ソフトウェア開発に心理学や行動経済学の概念を適用した記事のリンク
ソフトウェア開発に心理学や行動経済学の概念を適用した記事がとても素晴らしいので、リンクしておく。
このアイデアを育ててみたくなった。
【参考】
ソフトウェア開発に役立つ 心理学的現象、行動経済学の概念など 15題 - Qiita
ソフトウェア開発に、製造業や生産管理のベストプラクティスを適用しても、あまり有効でない。
むしろ、認知心理学や行動経済学の知見を適用して、開発者の心理や開発チームの行動に着目した方が、うまくコントロールできるのではないか。
そんな感触をずっと持ち続けてきた。
上記の記事はまさにピッタリ。
そう、こういう記事が読みたかった。
現場の開発者や開発チームは、独自の存在であり、全ての存在が同じではないけれど、それらの行動を現象として見ると、驚くほど共通的な特徴が見つかる場合も多い。
そういうバラバラな共通的な現象を、的確な概念でその本質を表現できればいいのに、と思っていた。
たとえば、認知心理学の概念として、認知的不協和、グループシンク(集団浅慮)、リスキーシフト(リスク志向の集団極性化)、コーシャス・シフト(安全志向の集団極性化)、有能性の罠(competency trap)、訓練された無能、などがある。
それらを実際にソフトウェア開発に適用してみれば、当てはまる事例は多いのではないか?
具体的には、要件定義で数多くの利害関係者の意向を取り入れると、本来は業務を刷新する革新的なシステムを導入するはずだったのに、現状の業務の焼き直しに過ぎないリプレース案件になってしまった、という事例は、コーシャス・シフトの一例ではないか、とか。
僕は、認知心理学の概念の適用も面白いと思うが、行動経済学の概念を適用する方が面白いと思っている。
経済学の基本理念「限られた資源を有効活用する」ことは、ソフトウェア開発でもまさに同じだ。
優れた開発者、優れた開発チームという唯一無二の資源をいかに有効活用して、ビジネス価値を作り出すか、という目的と一致するからだ。
たとえば、技術的負債やリファクタリングは、時間割引や割引価値の観点で説明できるだろう。
犠牲的アーキテクチャは、埋没価値(サンクコスト)や機会原価の観点で説明できるだろう。
意固地な言動は、バイアスで説明できるかもしれない。
「アドレナリンジャンキー」にあるプロジェクト管理のアンチパターンも、認知心理学や行動経済学の知見で整理して説明し直すと面白いかもしれない。
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