メタプログラミングRubyの感想
「メタプログラミングRuby 」を一通り読み終えた。
まだ全ては完全理解できていないが、やっとRubyの面白さを感じ取れた気がする。
理解したことをラフなメモ書き。
まだ初心者なので間違っていたら後で直す。
【参考】
メタプログラミングRuby - ククログ(2010-09-13)
メタプログラミングRubyを読んだ - razokulover publog
「メタプログラミングRuby」オススメです - UUUM攻殻機動隊(エンジニアブログ)
「メタプログラミングRuby」ことはじめ?開発本部・TechLunch? - Medley Developer Blog
【1】JavaやC#、VB等と違って、Rubyの特徴や面白さはどこにあるのだろうか?
「メタプログラミングRuby 」を読んで、自分はRubyの威力を完全に理解できていないことが分かった。
特徴は3つあると思う。
【2】一つは、ArrayやHash等の基本ライブラリが十分揃っていること。
VBはリストやハッシュのライブラリが貧弱で、ちょっとした操作にかなりの行数が必要になる。
JavaはArrayListやMapなどにはライブラリは揃っているが、Rubyほどないように思う。
Rubyならmap, collect, find, select, inject, reduceなど、配列やハッシュの単純な操作を短く書ける。
オープンクラスだから、後でいくらでも機能追加できる。
後から発展してきたプログラミング言語ほど、リストやハッシュのような基本的なデータ構造を扱う機能は豊富だ。
昔のプログラミング言語ほど、リストやハッシュの簡単な操作だけに色々考えさせられて疲れてしまう。
だからこそ、低いレイヤで考える部分が少なくなり、本来の機能のレイヤを考える方へ労力を費やせる。
【2】Rubyのオブジェクト指向はJavaとかなり違う。
Javaはクラス重視だが、Rubyはメソッドを重視しているように感じる。
Rubyと大クラス主義とダックタイピング、そして名前重要 - ゆとRubyist日記
つまり、Rubyはメソッドを実行するレシーバよりも、メソッドというインターフェイスを重視している。
Rubyでメタプログラミングを読んでいると、メソッドなのか変数なのか最初は判別できない時がある。
たとえば、シンボルを渡して、ブロックに変更して処理を実行させる、とか。
むしろ、わざわざそう書いているとしか思えない。
オブジェクト指向の技術としては、Javaでは継承や委譲くらいしかないが、Rubyには、incude, prepend, extend, refineなど色んな技法が多い。
Javaはオブジェクト指向言語と言いながら、実際のプログラムは手続き型言語の気持ちで書いてる。
手続きで書いていって、ソースが長くなったら、OOPの技術でリファクタリングする、みたいな感覚。
一方、Rubyでは、メソッド探索や継承チェーン、method_missingのように、常に継承関係を意識しながら書いている。
Rubyの方が複雑な機能をスマートに書ける場合が多いように思う。
RailsのValidationで、フック処理と特異メソッド(クラスメソッド)を上手く使いこなしている解説を「メタプログラミングRuby 」で読んで、なるほどと思った。
【3】Rubyのライブラリは、メタプログラミングに向いた機能が多い。
むしろ、すごく多すぎてやり過ぎなくらい。
class_eval, define_method, instance_evalくらいならまだ良かろうが、evalで文字列のプログラムを実行評価できるのはやり過ぎなくらい。コードインジェクションのリスクもある。
でも、そのおかげで、似たような操作で名前の違うメソッドを一括処理することで、プログラム行数を相当短くできる。
たとえば、メソッドを文字列でGrepして、ヒットしたらある処理、ヒットしなかったら、ゴーストメソッドでmethod_missingで一括処理、とか。
また、Rubyでは、privateメソッドも外部から自由に扱えてしまうので、テストコードが書きやすいはず。
JUnitもリフレクションを多用しまくっていたし。
たぶん、Rubyの方が自動テストに向いているのだろうと思う。
一方、JavaやC#でメタプログラミングっぽいことをやろうとしたら、XML地獄になる。
XMLを書いている時間の方が長いくらいだ。
つまり、Javaは外部DSL、Rubyは内部DSLが扱える、ということなのだろう。
その分、Rubyだけで全て書ききれるから、ストレスも低いと思う。
そういう設計思想の元で、「メタプログラミングRuby 」では、Rubyは進化的設計に向いている、という解説があり、なるほどと思った。
たとえば、RailsのライブラリもVer1.0からVer4までVerUpするたびに、メタプログラミングで書いた部分をオブジェクト指向で書き直したり、method_missingを多用して性能悪化した部分を性能改善していくなど、色んな手間がかかっている。
そういう進化的設計は、アジャイル開発と相性が良い。
最初はまず機能をリリースして、ユーザに使える機能を提供し、VerUpするたびに機能を改善したり、性能を改善していく、というやり方だ。
そういう開発スタイルは、開発プロセスがフレームワークとして運用できるだけでなく、ソフトウェア開発技術そのものもレベルが高くなければ、コントロールできない。
つまり、Rubyはメタプログラミングとオブジェクト指向という2つの技術を使いこなすことで、適用できる場面をスムーズに変えることができ、スピード感のある開発と柔軟な開発という相反する手法をコントロールできているのだろう、と思った。
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