Redmineインスタンスを分割したい状況の考察
@nekosanzさんから、Redmineインスタンスを分割したいつぶやきがあって、色々考えさせられたのでメモ。 論理的でないラフなメモ書き。
【参考】 かるね@nekosanzさんはTwitterを使っています: 「Redmineの今後について、やはり複数に分ける方向に進んだほうが幸せかも。なやましー」 / Twitter
【感想と考察】 【1】会社標準の単一Redmineインスタンスから複数のインスタンスを立ち上げたい時、どんな考え方が判断基準になるだろうか?
僕は、組織とRedmineの間でどれだけ密結合になっているか、という基準で区別できるだろう、と考えている。
たとえば、組織とRedmineが疎結合の場合、Redmineインスタンスは所属部署に関係しないので、一人のユーザは複数のRedmineにログインする運用になる。 よって、ユーザは各Redmineのログインパスワードを別途記憶せざるを得ないし、Redmineに書き込んでいる時に自分が今どのRedmineインスタンスにいるのか、逐一存在確認する状況が発生してしまう。 特に、システムごとにRedmineが乱立していると、作業日報や障害・問い合わせの記録をする時に、複数のRedmineチケットに記入する時の入り口の判断にパワーを取られるのが、あまり楽しいものではない。
一方、組織とRedmineが密結合の場合、Redmineインスタンスは所属部署に強く関係づけられているので、一人のユーザは所属部署が持つ単一Redmineだけの運用になる。 ユーザの作業全ては単一Redmineのチケットに起票するだけなので、ブラウザでどのRedmineだっけ?と考える手間は全く無い。 たぶん、ユーザにとっては入り口が楽な分、運用も定着しやすいだろう。
【2】では、Redmineと組織の関係にはどんなパターンがあるのか?
たぶん2種類ある。 組織を単一Redmineインスタンスに標準化するパターンと、組織ごとに複数のRedmineインスタンスが混在するパターン。
前者では、単一RedmineのRedmineプロジェクトに組織構造の情報が埋め込まれているはずだ。 しかし、Redmineの設定は標準化されているので、部署単位の文化はあまり埋め込まれていないだろう。
ただし、組織とRedmineの関係は密結合になっている。 Redmineで実現された標準プロセスに埋め込まれたワークフローや諸々の運用ルールに、組織に属する全ての人達が規定されられているはずだ。 何となく窮屈な気もする。
後者では、Redmineインスタンスごとに組織(部署)が対応付けられているはずだ。 よって、Redmineには組織の情報だけでなく、部署単位の組織文化がふんだんに埋め込まれているだろう。 たとえば、ワークフローやカスタムフィールドに、業務やシステムの特徴がもろに出ていたり、部署の管理職が欲しがる情報がカスタマイズして埋め込まれているだろう。
ただし、組織とRedmineの関係は疎結合になっている。 一人のユーザは、こちらのRedmineに入ればその組織文化を受け入れ、あちらのRedmineに入れば別の組織文化を受け入れる。 たとえば、ある組織のレビュープロセスが普通と思っていても、別の組織のレビュープロセスが違っていれば、Redmineのワークフローは大きく異なっているはずだ。 おそらく、新規加入した委託契約の開発者は、乱立したRedmineごとの開発プロセスの違いで混乱してしまうのでは、という気がする。
だから、複数のRedmineの集計ビューを一つのRedmineで見たい、という要望も発生しがちだ。 特に、PMOのように複数の組織やPJを横断する情報が欲しい場合、複数のRedmineのビューを手軽に見たくなる。
複数Redmineの内容を一つのRedmineに集約して見る方法: プログラマの思索
【3】とはいえ、会社標準の単一のRedmineインスタンスで運用を始めて全社に展開していくと、ユーザから細かな改善要望が結構出てくる。 Redmineの良さは、カスタマイズのしやすさなので、割と簡単に要求を受け入れて、その会社特有の業務に使いやすくできる。 しかし、カスタマイズしすぎると、Redmine本体が複雑になってしまい、ユーザの多様なニーズに添えなくなる時がある。
つまり、単一の標準Redmineでは窮屈すぎて、組織内にある多種多様なニーズを実現できなくなる臨界点が現れるわけだ。
上記の議論の通り、Redmineのカスタマイズのしやすさが、逆にRedmineの普及や浸透に制限をかけてしまう場合がある。 そう言えば、Jenkinsでも同様な話があった気がする。 例えば、Jenkinsでデプロイ作業やデプロイのパイプラインをどんどん作り込んでいくと、どんどん複雑になってしまい、Jenkins職人と言われる属人化した人しか触れなくなる、みたいな。 たぶん、Redmineでも、Redmine職人しか会社のRedmineをカスタマイズできない、と言った症状が出てくるかもしれない。
では、単一Redmineが複数のRedmineに分離したくなる臨界点とは、どんな条件があるのだろうか? その臨界点では、組織とRedmineの間に、どんな緊張関係が出てくるのだろうか?
実際、単一Redmineでは使いにくい、という不満が大きければ、その不満を発する組織と単一Redmineには大きなコンフリクトが発生しているからだ。
たぶん、いろんな状況や理由があると思うので、色々聞いてみたい。
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