IPAがDXのパターン・ランゲージを公開している~新しい組織文化が新しい経営戦略を生み出す
IPAがDXのパターン・ランゲージを公開しているのでメモ。
ラフなメモ書き。
【参考】
トランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ(略称トラパタ):IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
変革のススメ vol.2 沢渡あまね 氏:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
トランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ(略称トラパタ)
今のIT業界のバズワードはDXではないだろうか。
経産省が「2025年のITの崖」の記事を公開してから、特にDXという言葉が独り歩きしている気がする。
そもそもDXとは何だろうか?
僕の考えでは、DXとは、ソフトウェアが本業でない企業がソフトウェア中心のビジネスモデルを構築して事業構造を変換していくこと、と捉えている。
つまり、ソフトウェア開発の特徴や本質をあまり深く知らない人たちが中心になって、ソフトウェア開発のビジネスモデルを作って、売上を拡大していくための仕組みを作るもの、と考えている。
実際、小売業界、自動車などの製造業では特にそういう傾向が強いのではないだろうか。
すると、以前の「日本企業の強みであるモノづくり」というQCDと効率性を重視したビジネスモデルから、「市場に合わせてタイムリーなソフトウェアを提供していく」ソフトウェア開発中心のビジネスモデルに変わることになる。
「ソフトウェア・ファースト」本が言う通り、結局、QCDのスコープが確定した売り切り型のプロジェクト開発ではなく、SaaSをベースにして継続的な運用保守を前提としたアジャイル開発に取り組まざるを得ない。
よって、ビジネスモデルという経営戦略の変革を起点として、その戦略を活かす組織文化、マインドが必要になるわけだが、従来の製造業の生産管理をベースにした組織文化では、ソフトウェア開発になじまない点に苦労している。
そこで、トランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ(略称トラパタ)のような道具を使って、会社にソフトウェアを開発しやすい組織文化を定着させるような仕掛けを導入しよう、という動機が生まれたのではないか、と想像している。
実際、トランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ(略称トラパタ)の中身は、「未来への羅針盤」「共感は発信から」「多文化の架け橋」「自律自走する組織」「多様性が育む」などのパターンのように、ビジョンという共通目的の共有、メンバーに貢献意欲を植え付ける仕組み、メンバー同士のコミュニケーションの活性化、のような組織文化に関わる内容ばかりだ。
つまり、DXを実装するプロセス論や技術論よりも、組織文化の方を重要視している、と推測している。
個人的には、IPAがトランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ(略称トラパタ)の読者層を誰に設定しているのか、が気になっている。
おそらく、本来は、DXを推進する経営層ないし経営トップがこのガイドを読んで、DXのリーダーシップを発揮してください、と言いたかったのではないだろうか。
なぜならば、新しい組織文化を定着させるには、そういう組織文化を取り入れて実現しよう、とトップ自らが汗をかき、リーダーシップを発揮して説明して、メンバーに影響させて、経営戦略のゴールに対し、それをブレイクダウンした目標をメンバーに提示し、メンバーに目標達成意欲を植え付けて焚きつける必要があるからだ。
そんな事を考えながら読んでみると、より一層真剣味が感じられるように思った。
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