製造業がRedmine導入で必ず聞く3つの質問~MS Project派がRedmine導入で悩むこと
製造業でRedmineを導入すると、必ずぶつかるのが「MS Projectの代わりになるのか?」という壁。
製造業の現場は、工程管理と階層的な進捗管理が前提。
Redmine導入で問われるのは、機能ではなく運用思想の違いだった。
製造業の現場がRedmineに求める本当の期待を整理する。
逆引きでわかる! Redmineハンドブック バージョン5.0対応 | 川端 光義 |本 | 通販 | Amazon
Amazon.co.jp: Redmineによるタスクマネジメント実践技法 : 小川 明彦, 阪井 誠: 本
Amazon.co.jp: チケット駆動開発 : 小川 明彦, 阪井 誠: 本
【1】とある製造業界のメーカーにRedmineを初めて導入しようとした時、3つの質問を受けた。
これらの質問に回答しながら、質問の背景にはどんな構造があるのか?と考えた。
【2】バージョンはガントチャートでツリー構造に表示できるのか?
答えはYes。
Redmineのガントチャートでは、プロジェクト>バージョン>チケットの順にツリー構造に表示される。
彼らの意図には何があるか?
製造業では、基本的に、月次レベルの大日程計画というマスタスケジュールを作る。
マスタスケジュールはマスケともよく言われる。
そのマスケから、週次レベルの中日程計画、日次レベルの小日程計画へ詳細化していく。
それらスケジュールは、マスケに書かれた工程をベースに詳細化するので、工程管理する方針になる。
たとえば、設計工程、発注購買工程、製造工程、みたいになる。
つまり、彼らは、スケジュールを工程管理の道具として扱い、工程の進捗を管理したい。
その時に、工程という大枠での予実管理の視点、あるいは日々の作業レベルの日次進捗として管理したい。
注意点は、バージョンに何を当てはめるのか?になるだろう。
僕ならアジャイル開発の観点になるので、バージョンに工程を当てはめる。
工程には必ず期日があるので、ロードマップ画面で各工程ではどのタスクをやるべきか、が一目で分かる。
しかし、製造業ではツリー構造で5階層、10階層と深く階層化したい欲求があるので、バージョンだけでは足りない。
結局、バージョンを使わず、チケットのツリー構造だけで管理する方針になりやすい。
ただし、Redmineの標準機能では、ガントチャート画面で大日程に当たる工程へ折り畳みできない弱点がある。
しかし、解決策があり、LycheeRedmineを入れると、折りたたみが可能だ。
例えば、
設計(大日程)
├─ メカ設計
├─ エレキ設計
├─ ソフト設計
└─ プロセス設計
の状態で ▼ をクリックすると
親チケット(大日程)
のように、子チケットを非表示にして親チケットのみの一覧表示にできる。
つまり、LycheeRedmineを入れれば、大日程計画から小日程計画まで、一つのガントチャート画面で整理できるメリットがある。
彼らは、ガントチャート画面で全てを把握したい欲求がある。
【3】MSProjcetからRedmineへ簡単に移行できるか?
答えはYes。
ただし工夫がいる。
MSProjectからExcelへエクスポートし、Redmineチケットのフォーマットに合わせる必要がある。
また、Redmine標準のCSVインポート機能では、親子チケットのようなツリー構造でインポートできない。
親チケットNoが最初は採番されていないからだ。
そこで、Excelチケット一括のようなツールを使って、採番した親チケットNoを入れ直すなどして数回インポートする手順になるだろう。
Excelからチケットを作成・更新できる「Redmineチケット★一括★」 | Redmine.JP Blog
彼らの意図には何があるか?
たいていの大手製造業では、Redmine導入前では、MSProjectを使って、まさに大日程計画から小日程計画までスケジュールを組んでいた。
彼らにはその資産、ノウハウがたくさんある。
だから、その資産であるMSProjectファイルを流用したい。
注意点は、MSProjectでやってきた運用方法をRedmineにも適用できるか?という点があるだろう。
たとえば、MSProjectでは、ベースライン機能がある。
つまり、PJ計画時、仕様変更時、のように、当初のマスタスケジュールを変更する時に、スナップショットを残し、変更管理プロセスに乗せる。
あるいは、週次で実績を記入し、週次でスナップショットを変更履歴として残す。
そうすれば、いつでも前回差分により、予実管理しやすくなる。
Redmine標準機能にはそんな機能はない。
しかし、Lychee Redmine には MS Project のようなベースライン機能がある。
しかもこれは単なる概念ではなく、ガントチャート上で「計画時点のスケジュールを保存し、現在との差分を比較する」機能として実装されている。
つまり、Redmine上でも、日次・週次レベルで差分表示する運用にすれば、朝会や週次定例などで進捗報告にも使えるだろう。
【4】チケットではタスクとタスク内のチェックリストの違いは何か?
答えは、タスクは他人へ委譲できる作業。
チェックリストは自分だけの作業手順。他人に見せるものではない。
LycheeRedmineには、チェックリスト機能があるので便利だ。
彼らの意図には何があるか?
タスクをチケットで切っていく時、チェックリスト機能もあるので、どこまで詳細化すればいいのか迷う時が出てくる。
詳細化レベルは個人の能力に依存するので、いくらでも細かく切れる。
すると、個人レベルの作業手順まで分割してしまうだろう。
そうなると、チケット枚数が増えてチケット管理が煩雑になりやすい。
本来のチケット管理は、作業の引き継ぎ、作業の割り振りのように、自分の作業を他人に委託できるレベルにすべきだろう。
細かくするほど、余計な情報になりノイズになるからだ。
つまり、チームメンバーの能力が全員高ければ、ある程度荒い粒度のチケットで回せる。
しかし、個人の能力が低いほど、細かいチケットを切らざるを得なくなる。
細かい作業レベルでしか、結果を出せないからだ。
だから、チケットは引き継ぎや委託できるレベルの粒度とし、細かい作業手順はチェックリストに落として、必要であれば親子チケットで分割すべきだろう。
【5】そんなことを考えると、製造業特有のチケット管理の特徴が出てくるだろう。
彼らのスケジュール管理には、工程管理がベースにある。
その工程管理は階層構造でツリー構造で管理したい欲求がある。
だから、MSProjectと似たような管理がしたい。
そこから、Redmineのバージョンやかんばんを使ったアジャイルな開発スタイルと相性があまり良くない。
本来は、Redmineはアジャイル開発の基盤に実装されるべきだと思うが、Redmineは機能がとても柔軟なので、従来のようなWF型開発でも実装できる。
ハイブリッドな開発も目指せるだろう。
つまり、経営層や管理者にはWF型開発をやると見せかけて、実際の現場ではチケット管理でアジャイルに開発すればいい。
その辺りのやり方も考えてみたい。
| 固定リンク
「Redmine」カテゴリの記事
- 製造業がRedmine導入で必ず聞く3つの質問~MS Project派がRedmine導入で悩むこと(2026.05.03)
- RedmineのAI支援機能はチケット管理システムにとって重要な要件だ(2026.04.29)
- マイクロマネジメントに陥ったチケット駆動開発の罠と再生戦略 #redminet(2026.04.26)
- RedmineとAIが加速させるタスク管理の未来~蓄積されたナレッジを独自のAIとして活用する可能性(2026.04.04)
- Redmine AI HelperプラグインはRedmineをAI駆動プロジェクト管理に変える可能性を秘めている #Redmine(2025.12.31)


コメント