astah* ver8.3でハイパーリンクと画像アイコンの機能強化がリリースされた
astah* ver8.3でハイパーリンクと画像アイコンの機能強化がリリースされたのでメモ。
待ち望んでいた機能なので、早速試してみた。
【参考1】
astah* 8.3リリースノート | astah
【参考2】
構造ツリー 図上へのドラッグ&ドロップ(2) - ハイパーリンクの作成| astah* 機能ガイド
astahで設計書とモデル、プロセスをつなぐ為の資料のリンク: プログラマの思索
モデル間のトレーサビリティと粒度、変更管理に関するastahのあるべき姿: プログラマの思索
モデリング技術の習得とモデリングツールの習得は表裏一体: プログラマの思索
astahで、ダイアグラム上のモデルに、別のモデルをD&Dすると、相互のモデルにハイパーリンクされるようになった。
この機能を使うと、あるモデル要素をクリックすると別のモデル要素に遷移される。
たとえば、上流工程の業務フローのアクティビティ図、ユースケース図の各モデル要素を実装フェーズのクラス図、シーケンス図へ詳細化した場合、このハイパーリンク機能によって、下位要素へトレースされることになる。
つまり、要件から仕様、実装までの下方追跡をモデリングツール上で実現できたことになる。
たぶんよく使われる要素は、ユースケース図のユースケース→アクティビティ図、アクティビティ図のアクティビティ→ユースケース、ユースケース→クラス図orシーケンス図のような流れだろう。
astahでは、モデル要素のハイパーリンクのアイコンをダブルクリックするだけで遷移される。
一方、実装フェーズのクラス図、シーケンス図から、上流工程の業務フローのユースケース図、アクティビティ図へトレースされることになる。
つまり、実装から要件までの上方追跡をモデリングツール上で実現できたことになる。
astahでは、構造ツリー上のダイアグラムにハイパーリンクのアイコンが表示されるので、ダイアグラムを右クリック>ハイパーリンク>モデル要素を選ぶような操作になる。
僕は、要求から実装までの下方追跡、上方追跡の機能は、モデリングツールで非常に重要な機能と考えている。
なぜならば、モデリングしながら、曖昧な要件をQCDの制約の中で実現可能な実装レベルまで詳細化していく時に、こういうトレーサビリティ機能によって、モデルの整合性や実現可能性を思考する必要があるからだ。
こういう試行錯誤しながらモデリングする作業は、できるだけモデリングツールで支援して欲しいと思う。
Excelや紙ベースでモデリングすることもよくあるが、ラフなスケッチではなく、モデリングする思考そのものをより深く、より良いものにするには、トレーサビリティ機能のように本来ツールで支援すべき機能は、モデラーがそこに注力するのではなく、透過的に支援して欲しい。
そうすれば、本来の業務要件のモデリングそのものに注力できる。
僕は、ハイパーリンク機能のように、トレーサビリティ機能はモデラー自身が手作業で追加・編集・削除して、後からそのリンクを辿れる操作で十分だと考えている。
なお、トレーサビリティマップにモデル間の相互ハイパーリンクを表示する機能も考えているらしいので、楽しみにしている。
【参考3】
フローチャート SVGやZIPのアップロード可!| astah* 機能ガイド
astah* 8.3リリースノート SVG形式の画像が使用可能に| astah
astahでAWSインフラ構成図が描ける方法がある: プログラマの思索
ネットワーク図・システム構成図作成に使えるアイコン集 - Qiita
AWS シンプルアイコン - AWS アーキテクチャーセンター | AWS
Network Topology Icons - Doing Business With Cisco - Cisco
astahで、フローチャートのフロー記号に複数の画像ファイルを一括登録できる機能が追加された。
この機能を使えば、例えば、AWSやCiscoのアイコンをastahに全部取り込めば、astah上でインフラ構成図を描くことができるようになる。
昨今、クラウドで開発するのが当たり前になったので、ソースコードのクラス図、シーケンス図だけでなく、インフラ構成図も同じモデリングツールで描けるのはとても心強い。
ただし、若干使い勝手が悪い面もある。
たとえば、複数のAWS画像ファイルを一括取り込みした後、約200個の画像ファイル名が全て「処理」になってしまうので、肝心の画像ファイルが選びにくい。
暫定の対処方法としては、画像ファイル情報が保持されているFlowSymbolTemplate.propertiesで、「element.106.name=EC2」のように画像ファイル名を置換すれば良い。
テキストファイルなので、ファイル名の置換操作が若干面倒だが、それさえ実施すれば、フロー設定で、目的の画像ファイルを選択できるようになる。
ただし、画像ファイル名がソートされていないので選択しづらい。
たぶん、次のバージョンで使い勝手は修正されるだろうと思う。
そうすれば、plantUMLよりもastahでインフラ構成図を描く方が楽になるかもしれない。
CiscoやAWSのアイコンが使えるので、インフラ構成図も論理構成図や物理構成図の両方が使えるのも便利。
いろいろ試してみたい。
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