Redmineの「トラッカー」を「チケット種別」へ変更するチケットが提案されている
@g_maedaさんが、Redmineの「トラッカー」を「チケット種別」へ変更するチケットを提案されている。
些細な内容だが、Redmineの初心者向けユーザにさらに使いやすくする重要な提案と思うので、メモしておく。
【参考】
Patch #29045: Change Japanese translation for Tracker - Redmine
【1】Redmineのチケットで最も重要な概念は「トラッカー」だ。
なぜなら、トラッカーはワークフローと表裏一体であるので、業務フローと対応付けられるからだ。
よって、トラッカーによってRedmineチケットの状態遷移が制御される。
また、トラッカーはカスタムフィールドなど、チケットのテンプレートそのものでもあるからだ。
よって、トラッカーごとに、チケットのテンプレートを設定する思想にもなる。
たとえば、トラッカーは、ソフトウェア開発のプロセス、申請承認ワークフローの業務などに対応付けられる。
それらは、特有のワークフローがあり、特有のデータ項目(カスタムフィールド)が保持されている。
【2】しかし、従来から、「Redmineのトラッカーとは何ですか?」という問合せが非常に多い問題があった。
日本人には「トラッカー」を和訳せずにそのままの名前にしたので、イメージしにくいのが根本原因にあるのだろう。
よって、「チケット種別」にする提案が@g_maedaさんから起票された。
おそらくRedmineを知らない日本人にとって、「チケット種別」という概念の方が理解しやすいだろう、と個人的に思う。
このパッチが反映されれば、日本におけるRedmineの普及促進に重要な良い影響を及ぼすだろう。
よって、パッチは些細なものだが、非常に重要な内容だ。
【3】なお、コメントでは、「ワークフロー種別」の方が良いのでは、等の意見もある。
@g_maedaさんの言う通り、トラッカーはワークフローかつチケットテンプレートの2種類の設計思想を持つので、「チケット種別」の方がその2つの概念を包含しやすいだろう、と思う。
Patch #29045: Change Japanese translation for Tracker - Redmine
(Google翻訳にて引用開始)
松本Gohさんはこう書いた:
私の意見では、トラッカーはワークフローの名前またはタイプを表しています。
だから、私は "ワークフロー"または "ワークフロータイプ別"を提案します。
ご意見ありがとうございます。でも、私はまだ「ワークフロー種別」よりも「チケット種別」が好きです。その理由は次のとおりです。
トラッカーは、ワークフローだけでなく一連のフィールドも定義します。「ワークフロー種別」(ワークフロータイプ)という言葉は、そのうちの一つしか表現しておらず、ワークフローを強調しすぎています。私は "チケット種別"(問題の種類)は両方の意味を含んでいると思います。
「ワークフロー種別」(ワークフロータイプ)はかなり長いです。問題リストを表示すると、トラッカーフィールドが広くなります。
しかし、ユーザーのために「チケット種別」(問題の種類)と「カテゴリ」(カテゴリ)を区別するのは少し難しいとのご意見に同意できます。
(引用終了)
【4】また、 Masakazu IZUIさんのメモの絵が素晴らしい。
メモでは、チケット種別(トラッカー)のチケット群を「カテゴリ」に仕分けするイメージが描かれている。
Patch #29045: Change Japanese translation for Tracker - Redmine 「「仕分け」はどう?」
このメモが素晴らしいと思う理由は、トラッカーとカテゴリの設計思想が明確に区別されているからだ。
トラッカーは全てのPJで使われる汎用テンプレートかつワークフロー設定なので、各トラッカーの各種チケットは、各PJで、PJ特有のカテゴリで「仕分け」される。
RedmineのカテゴリはPJで自由に設定できる点がミソだ。
つまり、汎用設定であるトラッカーによる分類だけでなく、PJ特有の分類方法はカテゴリを使って分類すればいい。
そうすれば、チケット集計時に、色んな観点で集計しやすくなる。
つまり、「チケット群を仕分ける」作業は、プロジェクトマネージャが従来行っていた進捗報告作りの作業である。
その手作業は、Redmineのチケット集計機能で全てシステム化、自動化できることを示唆しているのだ。
【5】なお、カテゴリ機能については、親子PJでカテゴリを継承して使えるような機能改善が下記チケットで提案されている。
最近、Yuuki NARAさんがGitHubで試されている。
Patch #11898: Inheritable issue categories - Redmine
Feature #5358: Share Issues Categories for sub-projects - Redmine
実は、Redmineのカテゴリは重要な機能でありながら、その使い道の有用性を説明することが難しかった。
カテゴリを親子PJで継承できるようになれば、親PJのカテゴリを流用できるので使いやすくなる。
個人的には、カテゴリ機能はもっと改善して欲しい、と思っている。
そうすれば、チケット種別(トラッカー)でチケットを分類する方法ではなく、カテゴリで固有のPJで分類する運用がもっと馴染むようになるだろう、と思っている。
僕はRedmineをもう10年以上使っているけれど、まだまだ機能改善したい気持ちがあるし、色んな可能性を考えるのがすごく楽しい、と感じてる。
【追記】
Toru Takahashiさんから、「トラッカー」を「チケット種別」に変更する提案に反対意見が表明されている。
その反対意見の理由を読むと、確かにもっともだ。
なぜなら、「トラッカー」には「問題や課題、障害等を追跡する」意味が含まれているので、その意味が失われるリスクもあるからだ。
Patch #29045: Change Japanese translation for Tracker - Redmine
(Google翻訳による引用開始)
私はこの翻訳提案に同意しません。
「トラッカー」には、問題のステータス変更を追跡する意味が含まれます。
「種別」には含まれていません。
さらに、「タイプ」という単語は「カテゴリ」という単語に非常によく似ています。
「トラッカー」に適した日本語を見つけるのは難しいかもしれません。
翻訳に適した単語が見つかるまで、
現在の翻訳された単語「トラッカー」は、トラッカーの代名詞を表しています。
(引用終了)
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