第19回東京Redmine勉強会の感想 #redmineT
第19回東京Redmine勉強会に久しぶりに出て楽しかった。
ラフなメモ書き。
2020/11/14 第19回勉強会 - redmine.tokyo #redmineT - Togetter
フルリモート開催2回めのredmine.tokyo 日々の悩みと笑いと感動あり #redmineT | マドびっ! Madosan's View
【1】@g_maedaさんのRedMicaの講演では、細やかな機能改善の紹介があった。
Wikiにテーブル挿入ボタン、Ctrol+Enterでフォームサブミット、ユーザマスタCSVインポート機能など。
セキュリティ面の機能強化に意識されているのはいいね。
【2】2本のパネルディスカッションは面白かった。
各パネラーの体験談を元にした失敗談、成功談をショートストーリーで紹介し、それを他のパネラーが突っ込む。
そういう意見が出るのか、脱線した話もあっていい感じ。
【2-1】話を聞いていると、ツールでプロセスを実装するか、目的のあるプロセスをツールにフィットさせて実装するか、という議論がごちゃ混ぜで面白い。
@saitoさんと話ししていると、やっぱり僕も、やりたいプロセスが既にイメージできていて、そのプロセスをツールに当てはめて、ツールの設計思想に上手く組み込む感じ。
一方、ツールを使いながら、ああ、こういう機能はこういう時に使うのか、こういう時に役立つのか、と気づく時もある。
しかし、最初はスモールスタートで運用し始めていくと上手く行っても、他チームが相乗りしてどんどんRedmineが複雑化してコントロールしにくくなる話もあったな。
【2-2】心理的安全性のテーマはよく出る。
チケット駆動では、メンバーが自発的に登録して、タスクを他人に振って、自分でクローズする運用でないと効果的にならない。
しかし、日本の現場では、派遣契約や外部委託などの契約のために、上からの指示になり、変な忖度をしがち。
おそらく、心理的安全性が日本で盛り上がるのは、上意下達の組織に慣れすぎてしまって、自分からリーダーシップを発揮する訓練が不足しているのだろうと思う。
【2-3】TeamsとRedmineの話も個人的にはとてもヒットした。
GSuiteからTeamsに変わって、とても便利。
Teamsでチャットもできて、TV会議もできて、Googleドライブみたいにファイル管理できるし、Plannerでちょっとしたカンバンもあるし、SharepointでWikiみたいに使えるし、何でもできる。
すると、チーム内のコミュニケーションは全てTeamsでカバーできる。
しかし、課題管理やタスク管理はTeamsでは辛いので、Redmineを使いたくなる。
チャットを使うことで、Redmineのチケットのコメントがきれいになった、というメリットは同意する。
コメントは掲示板みたいな機能かなと思うが、もっとリアルタイムに速くやり取りしたい時に、チケットのコメントは遅い気がする。
Teamsでこれだけコミュニケーションができると、正直、メールは仕方ないから使っているだけ。
メールはFaxと同じレベル。いい意味でも悪い意味でも。
【2-4】@satioさんと話していて面白かったのは、リモートワークになって、新人や若手が苦労しているね、という話。
オフラインでOJTができないので、初めての設計、レビュー、プログラミングのデバッグなどがやりにくいらしい。
すると、困ったことを誰にも話せず、自分一人で困っていて、何も成果を出せない結果になりがち。
だから、頻繁なコミュニケーションを取りながら、逐一フォローできる仕組みや環境が必要みたい。
つまり、経験者だけでなく新人ですら、成果主義が求められている。
僕は会社から教育された経験がないので、自分一人で勉強してスキルを身に着けていくべきでは?と思っている。
【2-5】Redmineでは、通知メールよりも活動タブをもっと使うべきだ、という意見は、ツイートでも賛成意見が多かった。
詳細が知りたいのではなく、PJの活発度合いを見たいのだ。
(1) akipiiさんはTwitterを使っています 「#redmineT 活動タブでなく、活躍!タブか?」 / Twitter
一方、PMOは特定の複数PJを全部見たい時があるが、活動タブでも親PJで全てのPJの活動履歴を見るしかない、みたいな意見もあった。
この辺りは、活動タブのフィルタリング機能だけでなく、プロジェクト階層構造など色々工夫が必要な感じ。
【2-6】また、ガントチャートのWBSチケットとチケット駆動のチケットは粒度が違うので、いつもミスマッチが発生してトラブルが起きる。
【2-7】RedmineのUIが機能改善されるのを見ていると、メンバーがもっと楽しく使えるような機能が欲しいと思ってくる。
どうしても、Redmineは管理ツールなので、管理者の観点で使ってしまいがち。
しかし、本来は、メンバーが自由に自分たちのために使って欲しい。
そういう時に、感謝の気持ちや同意する気持ちを簡単に表明できる機能が欲しい。
FacebookやTwitterはそういう機能が上手だし、Teamsでも、いいねアイコンが6個ぐらい追加されて、微妙なニュアンスが表現できるようになった。
ちょっとした機能に過ぎないだろうが、メンバーの貢献意欲を引き出し、PJのゴールに向けて一致団結していく雰囲気を醸し出す機能が欲しいのだ。
【3】LTも個性的な講演ばかり。
Planioはカンバン機能もあるのは知っていたが、サポート用メルアドが既にあり、サポートデスクの機能は便利だな、と思った。
akipiiさんはTwitterを使っています 「#redmineT planioのサポートデスク機能は、メールによるチケット登録機能を使ってるわけか。なるほど。」 / Twitter
しんやさんのLTは、アンチパターンのお話。
2017年にリツイートした人だったのですね。
最後は退職をチケットに書いた、というオチ。
誰が承認するの、完了にするの、却下できるの?みたいな議論があった笑。
akipiiさんはTwitterを使っています 「#redmineT アンチパターン。全員チケット全員ウォッチャー。通知メールが数千件?も届く!怖い」 / Twitter
JAXA木元さんのLTでは、親子チケットのアンチパターンの話があった。
確かに、親子チケットが使える場面は、WBSのようにあまり変化しないケースの方が向いている。
ツリー構造よりも、関連チケットで表現したい時が多くなる。
Nishizakiさんが、Redmineの設計情報をまとめたいという心意気は同意する。
Redmineの設計思想は僕はとても優れていると思う。
オープンソースで10年以上も存続できて、RubyやRailsの激しいVerUpに耐えながら品質を保ってきたのはすごいと思う。
しかし、外部接続のAPI一覧やデータベースの知見などがもっと欲しい。
そういう設計思想を手動でWikiで集めるのも良いし、SwagarAPIみたいに、APIの仕様書とテスト環境を一緒に作ってしまう、とか、色々やり方があるので実現できるといいなと思う。
奈良さんの話では、複数のRedmineサーバーを建てる場合、マスターのRedmineサーバーにあるユーザ・グループなどの基本マスタをセカンダリーの他Redmineサーバーに同期させるやり方を紹介していた。
今はPoC段階です、と言っていたが、このやり方であれば、LDAPのユーザ情報だけ管理できれば、PJ等のその他のマスタは各Redmineインスタンスで自由に使ってもらえれば良い。
【4】Redmine勉強会のスタッフとして10年関わっているが、Redmineの面白さを改めて痛感した。
Redmineの面白さは、PJ管理や開発プロセスの実装というソフトウェア工学の観点、そして、Redmineの複数インスタンス制御とかRedmineのデータベース設計などのPJ管理ツールの開発基盤の観点の2つが議論できること。
だから、PJ管理などのマネジメントの話ばかりしていると飽きてしまうけど、飽きたら、Railsやデータベース設計、インフラ構築などの技術の話に行ってもいい。
僕のイメージでは、ソフトウェア工学の話をしている時はサイエンティスト、開発基板の話をしている時はエンジニアの気持ちになっている。
サイエンティストはあるべき姿の理想を延々と話すが現実は違うし、その理想を実装すると、性悪説に基づくPJ管理ツールになってしまう。
一方、エンジニアは、あるべき姿の理想を仕様に落とした時、現在の技術の範疇でどこまで実装できるか、技術や品質・コスト・納期のトレードオフを考えて、現実的な解を出す。
自分の中に2つの人格があって、心の中でお互いに議論しあって、衝突した結果、全く別のアイデアが生まれたりするのが楽しい。
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