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2021/01/05

yWriterは映画の脚本を作るためのアプリだったのではないか

小説分析ツールyWriterに似たようなソフトとして、ストーリー作成ソフト『StorYBook』があるらしく、その記事を読んでいたら、こういうストーリー分析ツールは映画の脚本を作るためのアプリだったのではないか、と気づいた。

【参考】
ストーリー作成ソフト『StorYBook』を使ってみた: はまログ

小説分析ツールyWriterの機能を元にストーリーの構造や考え方を解説するpart1: プログラマの思索

小説分析ツールyWriterの機能を元にストーリーの構造や考え方を解説するpart2: プログラマの思索

なぜユーザーストーリーによる要件定義にピンとこなかったのか: プログラマの思索

【1】実際に、yWriterは映画の脚本を作るのに最適だ。
理由は2つある。

【2】一つは、場面ごとに、人物・場所・アイテムという貴重なリソースを割り当てることが明確になるからだ。
映画では、一つの場面ごとに、高額な俳優に来てもらい、海辺やビルなどの場所を確保して、衣装や車などの道具(アイテム)を準備して望む。
1つの場面がたとえ5分であっても、人物・場所・アイテムという貴重なリソースをたった一つの場面に割り当てる必要がある。

一方、ある俳優の撮影期間が限定される場合、彼が出演する場面をすべて抜き出して、あらかじめ撮影すれば良い。
そのために、映画を数百本の場面にバラしておき、特定の俳優がアサインされる場面だけを抽出して、全体ストーリーとは無関係に個別にシーンを撮影するように、人物ごとの撮影スケジュールを作ればいい。

つまり、場面の観点ではなく、人物の観点で場面を抜粋しているわけだ。
あるいは、夕焼けの海辺のシーンのように、この一瞬しか場面を撮影できないとなれば、場所の観点で撮影スケジュールを作ればいい。

つまり、人物一覧・場所一覧・アイテム一覧のビューで、場面数が集計表示されるのは、そういう意味があったわけだ。

【3】もう一つは、ストーリーボードで時系列に場面を簡単に入れ替えたり、追加・変更・削除できることにより、映画のストーリーを柔軟に変更しやすくなることだ。

映画は2時間という制約があるので、場面数には上限がある。
よって、脚本家が数多くの場面を細切れに作った後で、まるでブロックを組み立てるように、場面を時系列に並べると映画が完成する。
名作と言われるレベルまで練り上げるために、場面を入れ替えたり、削ったり、場面を書き直したり、何度も推敲すればいい。
そういう推敲作業をツールが支援してくれるわけだ。

yWriterにはストーリーボードなど数多くのビューがあるけれど、その他の米国製のストーリー作成アプリを調べてみると、登場人物の家系図や関係図を表示したり、場面・人物ごとのカレンダーを表示したり、場所を集めた地図を表示するような機能もあるらしい。

確かに、歴史小説や推理小説であれば、人物の家系図や時代表はあると理解しやすい。

【4】こういう小説分析ツール・ストーリー作成ソフト・映画の脚本作成ツールは、なぜか日本製のツールがなくて、ほとんどが米国製だったりする。

たぶん、ハリウッド映画のように大量に映画を作成するには、こういう脚本作成ツールでロジカルかつ大量な場面を管理するツールが必要なのだろう。
また、欧州では小説を論理的に場面を意味あるもので組み合わせて構成するようなので、場面を管理して分析できるツールは必要なのだろう。

一方、日本ではこういうツールがない事実があるので、小説や映画、テレビ番組の脚本は、小説家や脚本家の個人的能力だけに依存しているか、アナログの京大式カードなどで場面を管理するとか、そういうレベルに過ぎないのかもしれない。
あくまでも推測に過ぎないが。

【5】yWriterをモデリングの観点で分析してみることで、アジャイル開発に出てくるストーリーのニュアンスや役割が何となくイメージできた気もする。
たぶん、欧米人がシステム要件をユーザーストーリーと呼んで扱っている場合、日本人の想像を遥かに上回って、もっとロジカルなレベルで考えているのだろうと思う。
つまり、ユーザーストーリーには、目的・対立・結論の構造と、人物・場所・アイテムの構成要素を持ち、英雄伝説の構造に沿って、世界中の人が誰でも親しみのある物語形式のロジックに組み込むように、彼らは作り込んでいるのだろう。

この考え方を使って、ユーザストーリーマッピング、カスタマー・ジャーニー・マップ、ナレーティブ・ジャーニー・マップなどの要件定義手法を考えてみたいと思う。

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