クラウド上の開発がJavaに与えた影響は何なのか
クラウド上の開発がJavaに与えた影響は何なのだろうか。
考えがまとまっていないがラフなメモ。
自分はAWSも知らないし、Go言語も知らないので、間違っていたら後で直す。
【参考】
Javaがサーバレスに至るまでの道のり
元JavaエンジニアがGoに感じた「表現力の低さ」と「開発生産性」の話 - DMM inside
Ruby->Go->Scalaという習得順序がエンジニアの爆速の成長に最適である理由 - Qiita
Javaがサーバレスに至るまでの道のりの記事を読むと、いかに軽量のWebアプリケーションを実現するか、に注力しているように思える。
従来のWebアプリケーション開発では、PerlのCGIのようなプロセス指向ではなく、JavaのServletのようなマルチスレッドの方が無駄にリソースを食わず、効率が良いと歌われていた。
しかし、サーバーレス環境では、AWS Lambdaのようにアプリをキックするような仕組みなので、アプリの処理時間だけでなく、アプリのロード時間も短いほど優位だからだ。
サーバーレス環境では、アプリを常駐させて、マルチプロセスで動く。
そして、処理が終わり、無駄に多くなったプロセスはすぐに破棄される。
つまり、クラウドでは、DockerやK8sのようなコンテナのおかげで、アプリ環境を使い捨てにできるメリットがある。
アプリも、負荷分散に応じて必要なだけ常駐プロセスを増やして、不要になれば捨てればいい。
すると、アプリのビルド、デプロイの時間も短い方がいい。
さらに、「起動時間がレスポンスタイムに含まれる」ために、アプリの起動時間も短くできれば、サーバーレス環境ではレスポンスタイムをもっと短くできて、使い勝手が良くなる。
そういう発想がJavaにどんな影響を与えているのか?
クラウド上の開発がJavaに与えた影響は何なのか?
たまたま、Javaのモジュールシステムの話の中で、jlinkコマンドがなぜ必要なのか?という話があった。
JDK9以後は、JREが配布されないので、Javaファイルを実行できない。
そこでjlinkで実行ファイルを作る必要があるという話だったが、さらにもう一つ興味深い話があった。
Java Module System 入門 その1 - YouTube
Java Module System 入門 その2 - YouTube
jlinkコマンドを使うとランタイム専用アプリを作れるが、必要なJDKライブラリだけを読み込んで、Jarファイルを作成する。
すると、jlinkで作られたランタイム専用アプリのサイズは、従来のランタイム専用アプリのサイズよりもかなり小さくなる。
不要なライブラリを除いているからだ。
実際、デモ画面では200Mから30Mまで小さくできた例があった。
つまり、jlinkコマンドを使えば、クラウドのサーバーレス環境でアプリを実行する時、コンパイルしたアプリのサイズを小さくできる。
その分、クラウドのリソースを抑えられるし、アプリの起動時間(ロード時間)も短くできるメリットが出てくる。
すなわち、jlinkコマンドはクラウド上で配布するアプリに適合するように作られたものなのだろう。
Javaもクラウドに特化したアーキテクチャ設計を取り込んでいるのだろう。
そんな話を聞くと、サーバーレス環境のアプリでは、ランタイム専用アプリはバイナリファイルでサイズが小さいほど優位性が高いことになる。
マイクロサービスの実装言語はGoが主流であると聞くが、その理由は、Goで簡単にバイナリファイルが作れて、さらにそのサイズが小さいので、性能的にも優れている点があるのではないだろうか?
そして、Javaもそういう流れの設計手法を取り入れるために、jlinkコマンドのようなアーキテクチャが必要になってきたのではないだろうか?
ここで、クラウド上のシステム設計では、ドメインごとにアプリを細分化したマイクロサービスアーキテクチャが流行していて一般的になってきている。
マイクロサービスアーキテクチャが必要な理由は、普通のWebシステムでもクライアントからのアクセスがブラウザだけでなく、スマホだったりタブレットだったり、色んな端末に対応する必要があるので、公開APIを通じて制御できるよに、色々分割したほうが楽になる点があるだろう。
また、逆コンウェイ戦略のように、システム開発しやすいチーム組織の観点で設計すると、小さなコンポーネントの集まりになるようにシステムを分割して、マイクロサービスアーキテクチャで連携できるようにした方がよい点もあるだろう。
マイクロサービスアーキテクチャのそんな特徴を活かすには、おそらく、Go言語やjlinkコマンドのような実装言語やビルド方法も必要になってくるのだろう。
そんなことを考えると、クラウド上のシステム開発では、フロントWebシステムをRubyやJava、Pythonで作ったとしても、AWS lambdaやマイクロサービスの部分はGo言語やjlinkを使う、といったように、複数のプログラミング言語を適材適所に当てはめて開発する必要性があるのではないか。
つまり、クラウド上の開発は、単にコンテナ部分のアーキテクチャを使いこなすだけでなく、複数のプログラミング言語を適材適所で使い分けるノウハウも必要になってくるのだろう。
この辺りは妄想に近いかもしれないので間違っているかもしれない。
ただ、クラウドというアーキテクチャは、Webリソースをふんだんに使える富豪プログラミングを可能にしたからこそ、それに特化した設計手法がどんどん現れているのだろうと思う。
この発想が正しいのか、これから検証していく。
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