チケット駆動開発のプロセスと開発基盤を再考する #Redmine
チケット駆動開発のプロセスと開発基盤を書き直してみた。
チケット駆動開発のプロセスとチケット管理システムの全体像 #Redmine: プログラマの思索の図を改良している。
チケット駆動開発は基本的に、ScrumやXPに似たアジャイル開発のプロセスと同一視される。
なぜなら、ロードマップをScrumのスプリント計画、XPのイテレーション計画とみなして、リリースサイクルに従って定期的にリリースされる仕組みとみなせるからだ。
つまり、チケット駆動開発は小規模リリースを実現するプロセス基盤でもある。
他方、チケット駆動開発というプロセスから発生する情報は、チケット管理ツールに全て集約される。
チケット駆動開発プロセスは、チケット管理システムに支えられて実装される。
チケット管理システムの構造は、Input,Process,Outputという単純なプロセスから成り立つ。
中核となるPMISは、フロー管理とストック管理という2つの機能を持つ。
フロー管理の機能は、チケット管理、チケット集計、ロードマップ、ワークフロー管理などがある。
つまり、チケットは流通媒体であり、ステータスに応じてサクサク流れる。
チケット集計には、ガントチャート、カレンダー、かんばんなどがある。
ロードマップとチケット集計を区別したのは、ロードマップがScrumのプロダクトバックログに似た機能であり、スプリント計画あるいはイテレーション計画で使われる重要な機能だからだ。
ストック管理の機能は、チケット管理、SCM連携、Wiki、トレーサビリティなどがある。
つまり、チケットは記録媒体であり、作業履歴や課題の内容、障害管理票などの帳票として記録される。
ただし、記録される媒体はチケットだけでなく、Wikiもあるし、GitやSVNなどの構成管理ツールにもある。
これらの情報と相互リンクすることで、チケット管理ツールにすべての情報が集約されて、ナレッジ基盤になる。
チケット駆動開発はプロセスであるから、処理が主人公になる。
一方、チケット管理システムは機能から構成されるので、機能を通じて記録されるデータが重要になる。
そのデータの特徴はフローでもありストックでもある。
チケット管理システムは、チケットにフローとストックの両方の意味を故意に持たせることで、幅広い運用が可能になる。
ある側面では、タスクかんばん上でステータス管理できるし、ある側面では、そのタスクや課題のチケットには、数多くの情報が記録されているし、その変更履歴も記録されているので、経緯や意図を把握できる。
このチケットの二重性という特質がチケット管理ツールに豊かな機能や利用シーンを生み出してくれるのだ。
Redmineのチケット駆動開発では、チケットに複数の意味を持たせて運用した方が上手く回る: プログラマの思索
| 固定リンク
« 昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと | トップページ | ITの地殻変動はどこで起きているのか?~今後の課題はソフトウェア事業におけるエージェンシー問題を解決すること »
「プロジェクトマネジメント」カテゴリの記事
- 「スクラムの拡張による組織づくり」のScrum@Scaleの感想(2024.03.31)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart2~プロセスのレイヤと達成目標のレイヤが異なる(2023.02.18)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart1~CSFはWBSみたいなものと捉える(2023.02.14)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
「Redmine」カテゴリの記事
- 「RedmineのUbuntu+Docker構築への移行」の感想 #redmineT(2024.11.24)
- 第27回redmine.tokyo勉強会の感想 #redmineT(2024.11.10)
- Redmineのバージョン設定でプロジェクトの設定方法が違う(2024.06.23)
- ウクライナのRedmine開発者が作ったRedmineテーマやプラグイン(2024.06.18)
- 第26回redmine.tokyo勉強会の感想~多様性はコミュニティが成功する重要な要因の一つ #redmineT(2024.06.15)
「ソフトウェア工学」カテゴリの記事
- アーキテクチャ設計はベストプラクティスを参照するプロセスに過ぎないのか?~Software Processes are Software, Too(ソフトウェアプロセスもまたソフトウェアである)(2024.09.22)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想(2024.05.06)
- ソフトウェア工学の根本問題から最近のソフトウェア設計を考えてみる(2024.03.03)
- マイクロサービス設計は従来のアーキテクチャ設計と何が違うのか(2024.01.02)
「チケット駆動開発」カテゴリの記事
- 第26回redmine.tokyo勉強会の感想~多様性はコミュニティが成功する重要な要因の一つ #redmineT(2024.06.15)
- チケットはデータでとプロセスの二面性を持つ #redmine(2023.12.24)
- 小説活動にプルリクエスト駆動が必要になってきた(2022.05.08)
- 知識は経験よりも大切か、経験は知識よりも勝るのか、SECIモデルは相互作用を語る(2022.04.26)
- プロジェクト管理の基本はテーラリング、Redmineはプロセスをテーラリングするツール(2022.04.21)
「Agile」カテゴリの記事
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「スクラムの拡張による組織づくり」のScrum@Scaleの感想(2024.03.31)
- ソフトウェア工学の根本問題から最近のソフトウェア設計を考えてみる(2024.03.03)
- 「GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた」の感想(2023.12.10)
- 概念モデリングや設計原則は進化しているのか(2023.10.21)
「経済学・ERP・財務会計」カテゴリの記事
- ビジネス書の名著はどれ?(2023.09.18)
- 第85回IT勉強宴会の感想~概念データモデルからビジネスモデルを構築すべきという考え方(2023.05.13)
- 令和4年度春期試験のITストラテジスト試験第4問をastahでモデル化してみた(2023.04.15)
- 経営戦略とIT戦略をつなぐ鍵は何なのか(2023.01.04)
- 計量政治学と計量経済学の考え方の違い(2022.10.02)
「astahによるUMLモデリング」カテゴリの記事
- アーキテクチャ設計はベストプラクティスを参照するプロセスに過ぎないのか?~Software Processes are Software, Too(ソフトウェアプロセスもまたソフトウェアである)(2024.09.22)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想(2024.05.06)
- astahにタイミング図がサポートされた(2024.03.12)
- 概念モデリングや設計原則は進化しているのか(2023.10.21)
コメント