農林水産業はITと相性がいい
農林水産業はITと相性がいい事例を見つけたのでメモ。
【参考】
りんご栽培の作業を「見える化」 労働生産性の高い農業を追求【もりやま園株式会社(青森県弘前市)】 | 中小企業とDX | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
記事では、りんご園でりんごの木を1本ずつデータ化して生産性を分析し、そこから労働生産性を低い状況をいかに改善して収益を上げるか、という課題を次々にIT技術で解決していった事例が紹介されている。
僕が興味を引いたのは、2つある。
1つ目は、使ったIT技術は割りと当たり前のテクノロジーであるにも関わらず、農林水産業ではとても強力な効果があったことだ。
膨大な本数のりんごの木をデータ化するには、いくらパートやアルバイトで手作業でやってもとても時間がかかる。
そこで、スマホを使いリンゴの木のデータを登録するシステムを導入してみると、「りんごの摘果の作業に2倍の時間がかかり、しかも収量が3割少ない品種があった。1時間働いて400~800円程度の稼ぎ。これでは最低賃金にも満たない。その栽培のために年間の労働力を何時間も浪費していた。正直、ぞっとした」。
つまり、りんごの木は収益性のバラツキが大きかった。
おそらく、日当たりの良い所、土壌の成分が良い所などの観点で、りんごの木の生育に大きなバラツキが発生していたのだろう。
そういう事実がデータ分析できるだけでも十分に効果がある。
そういう現状が分かれば、生産性の低い木の代わりに他の品種へ変更したり、労働力の配分を変更するなどの打ち手も指せる。
おそらく、農林水産業は労働集約的で無駄なリソースが非常に多いために、IT技術を少し導入するだけでも非常に効果が出やすいのだろう。
特に、スマホ、AI、IOT、ドローンのようなハイテクノロジーを農林水産業のシーンでどう使うと効果的なのか、というテーマは素人でも色んな発想が出やすい。
日々食べる食材で実感があるので、こうしたらいいのでは、というアイデアが出やすいからだと思う。
また、農林水産業の労働賃金は、他業種に比べると非常に安い。
だから、IT技術を使って付加価値をつけて労働賃金を上げる余地は非常に大きい。
つまり、IT技術を使って課題を解決するインパクトは非常に大きいだろう。
2つ目は、IT技術を導入する時に政府の補助金を上手く利用して導入し、そのシステムを他のりんご園にも提供していることだ。
スマホを使いリンゴの木のデータを登録するシステムは、地元の商工会議所が実施したコンテストにソフトウエアの開発を提案して補助金を出してもらい、開発したこと。
また、余計な実を未熟なうちに摘み取るりんごは捨ててしまうしかないが、その未熟なりんごを加工してりんごジュースにする提案をして補助金を出してもらい、加工工場を作ったこと。
つまり、設備投資に政府の補助金を上手く利用していること。
農林水産業では、地方活性化の旗印を作れば公共機関から援助してもらいやすい環境もあるのではと思ったりする。
あるいは、農林水産業の6次化と言われるように、生産加工で付加価値を付けたり、りんご観光などのサービスで付加価値を付けることもできるので、地方の労働者の職を支援する範囲も広がるから、地方自治体にとっても良い影響があると考えてもらいやすいのだろう。
他にも事例があれば調べてみたい。
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