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2022/12/17

「Redmineハンドブック」は良い本です

9月に出版された「逆引きでわかる! Redmineハンドブック バージョン5.0対応」を@agilekawabataさんから献本して頂きました。ありがとうございます。
読みどころを書きます。

【1】「Redmineハンドブック」の一番良い点は、こういうことがしたいんだけどRedmineの機能は何だっけ?と疑問に思った時に、逆引きで探せること。

たとえば、期日が切れたチケットを表示したり、放置されたチケットを表示したり、チケット同士を関連付けたり、チケットに先行後続の関係を付けるとか、探す時に便利。
Redmineのようなチケット管理ツールに慣れていれば、すぐに分かるけれど、初心者や慣れていない人にとっては、知らないことがすごくストレスになる。
たぶん、目次や索引から探すようになるだろう。

【2】「Redmineハンドブック」では細かいノウハウが紹介されている点も良いと思う。
たとえば、親子チケットの設定では、大日程だけで概算見積して親チケットの開始日・期日を設定した後、小日程計画で小チケットに細かくブレイクダウンして期間を設定すると、親チケットの開始日・期日が消えてしまう。
なぜなら、Redmineの初期設定では、親チケットの情報は子チケットをロールアップされる仕様だから。
よって、管理画面で、親チケットの開始日・期日を独立させるような設定をする必要がある。

また、大人数のユーザや多数のユーザグループを作った場合、細かくロール設定するのが面倒だ。
そんな場合、JAXAのロール設定の事例の話が「Redmineハンドブックで紹介されている。

CODA チケット管理システム | JSS@JAXA
「CODA: JSS2の運用・ユーザ支援を支えるチケット管理システム: Redmineの事例と利用のヒント」

JAXAのRedmine運用事例の分析~「ロール設定のORルール」と「カスタムフィールド設定のANDルール」: プログラマの思索

JAXAのスーパーコンピュータ活用課でRedmineを使ったチケット管理システムの経験論文: プログラマの思索

【3】「Redmineハンドブック」では、WF型開発やアジャイル開発の運用方法が紹介されている点も良い。
慣れていない人にとっては、やはり実際にどのように運用できるのか、イメージが湧きやすいと思う。

WF型開発では、WBSをチケットに落とし込んで、ガントチャートで管理するのが一般的だ。
ガントチャート画面にイナズマ線が表示される機能も紹介されている。

一方、アジャイル開発では、スプリントはバージョン、タスクはチケットに対応付けて、チケット一覧でスプリントごとにグルーピングしてタスク管理するのが一般的だ。
チケット一覧ではやりにくい場合は、かんばんプラグインを入れて、タスクボードをかんばんで見立てるとよりアジャイルな雰囲気が出てくるだろう。
たとえば、アジャイルウェア社のLycheeかんばんもあるし、フリーでいくつかのプラグインがある。

チケットパネル (Redmineプラグイン) - ファーエンドテクノロジー株式会社

[Redmine] チケットをかんばん表示にするプラグイン | 適当に書き連ねるネタ帳のようなもの

GitHub - happy-se-life/kanban: Kanban plugin for redmine

【4】「Redmineハンドブック」で面白いと思った点は、最終章にGTDのタスク管理が紹介されている点だ。
やっぱりチケット管理はGTDのようなライフハック的なタスク管理のほうが向いていると思う。
Redmineにガントチャートはあるが、タスクをチケットでサクサク登録して更新してCloseしていく方が開発のリズムが生まれる。
すると、粒度の小さいチケットをたくさん作り、バックログとして一列に並べて、上から順にチケットをこなしていったり、溜まったチケットは定期的に棚卸しして作業しやすくする、といった運用方法になってくる。
つまり、自然にGTDのようなタスク管理に近づくわけだ。

さらに「Redmineハンドブック」では、仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版 | マーク・フォースター, 青木 高夫 |本 | 通販 | Amazonをもとにいくつかの役立つ概念を紹介している。

タスクチケットは期日や重要度、優先度、ステータスによって種類がいくつかある。
それらをリストに分類し、リストに名前付けして管理するわけだ。
たとえば、オープンリストとクローズリスト、マスターリストとフィルターリスト、いつややることリスト、ペンディングリストなど。
初歩的なやり方ではあるが、割と使える方法だと思う。

というわけで、手元に1冊あると役立つ本だと思います。

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