プロジェクトのリスクはコストの増減で管理する
「プロジェクトのリスクはコストの増減で管理する」のであり、「コスト管理と課題管理は同じではない」。
【参考】
コストマネジメント(コストコントロール体系) | イノベーションマネジメント株式会社
プロジェクトリーダーのレベルではなく、事業部長や複数プロジェクトを取りまとめる組織の長の観点では、各プロジェクトのリスクをどのように軽減したり、回避したりするか、に注力するようになる。
リスクを完全にゼロにすることは、お金もリソースも使い過ぎるので、現実的ではない。
各プロジェクトでは、計画時にプロジェクト特性に応じて、リスクを洗い出す。
プロジェクトリーダーは、プロジェクトのキックオフ後、実行中では、リスクがどのように変化して、増大して手に負えなくなるか、事前に防げるか、に注力していく。
一方、事業部長や部課長の観点では、どこかのプロジェクトで火を噴くリスクがあると考えて、事前に各プロジェクトのリスクをコストで予算化しておく。
そういう予算は、プロジェクト外費用ならコンティンジェンシー予備費だし、プロジェクト内費用であればマネジメントリザーブ(マネジメント予備費)になる。
そして、実際に火を噴いたら、マネジメント予備費を使うし、更に足りなければ、コンティンジェンシー予備費を投入してでも、火を消すようにする。
一般に、マネジメント予備費を使う権限は、プロジェクトリーダーの采配と組織の最末端の管理職である課長の采配の2つで決まるだろう。
マネジメント予備費は契約時に、利益やコストを見込んで、契約金額に上乗せして積まれている。
マネジメント予備費を使うほど、利益は落ちるので、プロジェクトリーダーの権限ですべてを使っていいわけではなく、最低限の利益ラインを超える場合は、課長の承認が必要になるだろう。
普通は、一旦プロジェクトが火を噴けば、際限なくコストは膨らんでいく。
そして、コンティンジェンシー予備費は、事業部のトップである事業部長の承認で決まる時が多いだろう。
コンティンジェンシー予備費を使う段階まで来ると、経営陣にもその使途理由を問われるので、社内では相当な噂になりやすいだろう。
駄目なプロジェクトでは、プロジェクト計画時にリスクをそもそも洗い出せておらず、単なる課題一覧に過ぎない。
適当に解決するだろう、という期待を含めた課題管理に陥っている。
だから、リスクが顕在化して手に負えなくなると、肝心の予算がなく、単なるデスマーチ案件となってしまって、会社のお金や人員を無尽蔵に浪費していってしまう。
元々、リスクに対する予算などの手当がないので、何の戦略もなく、ズルズルと状況に押し流されるだけになる。
本来は、リスクの内容に応じて、影響度や深刻度、重要度に応じて、そのリスクが発生した場合にかかる費用を見積もり、それらの合算をコストとして予算として見込む。
もちろん、全てのリスクを洗い出して合算したら、途方もない金額になるから、ある程度のリスクは許容することで予算化しないことになる。
あるいは、コストが掛からない対策があれば一番良いが。
PMOの仕事をしていると、プロジェクト運営という観点だけでなく、プロジェクトの採算やコスト管理まで見るようになってきた。
その時に、駄目な会社では、ISO9001を運用していると標榜しながらも、プロジェクト計画書に記載されたリスク一覧が単なる課題一覧に貶められている風景を何度も見てきた。
本来、リスク管理とは何だろうか?という疑問があったが、リスクはコストの増減で管理するという発想が必要と分かり、ようやく腑に落ちた。
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