Redmineのガントチャート改善パッチに注目しているpart2
「ファーエンドテクノロジーによるRedmine開発状況(2019年1~4月)」の記事が公開されていたのでメモ。
【参考】
ファーエンドテクノロジーによるRedmine開発状況(2019年1~4月) - ファーエンドテクノロジー株式会社
Redmineのガントチャート改善パッチに注目している: プログラマの思索
【0】2019年5月現在、@g_maedaさんの積極的なコミットのおかげで、ほぼ毎日trunkが更新されている。
内容は特に、画面UIの細かな機能改善が多い。
redmine trunk changesも合わせて読むと、コミット内容の理解も捗る。
【1】個人的に興味がある機能改善は、ガントチャート機能の改善だ。
Redmineのガントチャート改善パッチに注目している: プログラマの思索に書いたけれど、日本人のユーザの心を惹き付けるには、ガントチャート機能の改善が重要と考える。
なぜなら、日本企業はどうしてもメーカーの発想に近いWF型開発を基本に考えているので、PJ管理ツールにガントチャートは必須の機能だからだ。
おそらく、日本のRedmineユーザは、Redmine本体のガントチャート画面に独自パッチを当てている利用シーンは多いのではないだろうか?
なぜなら、Redmineのガントチャート機能は、その潜在能力が高いにも関わらず、UIも機能もまだまだ改善の余地がたくさんあるからだ。
【2】ガントチャート画面の下位WBSを折りたたむ機能が追加された。
Feature #6417: Allow collapse/expand in gantt chart - Redmine
WBSの階層と管理する職層はほぼ1対1に対応するので、この機能を使えば、たとえば、第1~3階層は経営層向け、第4層以下はチーム向けでガントチャートのビューを使い分けられる。
※画像は、Redmine本家のチケットからリンク。
【3】選択した項目をガントチャートに列として追加される。
Feature #27672: Show selected columns in gantt chart - Redmine
ガントチャート画面に担当者を表示したい要望は元々多かった。
さらに、予定・実績の開始・終了日、予定工数などもガントチャート画面で表示できれば、プロジェクトリーダーは使いやすくなる。
※画像は、Redmine本家のチケットからリンク。
【4】個人的に最も注目する機能改善は「プロジェクト一覧にフィルタ・オプション機能追加」だ。
Patch #29482: Query system for Projects page - Redmine
※画像は、Redmine本家のチケットからリンク。
SIやメーカーの大企業ならば、社内に数百以上のシステムを持っている場合が多いだろう。
彼らは、汎用機の頃から、長年数多くの社内システムを開発してきた。
すると、Redmineでシステム開発・運用保守を管理したい場合、Redmineプロジェクトに社内システムを単純に1対1に対応づけるだけでも、プロジェクト数は数百に増えてくる。
しかも、社内の申請承認ワークフロー、庶務業務、チーム単位の子プロジェクトなどを作れば、あっという間にRedmineプロジェクト数は膨大に増えてしまう。
しかし、現状のRedmineでは、全PJを一覧として見る画面の機能が弱いので、横串でPJそのものの状況を把握するのが難しい。
開発チームだけのPJ管理ならば現状のRedmineでも問題ないが、部長や役員などの経営層もRedmineを見たい場合、彼らが見たがるビューは違うからだ。
PMOや部長は、重点PJの集まり、事業部単位で複数PJを横串で状況を比較・把握したいのだ。
つまり、Redmineのユーザ層が現場のプログラマ、現場リーダーだけでなく、経営層まで拡大したことにより、PJ一覧画面を改善する動機が生まれたわけだ。
上記のパッチを見る限り、チケット一覧画面のようにプロジェクト一覧を検索できるようになる。
この機能だけでも十分ニーズに応えられるだろう。
そして、Redmineを長年運用している現場では、数百のプロジェクトを横串で参照する機能が追加されることで、いろんな使い方が提案されてくるだろう。
たとえば、PJ一覧画面で、PJの進捗率を表示したい、とか、PJメンバー人数を表示したい、とか、色々出てくるのではないか。
つまり、ほんの少しの機能改善が、ユーザの潜在ニーズを刺激し、新たな利用シーンに沿った機能改善が生まれてくるだろう。
今後もRedmineの機能改善に着目していく。
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