事業活動のシステム化は非差別化しない汎用ドメインや支援ドメインに注力すべき
ドメイン駆動設計勉強会に参加してみて、事業活動のシステム化は非差別化しない汎用ドメインや支援ドメインに注力すべきという指摘になるほどと思えたのでメモ。
ラフなメモ。
【参考】
【ドメイン駆動設計勉強会】事業活動を理解して設計しよう! - connpass
増田さんの講演がすごく分かりやすかった。
問題意識は、事業活動をどのようにモデル化していくか?
事業活動をシステム化する時に、どこに注力すればいいのか?
まず、自社と外部の事業活動は、ピクト図で商品やお金の流れをシーケンス図のように表して、モデルにする。
自社の内部プロセスは、ポーターのバリューチェーンを使って、主活動と支援活動に分類する。
ドメイン駆動設計のアプローチでは、バリューチェーンの主活動や支援活動をサブドメインに分割する。
すると、基本は、主活動は企業価値を生み出すコアドメイン、支援活動は管理業務等の支援ドメイン、汎用ドメインになる。
ビジネスロジックの複雑度や差別化の重要度の観点では、コアドメインが重要であり、支援ドメイン、汎用ドメインの順になる。
一般に、汎用ドメインや支援ドメインの品質は当たり前品質で十分であり、コアドメインの品質は魅力的品質まで高める必要がある。
増田さんの講演でもっとも興味を引いた発言は、増田さんの経験では、事業活動のシステム化では、他社との差別化につながるコアドメインよりも、他社と差別化しなくて良い支援ドメインや汎用ドメインに注力すべき場合が多かった、という内容だった。
なぜならば、他社と同じような業務では、汎用ドメインや支援ドメインで構築すれば安く仕上がるし、その分野の人材も市場から確保しやすいからだ。
そもそもそういう分野では差別化せず、市販のサービスやパッケージをそのまま流用すればいい。
また、自社の弱点として実は、支援活動の業務があるケースが多いらしい。
すると、支援活動のシステム化に注力した方が投資効果が大きいらしい。
なぜなら、支援活動にある総務・財務・人事などの部門の業務は既存のパッケージ製品が多数あるからだ。
一方、本来の自社で価値を生み出すコアドメインは、独自のシステムになるから、コストをかけて当たり前品質以上の魅力的品質まで作り込むべきだ、という流れだと理解した。
一般に、支援活動にある総務・財務・人事などの部門の業務はどこの会社でも似たような内容であり、財務報告も法律で決められた書式で報告する必要があるから、できるだけ汎用ドメインで構築した方が運用が楽だし、コストもかからない。
むしろ、コストを掛けるべき部分はコアドメインであるから、汎用・支援ドメインにはコストを掛けずにメリハリを付けた方がいい。
そんな内容だと理解した。
たぶん、一般に、支援活動の業務は汎用のERPで導入した方が良いのだろう。
今ならば、汎用的なSaaSを導入すればいいのだろうと思う。
普通は、コアドメインに当たる主活動のモデル化に注力したくなるが、むしろ、支援・汎用ドメインに当たる支援活動のモデル化の方に企業の問題がある場合が多く、投資効果が大きいという経験談が面白かった。
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