astahによるUMLモデリング

2024/05/06

「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する

システムアーキテクチャ構築の原理」を読んでる。
平鍋さんの記事「『ソフトウェアシステムアーキテクチャ構築の原理(第2版)』読んだ #Java - Qiita」を読み直して、理解が深まった。
平鍋さんの記事に触発されたので、理解できたことをラフなメモ。
間違っていたら後で直す。

【参考】
『ソフトウェアシステムアーキテクチャ構築の原理(第2版)』読んだ #Java - Qiita

「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想: プログラマの思索

【1】「システムアーキテクチャ構築の原理」を読んでいて分かりにくかったことは、ビュー、ビューポイント、パースペクティブという概念が出てきて混乱したこと。
これらの言葉は何を表しているのか、具体的に理解できていなかった。

平鍋さんの記事「『ソフトウェアシステムアーキテクチャ構築の原理(第2版)』読んだ #Java - Qiita」では、概念モデルでまとめてくれているので理解しやすかった。

【2】図4-3.コンテクストにおけるパースペクティブが「システムアーキテクチャ構築の原理」のメッセージを全て表している。
平鍋さんの解説が分かりやすい。

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(引用抜粋 開始)
「非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える」という観点を本書は、この言説を徹底的に解説したもの。

非機能要件に限らず、横断的な視点を「パースペクティブ」として捉えている

実際にアーキテクチャを記述しようとすると、1つの文書ではとっても複雑で巨大な説明になる。「ステークホルダー」の「関心事」毎に分割するために、「ビュー」と「ビューポイント」を導入する

「パースペクティブ」は、従来の言葉で近いものとして「非機能要求」「横断的関心事」がある。本書ではこの「ビューポイント」と「パースペクティブ」のカタログを作っています。
(引用抜粋 開始)

【3】図15-1.ビュー間の関係では、ビューを開発や運用の観点で分解している。
この図は、システム開発とシステム保守で分割すれば理解しやすい。
今ならDevOpsだから、開発も運用も一体化しているだろう。

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【4】図7-3.アーキテクチャ定義のプロセスは、「システムアーキテクチャ構築の原理」が提唱している、アーキテクチャを定義し評価するプロセス。
アーキテクチャ設計の中で、特に非機能要件を含めた横断的関心事をいかにアーキテクチャに盛り込むのか、を考えた一連のプロセスになる。
プロセスの流れは、アーキテクチャ要素や横断的関心事を段階的詳細化して組み立てたあとにアーキテクチャを評価するので、違和感はない。

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【5】「システムアーキテクチャ構築の原理」では上記3つの図が本書のメッセージになると思う。
本書のやり方を各システム、各案件にテーラリングして設計、実装する必要があるから、本書は、アーキテクチャ設計のメタ概念、メタプロセスの解説書みたいな感触を持っている。

【6】「システムアーキテクチャ構築の原理」の副題「ITアーキテクトが持つべき3つの思考」が指す「3つ」とは、「ステークホルダー」「ビューポイント」「パースペクティブ」と最初に書かれている。

その意図は、ステークホルダーの横断的関心事、特に非機能要求をユーザ観点のビューポイント、システム観点のパースペクティブで分解して組み立てて、トレードオフを考慮したアーキテクチャを設計すること、を意味していると考える。

他にも気づいた他内容があれば書いていく。

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「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想

システムアーキテクチャ構築の原理」を読む機会があったので感想をラフなメモ書き。

【参考】
「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する: プログラマの思索

『ソフトウェアシステムアーキテクチャ構築の原理(第2版)』読んだ #Java - Qiita

アーキテクチャ構築の原理 第2版を読んだ - 勘と経験と読経

【0】「システムアーキテクチャ構築の原理」は最新版の第2版もある。
僕は確か、デブサミ2010の時に会場で購入した記憶があり、第1版を持っている。
その時から興味のある部分だけかいつまんで読んでいたので、全部を通して読んでいなかったので、輪読するのは良かった。

システムアーキテクチャ構築の原理」を読んで興味を持った部分はいくつかある。

【1】1つ目は、2008年の初版でありながら、マイクロサービスやサービス志向のアーキテクチャ設計を目指していること。
機能的ビュー、情報ビュー、並行性ビューなどのソフトウェア構造のアーキテクチャ設計の観点は、業務システム設計と微妙に違うな、と感じていたが、実際はクラウドベースのマイクロサービス設計を目指しているのだろう。
実際、並行性ビューでは、昔のバッチ処理設計よりもイベント駆動の並列性アーキテクチャに力点をおいている。
たとえば、REST APIやAdapter・Facadeパターンのようなアーキテクチャ設計を念頭に置いて実装しようとしている。

そう考えると、マイクロサービス設計における新たな設計思想はまだ含まれておらず、荒削りな内容を感じるが、文章の背後にある著者の思い、こういうことを言いたいのではないか、を推測しながら読むと理解できるのでは、と感じる。

【2】2つ目は、ATAMという非機能要件の設計技法を解説してくれている点だ。

データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ アーキテクチャをレビューする方法(ATAM)

ATAMはシナリオベースで非機能要件を評価する設計技法。
僕の理解では、システムのアーキテクチャの特に非機能要件を品質特性ごとに分類し詳細化して、それをシナリオに落とす。
そのシナリオを優先度付けして、シナリオベースにアーキテクチャを評価して整合性を取ったり、システム設計を明確化する。

利点は、非機能要件をアーキテクチャとして評価する技法として、シナリオベースを用いているので、アジャイル開発をやっている人には取り組みやすいと思う。
デメリットは、CMMIを作ったSEIがATAMを提唱しているので、重たいプロセスになりがちで、テーラリングが必須であり、プロマネによってばらつきが出やすいこと。

ATAMに関する日本語書籍は「システムアーキテクチャ構築の原理」と「間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価 (Software Design plus)ぐらいしかないので、貴重だと思う。

データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ 書評「間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価」

【3】3つ目は、2009年頃の書籍なので、UMLをベースとした設計を念頭に置いていること。
機能的ビューではコンポーネント図、情報的ビューではER図やDFDや概念クラス図、並列性ビューではステートマシン図を使うと良いと説明されている。
このあたりの意見は僕も同意するが、注意点はいくつかあると思う。

コンポーネント図は「アジャイルソフトウェア開発の奥義」でも重要視されている。
機能を1つのコンポーネントとみなし、コンポーネント間のインターフェイスを重視する設計は重要だと思う。
一方、コンポーネント図だけでは表現しきれない仕様や要件があり、不十分と感じる。

その点は「システムアーキテクチャ構築の原理」でも、メッセージングのやり取りは記述できないので補足説明や別の図が必要と書かれている。

並列性ビューに出てくるステートマシン図は、より詳しく書いていくと結局、詳細設計レベルになってしまう。
アーキテクチャ設計ではRFPに出てくる要件レベルまでで留めたいので、粒度を揃えるのが難しい場合が多いだろう。

【4】「システムアーキテクチャ構築の原理」を読んでいて思い出すのは、2000年代にソフトウェア・プロダクトラインが流行した頃に読んだ「 実践ソフトウェアアーキテクチャ」に出てくる一節だ。

そのボタンを押したら何が起きるのですか?~アーキテクチャは利害関係者のコミュニケーション手段: プログラマの思索

実践ソフトウェアアーキテクチャの解説記事: プログラマの思索

実践ソフトウェアアーキテクチャ」では、政府のある委員会の2日間に渡る討議の中で、新人のアーキテクトが、政府が作ろうとしているシステムのアーキテクチャをコンサル独自の記法でモデルを描いて委員会の参加者に説明していたところ、委員会の参加者たちは何が問題なのかに初めて気づいた。
そして、委員会の参加者たちは、新人のアーキテクトの説明を途中で止めさせて、システムのアーキテクチャの問題点を活発に議論し始めたという一節だ。
これが意味しているのは、アーキテクトの役割とは、システムのアーキテクチャ設計に関する最終責任者ではなく、各利害関係者の間でシステム要件のトレードオフを考慮させる調停者であることだ。

つまり、アーキテクトの役割はシステム要件を決めることではなく、システム要件のトレードオフを色んなステークホルダーに説明して理解させて、最終的な意思決定を引き出す調停者として振る舞うべきだ、ということ。
この一節は僕が一番好きなところでもある。

システムアーキテクチャ構築の原理」では、アーキテクトがすべてのパースペクティブやビューポイントを理解している全能の神のように思えてしまうが、実際はそうではなく、アカウンタビリティを持つ調停者という観点で捉えると理解しやすいと考える。

気づいた点はまた書き留めていく。

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2024/03/12

astahにタイミング図がサポートされた

astahにタイミング図がサポートされたのでメモ。

【参考】
astah* 9.2リリースノート | astah

タイミング図 | astah* 機能ガイド

plantumlでタイミング図が描けるらしい: プログラマの思索

astahとPlantUMLを行き来できるastah* PlantUML Pluginが面白い: プログラマの思索

astah* Mermaid Pluginが公開された: プログラマの思索

Timing図

わかりやすくUMLタイミング図とは

【PlantUMLの使い方】PlantUMLでタイミングチャートを作成する - システムとモデリング

UMLのタイミング図を使う機会は正直ほとんどないし、経験もない。
感覚的には、シーケンス図を横型にしたイメージを持っている。
ただ、ハードウェア設計者ならタイミング図をよく使うと聞いているので、どんな状況でどのように使うのか、調べてみたいと思う。

1つの事象を複数のダイアグラムで書いてみることで、色んな観点で気づきが得られると思うし、特有の考え方や見方に慣れるメリットもあると思う。

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2023/10/21

概念モデリングや設計原則は進化しているのか

最近、概念モデリングや設計原則の勉強会に参加して色々気づきがあった。
ラフなメモ書き。

【1】「実践UML第3版」を勉強会で読み始めた。
僕は「実践UML第1版」を購入して読んでいた。
思い出せば20年前になるのか。
そこから第2版も買ったし、最近第3版も買ってみた。
中身は変わってきているが、版を重ねるごとにオブジェクト指向設計の内容が洗練されて、RUPという開発プロセスに準じるように設計から実装、移行まで一気通貫する。

2020年代の現在、「実践UML」を再度読んで気づきがいくつかある。

【2】1つ目は、RUPはもう不要と思う。
スパイラル開発プロセスはWF型開発からの脱却という観点で重要だったが、Scrumを中心としたアジャイル開発が全盛の時代だから、わざわざテーラリングが必要な重厚長大なRUPを利用するメリットはないと思う。

【3】2つ目は、モデリングに必要なUMLのダイアグラムの力点が変わっていること。
「実践UML第1版」では、以前は協調図(コラボレーション図)、今のコミュニケーション図がオブジェクト指向設計で重要です、と主張していた。
理由は、コラボレーション図を描くことで、機能をどのクラスに割り当てるべきか、凝集度や結合度、生成などの観点で検討する時に有用だから。
オブジェクトからたくさんの指示が出ていれば責務が多すぎるね、と気づきやすいから、と。
当時の自分はすごく納得した。

実践UML第2版実践UML第3版では、クラス図やシーケンス図で説明する場面が多い。
コラボレーション図の話はなくなっていた。
たぶん、UMLの中でも重要度が下がったためだろう。

しかし、機能の割り当ての考え方は普遍的と思う。

【4】3つ目は、GRASPパターンは「情報エキスパート」パターンが一番大事ということ。
このパターンが「実践UML」の重要ポイント。

機能や責務はどのクラスに割り当てるべきか?
責務の遂行に必要な情報を持っているクラス、すなわち情報エキスパートに責務を割り当てるべきだ。

つまり、責務の遂行に必要な情報を自身のクラスの属性、関連先のクラスから取得した情報を自身のクラスで持ってること。
そして、処理を実行する時に、他クラスへメッセージを投げ出せること。

コミュニケーション図なら、情報エキスパートとなるクラスからメッセージという矢印が出ているだろう。
シーケンス図なら、情報エキスパートとなるクラスからメッセージが出て、他のクラスに処理が委譲されて、階段状の図になっているだろう。

その他のパターンも8つくらいあげられているが、そこまで重要ではないように思う。
生成、疎結合、高凝集度、多相性、コントローラは読めば分かる。
バリエーション防護壁はFacadeやAdapterみたいなもの。
純粋加工物、あるいは人工品は、機能の関連だけで構成するのではなく、ソフトウェアのプログラムの都合上、論理的なオブジェクトをワンクッション挟むようなもの。

【5】4つ目は、概念モデリングとデータモデリングは似ているようでやはり異なることだ。

「実践UML」では、概念モデリングでの注意点がいくつかある。

【6】属性とクラスは区別する。
一般に、ある概念をクラスの属性にするか、クラスで独立させるか、識別は間違いやすい。
「実践UML」の指針では、ある概念Xが現実世界では数値でもテキストでもなければ、Xは概念クラスであり、クラスの属性ではない、と言い切っている。

これは重要と思う。
初心者だった頃、どれをクラスにすべきか迷ってしまう時が多かった。
迷って、概念をクラスの属性にしてしまいがちな時が多い。

例えば、Destination、AirportはFlightに含めるべきか。
それぞれクラスとして独立させて、関連で結ぶべき。

実際は、1つの概念はクラスのロール名としていろんな別名として現れる。
例えば、企業クラスは顧客だったり仕入先だったり、取引先だったり、もしかしたらグループ内企業だったりする。
つまり、企業クラスはいろんなロール名として呼ばれる時がある。

【7】属性にはプリミティブ型を使わず、データ型を使う。
たとえば、属性にはDate型、Number型、String型を使う。
あるいは、Address、Color、PhoneNumber、UPC、SKU、ZIP、列挙型を使う。
区分値は列挙型を使う場合が多いかな。

例えば、会員クラスの会員名、会員IDみたいなものだろう。
でも、同じ会員名であっても、実際の人物は異なるケースもある。
だから、ValueObjectを別で用意して利用する場合もあるだろう。
ドメイン駆動設計なら、ValueObjectをかなり頻繁に使うだろうと思う。

【8】概念クラスの関連付けに外部キーや複合キーを書かない。
概念クラスの関連付けは、属性ではなくクラス間の関連で書く。

この部分がデータモデリングと異なるし、引っかかるところと思う。
一般にオブジェクトには唯一の主キーとなるサロゲートキーが割り当てられる場合が多いだろう。
すると、データモデリングで考えた時、外部キーや複合キーがなく、全てサロゲートキーなので、クラス間の制約条件が分かりにくくなる。
RailsのActiveRecordがそういう例になるだろう。
データモデリングなら、サロゲートキーを使っている場合、外部キーのペアが複合キーの役割を持つので強属性になるような制約をもたせるだろう。

では、概念モデルから実装モデルへ詳細化されていくうちに、関連はどう変わっていくのか?
概念モデルの関連から相手先のロール名が割り当てられて、最終的には関連はどこかのメソッドとして実装されて、そのメソッド内でロール名は変数名と同一視されて利用されるだろうと思う。

【9】概念クラス図でも、関連クラスのように、複合キーを使った事例はある。
しかし、関連クラスを多用すると、クラス図から読み取りにくくなる。
一方、データモデリングの観点では、関連クラスを複合キーを持つクラスと置き換えれば、明確な意味を読み取りやすくなる。

【10】概念モデリングでは、クラス間の関連と多重度でクラス間の制約条件を読み取る場合が多いように思う。
慣れるまで大変だけど。

【11】そんなことを考えてみると、概念モデリングや設計原則は以前よりも変化していないように思う。
UMLが流行していた2000年代からモデリング技法は進化しているのだろうか?

オブジェクト指向設計とデータモデリングの違いは他にも整理してみる。

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2023/10/14

パッケージ原則とクラス原則の違いは何なのか

パッケージ原則とクラス原則の違いについて考える時があった。
直感的なラフなメモ。

【参考】
パッケージ設計の原則を本で学ぶ - Qiita

イラストで理解するSOLID原則 - Qiita

パッケージ原則を見ると、パッケージの凝集度3つ、結合度3つの観点に分けられる。
その内容は、クラス原則であるSOLID原則をパッケージ版に拡張したように思える。

実際、単一責任の原則はパッケージの凝集度に関連するし、開放閉鎖原則はパッケージ版も同様だ。
インターフェイス分離の原則やLiskocの置換原則は、パッケージの結合度に関連してくる。

ただし、その違いはある。
1点目は、パッケージやコンポーネントの観点では、リリースできる単位が再利用できる観点と同一になる原則が最も重要になる。
理由は当たり前で、リリースして他ユーザが使えるようにするからには、他の人が再利用できる観点と同一にならざるを得ないから。

リリースモジュールは単独で動くものである一方、クラスは単独では動作できず、複数のクラスを結合して初めて一つの画面や帳票、バッチなどの機能を形成する。
この違いは大きく、再利用の観点も他者に利用してもらえる観点と、他者に読んで保守してもらえる観点の違いになる。

もう1点は、パッケージとクラスを保守する人の単位が異なる点だ。
クラスを修正する人は基本的には1人であり、コードのレビューアも関わるだろうが、1人が責任を負う。
その修正履歴はコミット履歴に残る。

一方、パッケージを保守する単位はチームや部署の単位になる。
普通は、リリースモジュールの単位はサブシステムであるから、システムごとに担当する部署があるだろう。
大規模な基幹系システムを持つ企業であれば、数多くの部署ごとに担当するシステムが異なるだろう。
つまり、サブシステムというリリースモジュールを保守するのは複数人であり、アプリ層だけでなくフロント層、インフラ層など数多くのメンバーが関わって初めて一つのシステムが動く。

すると、システム単位に開発チームが存在するので、コンウェイの法則に従うことになるだろう。
つまり、アーキテクチャ(システム)は組織に従うわけだ。
この特徴により、サブシステム間が部署間の壁となり、IFとなるので、IF連携は認識齟齬が起きやすいリスクが発生しやすい。
部署ごとにシステムが分かれることにより、システムは局所最適化されやすくなる。

そんなことを考えると、パッケージ原則とクラス原則は同じような観点が多い一方、クラス担当者やシステム担当チームの違いを認識することも必要だろうと思う。

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2023/07/02

テストアーキテクチャ設計モデルとJSTQB概念モデルの比較

平鍋さんのテストアーキテクチャ設計モデルと、自分が書いてみたJSTQB概念モデルを比較してみた。
気づきをラフなメモ。

【参考】
JaSSTで話題になったテスト設計をモデル化してみた - Qiita

JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた: プログラマの思索


テストアーキテクチャ設計モデルはかなり抽象化されたモデルと思う。
テスト評価層、テストアーキテクチャ設計層、テスト種別層、テストケース層に分かれている。

テストアーキテクチャは、システムアーキテクチャに基づくテスト設計かな?
たとえば、システム特性ごとにテストアーキテクチャは全く異なる。
組み込みソフトウェアであれば生命に関わるようなリスクは極力避ける必要があるから、安全性の観点のテスト設計が多くなるだろう。
一方、マイナンバーカードシステムのようなBtoCの基幹系システムであれば、個人情報保護が非常に重要だから、セキュリティの観点のテスト設計が多くなるだろう。
つまり、テストアーキテクチャはシステム特性に大きく依存しているはず。

テストアーキテクチャはテスト評価層で評価される観点が興味深い。
テストアーキテクチャ記述とステークホルダーが結びついている。
つまり、マネージャ、利用ユーザ、プロダクトオーナー、品質保証部門などの観点でテストアーキテクチャ記述はレビューされて評価される。
ステークホルダーごとにレビュー観点は異なるから、そういう視点が反映されている。
この点は非常に重要だ。
「このテストは誰のためにあるのか」という問いにつながるからだ。

テストコンテナという概念でテスト種別を表す点も興味深い。
最初に見た時、テストコンテナとは何だろう?と思った。
テストコンテナは、コンテナ分割方針によってグループ化されており、コンテナ分割方針はテストレベル、テストサイクル、テストタイプなどがある。
つまり、テストコンテナは、工程や品質特性、テスト期間の観点で組み立てられたテスト方針のように思えた。
おそらく、システム特性に応じたテストアーキテクチャを具体的に実装する場合、具体的にどんなテストが必要になるのか、というテスト内容が含まれていると考える。
すなわち、システムやプロジェクトごとにテスト方針がテーラリングされていることを示しているのだろう。

テストタイプにソフトウェア品質特性が関連付けられているのもミソだ。
つまり、8つのソフトウェア品質特性の観点に対応付けられた非機能テストがあることを示している。
たとえば、性能テスト、負荷テスト、耐障害性テスト、セキュリティテスト、移植性テストなど。
この考え方は「ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応」にもあったから、自分のJSTQB概念モデルに取り入れさせてもらった。

テストケース層でテストスクリプトが中核にあるのは、自動テストを意識されているからだろうと思う。


一方、自分のJSTQB_テストプロセスの概念モデルはかなり具体的だ。
テストプロセス層とテスト成果物層で分けている。

テストプロセス層では、テストプロセスを中核として、テストプロセスを分析する観点が盛り込まれている。
テストプロセスとは、テスト計画~テスト完了までの一連のテスト活動から成り立つ。

そのテストプロセスは、テストレベルという工程ごとにコンポーネントテスト、統合テスト、システムテストなどで具体化される。
また、テストタイプというテスト種類ごとに、性能テスト、負荷テスト、使用性テストなどの品質特性ごとのテストプロセスもある。
一方、テストプロセスはテスト戦略で規定される。
テストアプローチはPJごとのテスト戦略のインスタンスとみなすから、テスト戦略とテストアプローチは継承関係にした。

テスト成果物層は、主にテスト項目書から成り立つテスト成果物だ。
テスト項目書、つまりテスト仕様書は、下記の観点で分解してみた。

テストアイテムとは何か?概要や定義、現場での使われ方について解説

テストケースを各要素ごとにばらす。
・テスト対象=対象画面・帳票
・テストアイテム=画面・帳票項目
・テストスイート=特定のテストサイクルで実行されるテストケースやテスト手順のセット
・テストサイクル=テストの開始日時、終了日時

ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応」では細かい内容が多く、現場で使われる用語と違うので、概念モデルを書かないと理解しにくい。

たぶん、自分のJSTQB_テストプロセスの概念モデルをもっと抽象化して洗練させれば、テストアーキテクチャ設計モデルとマッピングできるだろうと直感している。
この辺りは気づきを残していく。

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2023/05/28

統計学の考え方をastahでまとめた

統計学の考え方を自分なりにastahでまとめた。
初心者のラフなメモ書き。

【参考】
計量経済学における統計上の根本問題: プログラマの思索

「推計学のすすめ」「経済数学の直観的方法~確率統計編」の感想: プログラマの思索

データ分析の課題はどこにあるのか: プログラマの思索

データ分析の面白さはどこにあるのか: プログラマの思索

経済学や心理学の実験で得られた理論は再現性があるのか?~内的妥当性と外的妥当性の問題点がある: プログラマの思索

経済学は信頼性革命や構造推定により大きく変貌している: プログラマの思索

統計学の考え方に関する感想: プログラマの思索

ランダム化比較試験はなぜ注目されて利用されるようになったのか: プログラマの思索

【1】統計学はいつも習得したいと思うのに、習得にすごく時間がかかる気がするのはなぜだろうか?
その理由は、統計学の考え方は独特な世界観があるからではないかと思う。

なぜ正規分布がそんなに重要なのか?
なぜならば、世界の物事のばらつきは最終的に正規分布に収まるから。
だから、観測や測定でデータを採取したら、まず正規分布を書いて、測定値がどこにプロットされるかイメージたらいい。

最小二乗法の基本思想は何か?
観測や調査で得られた測定値の誤差は正規分布に従う。
ゆえに、測定値のデータの背後にある正規分布の中心線を予測すること。
ガウスが誤差論から生み出した。

統計的仮説検定とは結局何なのか?
そのロジックは確率的な背理法。
だから、ややこしく感じる。

従来の数学や物理の理論や哲学と、昨今のビッグデータやAIなどの違いは何なのか?
従来の理論は演繹的にトップダウンで、世界を説明しようとする。
一方、昨今では、統計理論と強力なコンピューティングパワーで、ビジネスの副産物で得られた大量データを元に因果関係まで帰納的に推測してしまう。

【2】推測統計学の考え方

母集団のデータを全て調査できればよいが、実際はその中の一部のサンプルしか集められない場合が多い。
調査には時間もコストも掛かるから。

では、集めた測定値から母集団はどのような構造になるのか?
大数の定理より、サンプルから推測される母集団の背後にある正規分布を予測する。
そのためにt検定など色んなツールがある。

サンプルデータの抽出方法が上手くないと母集団のデータ構造を推測しにくい。
複数の標本を独立に選ぶことが大事。
つまり、マーケティングのセグメンテーションと同じ考え方。

母集団の平均・分散を既に知っているか、全く知らないか、で推測方法が変わってくる
母集団の平均・分散を既に知っていれば、推測する正規分布の精度は高くなるだろう。
しかし、一般には母集団の平均・分散は全く知らない場合が多いので、推測してもその分誤差は出る。

母集団が1個なのか、2つなのか、で推測方法が変わってくる。
母集団が1つなら、母集団の構造を知ることが重要。
測定したサンプルは母集団のどこにプロットされるのか、が重要なテーマになるだろう。
つまり、内的妥当性の問題になるだろう。

一方、母集団が2つなら、2つの母集団を比べて、優劣や評価を比較することになるだろう。
たとえば、補助金を与えた集団と、補助金なしの集団ではどんな行動の差があるのか、とか。
すると、その行動の差から得られた知見は、その他の母集団に適用できるか、という問題に発展するだろう。
たとえば、米国で得られた統計結果は、日本でも当てはまるのか?とか。
つまり、外的妥当性の問題になるだろう。

【3】正規分布ファミリーの全体像

正規分布には色んな種類がある。
Z分布、t分布、F分布、χ2乗分布とか。

これらの分布は、母集団の平均値や標準偏差を知っているかどうかで変わってくる。

【4】統計的仮説検定の9パターン

統計的仮説検定が理解しにくいと思う理由は、2つあると思う。
1つは、仮説的統計検定の基本思想が確率的背理法であること。
背理法の考え方でつまずきやすいのではないか。

もう一つは、推測したい母集団の平均値や標準偏差が既知なのか未知なのか、で手法が変わってくること。
たくさんの検定手法があって名前から手法の中身を推測しにくい。
前提条件をIF文で分岐処理して検定手法が確定するので、そのパターンをイメージしておかないといけない。

【5】統計検定2級は6年前に取得した。
その時に上記の考え方を自分のastahの中で色々書き込んでいた。
その時のメモを残しておいた。

これらをベースに機械学習がある。
分類(classification)、回帰(regression)、クラスタリング(clustering)、次元圧縮(dimensionality reduction)とか。
PythonのScikit-Learn のチートシートも公開されているので、またまとめておく。

Pandas Cheat Sheetのリンク: プログラマの思索

scikit-learn「アルゴリズム・チートシート」のリンク: プログラマの思索

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2023/05/26

JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた

JSTQB Fondation試験を勉強した時に、JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた。
気づきを書き残す。
まだ理解があやふやなので、間違えていたら後で直す。

【参考】
テストアイテムとは何か?概要や定義、現場での使われ方について解説

【1】JSTQBのテストの専門用語は、普段使っている言葉と意味が違っていたり、別の言葉で置き換えられる時があると分かった。
たとえば、テストレベルはテスト工程のテストプロセス、テストタイプはテストの種類に相当するだろう。

テストオラクル、テストベースなどはJSTQBで初めて知った。
たぶん、テストケースの発生源や出処となる概念を明確に区別すべきという考え方があるのではないか。

テストオラクルの用語定義: プログラマの思索

また、テストプロセスの概念モデルを描いてみて気づいたのは、JSTQBにたくさん出てくるテストの専門用語は、テスト管理ツールやテスト支援ツール、テスト自動化ツールなどのツールで使う場面をかなり意識しているのではないか、と直感している。

たとえば、テストスイートは、一般にテスト自動化ツールに読み込ませるテストケースやテストデータをイメージできる。
テストハーネスはドライバやスタブみたいなものだし、テスト環境そのものも今ならDockerで最初から環境構築を自動化できる。

【2】エラー(誤り) error、欠陥 defect、故障 failureは明確に区別される。

エラー・欠陥・故障の用語定義: プログラマの思索

一般に不具合と言われる事象は故障に相当するだろう。
不具合をバグ、障害と断定しない理由は、実際に調査してみたら、仕様通りで問題ないとか、テスト手順ミスやテスト環境の不備が原因だった、という場合があるからだろう。
不具合は、故障、不正の事象も包み込む曖昧な現象を指す場合が多いと思う。

欠陥があったからといって、故障が発生するわけではない。
欠陥のあるプログラムが実行されて初めて故障が発生する。
欠陥がプログラムに埋め込まれても、テストで発覚せず、運用していても発生しなければ、システムは問題なく動く。
しかし、欠陥そのものは存在しているわけだから、いつかは故障として発生する。
いわゆる潜在バグに相当するのだろう。

欠陥の根本原因の分析はなぜなぜ分析がよく使われるだろう。
しかし、なぜなぜ分析を現場で実際に使ってみると、なかなか効果を出すのが難しい。
メンバの力量にかなり依存するので、原因があらぬ方向に行ってしまいがち。

【3】JSTQBでは、テストチームの役割には、テストマネージャとテスト担当者の2つが少なくとも定義されている。
テストマネージャはテスト計画フェーズで中心的役割を果たす。
テスト実行フェーズ以後の具体的な作業はテスト担当者に任せるようだ。
つまり、テストマネージャはプロジェクトマネージャやストラテジストに近いイメージを持った。

JSTQBのAdvancedLevelはテストマネージャ試験がある。
ただし、業務経験が必須らしい。

【4】テスト管理や品質管理については、TestLinkを試していた頃に随分色々考えていた。

TestLink: プログラマの思索

プログラミングやシステム設計とは異なる考え方を知ったり、試したりするのが面白かった。
残念なのは、テスト管理ツールはほとんどが有償であり、OSSのTestLinkしか試せなかったことだった。

テスト管理ツールTestRail、CAT、QualityForwardの感想: プログラマの思索

テスト管理ツールCAT、TestRail、QualityForwardのオンラインのマニュアルのリンク: プログラマの思索

今持っている問題意識は、2023年の現在、ソフトウェアテストを支援するテストツールはどんな方向に進化しようとしているのか、ということ。
上記の記事にも書いたが、日本のIT企業やユーザ企業が考える品質と、欧米企業が考える品質は異なる。
日本人は機能の細かい品質までこだわるが、現代はアジャイル開発が普及して一般的になっていて、その考え方が時代に合わない部分もある。
アジャイル開発に適した品質とは何なのか?
そして、AIなどを使ってもっとテストそのものを進化させることはできるのか?

この辺りは色々考えてみたいと思っている。

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2023/05/13

第85回IT勉強宴会の感想~概念データモデルからビジネスモデルを構築すべきという考え方

土曜に開かれた第85回IT勉強宴会で、真野さんがデータモデリングの観点でエンタープライズシステム設計を講演されたのでオンラインで聞いた。
講演内容を知った前提で、感想をラフなメモ書き。

【参考】
概念モデルの効用を知ろう - connpass

概念モデルの効用を知ろう(第88回IT勉強宴会inZOOM/大阪サテライト) | IT勉強宴会blog

第39回IT勉強宴会の感想~花束を作る花屋の業務モデルをT字形ERと三要素分析法で比較する: プログラマの思索

第62回IT勉強宴会のメモ~2人の方法論者によるデータモデリング激レア対談: プログラマの思索

「データモデリング入門-astah*を使って、TMの手法を使う-」はとても良いモデリング資料: プログラマの思索

業務ロジックをデータモデリングはどこまで表現できるか?: プログラマの思索

リソース数がビジネスの可能性に関係する理由: プログラマの思索

【1】講演のメッセージは、DXで新規ビジネスを創出したいなら、概念データモデルを描くことから出発しよう、ということ。

メッセージの背景にある課題は、昨今、IOTやSaaSなどのSoE、既存の業務システムのSoRなど色んなところから数多くのデータがビジネスの副産物として簡単に入手して蓄積できるようになった
そのデータをAIや機械学習に食わせて分析するようにしたい。
しかし、色んな入り口から源泉データが発生し、途中で加工されて雪だるま式に派生データが積み重なり、複雑なトランザクションデータになっている。
そのためにそのデータを利活用しようとすると、派生データを取り除き、源泉データを区別して本来のデータを抽出する仕組みが必要だ、という問題意識。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「我々が扱おうとしているのは、大半が加工・集約された派生データである。データがどこで加工されたのか、出処はどこなのかを探ることが重要。源泉データを突き止めるためにデータの系統図、データの変遷をたどるのが必要。イベントを時系列に並べてリソースを抽出する、ということかな? #benkyoenkai」 / Twitter

そこで、SoE領域、SoR領域などの源泉データからどのように加工されてデータ連携基盤ハブにたどり着くのか、をデータモデルの観点から整理分類し、データクレンジングしたきれいなデータをデータ活用基盤へ連携してAIや機械学習に使ってもらうという仕組みにする。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「源泉データがレガシーなSoRだったり、SaaSのSoEだったり、データレイクからだったり色々ある。そういう風にデータが時系列で加工されていく過程が見える。 #benkyoenkai」 / Twitter

講演では、製造業のサプライチェーン全てをデータモデル化し、コスト最適化の観点でシミュレーションとして使う事例が紹介されていた。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「取引先や原材料、中間加工品の調達関係を描いたデータモデルが必要となる。制約条件は、取引先や原材料、中間加工品の調達関係を描いたデータモデルが必要となること。事業部間のデータ統合ができていることが前提。プロセスの再現だけではデジタルツインは実現できない。 #benkyoenkai」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています: 「デジタルツインでは、データ連携基盤Hubが重要。SoRが源泉データ。SoRからデータ連携基盤Hubを経てデータ活用基盤へデータが流れることになる。 #benkyoenkai」 / Twitter

僕の感覚では、雪だるま式に加工されて複雑化したトランザクションデータを時系列に並べて、マスタ(リソース)をトランザクション(イベント)と区別して抽出し、イベントやリソースをそれぞれ管理する仕組みを作る、というように捉えた。
実際の分析手法では、データモデルの正規化も使うし、クラスとインスタンスを区別することでクラスを抽出しロールとしてポリモルフィックに振る舞わせるように整理する。

講演では、顧客というクラスは、顧客、消費者、代理店、法人客というロールがある例が紹介されていた。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「データモデリングは分類学である、とデータ総研の方は言っておられた、と。顧客、消費者、代理店、法人客などのロールを分類して、特化・汎化のER図で描く。IDEF1Xなのでオブジェクト指向設計と同じ。パーティモデルの概念と同じ。 #benkyoenkai」 / Twitter

【2】データモデルを作る目的は3つ。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「データモデルを作る目的。3つある。ビジネス構成要素や業務ルールを把握する。保有するデータをAI機械学習の入力源にする。新規ITシステム構築に活用する。 #benkyoenkai」 / Twitter

【3】概念データモデルを描くメリットは何か?
メリットは2つある。

1つ目は、ビジネス構成要素を資源(リソース)と活動(イベント)の2種類に整理統合することによって、今後新たなビジネスモデルを生み出す材料として扱えること。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「ビジネスの構成要素は資源(リソース)と活動(イベント)からなる。リソースは普通のマスタ、イベントは普通のトランザクションとみなせるね。羽生さんの本ではイベントに注目するとデータモデルを作りやすいと言っていたなあ。時系列に並べれば自然にDFDみたいなER図が描けるから #benkyoenkai」 / Twitter

データモデルのエンティティをイベントとリソースの2種類に整理するアイデアは、T字型ER(旧)や羽生さんのデータモデリング手法でも出てくる。
羽生さん本では、イベントは必ず日付があること、そこからイベントとリソースを区別しましょう、と言っていた。

「データモデリング入門-astah*を使って、TMの手法を使う-」はとても良いモデリング資料: プログラマの思索

業務ロジックをデータモデリングはどこまで表現できるか?: プログラマの思索

ここで、イベントの数とリソースの数を数えて、もしイベントの数がリソースよりも少ないならば、リソースを組み合わせて新たなイベント(トランザクション)を生み出すことで、新たなビジネスモデルを考える切っ掛けの一つになりうる。

リソース数がビジネスの可能性に関係する理由: プログラマの思索

第39回IT勉強宴会の感想~花束を作る花屋の業務モデルをT字形ERと三要素分析法で比較する: プログラマの思索
(引用開始)
リソースの数よりもイベントの数が少ない場合、リソースの組合せで発生する可能性のある対照表というイベントは、その会社の業務として存在していない事実がある。
すなわち、新しい業務を生成することで、新規ビジネスを作り出す根拠になりうる。
(引用修了)

2つ目は、講演では、プロセス指向設計で使われる業務フロー図では、既存の業務フローで業務を入れ替え・削除したり、担当組織を入れ替える程度であって、BPRや業務改善しかできない。
DXで本来やりたい新規ビジネスモデルを生み出すことは、業務フロー図からでは発想できない弱点がある。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「データモデルの活用例の1つはDXへの適用。経営者、業務部門、IT部門のコミュニケーションツールとして使う。ビジネス創出のためには業務フローアプローチではBPRや業務改善に留まり、新規ビジネス抽出につながらない。順序入れ替え、組織分担変更のレベルにすぎない #benkyoenkai」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています: 「都度受注モデルからサブリスクプション契約モデルへビジネスを変更する。エンティティの置き換えだけでなく、新規イベント、新規リソースの追加が必要になることが明確に分かる。すると、新規イベント、新規リソースを保守管理する組織も必要になるだろう。 #benkyoenkai」 / Twitter

概念データモデルでAsIsモデルを描き、そこからエンティティを出し入れすることで、新規ビジネスモデルを生み出せるはず、と講演では説明されていた。

この部分については、なるほどと納得できる部分もあるが、本当にそうなのかという疑問も生じる。
確かに、講演で例に出た、AsIsの受注契約モデルとToBeのサブスクリプション契約モデルでは、業務フロー図でAsIsからToBeは出てこないだろう。
なぜなら、サブスクリプション契約モデルは誰も知らない初めてのビジネスモデルなので、業務フローをそもそも描くことすら難しい。
どんな業務が必要で、どの組織が業務のどのプロセスを担当して回すのか、そういう具体的な細かい粒度まで落とし込むのは至難の業だ。

しかし、AsIsの受注契約モデルとToBeのサブスクリプション契約モデルでは、概念データモデルを描いてみると構造はかなり違う。
契約エンティティなどの一部のエンティティは同じだが、AsIsモデルでリレーションシップや新たなエンティティをちょっとだけECRSでいじればToBeが出てくる、というのはちょっと無理があると思う。
実際、QAタイムでは、既存のAsIsモデルの概念データモデルでエンティティをECRSで出し入れする程度でToBeモデルが作れるのか、という質問もあった。

概念データモデルで新規ビジネスモデルを描く重要性は理解できるが、具体的なデータモデルを整合性が取れるように生み出すことは、別次元の作業なのだろうと思う。

【4】概念データモデルとオブジェクト指向設計、ドメイン駆動設計の違いは何なのか?

講演で紹介された概念データモデルはIDEF1Xで描かれていた。

ER図 (Entity-relatonship Diagram) | astah* 機能ガイド

IDEF1Xのエンティティ同士の関連線はクラス図と異なるが、多重度を書いたりロールを書いたりするのでクラス図に似ている。
オブジェクト指向設計やドメイン駆動設計が好きな人は、たぶん違和感なくIDEF1Xの概念データモデルを理解できるだろうと思う。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「受注出荷のデータモデルをIDEF1XのER図、DFDで描かれた事例。クラス図に読み替えやすい。 #benkyoenkai」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています: 「受注出荷モデルの例。受注と出荷の関係が1対1、1対多では何が違うか?受注単位の出荷、一括受注して分割出荷。IDEF1XのER図はクラス図に似てるのでドメイン駆動設計が好きな人は読みやすいと思う  #benkyoenkai」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています: 「抽象化したエンティティはロール概念を用いて関連付けることができる。真野さんが説明されるデータモデルはクラス図にそのまま置き換えられるね。 #benkyoenkai」 / Twitter

データモデリングがなかなか普及しない原因の一つは、ドメイン駆動設計が好きな人はデータモデルを読み解きにくい現象が多いのではないか、と推測するので、この辺りは1つのきっかけになるかもしれない。

【4】渡辺さん式データモデルと真野さんの講演で出てくる概念データモデルの違いは何なのか?

真野さんの講演で出てくるデータモデルは概念モデルレベルなので、エンティティ名しか書かれていない例が多い。
一方、渡辺さん式データモデルは、すべての属性を書き出し、関係従属性の意図まで明確に表していて、実際のデータの例も書いているので、より具体的だ。
実装モデルそのものと言っていい。

だから、渡辺さん式データモデルではテーブル仕様書をそのまま出力できるレベルであり、Railsのようなフレームワークを使えばすぐにCRUD画面も作れる。
つまり、どんな画面や帳票が必要で、どんな業務や画面操作でデータが生成されて更新されていくか、というレベルまで全て把握できている。
だから、ローコード開発やノーコード開発と相性がいい。
たぶん、SalesforceやKintoneのようなローコード開発ツールと相性が良いと思う。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「真野さんのデータモデルはIDEF1Xで描かれてるので、渡辺さんのER図とは見た目は違う。個人的には、渡辺さんは関係従属性の意図まで明確にしインスタンスも例示するので、より実装モデルに近いと思う。だからローコード開発と相性がいい。 #benkyoenkai」 / Twitter

しかし、関数従属性やキーの種類の理解が深くないと、データモデルを読み解くのは難しいと思う。

再入門:「正規化崩し」としてのサロゲートキー - connpass

(引用開始)
・候補キー(candidate key):レコードを一意に特定するキー。1テーブルに複数存在することがある
・主キー(primary key):代表として定めた候補キー。項目値の変更は許されない
・単独主キー(single primary key):1項目で出来ている主キー
・複合主キー(composite primary key):2つ以上の項目で出来ている主キー
・自然キー(natural key):業務上意識されている候補キー。単独主キーか複合主キーかは問わない
・サロゲートキー(surrogate key):業務上意識されていない単独主キー。代理キーともいう
(引用修了)

サロゲート単独主キー vs 複合主キーの話、予習編 - たなかこういちの開発ノート

アーキテクトは、データモデルから業務フロー図、画面帳票、組織構成までイメージできる能力を求められる。
たとえば、渡辺さんの本を読めば、ほとんどデータモデルばかりでDFDは少しだけしか紹介されていないので、実際にどんな業務フローが必要になってくるのか、は自力で考えなければならない。
渡辺さんの本に出てくるデータモデルでは、複合主キーや外部キー、特に2次識別子(Alternative Key)が巧妙に使われていて、業務ルールや制約条件を表しているので、注意深く読まなければ割と読み落としやすい。

【5】概念データモデルはどの工程で使われて、どんな役割の人が担当すべきなのか?

講演では明示的な説明がなかったように思うが、常識で考えると、企画フェーズや要件定義で概念データモデルが作られる。
担当者はアーキテクトのレベルの人になるだろう。

作られた概念データモデルの粒度は、講演で紹介された粒度ならば、エンティティ名だけでかなり曖昧。
渡辺さん式データモデルの粒度なら、論理モデルまで落とし込む必要がある。
その場合、そこからすぐに実装モデルに置き換えられるから、ローコード開発ツールを使うことを前提にしているだろう

最近はデータモデリングから離れていたので、講演を聞いてすごくワクワクしながら聞いていた。
改めて、データモデリングのテクニックを自分なりに整理してみたいと思う。

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2023/04/15

令和4年度春期試験のITストラテジスト試験第4問をastahでモデル化してみた

令和4年度春期試験のITストラテジスト試験第4問について、問題文の構造をastahで図式化してみた。
自分のメモ用に残しておく。

【参考】
ITストラテジスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

令和4年度春期試験のITストラテジスト試験

【1】ストラテジスト試験第4問は必ず組込みソフトウェア開発企業のテーマになる。
今回のテーマは「電力自由化や再生エネルギー切り替えの環境変化に対し、電力会社の子会社が局地的な気象予測システムを開発し、親会社と連携することで新規顧客開拓を狙う」事例。

SDGsや二酸化炭素排出削減、環境意識の流れ、EV化などの最近の事情を考えると、よく考えられたテーマと思う。

【2】ストラテジスト試験第4問の特徴はいくつかある。

【2-1】1つ目は、登場人物が非常に多いこと。
今回の事例を3C分析で書いてみるとすごくよく分かる。

St_r4_pm1_4_3c

【2-2】特に、協力者が重要な要素になる。
なぜならば、組込みソフトウェア開発企業は特定のアプリケーションソフトウェア開発には強いが、ハードウェア製品の開発は弱かったり、GISや気象データ、特殊技術を持つソフトウェア企業と連携する必要があるからだ。
自社にない経営資源は、外部企業と提携することで解決するためだ。

この事例では、GISデータを持つ企業、気象測器を製品販売する企業が協力者になる。

【2-3】2つ目は、脅威として法規制や政治情勢、社会ニーズなどのPEST分析が必要になること。
特に、法規制が多い。
人命にかかわるソフトウェアやハードウェアであればなおさらだ。
法規制の要件により、ハードウェア機器もソフトウェアも制限を受けるし、その分、コストがかかったり、ソフトウェア開発の難易度が上がる。

一般に、法規制は国が定めるので、政府や国という登場人物が出たら、法規制に必ず関わることになる。

【2-4】3つ目は、事業戦略の方向性は、新規顧客開拓が基本である点だ。
一般に、今までの既存顧客だけでは売上が減少気味だったり、SSGsなどの環境変化で新たなニーズが生まれている背景があるから、新たな市場へ乗り出さないといけない、という方向性になりやすい。

では、新規顧客開拓に必要な経営資源は何か?
一般には、地域に根ざした営業力、特定の分野に特化した技術力があげられる。
技術力の例には、ソフトウェア開発力もあるし、保守サービス、AIやハードに特化したソフトウェア技術などがある。

すると成長戦略として、今までに培った技術力で新製品や新サービスを開発し、営業力を活かして新たなニーズを持つ顧客へ販売する、という方向性になる。
つまり、かなり積極的な経営戦略になるだろうと思う。

【3】今回の事例をSWOT分析してみたモデルを描いてみた。
モデルを描いて気づいた点は、いくつかある。

St_r4_pm1_4_

【3-1】1つ目は、協力企業と連携する箇所は必ずシステムの機能追加が必要になること。
例えば、気象予測システムに「電力の融通量を計算する情報システム」と外部連携する機能が必要になる。
この外部連携機能により、他の電力会社に局地的な気象情報に基づく情報を連携し、電力の大きな変動に対応して、全国規模の効率化を図ることになる。

たとえば、気象予測システムにGISデータを取り込む機能が必要になる。
局所的な気象は土地の起伏や構成要素に密接に関係するので、GISと連動させる必要があるからだ。
よって、GISの地図データを扱う企業と連携する必要がある。

まあ考えてみれば、協力企業と情報連携するわけだから、外部連携機能は必須になるのは当たり前。

【3-2】2つ目は、政府の方針や法規制にかかわる要件は、システムの機能に埋め込まれていること。
たとえば、気象業務法により、定められた人数以上の気象予報士を雇用する必要がある。
よって、気象予測システムでAI分析したデータは、必ず気象予報士がチェックして、顧客へ広報するという業務がシステムに埋め込まれることになる。

たとえば、政府は電力自由化を促進する必要があり、電力不足を防ぐ必要があるので、電力会社間で電力を融通してほしい思惑がある。
よって、気象予測システムと電力会社が持つ電力量算出システムが連携して対応する必要がある。

つまり、法規制や政府方針に関わる要件は、システムのどの機能で実現するのか、を必ずチェックしておく必要がある。

【3-3】3つ目は、課題の解決や経営資源がシステムの機能と密接に関係していること。
たとえば、局地気象予測システムでは、気象測器を高密度に多数設置する必要があるので通信手段が必要になる。
そこで、親会社の電力会社が持つ通信インフラである有線・無線ネットワークを利用することで解決する。
つまり、経営資源を活用することで、システムに足りない機能や環境を補充することになる。

たとえば、局地気象予測システムでは、気象測器は修理対応や交換を伴う定期保守が必要になる。
しかし、観測成果を発表するには、気象測器は基本は検定合格品を使用しなければならないが、高価であり、製品販売する企業も少ない。
そこで、観測成果の発表を止める代わりに、検定合格しない安めの製品を利用すること、親会社D社の強みである災害時を想定した保守体制を活用して、検定合格しない製品販売のZ社と提携し、予備機の追加や製品修理だけの保守を契約することで対応する。
つまり、投資効果のバランスを取っているわけだ。

【4】ストラテジストの他の問題もastahでモデル化してみると、販路開拓を目指す新規事業とそれを実現するシステム要件がうまく関連していることがよく分かって面白い。
ベンチャー企業も、新規事業を起こしたい大企業も、こういう発想でシステムを開発しようとしているのだろう。
他にも試してみたいと思う。

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