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2022年8月

2022/08/28

「現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全」の感想

「現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全」を読んで面白かったのでメモ。

【参考】
Twitterは最速のメディア: プログラマの思索

ビジネス特化SNS「Linkedin」から見えるもの~人脈はデータマイニングで作られる: プログラマの思索

Facebookはセルフブランディングの最強ツール: プログラマの思索

MEDIA MAKERSの感想: プログラマの思索

Clubhouseは路上ライブや朗読のためのツールかもしれない: プログラマの思索

Google、それは強大な広告代理店: プログラマの思索

コロナ禍の時代にいかに情報収集&アイデア発散収束のスキルが必要か、経験を交えたノウハウが良かった。

・SNSは2種類を使い分ける
 人間関係重視はFacebook、LINE、Instagramなど
 情報収集はTwitter

・ネットからプル情報を取りに行く
 ∵今は情報洪水の時代
⇒RSSリーダーを使う
 ∵情報源のニュースサイトの新着情報だけキャッチする
⇒キュレーションサイトも活用する

・Twitterを情報収集のツールとして扱う
 例:新型コロナが良い例
 ∵新聞も本も真実が少ない。
 ∵Twitterに流れる専門家の情報が貴重な情報源になる

・Twitterでフォローすべき専門家の選択基準
 その分野の専門家であるか
 専門用語を適切に使っているか
  ∵素人は、特定分野の専門用語を知らない
 乱暴な言葉使いがないか
  ∵中途半端な人ほど断言しやすい
 専門家集団から信頼され評価されているか

・本を読むのも大事
 ∵情報が集約される
 ∵情報が網羅されている
 ⇒多様な視点が持てる
 ⇒アウトライン→観点→全体像の流れで説明してくれる

・Kindleを使え!
 ∵どこでも買える
 ∵テーマの全体像をサクッと得られる
 ∵文章を検索できる
 ∵文章をコピペできる
 ∵リンクからWebサイトへ辿れる
 ∵大きな文字で読める。老眼ならメリットあり。
 ∵本棚が不要
⇒電子書籍が読みにくいのは慣れの問題
 iPad、KindlePaperwhiteを使う

・今読むべき本の基準
 本と自分の相性を知る
 本に対し自分のスキルが足りているか
 向いていない、無理とおもったらいったん潔くあきらめる
 今読んで楽しい本は知肉化する

・本、電子書籍の読み方のコツ
 付箋、ハイライトを使う
 抽象的で難しい部分こそ熟読する
 ハイライト、マーカーした部分はメモアプリにコピペする ∵知肉化する
 何の感銘を受けたのか、短い覚書を残す
  ∵エピソード記憶、連想、言い換え、疑問
 参考文献を元に芋づる式に読みまくる

・読書スタイル
 スキマ時間で2h/日を捻出する
  ⇒1冊/3日で読める
 色んな時間や場所で小刻みに読む
 ⇒ミニマリスト生活に慣れる
  慣れればどこでもくつろげる

・2つの保存方法を使い分ける
 頭の中の保存
  概念化されている
  ストーリー、物語を作る
  記憶容量が狭い
 コンピュータに保存
  容量制限なし
  検索できる
  記憶に強い

・知と知を結びつける
・無意識の領域でコビトが献身的に働くようにする
・コビトに餌をばらまく
 頭の中で概念がふっと思い出されて、コビトが結びつけてくれる
・世界観と知肉が舞い降りる
・脳をクリアな状態にする
 ∵世界観と知肉が舞い降りるには、ゆったりした時間と場所が必要で、脳みそを忙しい状態にしない

・雑務は徹底的に効率化する
 スケジュール管理、タスク管理、道順、請求書発行
 →雑務はアウトソーシングする
  クラウドサービスを使いまくる

・ブラウザは用途で使い分ける
 情報系ブラウザ=Chrome
 雑務系ブラウザ=Firefox、Edge、Safari

・散漫になりやすい
 集中しにくい
 ⇒散漫をコントロールできれば、仕事はいくらでもこなせる

・舞い降り=アイデアは発想を作り出す
 頭をキレイでまったいらな場所を作る
 散漫でいい

・タスク=請求書やパワポ、エクセルで資料を作る
 集中力が必要

・日々のやるべきタスクを分類する
・ネットで情報収集→Feedly+Pocket→スマホ
・書籍や資料を読む→重い本or軽い本、読書メモ→タブレット
・資料を作成→自由な思いでアイデアを練る、アイデアをドキュメントに落とし込む→PC
・原稿を書く→文章の構成を考える、思い執筆→PC
・メールチェックや請求書作成→PC
・息抜き→Youtubeなど→スマホ

・ポモドーロ・テクニック
 事前に仕事のリストを作る
 25分集中+5分休憩が1セットを繰り返す

・自分の最適なインターバルを探す
 3分、5分、15分、25分と変えていい

・もう少しやりたい気持ち、飢餓感を使う
 飢餓感が舞い降りをもたらす

・Bootstrapでやる気を起こす
 PCのOS起動と同じ
 やる気のロードは時間も手間もかかる

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2022/08/23

地政学の考え方~近代以後の世界史はランドパワーとシーパワーの戦いである

地政学(GeoPolitics)について色々読みまくった結果、地政学―アメリカの世界戦略地図が一番わかりやすかった。
地政学の考え方とは「近代以後の世界史はランドパワーとシーパワーの戦いである」と腹に落ちた。
ラフな感想。

「大国政治の悲劇」の感想~現代はパワーポリティクスの歴史に戻ったみたいだ: プログラマの思索

映画「ひまわり」は名作だった: プログラマの思索

【1】地政学(GeoPolitics)の基本的な考え方とは何か?

【1-1】地政学は、世界地理と政治学が合体した学問なので、国同士の地理的環境が大きく依存する。
しかし、マッキンダーの原著「マッキンダーの地政学ーデモクラシーの理想と現実 | ハルフォード・ジョン マッキンダー」も読んでみたが、僕には読みにくかった。
地政学の考え方がよくわからなかった。
地理的環境がどのようにパワーポリティクスと関係するのか、イメージしにくかったから。

一方、地政学―アメリカの世界戦略地図では、マッキンダー、ハウスホーファーから現代の学者に至るまでの主張を時系列に整理してくれていて、彼らの世界観はこうなのだ、と一言で説明してくれているので、地政学の初心者にとって理解しやすかった。
特に、マッキンダーの世界観を表した地図を図示化してくれているのがとても助かった。

【1-2】地政学―アメリカの世界戦略地図によれば、マッキンダーの考え方では、世界地図を見て、ユーラシア大陸を本島、英国・北米・南米・豪州・日本はユーラシア大陸を囲む島々とみなす。
アフリカのサハラ砂漠をラクダで交通する海のようなものをみなせば、アフリカの南半分は島になる。

すると、本島(ユーラシア大陸)の勢力と、それを囲む島々の勢力が互いに戦うという考え方につながる。
ここから、本島=ユーラシア大陸=ランドパワー、英国・北米・南米・豪州・日本などの島々=シーパワーに分類される。

地政学―アメリカの世界戦略地図によれば、コロンブス以後の世界史はランドパワーとシーパワーの闘争の歴史になる。
特に、1870年以後の近代世界史では、鉄道網を持つランドパワーの国と艦隊を持つシーパワーの国の闘争の歴史とみなせる。
つまり、地政学では、交通網の手段によって地理的環境を区別しているように思える。
一方、近代以前の世界史では、強力な騎馬隊を持つ遊牧民族と豊かな穀物を持つが戦争に弱い農耕民族との闘争の歴史になる。

たとえば、19世紀後半は、不凍港を求めるロシア帝国(ランドパワー)を、最大の植民地を持つ英国(シーパワー)が世界各地で対立していた。
そして20世紀後半は、ソ連(ランドパワー)と米国(シーパワー)による冷戦の歴史が続く。

地政学―アメリカの世界戦略地図によれば、ランドパワーとシーパワーの対立は相性が悪く、長く続きやすいらしい。

【2】地政学の考え方から何が導かれるか?

地政学―アメリカの世界戦略地図を読むと、いくつかの主張が興味深かった。

【2-1】1つ目は、シーパワーとランドパワーが交錯する部分は紛争地域になりやすいこと。

たとえば、マッキンダーは、欧州大陸をユーラシア大陸から突き出たラテン半島とみなして、ラテン半島の付け根に当たる東欧を制するものが世界を制すると主張した。
この主張を考慮して、現在のウクライナ紛争を眺めると、NATO諸国とロシアの境目に当たるウクライナが紛争地域に該当することになる。

また、朝鮮半島も同様。
ロシア、中国のランドパワーの支援を受けた北朝鮮と、米国、日本のシーパワーの支援を受けた韓国が対立している。

あるいは、パレスチナ地域のように、トルコやイラン、ロシアなどのランドパワーの国々と、湾岸諸国やイスラエルなどのシーパワーの国々が交錯する地域は、紛争地域に該当することになる。

【2-1】2つ目は、シーパワーの大国である米国が冷戦時代にソ連と対決した政策には、封じ込め政策(Containment)があるが、この考え方の背後には、リムランドを制するものが世界を制するという考え方があること。

地政学―アメリカの世界戦略地図によれば、リムランドとは、シーパワーとランドパワーが交錯する地域を指す。
一般に、「危機の弧」(arc of crisis)、「不安定の弧」のことを指す。
具体的には、ユーラシア大陸の縁に当たる朝鮮半島から東南アジア、インド半島、イラン、トルコ、バルカン半島、ウクライナに当たる地域を指す。

不安定の弧 - Wikipedia

つまり、米国は危機の孤であるリムランドは軍事的衝突が起きやすい地域とみなし、それに対する戦略を練っていることになっている。

【3】地政学の観点では、日本はどのような立ち位置にあるのか?

明治維新から第二次世界大戦の敗戦に至るまでの日本の近代史は、地政学の観点から見れば、その政治的意志が非常に理解しやすいと思う。

【3-1】なぜ、明治維新の立役者たちは、あれほど朝鮮半島の進出にこだわっていたのか?

大国政治の悲劇 | ジョン・J・ミアシャイマー, 奥山 真司によれば、明治時代に日本の陸軍を支援したドイツ将校は「朝鮮半島は日本の心臓を突き出す短剣である」と言ったらしいが、そのような考え方にその頃の日本人は取り憑かれていたわけだ。
実際、山県有朋は朝鮮半島を利益線とみなし、主権線だけでなく利益線も保護するために軍備拡張が必要と主張したわけだ。

61.日清戦争

たぶん、西欧列強がどんどん植民地を拡大しつつある時代において、近代の日本人は悪戦苦闘していたのだろう。
地政学の観点から見ると、近代の日本の歴史は、シーパワーである日本列島から、ランドパワーの朝鮮半島、満州、中国大陸へ進出していく流れに該当し、その力学から逃れられなかったことになるだろう。

【3-2】なぜ、日本は満州にあれほどこだわったのか?

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー) | 半藤 一利によれば、15年に渡る日本の戦争の背後には「赤い満州がある」と言っていた。
満州には農産物や鉄、石炭などの主要な資源があり、日本の近代化に欠かせないものだったから。
一方、地政学の観点から眺めると、満州が朝鮮半島の付け根であり中国大陸と朝鮮半島の境目に当たり、マッキンダーの主張「半島の付け根に当たる地域を制するものが世界を制する」と合致するからだ。
満州が安定しなければ、朝鮮半島も安定しないし、その余波で日本も安定しない、という理屈を当時の日本人は持っていたのだろう。

【3-3】なぜ、日本は負けると分かっていた太平洋戦争に突入してしまったのか?

地政学―アメリカの世界戦略地図によれば、日華事変でランドパワーの中国まで手を伸ばし、東南アジアや太平洋島嶼部などのシーパワーまで進出しようとして、シーパワーの米国と対立したから、ということになる。
大国政治の悲劇 | ジョン・J・ミアシャイマー, 奥山 真司を読むと、近代の日本が気にかけていたのは安全保障であったが、当初は日本近海に過ぎなかった領土的野心が東アジアや東南アジア全体まで波及して独裁的に侵略していった流れに逆らえなかった、という理屈になっている。

【3-4】現代の日本は地政学の観点ではどのような立ち位置を取るべきか?

パワーポリティクスや地政学の中で日本の立ち位置を見ると、英国が欧州大陸から離れてシーパワーの大国として、大陸諸国間の勢力均衡政策に従事したように、日本もアジア大陸から離れてシーパワーの国として、勢力均衡政策を取るのが望ましいのではないか。

そのような地政学の観点で眺めると、安倍首相が、日米豪印の協力枠組み「クアッド」を創設し、太平洋とインド洋に渡るシーレーンの重要性を主張した点は、先を見通した良い戦略と思う。
具体的には、日米豪印のクアッド(シーパワー)は、中国(ランドパワー)の一帯一路構想に対抗する、地政学上の戦略に対応付けられるだろう。
つまり、ランドパワーの中国に対抗して、シーパワーの日本、米国、豪州とリムランドのインドが連携して対抗するという勢力均衡政策を実現できたからだ。

また、「自由で開かれたインド太平洋戦略 - Wikipedia」という標語のおかげで、クアッドの正当性の根拠に、専制国家と民主主義国家という軸の違いという考え方を裏付けることができたわけだ。

安倍元首相が主導した日本の大戦略を、国際政治の理論から再評価する ? SAKISIRU(サキシル)

中国の覇権を止められる政治家はほかにいない…安倍元首相の死で、インドは国を挙げて一日中喪に服した 日本は「インド太平洋とクアッドの父」を失った | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

米豪印首脳が安倍氏評価 「クアッド創設に尽力」 - 産経ニュース

そんなことを考えると、地政学の考え方は、20世紀までの世界史だけでなく、今後の国際政治にも使える考え方なんだなと思う。

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2022/08/10

Javaのラムダ式の考え方

Javaのラムダ式の考え方について理解できた内容をラフなメモ。
間違っていたら後で直す。

【参考】
Javaにおけるラムダ式とメソッド参照

徹底解説! Javaのラムダ式はどういうもので、どう使えばいいのか!

javaの内部クラスおさらい - Qiita

staticな内部クラス - 技術メモ

【Java】内部クラス(インナークラス)の使い方(static class) | 侍エンジニアブログ

Javaはオブジェクト指向言語ではなく関数型言語だった~「[増補改訂]関数プログラミング実践入門」はお勧めの本だ: プログラマの思索

JavaSilverの感想~Javaはオブジェクト指向と関数型言語の2つの性格を持つ: プログラマの思索

Java8以後は、オブジェクト指向言語ではなく関数型言語とみなした方がいいと感じた。
理由は、ラムダ式のような関数型言語の特徴を取り入れたAPIを多数取り込んでいるからだ。
マルチスレッド、Optional、Stream、IOなどの新しいAPIに触れてみると、ことごとくラムダ式を使って副作用をなくすような処理でいかに書くのか、を目指しているような気がする。

Javaのラムダ式は、RubyやPythonのクロージャみたいなものだと思う。
ただし、Javaのラムダ式では、ローカル変数は実質finalなので更新しようとするとコンパイルエラーになる。
この特徴は、Rubyのブロック、Pythonのクロージャのようなレキシカルスコープとは異なる。

Javaのラムダ式は2つの理解方法がある。

1つ目は、Javaのラムダ式は、内部クラス(Inner class)や匿名クラス(anonymous class)から生まれたものと思えばいい、
ラムダ式のイメージはこんな感じ。

依存しあったクラスが2つある。
→2つのうち1つのクラスを、内部クラスにして1つのソースファイルに統合する。
→static内部クラスにして、内部クラスのインスタンス化を廃止する。
→static内部クラスをメソッド内に取り込んで、ローカルクラスに置き換える。
→メソッド内のローカルクラスを匿名クラスに置き換える。
→匿名クラスをラムダ式に置き換えると出来上がり。

Javaの内部クラス、局所クラス、匿名クラスのような記法は現場であまり使わないから、どこで使うのだろうか、と思っていたが、ラムダ式を生み出すための前段階の仕組みと思えば自然に思える。

徹底解説! Javaのラムダ式はどういうもので、どう使えばいいのか!

2つ目は、「Javaのラムダ式は、関数型インターフェイスを実装したクラスのインスタンスを、簡単に作るための文法」。
つまり、Javaのラムダ式は関数型インフェーエイスを宣言し、実装したクラスからインスタンスを生成する仕組み。

徹底解説! Javaのラムダ式はどういうもので、どう使えばいいのか!

関数型インフェーエイスは、抽象メソッド1個だけを持つのがミソ。
FunctionalInterfaceアノテーションを付けたインターフェイスでは、自動的に関数型インフェーエイスになるが、抽象メソッドを2つ宣言したり、defaultメソッドで実装すると、関数型インフェーエイスではなくコンパイルエラーになる。

では、なぜラムダ式があると便利なのか?
マルチスレッドやStreamAPIでラムダ式を書いていると、処理の宣言と実装を1箇所に書けるのがメリットのように思う。
いちいち、別クラスを宣言して、インスタンスを生成して、メソッドを呼び出すみたいな面倒な処理をたくさん書かなくていい。

ラムダ式を使うと、Factoryクラスは不要になる。
() -> new A()のようなラムダ式を簡単に埋め込めるからだ。

ラムダ式を使うと、Strategyパターンの行数を減らせる。
ポリモルフィズムを使って、それぞれの処理を実装し、インスタンスを生成する部分をラムダ式で1行にまとめられるからだ。

「関数型インターフェイスには1つしか抽象メソッドがないので、戻り値・引数の型と順番を、関数型インターフェイスの型からJavaコンパイラが推測できます。この仕組みを型推論といいます。 」という指摘から、関数型言語の特徴である型推論をJavaでも実現できる。
Haskellと似ているのかな。

実際のエンタープライズJavaの開発現場では、ラムダ式やストリームAPIは禁止されているコーディングルールが多いかもしれない。
でも、Javaに限らず、現代の殆どのプログラミング言語に関数型言語の特徴が盛り込まれているので、今後もチェックしてみる。

残りは、モナドを理解したい。

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2022/08/09

人類は海辺から生まれた~水生類人猿説が面白い

人類は海辺から生まれたというアクア説(水生類人猿)を知った。
とても面白かったのでメモ。

アクア説 - Wikipedia

河童や半魚人の祖先か?異端の「アクア説(水生類人猿)」を独自に推理する - まいじつ

禁断のアクア説(水生類人猿説)を再評価する ? 橘玲 公式BLOG

人類はなぜ2足歩行なのか?
その単純でありながら奥深い問題に対し、従来のサバンナ説ではやはり納得しづらい。
猿やチンパンジーが地上に出たとしても自然に二足歩行になったとは思えない。

そこで、アクア説が提唱された。
アクア説、水生類人猿説では、人が類人猿に進化する時に、半水生活に適応して直立二足歩行を始めた、という主張を唱える。
この仮説は化石の証拠がなく、最初は半信半疑なのだが、人間の特徴を色々探ってみると、この仮説が上手く当てはまる場面がすごく多い。

アクア説 - Wikipediaにある「仮説の論拠」の画像がすごく分かりやすい。

人もラッコも海に入ると、垂直に直立する姿勢になる。
人類は海辺で進化した」本では、ペンギンと人が地上では二足歩行、水中では水平姿勢で泳ぐ絵があって、こんな場面がペンギンと同じなのか!と驚いた。

人は海に入ると、皮下脂肪がついた。
皮下脂肪があると浮きやすいし体温維持になる。
鯨と同じ。
そして人から体毛がなくなったが、頭は水上に出ているので、頭髪は残った。

鼻の穴が下向きなのは、水上で垂直に立った時、水が鼻に入らないようにするため。
猿や他の類人猿は鼻の穴が正面に向いている。

涙が出る、汗が出るのは、塩分排出の症状。
人類は海辺で進化した」本では、ラッコの母親から子供を取るとラッコが泣くと書かれていて、まるで人間みたいに感じた。

人は対面性交する。
頭から尻まで一直線の姿勢になる。
実はイルカなど水棲哺乳類は、対面性交らしい。
一方、猿や他の動物は後背位を取る。
人類は海辺で進化した」本では、イルカの対面性交のシーンが書かれていて、まるで人間のように感情を持って恋愛している雰囲気を醸し出していたのが興味深かった。
だから、欧米人はイルカを人間と同じように同一視しているから、日本の和歌山でイルカ漁をしているシーンを非難するのではないかと思った。

人間の女性は処女膜を持つ。
水棲哺乳類の鯨にもあるらしい。
たぶん、海水が体内に入らないようにする仕組みなのだろう。

女性の外性器が隠れているのは、体の表面積を減らして体温維持する方が水中生活に有利だから。

水中出産は楽らしい。
人類は海辺で進化した」本では、ロシアの産婦人科では、妊婦に水中出産してもらうと痛みがなく、楽だったという記載があった。
赤ん坊を生み出す時、体内から異物も排出されるが、水中で出産すればその汚物も赤ん坊から洗い流してくれる利点がある。

赤ん坊は泳げるらしい。
実は、赤ん坊は生まれた直後は、手でかくような仕草をするらしい。
水生類人猿説では、赤ん坊が水中出産された歴史に由来するらしい。

女性の乳房が垂れ下がるのは、赤ん坊が母親から乳を飲む時に捕まるため。
人類は海辺で進化した」本では、女性が赤ん坊に乳を吸わせている写真があって、猿の赤ん坊は母親の体毛に捕まることができるが、人間の赤ん坊は母親の体毛がないのでそのままでは落ちてしまう、と書かれていた。
イルカや鯨のような水棲哺乳類も同様らしい。

人間は嗅覚が衰えた。
水中生活では、臭いの感覚は関係ないから。
水中生活から陸上生活に戻った時、ワキガのような部分から体臭を発生させるようになった、とか。

人間は聴覚と発声が発達した。
水中生活では、視覚よりも聴覚や発声が重要らしい。
イルカと同じ。
イルカも会話しているらしい。

人間はバランス感覚が優れていて、柔軟な背骨を持つ。
人類は海辺で進化した」本では、アシカが鼻にボールを乗せた姿と、その横に人間が鼻にボールを載せた姿を載せていて、非常に同じように見える。
水族館のショーで出てくるアシカ、イルカもボールを操れるように、非常にバランス感覚が優れている。
これは、人間も水中生活で、嗅覚や視覚があまり通用しない環境で、空間の感覚を研ぎ澄ましたから、と書かれていた。

人類は海辺で進化した」本では、女性が水中でU字型の流線型で泳いでいる絵があって、イルカやアシカと同じだな、と思った。

人間には潜水反射、徐脈の感覚を持つ。
潜水反射とは、水に潜ると心拍数が減少し、体内に送られる血液量が減り、その結果、酸素消費量も減ること。
人類は海辺で進化した」本では、ラッコ、セイウチ、イルカ、アシカ、鯨のような水棲哺乳類と同じく、人間の絵も載せられている。
人間と他の動物がどれくらいの深さまで水に潜れるか比べると、人間は水に潜らない哺乳類と言われるらしい。

現代人の7%は、今持って手足の指に水かきの跡がある。
これは人間が水中生活していた時の名残り。
ピアニストになるためには、指同士の距離を広げる必要があるから、わざわざ広げるように手術していたことを思い出した。

これだけ状況証拠があるにも関わらず、「アクア説(水生類人猿)」は学会では異端と言われているらしい。

こういう斬新な科学的仮説を読むと、鳥類が恐竜から進化した「前適応」の仮説や、恐竜が隕石衝突で絶滅した事件のことを連想させる。
大量の状況証拠から、仮説を補強するような理論を作り上げて、どんな反論からも耐えられるようにし、最終的には化石や実験によって仮説が証明される、そんな流れを作るのが面白い。

ITの地殻変動はどこで起きているのか?~チケット駆動開発が進むべき道: プログラマの思索

論文作成の技法part2~論文作成の観点: プログラマの思索


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2022/08/06

Javaはオブジェクト指向言語ではなく関数型言語だった~「[増補改訂]関数プログラミング実践入門」はお勧めの本だ

Oracle Java Gold SE11 を取得するために
徹底攻略Java SE 11 Gold問題集[1Z0-816]対応 徹底攻略シリーズを解いているが、Javaはオブジェクト指向言語ではなく、Javaは関数型言語であった事実に気づき、「[増補改訂]関数プログラミング実践入門 ──簡潔で、正しいコードを書くために」を借りて読んでいる。
Oracle Java Gold SE11 では、ラムダ式とストリームAPIを習得するのがMust要件だが、実は、JavaのOptionalはHaskellのMaybeモナド、JavaのStreamはHaskellのリストモナドに相当する、という文章を読んで、インスピレーションが動いた。
こういうところまで理解しておかないと、たぶんJavaGoldは歯が立たないのだろうと思う。

この本では、Ruby、Python、Java、C++などのソースとHaskellを比較してくれているので、他言語を知っていたら理解しやすくなると思う。
関数型プログラミング言語を習得したい人にとっては、この本はMustだと思う。
まだ全部理解できていないので、これからじっくり読んで消化していく。

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2022/08/05

組織を芯からアジャイルにする対談の感想~今のアジャイルは先カンブリア時代なので何でもいい、アジャイル警察はいらない

組織を芯からアジャイルにする対談で、平鍋さんが話されていた。
感想をラフなメモ。

【参考】
平鍋健児 ? 市谷聡啓 ?組織を芯からアジャイルにする対談? - シン・アジャイル | Doorkeeper

認定スクラムプロダクトオーナー研修の感想: プログラマの思索

平鍋さんの穏やかな口調のお話を聞いていると、そうだよねとうなずくし、勇気づけられた点もあった。

1990年代、2000年代は、プロセスの時代。
仕様に対して、いかに仕様どおりに正しく作るか、品質を担保するか、が問題だった。
そのために、ソフトウェア工場、オブジェクト指向設計、要求工学、ソフトウェア工学などがたくさん出てきた。
そして、アジャイルが出てきて、今までのアプローチは違うのでは、と。
開発者の中でこねくり回すのではなく、顧客と対話したり、市場と対話してシステムを作り上げる。
2010年頃から、リーンスタートアップが出てきたのもその流れではないか、と。

今となっては、アジャイルも日本では普通に認識されるようになってきた。
今の日本では、アジャイルは先カンブリア時代みたいに、たくさんの人達がこれがアジャイルだ、とたくさん実践して公開してきている。
そんな中で、これが本当のアジャイルだ、と言う必要はないと思う。
アジャイル警察はいらない。
もちろん、自分のポジションや意見として、アジャイルはこうだというものはあるけれど、それで対立を煽るような議論はしない。
最近は議論をやめてます、と。

平鍋さんの話を聞いて、何となく救われたような気もした。
僕だけが感じているだけに過ぎないかもしれないが、最近のアジャイルの風潮として、自分はアジャイルをやってますと名乗るには、アジャイル開発の経験だけでなく、スクラムの認定資格を取っているか、認定スクラム資格を持つアジャイルコーチの指導があるのが条件なような気がしていたから。
カジュアルに、アジャイルをやってます、みたいなことが言えない気がしていたから。
顧客とオンサイトで超高速開発ツールを使ってすぐにデモして見せてアジャイルにやってます、みたいな場面があったりして、それは違うのでは、という違和感を感じていたから。

一方、スクラムの研修を受けると、内容は確かによく考えられているし、参考になる概念もすごく多い。
このフレームワークでプロセスの諸問題が解決されるのでは、と思えたりする。
1990年代から2000年代にかけて、たくさんのアジャイルの流派が生まれてきたけれど、2020年代の現在では、それらアジャイルの考え方、プロセスはスクラムへ収斂されていく過程ではないかと思ったりもした。

しかし、平鍋さんの話を聞けば、今のアジャイルは先カンブリア時代なので何でもいい、アジャイル警察はいらない。
そう思えば、そこまで神経質にならなくてもいいし、自分で経験して理解できたことがあれば、それを普通に表現して、自分なりに解釈してもいい。

他にも気になる話があった。

平鍋さんいわく、市谷さんの書籍は、熱い気持ちや勢いで書いている所があっていいね、と。
自分が思いついたアイデアには旬があり、今ここで書かなければいつ書くのか、みたいなタイミングがある。
特にIT業界の本はそういう傾向がある。
こういうことに気づいて考えたから、今書きたい、という熱いモチベーションがあるうちに一気に書くべき。
平鍋さんが共著で書いた本「アジャイル開発とスクラム~顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント」も、今書かなくてどうするんだ、という熱い気持ちで書いた、と。
自分も、年末には書きたい本の目次は壁に貼っておいて、そこから書きはじめる時がある、と。

平鍋さんいわく、市谷さんが提唱した言葉「越境」「向き直り」もいいね、と。
市谷さんはネーミングが上手い。
気づいたアイデアに名前付けしてネーミングすることは重要だ。

平鍋さんがプロジェクトファシリテーションでレトロスペクティブを「ふりかえり」という言葉で概念化したが、過去を振り返るだけでなく未来にも目を向けていることを強調できなかった。
だから天野さんと議論した後で、小野小町の見返り美人もそうでしょ、後ろに顔は向いているけれど、足の方向は前向きだから、とフォローしたんだよ、と。

確かに、何かすごいことを思いついた時、そのアイデアを別の言葉でネーミングすることにより、新しい価値や意味をもたらすことができる。
そういう体験を僕も感じた。
その体験はやると病みつきになる感じ。

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