SAFeの本質はアジャイルリリーストレイン、LeSSの狙いは組織のスクラム化ではないか、という仮説
「SAFe 4.5のエッセンス」「大規模スクラム Large-Scale Scrum(LeSS)」を読み比べていると、色々気づきがある。
2冊共に完読していないけど、アイデアをラフなメモ。
【1】SAFeの本質はアジャイルリリーストレインにあるのではないか?
複数のスクラムチームのアウトプットを同期させるために、アジャイルリリーストレインで統制をかける。
さらに、アジャイルリリーストレインを複数チームだけでなく、複数PJの集まりであるプログラム、複数の組織、果ては予算まで同期させようとする。
つまり、アジャイルリリーストレインによって、ソフトウェアという成果物、リリース計画、予算まで同期させようとする目論見を企てている。
ただし、SAFeは既存組織の組織構造は変えずに、アジャイルPMOという立場も認めている所は現実的かもしれない。
たぶん、日本のように組織構造も組織文化も変化させにくい所では、SAFeが導入しやすいのかもしれない。
【2】LeSSは忠実に、スクラムをスケールアップしようとしている。
だから、いくらPJが大規模になってもPOは1人だし、スクラムマスターがPJや組織の中心にいる。
SAFeではスクラムマスターの役割は大規模PJの中に埋もれてしまっているが、LeSSでは、大規模PJであっても、スクラムマスターは積極的に活動し、スクラムプロセスを推進する原動力になっている。
LeSSは最終的には、PJのスクラム運用だけでなく、既存の組織そのものをスクラム化しようと企んでいる。
スクラムマスターは、チェンジマネジメントの変革者として、既存組織の文化を変えてしまう役割も担っているように思える。
実際、LeSSでは、従来のプロジェクトマネージャや中間管理職には否定的で、彼らの存在はなくなってもいい、と思っているから。
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