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2020/10/31

アジャイル動画「私もアジャイルに飛びこんだの! -- 『品質重視のアジャイル開発』の誉田さんインタビュー」がいいね

アジャイル動画「私もアジャイルに飛びこんだの! -- 『品質重視のアジャイル開発』の誉田さんインタビュー」がいいと思ったのでリンクしておく。

私もアジャイルに飛びこんだの! -- 『品質重視のアジャイル開発』の誉田さんインタビュー ? アジャイル動画

「私もアジャイルに飛びこんだの!」というフレーズがとても可愛いのだが、誉田さんはNECでCMMIレベル5の導入運用に携わった人と聞いているので、そのギャップの違いに惹かれた。

『品質重視のアジャイル開発』を書いた動機は、色んな人から、アジャイル開発では品質保証はどうやっているのか?と聞かれて、その解答を自分から答えようとしたこと、と聞いて、すごく納得した。

実際、『品質重視のアジャイル開発』では、P.32で「顧客が納得するアジャイル開発の品質保証方法は確立されていない。本書は、その課題の解決に挑戦している」という言葉がある。
この言葉にすごくしびれた。

上記の動画では、誉田さんは、私は2010年頃からアジャイル開発に携わったので、平鍋さん他皆さんとはそこまでアジャイル開発の経験を持っていないと謙遜されていたが、『品質重視のアジャイル開発』の内容はとても充実していると思う。

上記の動画の最後でも紹介されているが、アジャイル開発はミニWF型開発ではない。
アジャイル開発はミニWF型開発とみなしてしまうと、必ず大火傷を負う。
それはなぜか?

アジャイル開発の特徴はとにかく期間が短いことだ、と著者は言う。
WF型開発では半年かけて、各工程にゲートを設けて品質チェックし、品質を担保していく。
そのやり方をアジャイル開発にそのまま適用しても、短期間の制約があるから、必ず現場が混乱する。

一方で、WF型開発の品質保証で得られた知見である「プロセス品質」「プロダクト品質」の考え方はアジャイル開発にも通用する。
アジャイル開発でもその考え方を適用する。
プロセス品質では、技術プラクティスを習慣にし、開発チームの構成に配慮すること。
プロダクト品質では、Done判定を出荷判定基準とみなし、バックログの順番に頻繁に品質保証していくこと。

個人的には、「Done判定を出荷判定基準」とみなす観点は有効な知見だと思う。
ソフトウェア品質保証は、WF型開発でもアジャイル開発でも、同じような概念や観点は共通で存在するし、その背景には、品質はどんな開発プロセスであれ必要なのだ、という思想があるのだと思う。

また、『品質重視のアジャイル開発』では、アジャイル開発にもWF型開発のメトリクス分析を適用しようとして、色々苦労されている内容がある。
結論は、定量データを用いてアジャイル開発のプロセスを分析するのは難しい、ということだ。
理由は、アジャイル開発では、短期でリリースするので、スプリント単位の開発規模は小さいために、メトリクスのばらつきが大きくなるからだ。
すなわち、開発規模やチームの生産性のばらつきが大きいために、Velocityで複数チームの生産性を比較するのは有意味なりにくいし、各チームの開発状況を分析するのが難しいのだ。

考えてみれば、規模が小さいのでばらつきが大きくなる、というのは当たり前なのだが、結局、短期間リリースと定量データ分析はトレードオフなのかな、と感じる。

また、『品質重視のアジャイル開発』本は、品質保証の観点で噛み砕いて解説してくれているので、WF型開発バリバリのプロジェクトリーダーがアジャイル開発に取り組む時に役立つと思う。

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