なぜか2000年代にIT系の良い本が多いと感じる今日この頃
最近、Ciscoベースのネットワーク、組み込みソフトウェア開発・設計のためのモデリング、業務システムやERPを設計・分析するためのデータモデリングや業務フローの本を読み漁っている。
他にも、Matlab・Scilibのようなシミュレーション関係の本も探している。
たとえば、下記の本になる。
【1】「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 第2版」「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン 実務で使えるネットワーク構成の最適解27」は、オンプレのネットワーク設計の解説でピカイチだった。
インフラ担当者なら当たり前の知識なのだろうが、アプリ開発の経験しかない僕にとってはとても新鮮だった。
クラウドやInfrastructure as Codeが何を解決しようとしているのか、について、考えさせてくれた。
なお、この本は2010年代の本だが、ほとんどのCiscoルータ・スイッチの解説・コマンドリファレンス本は2000年代が多い。
【2】「組込みソフトウェア開発のための オブジェクト指向モデリング (組込みエンジニア教科書)」も良かった。
話題沸騰のポットを題材に、ハードウェアのポットを要件定義から、オブジェクト指向設計、C++のソースコードまで落としてくれる。
業務システム設計とは違う観点で、状態遷移図やパッケージ間の依存関係が非常に重要になってくる。
2006年頃の出版で絶版。
【3】「7つの要素で整理する業務プロセス (for Mutual Interest SERIES)」は、業務フロー図の演習本だ。ひたすら、7種類の業務フローのサンプルと解説をしてくれている。
内部統制が導入された頃に、ITに関係ない人が業務フローを使うことになった時に使われたのだろう。
2007年頃の出版で絶版。
【4】しかし、それらの本は2000年代に良い本が多く、2010年代はほとんど出版されていない。
オブジェクト指向モデリング、データモデリング、オンプレのネットワーク、シミュレーションなどの基本的な技術の解説本がほとんど出版されていない。
なぜなのだろうか?
おそらく、IT技術のトレンドが激しく変化してしまい、従来の設計や技術は基盤として埋め込まれて、見えなくなってしまうくらい、当たり前になってしまったからではないか。
実際、データモデリングやオブジェクト指向モデリングも、その概念や考え方は、20年前も10年前も変わらない。
しかし、SOEのWebシステムでも、枯れた業務システムであっても、データモデリングは必須だし、オブジェクト指向モデリングも知っていて当然だろうが、そういう技術を知らずにどっぷり最先端の技術にハマってしまう。
今となっては、最先端の技術から古い技術に遡るしか無いのだろうが、基本的な技術無しで取り組んでいる感じで、何か腑に落ちない時が多いと思う。
2000年代に良い本が多いのに、割と絶版になっていたりする。
すると、それらの本に含まれているノウハウや優れた説明は継承されることなく消えてしまう。
たぶん、ベースとなる技術はもはや当たり前であって、ベースの技術や基盤の上で、次々に新しいサービスをどんどん生み出していくのが普通になっている。
だから、逐一古い基礎的な技術を掘り返すのは手間がかかり過ぎるのかもしれない。
この辺りの理由は色々探りたい。
そして、その悪影響についても考えてみたい。
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