昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと
「昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと」という文言をどこからか拾って、なるほど、その通りだと思った。
【1】昭和の管理者は、部下が提案書を作成して、申請した書類に判子を押印して承認する。
判子押印にはいくつかの儀式があった。
上司にお辞儀をするようにわざと左30度傾けるとか。
今ではあまりにも考えられないが。
【2】一方、令和の管理者は、部下がチャットで意見を提案した時に、いいねボタンを押して、承認したことを認める。
以前の平成の管理者は、部下の申請メールに対し、わざわざ文章を書いて、承認したことを返信する手間がかかっていた。
だから、いいねボタンを押すだけなら、わずか0.1秒で承認処理が済ませられる。
なぜなら、令和の管理者は意思決定の回数が多すぎるのだ。
たぶん、普通の企業の管理職や役員は、毎日100通以上のメールを処理しているのではないだろうか。
そのメールを処理することは、意思決定しているのと同じ。
メールのやりとりだけで数時間、半日を使ってしまうのではないか。
令和の時代は、TeamsやSlackなどのチャットで部下とやり取りするから、承認するなら、いいねボタンでいい。
いちいち文章を書いて返信する必要もない。
【3】LIFE SHIFT(ライフ・シフト)の一節に、1990年の仕事のやり方と2015年の仕事のやり方の違いが書かれている。
1990年の仕事は、全てが紙ベースだった。
顧客とのやり取りは、近ければ電話や会社訪問、遠ければ郵送による手紙のやり取り。
だから、海外出張する時は2週間や1ヶ月ぐらいかけるのが普通だった。
タイプライターを打つ女性に、提案書の書類のイメージを伝え、添削して返す。
この頃は、手紙や申請書を判子で押印する承認処理が多かった。
意思決定する時は慎重に行える時間や余裕があった。
2015年の仕事は、全てがオンラインになる。
顧客とのやり取りは、メールやチャット。
海外出張したとしても、1週間以内で慌ただしい。
毎日、100通以上のメールを読んで、処理して、日々の意思決定を下す。
この四半世紀で、承認処理も意思決定も大きく変わった。
意思決定の手法が変われば、意思決定の中身も変わってくると思っている。
| 固定リンク
「プロジェクトマネジメント」カテゴリの記事
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart2~プロセスのレイヤと達成目標のレイヤが異なる(2023.02.18)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart1~CSFはWBSみたいなものと捉える(2023.02.14)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
- プロセス設計はどの範囲を指すのか?~プロマネの仕事はテーラリングにある(2022.06.19)
「ソフトウェア工学」カテゴリの記事
- QAエンジニアの役割は開発チームのガードレールみたいなものという考え方(2023.08.21)
- テストアーキテクチャ設計モデルとJSTQB概念モデルの比較(2023.07.02)
- パターンカタログよりもモンスターカタログの方が面白いね #jasstkansai(2023.06.24)
- 「ゲームをテストする バグのないゲームを支える知識と手法」の感想(2023.06.10)
- JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた(2023.05.26)
「プロジェクトファシリテーション」カテゴリの記事
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」の概念図(2022.01.16)
- 【資料公開】チケット駆動開発の解説~タスク管理からプロセス改善へ #redmine(2022.01.14)
- 昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと(2021.12.31)
- チケット駆動開発のプロセスとチケット管理システムの全体像 #Redmine(2021.12.28)
「Agile」カテゴリの記事
- 日本のアジャイル開発の先人による話が良かった(2023.07.15)
- JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた(2023.05.26)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
- DDPは品質管理に役立つのか(2022.12.13)
コメント