「チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」の感想
「チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」の感想をメモ。
ラフなメモ書き。
期待して読み始めたが、自分の心に引っかかるものが正直なかったように感じた。
確かに、チームが大事だ、という主張は分かる。
昨今は、ソフトウェア開発プロジェクトのように、プロジェクトのリーダーもメンバーも、ある一定期間で集合離散を繰り返す。
アプリ、インフラ、ミドルウェアなどの専門能力を持つ開発者がプロジェクト型のチームを作り、成果を出すには、チームとしてすぐに形成できる力がいる。
この話を読みながら、10年前に流行したプロジェクトファシリテーションを思い出した。
つまり、チームビルディングのスキルがプロジェクトリーダーには必要だ。
だから、そういうイメージでこの本を読んでいた。
たぶん僕は、チームビルディングのプラクティスやアンチパターンを追い求めていたので、心に残らなかったかもしれない。
個人的には、ファシリテーションのスキルを身に付ける時に留意すべき概念は、2つあると思う。
一つは、タックマンモデル。
もう一つは、バーナードの組織の3要素。
タックマンモデルとチームビルディング ? ゲームを用いた企業研修なら| 株式会社HEART QUAKE
バーナード組織の3要素【共通目的・協働意欲・コミュニケーション】 | Act And Act
タックマンモデルが僕にとって新鮮だったのは、チーム内のコンフリクトは悪ではなく必要不可欠なものだ、という考え方だった。
たぶん、僕が日本の学校教育で、和を尊ぶ思想に染められていたからかもしれない。
むしろ、コンフリクトとして、意見や立場の対立を見える化することで、問題の本質が見えてくる、という逆説。
人間として大人のチームでは、激しい議論や意見対立はあっても、問題の真因がはっきりすれば、一致団結しやすい。
一方、バーナードの組織の3要素を診断士の先生から教わった時に強烈な印象を受けたことは、トップの人が共通目的を語り、メンバーの貢献意欲を引き出し、コミュニケーションを活性化するように汗をかくべきだ、ということだ。
僕は、組織文化というものは、ボトムアップで生まれるものだ、という思い込みがあった。
アジャイル開発が好きだから、メンバー自身がチームの文化を生み出すのが普通だろう、と。
しかし、プロジェクトリーダーの立場に自分が属するようになると、自らがビジョンを語り、メンバーの貢献意欲を引き出すように心がける言動の方が実際に多くなった。
そうした方がチームが上手く回る、と経験したこともあったが、バーナードの組織成立の三要素を知らない時はしっくりこなかった。
でも、今ではその意味は分かるような気がする。
結局、チームは人に依存するからこそ、自らエネルギーを噴出させて、周囲の人に影響させることで、チームとしての一体感や使命感を醸成させるのだ。
それは一つのスキルだろうし、後天的に身に付けられるものだと思う。
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