日記・コラム・つぶやき

2022/04/18

物理学を攻略するためのマップ

物理学を攻略するためのマップを見つけたのでメモ。

初心者向けガイド - 物理 攻略 Wiki

物理学は一つの認識論: プログラマの思索

数学や物理は背景にある思想を知らなければ理解できない: プログラマの思索

『ものづくりの数学』の感想 #もの数: プログラマの思索

理系脳かどうかの分かれ道は、物理学が好きかどうか、物理学を習得できているかどうか、だと思う。
なぜならば、いくら数学ができたとしても、その数学テクニックを実際の自然科学の場で使えなければ意味がないからだ。
化学や生物学などの根底には物理学の理論があるので、最終的には物理学がわかっている必要がある。
物理を習得できれば、小難しい数学の理論を実際にどのように使っているのか、理解しやすい。

たとえば、微積分なら微分方程式を使いこなすことだろうし、微分方程式を使いこなせれば、古典力学の現象をほぼすべて表現できる。
解析力学がその最終到達点になるだろう。
たとえば、線形代数やベクトルは、電磁気学、相対性理論、量子力学などで実際に使えば分かる。

しかし、高校物理では微分方程式を扱えないので、古典力学や電磁気学などでは、やたらと公式を覚えざるを得なくなる。
だから、高校物理の受験問題にフィットしすぎると、本来の物理が理解しにくくなると思う。

その現象はちょうど、私立中学受験で鶴亀算のテクニックを極めすぎて、連立方程式や線形代数の理解を妨げるのと同じだ。

また、理論物理学の範囲は非常に広く、さらに奥深いので、なかなか習得しにくい。
量子力学を習得する前に解析力学も必要になるように、前段の理論や知識を習得しておかないと前に進めない。

そんな時に、物理学を攻略するためのマップを見つけて、こういうマップを事前に知っておけば良かったと思った。
なぜならば、物理学を制覇するためにはどんなルートを通る必要があって、どれくらいの難易度があるのか、を物理攻略マップからある程度概観できるからだ。

僕個人の考えでは、理論物理学を習得したいならば、量子力学と相対性理論はマスターする必要があると思う。
換言すれば、量子力学と相対性理論という2代巨峰を習得できれば、その他の物理の専門分野は理解しやすいだろう。
ちょうど、量子力学と相対性理論という2代巨峰から、その他の山々を見下ろす感じみたいに。

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2022/04/10

『ものづくりの数学』の感想 #もの数

今朝、講演会『ものづくりの数学』に参加してきた。
感想をラフなメモ。
全くロジカルでないメモ。

【参考】
講演会『ものづくりの数学』 - connpass

講演会のテーマは、『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法 | 松谷茂樹』の著者の先生に、企業の技術者と理論物理・純粋数学の科学者という2つの立場から、ものづくりの現場に現代数学をどのように導入して効果を上げるべきか、という内容だった。
内容は相当難しいと思う。

改めて『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法 | 松谷茂樹』を読み切ってみると、読者の対象は、大学で純粋数学や理論物理、理論化学を学んだ後、社会人では一般企業の技術者や管理者、IT業界の技術者になった人だろうと思う。
大学の理論研究の経験と一般企業でのビジネス経験の両方がなければ、この本の意義は理解しにくいだろうと思う。

なぜなら、『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法 | 松谷茂樹』の内容はすごく抽象的だからだ。
実際、数式は出てこないけれど、現代数学がメーカーの製品開発の背景にあるという経験がなければ腑に落ちないだろう。
また、ポパーの反証主義、トーマス・クーンのパラダイム論やフッサール現象学、ソシュールの記号論などの概念がふんだんに引用されるので、なぜこの知識が必要なのか、という意図がつかめないだろう。
専門の科学者集団はパラダイムに囚われすぎているという先生の指摘は斬新ですごく面白かった。

僕が感じた感想は3つある。

【1】今の日本の弱点は、ハードウェアに付加価値をつける点では新興国の韓国・台湾・中国に追い越され、ソフトウェアやシステムで付加価値をつける点では、米国に負けてしまっていること。
その問題を解決する時に、現代数学が役立つよ、という主張だった。
その製品開発のフェーズに現代数学を使ってモデル化を図って、理論の裏付けを持った技術に育て上げるような方向性だろうか。

だが、ハードウェアの付加価値に差別化を図ろうとする場合、より尖った製品を開発するのは困難だろうと思う。
そのマーケットがそもそも売上や利益が出るような規模なのか、そこにマーケティングを実施して掘り起こせるのか。
その市場で売上を確保できる期間が十分にあるのか。
今の時代は、世界の工場である中国にほとんど製造拠点を持って行かれているので、日本も米国のように、おそらくAppleのように安いハードウェアにソフトウェアやブランドという付加価値を付けて高値で売るようなビジネスに行かざるを得ないのではないか、と思った。

すると、ソフトウェアやシステムで付加価値をつけるフェーズで、現代数学とコンピュータサイエンスを組み合わせて、技術の差別化やビジネスモデルの構築を図る、みたいな方向性が王道になるのではと思う。
しかし、日本から世界に通用するプラットフォームビジネスを生み出せるのか。
日本で現代数学も使えるようなIT技術者を育成できるのか。

先生のお話を聞くと、日本の大学という制度はもう時代に即していないんだなと改めて思う。
明治から昭和までのやり方を未だに大学で続けようとしているが、令和の時代では違うでしょ、みたいな感じ。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「今聞いているけど面白い。今の日本の大学という制度は時代に即していないと先生が言い切るのがすごいね。大学もお金を集めないとやっていけない現状、理論の専門家が企業に必要なのに大学が人材供給できていない現状とか色々あるだろうな。#もの数 講演会『ものづくりの数学』 https://t.co/8ijd5ko08g」 / Twitter

【2】先生のお話で面白かったのは、純粋数学や理論物理などの科学者の専門集団はパラダイムに囚われすぎていて、彼らだけに通じる基準と運用で維持し続けられているが、常にその存在意義の正当性を問われているという指摘だった。
自分も大学で数学の研究に従事していた時があったので、その雰囲気がそういう観点で見られているのが斬新だった。

ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法』にかかれているトーマス・クーンのパラダイム論の解釈を読むと、科学者という専門集団は真理を追いかけているように見えるが、すごく閉鎖的な集団なんだよ、という意見に聞こえてしまうのが不思議だった。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「問題解決者よりも問題定義者が重要。学会はパラダイムに囚われすぎている。ビジネスの現場で抱えている問題は既存の学会や理論で解決できるとは限らず、むしろ無い場合が多い。現場の問題に忠実に認識してその問題を数学で分解して定義し、その一つを大学へアウトソースして解決してもらうとか #もの数」 / Twitter

一方、ビジネスマンは企業の現場で解決したい問題がすでにある。
その問題は理論や学術面で意義は小さいかもしれないが、その現場ではすごく価値がある。
そういう問題を解くのに現代数学という理論を使うとより効果的だよ、と。
そして、大学での理論研究と企業の現場の違いを認識して上手く利用したほうがいいよ、と。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「ビジネスと理論のような大学の場の双方を知るような人材をどうやれば育てられるか?先生曰く。ビジネスマンは大学の弱点や問題点を知るのが大事。そんな話を聞くと、日本の大学は時代に即していない感じがするね。 #もの数」 / Twitter

特に、理論と技術の間にはタイムラグがある。
このタイムラグはいわゆる、死の谷、魔の川、ダーウィンの海に相当する。
すると、理論を研究したり使う時も、その技術がビジネスに使えて実際に威力を発揮できるには、いくつかのハードルを越える必要がある。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「#もの数 フィリップスを作ったカシミールの考え方。科学と技術は違う。資本主義企業が科学を引っ張るというモデルを経営者は持つがそうではない。量子力学が生まれた時、ビジネスとも関係なく、半導体やコンピュータのビジネスに繋がることは誰も知らなかった。」 / Twitter

【3】なぜ現代数学の理論が企業の技術者やIT技術者に求められるのか?
その理由は、現場の問題を解決しようとする時、既に知られている技術や小手先の知識だけでは対処できず、20世紀以後の現代数学の理論を最終的に使わないといけない場面が出てきているからだろう。

例えば、線形代数の利用シーンが連立方程式や固有値計算だけではなく、代数・幾何・解析・確率論などの色んな場面で使われている。
特に、線形代数の理論は、ニューラルネットワークや機械学習のモデルの計算ではよく使われている。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「先生曰く。現代数学は線形代数化している。現代数学は幾何学化している。代数幾何学も線形代数にすぎない。色んな所で線形代数が出てくるのにどの書籍にも解説していない。だから出版した、と。 #もの数」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています: 「平鍋さん曰く。行列はAIや機械学習で解きたいデータを表現していて、それを線形代数の理論で解くものと思っていた。なるほど、そういう見方で考えれば画像認識技術にAIが使われる意味が分かる気がする。 #もの数」 / Twitter

先生の話では「位相」という言葉がよく出てきて、どういう意味で使っているのか、当初は理解しにくかった。
ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法 | 松谷茂樹』を読んでみると、いろんな事象を分類する基準、その構造の近さを同値関係で表していると思った。

akipiiさんはTwitterを使っています: 「位相とは何ですか?という質問に先生曰く。数学者は点ではなく部分集合で考える。だから、関数単体で考えるのではなく、関数の集合で考えて、εδ論法でその構造の近さを同値関係で測定して、同じ・違うで分類するわけか。工業化学をやった人はこの考え方が分かってないと言われた。 #もの数」 / Twitter

代数幾何学が楕円曲線をドーナツの形で分類するように、いろんな事象を数学で捉える時、点ではなく部分集合でカテゴリ化して、εδ論法でその構造の近さを同値関係で測定して、同じ・違うで分類するという発想と思えた。
たぶん、現代数学を知らない人向けにそういう意味で使っているのかな、と想像した。

【4】『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法 | 松谷茂樹』はとても良い本と思うけれど、現代数学の知識を適用する場所は、メーカーの現場の問題よりも、経済学に関する問題の方がよりインパクトがあるのではないかと僕は思っている。
なぜなら、数学者や物理などの科学者は1990年代頃から経済学や金融にシフトしていること、数学の理論を使えばIT技術と経済学や金融がすごく相性が良いことが分かってきたからだろうと思う。

講演会の参加者には、データサイエンスに詳しい方が割と多い気がしたけど、その人達のバックグラウンドはむしろ、経済事象やマーケティング事象などの社会科学の方が近い気がする。

IT企業が経済学者を雇い始めた理由が面白い: プログラマの思索

計量経済学における統計上の根本問題: プログラマの思索

みんなのPython勉強会#65の感想~社会変革の鍵はIT技術者にあるのかもしれない: プログラマの思索

経済学は信頼性革命や構造推定により大きく変貌している: プログラマの思索

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経済数学の直観的方法の感想: プログラマの思索

「推計学のすすめ」「経済数学の直観的方法~確率統計編」の感想: プログラマの思索

僕の問題意識はちょっと別の方向にあるかもしれない。

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2022/03/25

世界5大宗教入門の感想~世界の人間は宗教で生かされている

世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門」を読んで、ポジティブシンキングはプロテスタントの予定説から生まれているのではないかという仮説を持った。
ラフなメモ。

【1】以前、キリスト教の聖書の本を読んですごく面白くてハマった。

捏造された聖書の感想: プログラマの思索

しかし、カルヴァン派の予定説の考え方だけはよく分からなかった。
人が生まれた時点で、あなたは天国に行くのか、地獄に行くのか決まっている、と言われて、果たして人は真面目に生きるのか?と疑問に思ったから。

世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門」によれば、予定説の考え方は、あなたが死ぬ時に天国に行くのか、地獄に行くのか、神様が既に決めているが、今は確かに分からない。
でも、天国に行けると信じて、頑張りなさい、と励ましているのだ。

この考え方は、米国人のポジティブシンキングに似ている、という。
君には能力があると信じて頑張りなさい。
すると、本人はそれを信じて頑張ったら、実際に成果が出るようになる。
そうすれば、本人も自信がついて、さらに頑張ろうという気になる。
そういう成長のらせん構造にスムーズに乗っかかれる、と。

【2】キリスト教の聖書のおかげで、欧米人はプレゼン能力が上がっているのではないか、と言う。
実際、聖書の内容は、とてもドラマチックで、小説として読んでも面白い。
だから、他人に聖書を読み聞かせる時に、いかに人を引きつけるか、という観点で、プレゼンできる仕組みがある、という。

確かに、キリストの生涯の話は、波乱万丈でドラマティックだ。
おとぎ話や小説のように読み聞かせるテクニックが生まれる余地があったのかもしれない。

【3】「世界94カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門」を読んだ後、牛尾剛さんのブログを読んで、心の拠り所に宗教を持つのは心の安定を保つための一つの手法なんだなと理解した。

生産性の向上のための孤独感の解消とエネルギー強化|牛尾 剛|note

アメリカに住んでいるとクリスチャンになるととてもいいことが多い話|牛尾 剛|note

人間は政治環境に左右されやすいので、こういう宗教のような価値観や拠り所がなければ、生きていけないのかもしれない。

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「大国政治の悲劇」の感想~現代はパワーポリティクスの歴史に戻ったみたいだ

大国政治の悲劇 | ジョン・J・ミアシャイマー, 奥山 真司を読んだ。
まさにロシア侵略のウクライナ紛争のタイミングで読むと、彼らがこの本で書いた通りに行動しているのではないか、と思った。
ラフなメモ。

【1】まず最初に断っておくと、この本は672ページという大著であり、注釈だけでも150ページもある。
論文みたいな本だ。
しかし、内容はとてもロジカルだ。
この本のプランは最初の第1章の最後に書かれている。

【2】まず、なぜ国家はパワーを求めて競争するのか、なぜ国家は覇権を求めるのか、という2つの問題を提示し、この問題が国際政治学で重要な根本問題であることを示す。

数学で言えばwell-defined、論文のお作法で言えば、justifyに相当するだろう。
つまり、この本で提示する問題の正当性を示す。

【3】次に、なぜ国家はパワーを求めて競争するのか、という問題を分析するために、2つのことを行う。
一つは、パワーを定義する。
もう一つは、国家が活動する舞台である国際システムにおいて、5つの仮定を置き、そこから国家がどのような行動を取るのか、を導き、最終的に最初の根本問題を解決する。

数学で言えば、公理系を最初に打ち立てて、そこから命題、定理、系を導くやり方に相当する。

僕はこの本を読んでいて、まるで過去に数学を研究していた時のことを思い出した。
数学のやり方はこういう社会科学、歴史学においても使えるのか、と改めてびっくりした。

この本を読んで、気づいた点はいくつかある。

【4】1つ目は、ミアシャイマーが提唱する理論「オフェンシブ・リアリズム」の結論は、国家は機会があれば覇権を求めて行動するので、世界は必ず対立し戦争が起こる。
ただし、その対立構造には、安定した二極世界、安定した多極世界、不安定な多極世界という種類がいくつかある。

【5】2つ目は、ポール・ケネディの「決定版 大国の興亡―1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争〈上巻〉 | ポール ケネディ」の通り、国家の国力は、軍事力と経済力の2つであり、そのバランスが重要である、ということ。

【6】3つ目は、ハルフォード・マッキンダーが提唱した地政学の理論に似ているな、という点。

ランドパワー - Wikipedia

シーパワー - Wikipedia

オフェンシブ・リアリズムでは、覇権を求める国家はせいぜい地域覇権しか達成できない。
すると、今の世界地図から見れば、米国や英国のような海側から覇権国家を目指す国家と、ユーラシア大陸で覇権を求めるソ連、中国、ドイツ、フランスなどの国家に分別される。
基本は、大陸国家と海側国家の対決構造が必ずあるように思える。

ここで面白い点は、日本は海側国家の立場になり得たのに、実際は朝鮮半島や中国の一部を植民地化して大陸国家を目指そうとしていたことだ。
戦前の日本は、国際システム上では、当初は明治維新の後、西洋列強の植民地にならないように近代化を果たしたが、地域覇権を目指す方向に自然に活動し、最終的には、米国と戦争を起こすという自殺行為で最終的に破綻した。
「なぜ日本は無謀な戦争を決断して負けたのか」という問題は日本の歴史学でいつも問われるが、オフェンシブ・リアリズムの理論では「国際システム上では、国家は必ず覇権を求める行動を取らざるを得ないから、それから逃れることはできない」という結論になると思う。

また、ランドパワーとシーパワーの境目となる箇所がまさに紛争地になるのだろうなと思う。
だから、欧州大陸ではウクライナがNATOとロシアの中間地帯にあるし、朝鮮半島では、朝鮮半島の南部分はシーパワーである米国の影響力の配下にある、という例になるのだろうか。

【7】4つ目は、以前読んだウォルフレンの本「日本 権力構造の謎〈上〉 (ハヤカワ文庫NF) | カレル・ヴァン ウォルフレン」、ハラリの本「サピエンス全史セット【全2巻】 | ユヴァル・ノア・ハラリ」によく似ているな、と思った。

欧米人の歴史学や社会学の本はページ数が膨大で、その内容は非常にロジカルに書かれていて、自分たちの意見もはっきりしている。
しかも、その意見の正当性を示すために、大量の事例や事実を集めて補強しているし、反論されそうな内容は予め予想していてそれに対する反撃の意見と対症療法まで示している。

大国政治の悲劇 | ジョン・J・ミアシャイマー, 奥山 真司でも、米国、英国、フランス、ドイツ、ソ連、日本、イタリアの過去200年間の歴史をふりかえり、膨大な事実を自分の意見の正しさの証明に使っている。
そして、こういうオフェンシブ・リアリズムのような、普通の人間にはあまり心地よくない理論の話には反論したくなるが、それに対して、自分の意見の正当性と正しさを説明するために膨大な文章を使ってロジカルに組み立てている。

僕はこういう本は好きだ。
読むのは割としんどいけれど、メモしながら、ロジックの流れを追いかけてみると、最初の5つの仮定から定理が導かれ、最終的な結論まできちんと抑えられているのが分かる。

論文作成の技法part1~論文の構造: プログラマの思索

論文作成の技法part2~論文作成の観点: プログラマの思索

【8】大国政治の悲劇 | ジョン・J・ミアシャイマー, 奥山 真司では、最終章で「中国は平和に台頭できるか?」を設けて解説しているが、内容は悲観的だ。
まあ、オフェンシブ・リアリズムの立場ではそういう論理的な帰結になるだろうと思う。



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2022/03/19

映画「ひまわり」は名作だった

映画「ひまわり」の感想をメモ。確かに名作だった。

ウクライナで撮影された名作映画『ひまわり』全国各地で拡大上映へ|ORICON NEWS|Web東奥

【1】映画を見たきっかけは、舛添さんのツイートで気になったことだった。

舛添要一さんはTwitterを使っています 「1942年夏、ヒトラーはスターリングラードを攻略。ムッソリーニはイタリア軍15万人を派遣。独軍敗北。イタリア軍もまた大敗北し、2万5千人が戦死し、7万人が捕虜になり、祖国に帰還できたのは1万人のみ。この悲劇が伊映画『ひまわり(I Girasoli)』(1970年)の物語だ(続く)。https://t.co/iSyBhp8NPH」 / Twitter

学生時代に既に見たが、イタリア人夫婦の悲恋の物語ぐらいのイメージで、あまり心に残ってなかった。
しかし、今見直すと、映画のシーンにはたくさんの意味が込められていることが分かって、すごく引き込まれた。

自分が理解できたことをメモしておく。

【2】映画「ひまわり」の舞台は今、ウクライナでの戦争地域そのものにある。

タイトルにあるひまわり畑は、ウクライナのヘルソン州にあると言われている。
ウクライナ大使館のHPによれば、そこは今、ロシアが侵攻して激戦地になっている場所のはず。

在ウクライナ日本国大使館:エピソード集(日本語)

平和であるはずのひまわりの畑が今、まさに激戦地になっていると思うと、やりきれない気持ちになる。
だからか、今、日本でも映画「ひまわり」が注目されて、各地で上映されているらしい。

News Up 「戦争とは何か」 ウクライナ侵攻で再注目の映画「ひまわり」 | ウクライナ情勢 | NHKニュース

【3】ひまわりには本当に数多くの意味が込められていることが分かった。

まず、美しく咲き乱れるひまわり畑の下には、捕虜となったイタリア兵やロシア兵の死体が数多く埋まっているらしい。
映画では影絵のようにそのシーンが現れる。
ひまわり畑には墓碑もあって、ご覧なさい ひまわりやどの木の下にも麦畑にもイタリア兵やロシアの捕虜が埋まっています、ここから帰還したイタリア兵はいませんよ、と付添の者からも言われる。
つまり、あのきれいなひまわりは、戦争で亡くなった人たちを養分にして咲いている。
そして、そのひまわり畑でも、現に今同じような戦争が起きて、また死体が積み重なるのだろうと思うとやりきれない。

2つ目は、ひまわりは"あなただけを見つめる"という花言葉だそうだ。
「ひまわり」は女性を表していて、愛する夫(太陽)を追い続ける存在という比喩であるらしい。
つまり、ジョバンナは愛する夫アントニオの存在を異郷のロシアまで追い続けてきたというストーリーにもつながる。
しかし、ジョバンナがアントニオの居場所を見つけた時、彼は自分を凍死状態から救ってくれた若いロシア人女性と結婚して子供まで作っていた、という悲恋が待ち受けていた。

3つ目は、ひまわりはロシアの国花だそうだ。
日本なら桜に相当するだろうか。
このひまわり畑の上でロシアが戦争しているのを見ると、因縁みたいなものを感じる。

ひまわりとは関係ないが、ウクライナとロシアの戦場は、ドニエストル川やヴォルガ川付近だ。
この辺りの地域は、インドヨーロッパ語族の祖国に当たると言われている。
つまり、今の英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語などを話すヨーロッパ人は、この地域から移動してきた祖先の子孫に当たる。
そんな祖先の故郷で今まさに戦争が起きているのを見ると、欧米人の因縁、業の深さ、原罪みたいなものがあるのかなと想像してしまう。

【4】独ソ戦の過酷さを念頭に置いて映画を見直すと、あまりにもリアルに感じる。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書) | 大木 毅によれば、第2次世界大戦の独ソ戦は、日本人の戦争体験よりも遥かに凄絶だ。
太平洋戦争で日本人約8000万人のうち戦死者は約400万人で5%だが、ソ連側は約1.8億人のうち戦死者約3000万人で約20%近く、ドイツ側は約7000万人のうち戦死者約800万人で10%以上が死んだ。
なぜなら、独ソ戦は通常の限定戦争ではなく、絶滅戦争の性格を持っていたために、相手側の領土を奪うだけでなく、そこに住む人を徹底的に根絶やしにするほどの凄絶な戦いだったからだ。
しかし、ロシアの過酷な冬で、ナポレオンのフランス軍も、そしてドイツ軍も破れた。

ジョバンナの夫アントニオは過酷なロシア戦線に送られるが、たぶん、スターリングラード攻防戦にも関わったのでないか。
スターリングラード攻防戦はドイツ軍とソ連軍の戦いと思っていたが、スターリングラード攻防戦 - Wikipediaを読むと、イタリア軍も含まれている。
この事実は僕も知らなかった。
舛添さんのツイートが正しいならば、イタリア兵15万人が送られて、戦死者2.5万人ものぼり、祖国に帰還できたものはわずか1万名だから、90%以上のイタリア人兵士は死んだか、行方不明になったことになる。
スターリングラード攻防戦は、ドイツ軍もソ連軍も合わせて死傷者200万人を越えるひどい戦場だった歴史をふりかえると、映画の舞台の過酷さが分かる。

実際、映画のワンシーンには、雪の中の丘に突然翻る赤旗と、ソ連軍の落下傘部隊、スキー部隊、雪上車部隊による戦闘シーンが影絵のように流れる。
画面いっぱいに翻る赤旗は、配送する枢軸国の兵士に対するソ連軍の圧倒的な勢いを表し、戦場に流された多くの兵士たちの血をイメージしているらしい。

映画のシーンには、深い雪の中で敗走を続けるイタリア兵士たちが疲れ切った姿で歩き続けていて、最後には、アントニオがもう歩けず雪上に倒れて友を見送る場面がある。とてもやりきれない。

【5】映画には伏線となるシーンがたくさんばら撒かれていて、最後にその意味が分かる。

ジョバンナが持っていた、夫の写真。
彼女はこの写真を片手に、異郷のロシアで夫を探す。
しかし、彼女が夫を見つけた時、夫には、彼を凍死状態から助けて介助してくれた女性と子供まで作っていたことを知って、列車に乗って逃げる。
そこに、彼女が落としていった夫の写真の裏には、愛するジョバンナへ、アントニオより、と書かれていた。
彼は、この写真を手に取り過去を思い出すことで、イタリアの母親の死に際に会いたいという理由でイタリアに戻り、ジョバンナに会おうとするアクションのきっかけになる。

映画のクライマックスのシーンでは、いくつかのアイテムが伏線として回収される。
その点が分かると、この映画がとてもロジカルに作られているのが分かる。

アントニオから新婚旅行で贈られたイヤリング。
ジョバンナは、アントニオが来ると電話で聞いて、十数年ぶりにそのイヤリングを付ける。
一度は会うのを拒んだのに、愛する夫にきれいに見せたい、あるいは、あなたが新婚旅行で贈ってくれたイヤリングを付けているのよ、と言いたい気持ちなのか。

ジョバンナは、自分の赤ん坊の息子の名前にアントニオを付けていた。
自分が愛した男の名前を付けていたわけだ。
ジョバンナがアントニオへの愛を忘れていなかったことを暗示している。

アントニオはジョバンナに毛皮をプレゼントした。
映画のプロットポイント1のシーンでは、アントニオがロシア戦線に向かうときに、「すぐに帰ってくる。毛皮を土産に」とジョバンナに言った場面がある。
彼は、十数年ぶりにその約束を果たしたわけだ。
彼はジョバンナを愛していたからこそ約束していたことを忘れていなかったことを暗示している。

【6】この映画では列車が重要な意味を持っている。
実際、印象的なシーンには必ず列車が使われている。

・戦地へ旅立つ夫アントニオを乗せた列車。
・帰還を信じて夫の写真を手に列車を待つジョバンナ。
・夫アントニオに妻と子がいる事を知り、ジョバンナが逃げるように飛び乗った列車。
・夫アントニオと再会しても、お互いに妻子がいて感情がすれ違い、永遠の別れとなる列車。

愛する男女の仲は、列車という自分たちの意思ではコントロールできないものによって、引き裂かれてしまう、という意味を暗示しているのだろうと思う。

プロローグやエンドロールで流れるクラシックなテーマ曲(名曲!)とともに、画面いっぱいに広がるひまわり畑の美しさが鮮やかで、また悲壮感が漂う。

この映画では一貫して主要な場面では、このクラシックなテーマ曲が流れる。
この曲のフレーズが映画のシーンに絡められて、人々の記憶に残るのだろう。

【7】映画「ひまわり」は名作と思う理由の一つは、喜怒哀楽のユーモアや緊張感が単調ではなく激しい起伏があって、感情を呼び起こすから。

プロローグでは、ジョバンナとアントニオが陽気なイタリア人らしく、キスしたりやたらベタベタする場面がある。
そして、アントニオの徴兵を回避したいために、ジョバンナとアントニオは、徴兵されるときに結婚したら、結婚休暇が12日間もらえることを理由に、彼らは結婚式をあげて、わずか12日間だけの夫婦で新婚生活を楽しむ。
卵30個以上のオムレツづくりとか、コミカルな場面が多い。

しかし、映画の中盤以降は、ロシア戦線の激戦地や過酷な冬のシーン、多数の死んだ兵士や農民が埋まっているひまわり畑、そして、夫を見つけたのに取り戻せないと知ったジョバンナの悲しみ、最後に、お互いに愛が残っていても感情がすれ違って永遠の別れを告げる場面、へ流れるように、一転して、辛く悲しい感情が押し寄せる。
つまり、アップテンポのシーンで上げておいて、後半では辛く悲しい場面を流すことで感情の起伏を故意に作っている。
実際、後半では、イタリア人の陽気さの雰囲気が全く出てこない点が、感情の落差をもたらし、人々の印象に残る仕掛けになっているのだろう。

【7-2】また、映画「ひまわり」は名作と思うもう一つの理由は、脚本の三幕構成で上手く作られていること。
一般に、三幕構成の理論では、序盤・中盤・終盤の3つで構成されるが、上映時間を4分割した時に、序盤は最初から1/4まで、中盤は1/4から3/4まで、そして終盤は3/4から最後までで時間配分されている。
序盤と中盤の境目はプロットポイント1という区切りの事件、中盤と終盤の境目にはプロットポイント2という区切りの事件が設定されて、三幕構成のストーリーの質が劇的に変わるように仕組まれている。
また、中盤の真ん中のシーンにはミッドポイントが置かれて、この映画が最高潮に印象付けられるシーンが配置される仕組みになっている。

映画「ひまわり」では、プロットポイント1は、夫アントニオがロシア戦線に向かう列車をジョバンナが見送るシーンになっている。
つまり、序盤は甘い新婚生活の流れだったが、ここでそれまでの流れは断ち切られて、中盤の重苦しい独ソ戦の悲劇、行方不明となったアントニオを探すストーリーへ映る。
実際、プロットポイント1は映画の上映時間の1/4辺りに置かれている。

ミッドポイントでは、ジョバンナがロシアでマーシャの家を見つけてその経緯を知り、アントニオと再開できるが、妻子がいることを知って、ジョバンナが列車に逃げ込むシーン。
このシーンはこの映画で一番感動的なシーンとして、Youtubeでもたくさん流れている。

最後にプロットポイント2は、アントニオがイタリアに戻って、ジョバンナと再開するために会いに行くシーン。
ここから、2人の関係は、お互いに愛が残っていても、お互いに家族がいることが分かり、最後に、夫がロシア戦線へ出征する時に見送った時と同じ駅で、妻が夫を見送るラストシーンへつながる。
つまり、最後の感動的なラストシーンというクライマックスへつながる事件として、ジョバンナに会うためにイタリアへ行くきっかけの事件がプロットポイント2で設定されている。

すなわち、プロットポイント1・2、ミッドポイントというシーンを三幕構成に合わせて配置することで、映画のストーリーがコンポーネントのように上手く組み立てられていて、感情の起伏もそれに合わせるように人々の感情に働きかけるように作られているわけだ。
こういうロジカルな構成が名作と言われるどの映画でも構成されていると分かると、映画を見るのがより楽しくなってくる。

【8】映画「ひまわり」は1970年公開とあって、映像自体は今よりも遥かに素朴で洗練されていない。
しかし、各場面のシーンを後から見直すと、ここに以前使った伏線が使われているのか、とか、映画のストーリーがロジカルに作られているのが分かる。
すべてのシーンが映画の主テーマである男女の愛を戦争が引き裂いた悲劇のストーリーに沿っている。
たぶん、映画を作った監督も、ロジカルに組み立てる意思を強く持って、ストーリーとシーンを作り込んだのだろうと思う。


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2021/10/24

いいねをもらえなくて鬱になる負のインセンティブが働くという事象

いいねをもらえなくて鬱になる負のインセンティブが働くという事象についてメモ。
適当なラフなメモ。

えとみほさんはTwitterを使っています 「Netflixの「監視資本主義」が面白かった。 「いいねを作った時は愛を広げたかった。いいねをもらえなくて鬱になっていく10代の子や政治的な二極化は予想外だ」 作り手たちも困惑するSNSの現状。北米のトレンドは2?3年遅れで日本に来るが、この流れもきっちりやってきた。 https://t.co/K8jCUnt22s」 / Twitter

監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

akipiiさんはTwitterを使っています 「後で読む。いいねは愛を広げる設計なのに、いいねをもらえなくて鬱になる負のインセンティブもあるのか」 / Twitter

2021年という時代では、SNSから離れた生活は非現実的。
単に人と繋がりたい、という単純な気持ちだけでなく、SNSに最新の情報やニュースが流れている。
TVや新聞の方が情報は正しいと言われているが、実際は彼らも、Twitterの最新の動向や流行ををキャッチして、そこから記事を書き起こしているな、と思う時も多い。

すると、ほとんどの人たちは、自分の時間の何十%かをSNSに吸い取られていることになる。
その危険性は、特に成長過程の子供に大きな影響がある点なのだろう。

小さい子供、特に小さい男の子は、無意味な万能感を持って夢を語る場合が多かった。
しかし、現代では、SNSで簡単に現実を見れるし、そこから自分のリアルな状況を直視して比較評価されるので、そういう無意味にな万能感は他人からも自分からも訂正されてしまう。
結局、他人に認められてもらうために、みんなが同じような価値観や基準に収斂されることになる。

その世界では、いいねをもらなくて鬱になり、自信をなくす人が多くなる。
万人の競争を経て評価を確立できていない人が大多数になるのだから、多数の敗者が生まれる。

以前なら、海外の子供やビジネスと比較する必要もなかったが、今は違う。
世界中の食材も商品も簡単に手に入り、人々の交流が増えるにつれて、日本人の子供も欧州や米国の子供だけでなく、中国や韓国の子供と学力を比較されることになるだろう。

単純にいいねをもらえず鬱になるだけでなく、全世界の子供と比較評価されて、自分が上から何番目にいるのか、を簡単に評価されてしまう時代になってしまったのかもしれない。

SNSから離れて、自分1人だけの世界に閉じこもって、自分だけの能力を磨くことが難しい時代なのかもしれない。


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2021/09/12

コロナ後は大転職時代が始まるらしい

コロナ後は大転職時代が始まるという記事を見つけたのでメモ。
とりとめもないラフなメモ。

【参考】
さめさんはTwitterを使っています 「中島聡さんのメルマガより ほんまこれだと思うわ https://t.co/tjXXuNtGTe」 / Twitter

大量(自主)退職時代の到来?The Great Resignation?(1)|後藤 宗明(Virbela 日本代表 / 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事)|note

The 'Great Resignation' Is Really the 'Great Discontent'

2020~2021年は、世界大恐慌、第2次世界大戦、冷戦終結に匹敵するぐらいの時代の変化らしい。
世界恐慌はThe Great Depression。
2008年の金融危機(リーマンショック)はThe Great Recession。
2020年の新型コロナウイルスに対する大規模な都市封鎖による景気後退は、The Great Lockdown。
そして今はThe Great Resignationという大量(自主)退職時代らしい。

中島聡さんのメルマガを少し読んだりして理解した内容ではこんな感じ。
新型コロナウイルス予防に対する大規模な都市封鎖による景気後退に対し、米国政府は全国民に一律に膨大な失業手当を割と長期間供与した。
この間、米国民は自宅に閉じこもり、在宅勤務に強制されたが、その分、家族との時間も増えて、失業しても失業手当が出ているので、事実上のベーシックインカムを与えられた状況になった。
すると、今のように、失業手当というベーシックインカムが与えられて在宅勤務で十分やっていける状況では、もはや大都会で通勤したり、育児をアウトソースする必要もなくなる。
つまり、自主的に退職して、人生を謳歌する人もいれば、家族の生活を重視したり、自分が本来やりたいことに注力する生き方も生まれてくる。

2000年代前半にダニエル・ピンクが「フリーエージェント社会の到来 新装版---組織に雇われない新しい働き方」という著書を出版されて、それが今は現実になった。
そして今は、大退職時代により、人々は無理に働く必要もなくなるわけだ。
こういう状況がずっと続くとは思えないが、元の生活に戻ることは完全にはないだろう。

こういう記事を読んで疑問に思うのは、こういうベーシックインカムのような状況では、人はどのような行動を取り、生活様式になるのか?
本当に人は幸せになるのだろうか?

世の中の大半の人は、自分がやりたいことを仕事にするのではなく、家族のため、生活のために仕事して給与を得て生きているのが普通だ。
そんな大半の人達が、こういうベーシックインカムの世界に放り込まれると、幸せになれるのだろうか?

この疑問に対して思考実験した記事は下記がある。

ベーシックインカムの世界 - Chikirinの日記

僕の理解では、人はより露骨に欲望通りに行動するようになる。
生活の不安がないから、結婚生活に不満があればすぐに離婚できるようになる。
働く必要がないから、朝から酒を飲んで競馬をやってゲームをしても生きていける。

もう一つ参考になるのは、過去にベーシックインカムがあった時代があれば参考にできること。
実は「現代経済学の直観的方法」では、古代ローマ帝国のローマ市民がそれに当たるという。
実際、彼らローマ市民は帝国内の属領、奴隷から得られた生産物を消費するだけであり、それはパンとサーカスで与えられて、生産活動に従事する必要はなかった。
では、彼らは幸せだったのか?

世界史講義録の中では、こんな一節がある。

世界史講義録・ローマの文化

奴隷のような一人の人間もストア派のように心の平安を保とうとしていた。
一方、ローマ皇帝のような権力者も、奴隷のエピクテトスと同じストア派の人もいて、精神の平安を一所懸命求めている。

(引用開始)
ローマの貴族達は贅沢三昧で吐いては食べ、産んでは捨て、と滅茶苦茶ですが、そんな生活をしながらも心の奥底ではヒュ~っとすきま風が吹いていたんではないか。
贅沢で精神の平安は得られない。
皇帝がストア派哲学者であるということは、まさしく彼らの心を象徴している気がしてなりません。

奴隷も皇帝も心が求めているところは案外近いところにある。
単純に「心の平安」といっておきましょう。
ちょっと先走りしていうと、これを哲学ではなく宗教という形でローマ人に与えたのがキリスト教だったのではないか。だから、あっという間にキリスト教がローマ帝国に広まったと私は考えています。
(引用終了)

つまり、ベーシックインカムの古代ローマ市民は最後は心の平安を求めた結果、キリスト教の救済を受け入れて、次の時代へ進むことができた、と。

そんな過去の歴史を考えると、お金や生活費という不安がなくなったとしても、人は不安定な存在であり、何らかの倫理や哲学がなければその精神を正常に保てないのだろう、と思う。
それが宗教かもしれないし、別の価値観なのかもしれない。

一方、実力も運のうち 能力主義は正義か? | マイケル・サンデル絶望死のアメリカや、無理ゲー社会上級国民/下級国民のように、能力があり評判も良く自分らしく生きていける上級国民と、能力がないと比較され評判もなく自尊心を傷つけられた下級国民に分断された時代になるという話もある。

結局、人は関係性の中で生きているので、他人に囲まれている中で自分の心の平安を保つのは非常に難しいのだろうと思う。

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2021/07/04

マッキンゼーの報告書「2030 日本デジタル改革」が手厳しい


マッキンゼーの報告書「2030 日本デジタル改革」が手厳しいと感じたのでラフなメモ。
【参考】
2030年に向けた日本のデジタル改革 | McKinsey
ホームページ | Digital Japan 2030
2030 日本デジタル改革~デジタル競争力と生産性を向上させるための大胆な一手
ソフトウェアの政治的影響力とは何だろうか: プログラマの思索
みんなのPython勉強会#65の感想~社会変革の鍵はIT技術者にあるのかもしれない: プログラマの思索
デジタル庁が解くべき課題とITエンジニアの役割の勉強会の感想~CTOの役割とは何ですか?: プログラマの思索
プログラマとスクラムが社会実装を変えていく #Findy_GovTech: プログラマの思索
デジタル庁が解くべき課題とITエンジニアの役割の勉強会の感想~CTOの役割とは何ですか?: プログラマの思索
【1】2030 日本デジタル改革~デジタル競争力と生産性を向上させるための大胆な一手によれば、日本と世界の対比は下記になる。
日本 → 世界
デジタル競争力 27位 → 米国:1位
デジタル人材割合 1% → 米国:3%
ソフトウェア関連プログラムを開講する大学の数 29 → 米国 117
行政: デジタル行政アプリを使用する市民の割合 7.5% → エストニア:99%
スマートシティランキング - IMD 79位 (東京) → シンガポール:1位
モバイルバンキング浸透度 6.9% → 中国35.2%
ITコストに占めるクラウド割合 3% → 米国10%
時価総額のスタートアップ割合 1% → 米国31%
ユニコーンの数5社 → 米国320社
(引用開始)
日本にとってデジタル化はもはや選択肢ではなく、必須である。最新の動向を見ると、日本のデジタル競争力が低下しているため、日本が世界第三位の経済的地位を維持することは不可能になるだろう。
2020年のIMD 世界デジタル競争力指数によると、日本の世界ランクは27位で、2015年と比べて4つ順位を落としている( 図表2)。
アジア経済において、日本のデジタル競争力は、シンガポール、香港、韓国、台湾、中国、マレーシアに次いで7位にランク付けされている。
他の国々は、デジタル化をいち早く推進するために懸命に取り組んできた。
香港はここ5年間で14位から5位に、韓国は18位から8位に、中国は33位から16位に、それぞれ世界ランキングを上昇させている。
(引用終了)
日本でもITを強化すべきだ、という議論は20年以上前からずっと言われてきた。
しかし、なぜ世界と比較すると、日本の地位は低いのだろうか?
ITコミュニティに参加している限り、日本のIT技術者も危機感を感じているし、実際に色々行動している人も多い。
ソフトウェアに関係する企業、従事者もそんなに少なくないはずだ。
この原因は知りたい。






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2021/04/04

Clubhouseは路上ライブや朗読のためのツールかもしれない

Clubhouseの使い方は正直良く分かってない。
主張のないラフなメモ書き。

【参考】
Clubhouse (アプリケーション) - Wikipedia

Twitterは最速のメディア: プログラマの思索

Facebookはセルフブランディングの最強ツール: プログラマの思索

【1】Clubhouseはアプリの機能がとても貧弱過ぎる。
痒い所に手が届いていない。
3つほど不満がある。

1つ目は、興味のあるルームを探しにくい。
カテゴリ、ジャンル、タグなどで探したいのに、なかなかヒットしない。
Twitterほど検索機能は優れていない用に思える。
だから、わざわざ別サイトで、人気ランキングから類推するしか無い。

Clubhouse 人気ランキング

2つ目は、スケジュールの機能がない。
だから、よく聞き逃すし、落胆する。
ルームは突然告知される理由かもしれないが、開始、終了の時間帯をスケジュールで入れておきたい。
今は、気づいた時に探したり、ルームで予告された話を聞いた記憶を頼りにしている。
しかもリマインダー機能もないので、よく忘れる。
本来は逐一記憶したくない。
GoogleCalendarのリマインダー機能が使いたい。

さらに、聞きたいルームがバッティングしやすいので、スケジュールを入れておきたい。
2つのルームを入れ替わり聞くこともできるはず。

3つ目は、聞いた履歴が見れない。
音声を録音できない設計思想なので、それは許すが、せめて、いつどのルームを聞いたのか、ぐらいの履歴は後で見たい。
履歴を見れば、思い出に浸ったり、後から考え事もできる。

そういう感じで、アプリはとても使いにくい。

【2】Clubhouseはどんな使い道があるのか?

僕はそんな不満を感じながらも、雨降る日曜午後に、Clubhouseを聞き流しラジオみたいに使っている。
僕が興味あるのは、朗読と音楽の聞き流し。

朗読しているルームは良かった。
たまたま、芥川龍之介の杜子春を朗読していたのを聞いた。
あらすじも知っているが、アナウンサー経験のある落ち着いて、キレのある声は聞きやすい。
高校生の頃にラジオドラマを聴いていた気分になった。

また、ジャズやピアノを練習代わりに垂れ流しているルームは良かった。
月の光、を聞いた時は、心が和んだ。

何となく、大阪駅前の路上ライブの演奏を聞いている感じだった。
その場での即興であり、Youtubeで後から聞くことも見ることもできないから。

割とうまい人でも、時々間違えたのか、音が外れている時に気づくが、むしろそれが気にならなかったりする。
練習の曲を弾いた後で、ちょっとしたコメントを話すのがとてもリアルに感じたりする。

他には、有名人が入って、個別テーマで議論しているルームも面白い時もある。
一方、井戸端会議に近いので、時間の無駄だな、と思う時も多い。
他方、有名人の顔はWebで見ているし、Youtubeなどで声や動作も知っているけれど、生の声を聞くと印象が変わる。

Clubhouse以外にも、TwitterライブやVoicyなどの音声ツールで有名人の声を聞く時がある。
中嶋聡さんは、Web記事やメルマガでキレのある内容を書いていて、割と研究者みたいな人なのかな、とか思っていたら、こんなに声が低くて太くて、すごく威厳のある人だな、とか。
ちきりんさんは、ブログでは現状の社会の問題点について切れのある意見を言う人なので性格もきついのかな、と思っていたら、生の声の配信を聞くと、こんなに女性らしい声なのか、となぜか印象が変わってしまったり。

コロナ禍でリモートワークが多くなり、パソコンやスマホに触れる時間が以前よりもかなり増えてしまって、目が疲れやすいと感じる。
眼を使わずに楽に聞きたい、という気持ちが強い。
よって、Clubhouseで聞きたいと思う時がある。

【3】Clubhouseは路上ライブや朗読のためのツールかもしれない、と思う。

Youtubeで流せば、その動画は一生残るので、ストックとして扱える。
広告料ももらえるから、マネタイズもしやすい。

しかし、Clubhouseは臨場感がある。
その時だけの音声、という希少さがある。
路上ライブがそんな感じ。

その人の声が、その人の顔、性格を連想させる。
朗読では、語る声に、その文学作品に対する、その人の思い入れが伝わってくる。

コロナ禍という時代でなければ、Clubhouseは見向きもされないツールだったかもしれない。
いつでも外出して、野外コンサートで聞いたり、舞台や劇場で見れるならば、わざわざ使う必要もないから。

Clubhouseはコロナ禍という時代だけに特化したアプリのような気もする。
コロナに罹患するリスクが高ければ外出できず、部屋に閉じこもるしかない。
YoutubeやNetflixを暇な時に見ればいいかもしれないが、飽きる時もある。
部屋に閉じこもっていれば、こういうツールでラジオの聞き流しみたいに聞きたくなる。

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2021/03/21

ノートパソコンが入ってUSBポートが付属しているビジネスリュックを買ってみた

最近、プライベートでも出勤でも、ノートPCを持ち運ぶ機会が多くなった。

在宅勤務がメインと言っても、ノートPCを持ち帰る機会が多い。
プライベートでも、家にいると在宅勤務の気分になって嫌なので、ノートPCを持ち出して気分転換に外出しているけど、自転車で移動しているから、割と億劫なんだよね。
車で移動したとしても、喫茶店やチェーン店、自宅に移動する時に何かしらのカバンは必要だからね。

今のリュックではノートPCの持ち運びが面倒だし、システム手帳や書類、財布、キーケース、マスクなど色々入れると、リュックが満杯になるので、新しいビジネスリュックを買ってみた。

最近のビジネスリュックはいいね。
ノートPCだけ別スペースに入れて固定できて、周囲の壁が固めに補強されているので、持ち運びしやすいように思っている。

面白い点は、USBポートがビジネスリュックの側面に付属していること。
なぜUSBポートはあるのだろうか?
どうやら、ビジネスリュックの内側にはモバイルバッテリーを入れて、外側のUSBポートからスマホへ接続して充電できる機能として使うらしい。
なるほど、リュックを背負って通勤電車や駅中を歩き回る時、スマホを持っているのは普通なので、そういう利用シーンで使うわけだ。
単に、ツイッターやフェイスブックを見るだけでなく、YoutubeやClubhouseを聞いたり、好きな音楽を聞いたり、色々使っているから。

他のビジネスリュックでは側面にUSBポートだけでなく、イヤホンジャックのポートまで付いているみたい。
なかなか面白い。

他の皆さんは、ノートPCの持ち運びしやすいカバンやリュックはどんなものを購入しているのか、気になる。


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