の授業で「試薬分析」の課題がありました。
いろいろな試薬を使った反応を見て,試験管の中の未知の物質Xを決定せよ,という課題で,私はその日が来る前から十分な準備をして,「完璧な」場合分けの系統図を作り,どのような物質Xに対しても必ず決定できる方法を持って臨んだわけです。
ところが当日になると,匂いを嗅いだりして大体の「あたり」を勘でつけて,2, 3個の試薬を試して「わかった。
これはXXだ」と正解を出してしまった友人が近くにいたのです。
結局最後の一人になってようやく分析を終えた私に,担当の助手の先生が「君は理論に進んだ方がいいと思うね」とおっしゃったとき,人にはそれぞれの天分というものがあると実感しました。
抽象性と具象性の1次元座標を作ったときに学問分野に応じた抽象度というものがあって,数学を左端だとすると,素粒子理論,物性理論,物性実験,素粒子実験,化学,生物,医学というように並んでいてそれぞれの人に最適のところがあるのだと思います。
こういう風に,大学で何を専攻しようか迷っていた人は結構おおい。
(引用終了)
自分では理解できない現象に出会った時、自分の中でどう対処するのか?
現実問題として、生きていく中で、自分の中の知的誠実さを維持しながら、どうやって折り合いをつけていくのか?
40歳を過ぎてもまだ分からない人もいるし、20代で使命を見つけた人もいる。
自分が本当にやりたいこと、自分の使命とは何だろうか?
自分の天分とは何だろうか?
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