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2022/02/09

テスラが従来の自動車メーカーと異なるところは工場までソフトウェア化すること

テスラが従来の自動車メーカーと異なるところは工場までソフトウェア化すること、というツイートを見つけたのでメモ。
自分は理解できていないので、疑問点も一緒に自分用のメモ。
以下は自分の直感を適当に書いたので、論理的ではない。

【参考】
akipiiさんはTwitterを使っています 「中島聡さんのメルマガでテスラの凄さをよく解説されてるがピンとこなかったが、このスレッドで意味がすこし分かる気がした」 / Twitter

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「テスラ・イーロン真理教の人も、トヨタ・日本車信仰の人もまあみんな落ち着いて。相手を知らず自分の信じたい情報だけ見てても何の進歩もありませんよ。まず日本の自動車メーカーの何がすごいか理解しましょう。テスラの話はその後です。日本メーカーの強さは簡単に言うと、」 / Twitter

テスラが従来の自動車メーカーと異なるところ - Togetter

【0】中島聡さんのメルマガも合わせて考えると、テスラが自動車製造にソフトウェアを持ち込んだメリットは3つあると思う。

週刊 Life is Beautiful 2022年2月8日号:自社製チップと粗利益率 - まぐまぐ!

【1】1つ目は、メーカーにも関わらず、売上高粗利益率が圧倒的に大きいので、どんどん新設備に投資できる財務基盤があること。
普通の自動車メーカーの粗利益率は10%台であり、トヨタですら16%くらい。
一方、アップルは40%、テスラは30%の粗利益率を持つ。
ソフトウェア専業のマイクロソフトは80%の粗利益率らしい。

売上原価には、1台の自動車を作る部品、原材料、人件費、設備の減価償却も含む。
もちろん、外注した部品代金、外注した車載半導体、外注した車載プログラムの開発費用も含まれる。
ソフトウェアの売上原価は、所詮、電気代とサーバーの減価償却と人件費くらいなので、製造業に比べれば圧倒的に低い。

中島聡さんのメルマガによれば、テスラやアップルはハートメーカーでありながら、自社で製品設計して、その製品を圧倒的に安く作るために韓国や台湾の製造専業メーカーに製造委託する。
だから、圧倒的に安く作れるので、売上原価は小さい。
一方、自社では、M1チップ、あるいは、自動運転の学習エンジン専用の半導体まで製造する。

そこで、アップルなら自社のOSやiTuneプラットフォーム、テスラなら自動運転のソフトウェアをオプションで付けて、安いハードに付加価値を付けて高く売りつける。
ユーザは、その利便性を求めるし、顧客満足度を高めることにより、ブランド価値を高めて、ロイヤルティを持たせる。
だから、メーカーでありながら粗利益率が圧倒的に高い。

でも、財務基盤の仕組みが分かっていたとしても、ソフトウェアの技術力が高くなければ、そう簡単に真似できないだろう。
ソフトウェア開発は、優秀な人材に依存するものであって、マネーの資本を注ぎ込んでも規模の経済は働かないから。

【2】2つ目は、工場の生産ラインそのものもソフトウェアでバージョンアップしやすくすることで、生産性が圧倒的に高いことだと思う。

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「イーロンは車両設計より工場の設計の方が100倍難しいと話すほどで、伝統OEMの常識から外れ、1-2年で主要設備を入れ替えたり、プラットフォームの大幅改善を行ったりします。発売時には既に数年古い技術の車となるOEMとは異なり、テスラからは常に最新の車が出てきます。参考: https://t.co/wA7liu1n1B」 / Twitter

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「彼らのソフトの力がこうした離れ業を可能にしており、伝統OEMは全く理解できていません。VWも隣町にGiga Berlinが現れて初めて自社の生産性が完全にテスラに劣ると気づいたのですhttps://t.co/Rmbra4XoZN テスラは21年、トヨタを抜いて北米で最も生産性の高い工場になりましたhttps://t.co/QPx0tuLxa3」 / Twitter

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「何年も同じラインのままの伝統OEMと1-2年毎にラインが進化するテスラ。既に上海工場はフリーモント工場より高い生産性を実現しており、車両の質までも上がってきています。そして来たるベルリン、テキサス工場…競争力のない工場をいくつも抱える伝統OEMと比べいかにテスラが筋肉質かわかります。」 / Twitter

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「製造が進化する為、車両の質も日々上がり続けます。Model3の航続距離が突然伸びたり、価格が下がったりするのはこのためです。更に彼らはOTAを通じて購入後も常に車両性能を更新します。購入時既に古く、どんどん古くなる車と、買った時常に最新でその後も最新を維持するテスラ。どちらを選びますか。」 / Twitter

この辺りは僕は詳しくないのでよく分かっていない。
OEM生産といえば、スーパーがよくやるプライベートブランド商品を外部メーカーに委託する生産のイメージ。

テスラの生産ラインは1~2年でどんどん進化するらしいが、トヨタのような自動車メーカーの生産ラインは4~5年おきのように古いままなのだろうか?
今、スマート工場や工場のDXが叫ばれているが、日本の工場は古い製造ラインを数年も放置したまま製造しているのだろうか?
そんなに日本の工場はアナログなのだろうか?

このツイートが正しいならば、フォルクスワーゲンのようなドイツ企業、GMのようなアメリカ企業も同様に、彼らの工場の生産ラインは古くて生産性が低いのだろうか?

【3】3つ目は、EV製造に関わるソフトウェアは、いろんな事業とシナジー効果が大きいこと。
自動運転のソフトウェアの開発の為に、機械学習専用の半導体チップを製造したり、バッテリや充電施設を強化したり、果てはスペースXのような宇宙事業にまで、シナジー効果がある。

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「こうした強さを支える根幹がソフトウェアです。ソフトの重要性を理解しているテスラは、工場のデジタル化はもちろん、半導体チップから内製し、自社で自動運転トレーニング用のスパコン(Dojo)まで開発しています。ここまでやってる企業は他にいません。Dojoの計算能力は日本のスパコン京を凌駕します。」 / Twitter

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「また、80台ほどしか販売してないホンダレジェンドや試験走行のWaymoやCruiseと異なり、テスラは数百万台の実車両からのリアルデータが収集・学習され、より堅牢な自動運転ソフトウェアの開発に寄与しています。今や取り返しのつかないほどの差になってきています。1点彼らの自動運転思想の特徴として、」 / Twitter

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「LiDARを廃しカメラのみで自動運転を実現しようとしている点があります。これについては賛否あり、私個人は難しいのではと感じています。いずれは低機能低価格のLiDARと組み合わせるなど妥協策が出てもおかしくありません。さて次はエネルギーです。手短にいきます(疲労)」 / Twitter

中島聡さんのメルマガでは、人間は2つの目というカメラで運転しているのだから、自動運転技術はカメラだけで十分であって、LiDARにまでコストを掛ける必要もない。
LiDARをつけたソフトウェア開発は余計に複雑になるから、と書かれていて、なるほど、と納得した。

ウミガメ@闘え日本の自動車メーカーさんはTwitterを使っています 「ソフトの強みは当然自動運転技術にも生きてきます。全部書くと長くなるので一例を紹介します。例えばラベリング。伝統OEMは未だに多額で外注したり、何ヶ月もかけて人の手で行なっていますが、テスラでは同じ規模のラベリングを自動で1週間ほどで実施してしまいます。悲しいほどの差です。」 / Twitter

このツイートもよく分かっていない。
OEM生産のラベリングとは、所詮、プライベートブランド商品に製造ラベルを貼り付けるだけだと思う。
自動車メーカーのラベリングは数ヶ月もかかるような手間がかかるものなのか?
ラベルを大量生産する仕組みを今まで作っていなかったのはなぜなのか?

【4】このツイートを読んで思うことは、ハードに対するソフトウェアのメリットは、プログラムの頻繁なバージョンアップによって機能強化できることにより、ユーザにとっては、古いハードであっても、いつでも新しい機能を使えて利便性が高まることだ。

つまり、ハードは一度リリースしたら変更できない。それは当たり前。
一方、ソフトは一度リリースしても、ファームウェアのアップデートやソフトウェアのバージョンアップによって、手持ちの製品がいつでも最新版の製品に生まれ変わることだ。
それにより、ユーザの生産性もどんどん上がる。

そういうソフトウェアの特徴を生かして、工場の生産ラインにも反映して、生産ラインを制御するソフトウェアをどんどん進化できるような仕組みを作っているのだろうと思う。
だから「工場も一つの受注製品」という主張が成り立つわけだ。

DevOpsやアジャイル開発では、コミュニケーションが大事とよく言われるが、僕はそんな所にイノベーションとか価値があるわけではないと思う。
むしろ、製造とリリース後の保守も含めて、全てをソフトウェアで一貫して制御することにより、1人のプログラマが全ての工程をコントロールできるようになったことが大事だと思う。

従来であれば、各工程の専門家による分業体制でしか製造できなかった製品が、たった1人あるいは数人のソフトウェア開発チームで製造できるようになったこと。
ビジネスモデルは、規模の経済からソフトウェアによる少人数のチーム開発へ変革された。
たぶんそこに、ソフトウェアが従来の製造業と異なる価値をもたらしているのだと思う。


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