第22回東京Redmine勉強会の感想 #redmineT
第22回東京Redmine勉強会の感想をラフなメモ。
2022/5/28 第22回勉強会 - redmine.tokyo - Togetter
【1】三浦さんの講演は興味深かった。
プロジェクトで発生する情報源として、3種類を抽出している。
エクセルファイルのような静的ファイル、Slackのような動的なチャットログ、日々のタスクやWikiなどの静的でもあり動的でもあるデータ。
資料では、一昔前の管理方法、昨今のリモートワークの管理方法、redmine.tokyoの管理方法などが紹介されていて、この発想が面白い。
具体例を見ると、Googleドライブ、SlackやTeams、RedmineやGitlabのように、数多くのサーバーが乱立して連携する形が多いみたい。
むしろ、情報源は1つのサーバーにまとめるのは逆に管理が面倒かもしれない。
三浦さんの考え方では、3種類の情報源はそれぞれの管理方法が違う。
エクセルファイルは共有ファイルサーバーだったり、Googleドライブで管理する。
チャットログは、メールよりもSlackやTeamsの方がいい。
チケット、Wiki、GitHubは別サーバーにある。
これらの情報は参照関係が双方向ではなく、単方向であるという制約がつく。
たとえば、チケットから共有ファイルサーバーの資料リンクはあるが、エクセルの設計書にはチケットのリンクを貼ることはあまりない。
そういう作業履歴の情報は不要だから。
また、チケットのコメント、GitHubのコメントはSlackのチャットログに流れた方が管理しやすい。
更新メールがたくさん流れても困る。
つまり、これら3種類の情報に分けた時、双方向の参照関係が実はあまりない。
この気付きが面白かった。
【2】かるねさん、門屋さん、ワテさんのRedmineの使い方はみんな異なる。
ワテさんは、ソフトウェア開発の受託案件が複数個走っているので、案件テンプレートを準備して、チケット管理のワークフローや初期設定、Git連携などは事前にテンプレート化しておく。
チケットの進捗管理、ステータス管理は細かく設定されている。
門屋さんはチケット一覧を重視する。
チケットの親子関係をうまく使って階層化してチケットをグルーピングしたり、ソート順を決めて、管理しやすくする。
一方、かるねさんは事務処理をRedmineで管理しているので、ロードマップ画面で、毎月のルーチンワークをバージョンで設定し、毎月ごとに事務処理チケットのボリューム感をコントロールしている。
それぞれの目的に応じて、Redmineの機能をピックアップして使っているのが面白い。
【3】ボウコバさんの講演では、Redmineを導入するときに、ボトムアップとトップダウンの手法をうまく組み合わせる点を話されていた。
たぶん、大企業では標準プロセスが揃っていて、それに従う必要がある。
そこで、標準プロセスをRedmineで実現しておき、スモールスタートで運用を開始して、成功しているよ、という雰囲気を社内に作り出す。
そこから少しずつ広げて、トップダウンで最後に広げていく、みたいなイメージ。
以前アカベコさんが、Redmineの運用では活況を演出するのが重要だ。
なぜならば、活発に更新されてすごく便利そう、という雰囲気を醸し出さないと、根付かないから、と言われていたが、そのやり方に似ているな、と思った。
僕は、ボウコバさんのように、チケットに情報を集約する方が好き。
そのチケットは、日々のタスク管理のようなフローの情報、課題管理や障害管理のようなストックの情報の二重性を持つ。
チケットに2つの情報が集約されることで、検索機能やハイパーリンクが使えて、Redmineがナレッジデータベースになるというイメージ。
【4】内藤さんの発表では、直近4回位のRedmine勉強会の参加者が常連さんに偏っている点がグラフで示されて、正直びっくりした。
その原因は色々あるだろう。
オンライン勉強会になったので、地方の人も参加しやすいが、対面で知り合う機会がないので、初対面同士で盛り上がりにくい。
自然に、すでに知り合いの仲間同士で盛り上がってしまい、その輪に入るのはなかなか難しい。
一方、Redmineの機能改善も、チケット管理ツールのライバル製品の機能を取り込む方が多くなっているので、独自性をアピールする点が不足していることもあるだろう。
他方、チケット管理ツールの概念はある程度知られてきていて、イノベーターやアーリーアダプターにとっては新鮮味があまりない点もあるかもしれない。
このあたりの原因は色々聞いてみたい。
とはいえ、今日の勉強会の中身も濃かったと思う。
講演もLTもちゃんと聞いていると、こんな使い方もあるのね、とか気づきが多かった。
【5】西崎さんがRedmine開発者コミュニティを作ろうと提唱されていた点も興味深かった。
やはりRedmineの開発は情報源が少ないので、もっと多くの人を巻き込まないといけない。
Redmine開発者コミュニティがハブになって、他のRedmine勉強会の人たちをつないで、開発に興味を持ってもらったり、ユーザに使ってもらってフィードバックをもらうことを考えられていた。
一方、山崎さんはRedmine Marketplaceを作り、Redmineのプラグインを集めて、有償販売できたりするWebサイトを準備されていた。
つまり、Redmineをさらに使いやすくしたり、手に届くような環境を作ろうと活動されている。
こういう活動を見ていると、やっぱり日本人にはRedmineが向いているのかな、と改めて思う。
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