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2020/12/22

AgileTourOsakaでSCRUMMASTER THE BOOKの裏話を聞いた

AgileTourOsakaでSCRUMMASTER THE BOOKの裏話を聞いたのでメモ。
以下は議事録っぽいメモ。

【参考】
Agile Tour Osaka × miniPLoP 2020 Day2 2020年12月22日(オンライン・Zoom) - こくちーずプロ

「SCRUMMASTER THE BOOK」の感想~スクラムマスターはチームが自己組織化したら御用済みなのか?: プログラマの思索

【1】Making of the bookを川口さんが話す。
執筆者が集まったので、すぐに始めず、まず1章を全員で訳す。
Velocityを測ると、2年近くかかる。
そこで、全員ではなく3人が集まったら、モブプログラミングで訳す。
この仕組みでバーンダウンチャートを書いて、半年ですべての翻訳を完了。

Googleスプレッドシートで日付と実績を残して、バーンダウンチャートでグラフ化した図を見せてくれた。
これがあれば、Velocityも分かるし、終了時点を予測できる。
本当に上手いなと思った。

【2】タックマンモデルでは、統一期に注意。
統一期では、まだハイパフォーマンスの機能期まで行く途中なのに、そこで現状満足して現状維持で停滞してしまう罠がある。

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スクラムマスタは、統一期から機能期へ行けるように、チームをコーチングする必要がある。

似た話で、変動に注意。
チームが混乱期を経て統一旗に差し掛かったのに、何らかの変動で、チームの状況が形成期に戻ってしまう状態。
スクラムマスタはチームを常に観察する必要がある。

【3】スクラムマスターはチームが自己組織化したら御用済みなのか?と聞いてみた。
どうやら、チームが上手く回り始めたら、スクラムマスターはいなくなるのが多いらしい。
そういう状態になれば、スクラムマスターはチームから去っていく。

川口さんから丁寧な回答を頂いた。

スクラムマスターが関与する障害のレベルが上っていく。
スクラムマスタ道では、レベル1は、チームの進捗を妨害する課題レベル。
レベル2からは、チームを取り巻く利害関係者との衝突などを解決する。
つまり、組織のバグを解決する役割に変わっていく。

では、大企業におけるスクラムマスターは中間管理職以上の立場で、経営層に物申すような立ち位置になるのか?
回答では、どうやら、スクラムマスターは現場とトップ層を繋ぐ役割になるのが理想。

【4】以前、細谷さんの会社の静岡のスクラムマスターも参加されていた。
彼の質問が面白かった。

「製造業アジャイル、静岡での実践!」を聞いてRedmineはコミュニケーション管理ツールなのだと気づいた #devlove #静岡ギルド: プログラマの思索

自分がスクラムマスターをやってみて、その評価は真っ二つに割れている。
開発チームからは高評価で、またやって欲しいと言われている。
しかし、経営層からは、低い評価。
なぜなら、開発チームが頑張っただけであり、スクラムマスターは何もやっていないのでは? スクラムマスターは何もアウトプットを出していないでしょ、と。
では、スクラムマスターとしてのモチベーションが落ちていて、どうやってモチベーションを維持したらいいのか?

皆さんのアドバイスでは、基本は経営層の評価がおかしい。
スクラムマスターがいるからこそ、開発チームは上手く回る。
彼がいなくなれば、チームは以前のような生産性を出せない。
ピープルウェアにもそういう話があったよね、と。

そういう会社に居づらくなれば、会社を出ていきましょう、と。
実際は、経営層からも評価されていますよ、とのこと。

この話は理解できる。
スクラムマスターは触媒のような役割なので、火消しのプロジェクトマネージャのように目立つ存在でもないし、アウトプットが正直見えにくい。
MBOの人事評価が当たり前なので、スクラムマスターの評価は正直難しいかもしれない。

【5】スクラムマスターの方の話を聞いていると、殆どの人たちがアジャイルコーチとしてフリーないし独立を経験されている。
そういう背景と、「スクラムマスターはチームが自己組織化したら御用済みなのか?」という疑問を振り返ると、スクラムの最大の功績は、スクラムマスターやアジャイルコーチという職業をビジネスモデルとして生み出したことではないか、と思う。

スクラムマスターとして成功するほど、開発チームは自己組織化しどんどん手離れしていく。
スクラムマスターがそういうチームをどんどん作っていくと、最終的には組織内では開発チームはすべて自己組織化されて、スクラムマスターの関与度合いは劇的に減るだろう。
すると、スクラムマスターの居場所は組織内にはなくなり、組織外の別のチームを自己組織化するように関与していく方向に進むだろう。

つまり、スクラムマスターとして成功するほど、現状の組織内には居続けるのは、居心地が悪くなる。
よって、スクラムマスターは会社から離れて、アジャイルコーチとしていろんな組織と関わり合うようになり、アジャイルコーチというコンサルタントとして独立した存在に進みやすい、と考えた。

つまり、スクラムはスクラムマスターという役割をアジャイル開発から抽出し、独立した存在として際立たせることに成功し、最終的にはアジャイルコーチという職業を生み出したわけだ。

実際、スクラムギャザリングのイベントは、スクラムマスターのコミュニティに近い。
SCRUMMASTER THE BOOK」にも、スクラムマスターが集まるコミュニティ「スクラムマスターランド」(スクラムマスターの島)の話がスクラムマスタ道にあったけれど、独立したアジャイルコーチが増えるほど、そういうコミュニティが必要とされるのだろう、と思った。

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