プロジェクトファシリテーション

2022/01/16

「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」の概念図

「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」の本を読んだ。
自分の理解を深めるために概念図を書いたのでメモしておく。
ラフなメモ。

世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書 ~グローバルなチャレンジを成功させるOSの作り方:書籍案内|技術評論社

【1】「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」で気づきがあった点は、プロジェクトの立ち上げ・計画フェーズが最重要であることだと思う。
日本企業では誰が最終責任者なのか分からない場面が多々あるが、「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」のシナリオでは、プロジェクトマネージャすら不在の場面がある点も驚きだった。


【2】「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」の一節に、ソフトウェア企業のSEが、「SIerでは、プログラマ→SE→シニアSE→プロジェクトマネージャのようなキャリアが多いです」と話す部分がある。
僕の経験上、シニアSE→プロジェクトマネージャの断絶は大きいし、仕事内容も大きく変わる。

100人月以上の案件のプロジェクトマネージャの仕事では、もはやPJの細部の作業まで見ていない。
プログラミングや設計書の作成などの実務にタッチしないし、実作業の進捗管理すら、各サブチームのサブリーダーに任せている。
では、プロジェクトマネージャは何をやっているのか?

彼らの仕事の中身を見ると、ひたすらプロジェクトの計画書、見積書、報告書の作成とそれら書類を利害関係者に説明する会議に出ているだけだ。
顧客への説明はもちろん、インフラ基盤や開発、製品端末などを委託したベンダへの説明がほとんどだ。
その会議のための報告書を作成するために、社内の法務部、購買部、部門長、他部門の関係部署、場合によっては役員と交渉している。

第三者が見ると、プロジェクトマネージャは報告書作成マシーンに見える。
その作業だけで手一杯なのだ。
プログラミングや設計が楽しい人から見れば、そういう作業が楽しいのかなと思う時もある。
ひたすらドキュメントを作っているだけだからだ。

【3】一方で、プロジェクトマネージャのレベルになると会社の中では中間管理職に相当するので、それなりの役職を持ち権限と責任を持つ。
すると、会社内ではそれなりのパワーを発揮できる醍醐味もある。
案件に必要なリソースを自由に使えるからだ。

プロジェクトマネージャはコミュニケーションが重要、とよく言われるが、僕はその言葉はあまり本質的ではないと思う。
直接的に言えば、組織から与えられた権力を正当に行使できるし、むしろ、その権力を案件の達成のためにどんどん使って、部下はもちろん、社内の他の部署、社内の経営層、お客様まで巻き込むことだと思う。
だから、政治家みたいに、権力行使が好きな人の方が向いているという気はする。

しかし、たとえば、IT企業であれば、単に役職さえ与えられればプロジェクトマネージャとしてやれるわけではない。
技術力は当然必要だし、PMBOKに代表されるようなプロジェクト管理技法は一通り知っておく必要がある。
その他に、PJの原価や利益などに関する財務会計の知識、請負・準委任契約や知的財産などの法務の知識、部下をコントロールしたりやる気を起こさせるような人事手法やリーダーシップなども当然要求される。
単純に知識さえあればOKというわけではない。

「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」を読むと、改めて、IT業界以外のプロジェクトマネージャも別の観点で苦労しているんだな、とか、IT業界では当たり前でも他の業界では当たり前でないんだな、とか、気付きも多かった。

この辺りはまたまとめてみたい。

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2022/01/14

【資料公開】チケット駆動開発の解説~タスク管理からプロセス改善へ #redmine

プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会で講演した資料「チケット駆動開発の解説~タスク管理からプロセス改善へ」を公開します。

【参考】
お知らせ2点:P&PA研究部会「チケット駆動開発」(1/11)、BOMに関する1日集中セミナー(1/27) : タイム・コンサルタントの日誌から

プロジェクト・マネジメント・システムは存在しうるか : タイム・コンサルタントの日誌から

【1】資料のテーマは、下記の通り。
基本的な前提として、Redmineの経験者を対象としている。

チケット駆動開発は、ソフトウェア開発で使われる障害管理ツールをタスク管理に利用する開発手法を指す。
チケット駆動開発はアジャイル開発と親和性が高いので、アジャイル開発のプラクティスを利用しやすく、チーム運営に役立つ。
チケット駆動開発を支えるチケット管理ツールは、汎用性が高く、とても有用な為、色々な業界の現場のプロセス改善に使われている。
チケット駆動開発の発端、仕組み、事例、プロセス改善に使われる理由を解説する。

チケット駆動開発、チケット管理ツール、Redmineというものを知らなければ、たぶん理解しにくかったかもしれない。

僕は、そういう内容を前提の上で、現時点で、チケット駆動開発とチケット管理ツールがどういう課題を乗り越えて、ここまで進化してきたのか、そして、今後はどんな未知の分野や課題があるのか、を整理して示したかった。
よって、70ページものボリュームになってしまった。

分かってくれる人に理解してもらえれば本望かなと思って公開してみる。

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2021/12/31

昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと

「昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと」という文言をどこからか拾って、なるほど、その通りだと思った。

【1】昭和の管理者は、部下が提案書を作成して、申請した書類に判子を押印して承認する。
判子押印にはいくつかの儀式があった。
上司にお辞儀をするようにわざと左30度傾けるとか。
今ではあまりにも考えられないが。

【2】一方、令和の管理者は、部下がチャットで意見を提案した時に、いいねボタンを押して、承認したことを認める。
以前の平成の管理者は、部下の申請メールに対し、わざわざ文章を書いて、承認したことを返信する手間がかかっていた。
だから、いいねボタンを押すだけなら、わずか0.1秒で承認処理が済ませられる。

なぜなら、令和の管理者は意思決定の回数が多すぎるのだ。
たぶん、普通の企業の管理職や役員は、毎日100通以上のメールを処理しているのではないだろうか。
そのメールを処理することは、意思決定しているのと同じ。
メールのやりとりだけで数時間、半日を使ってしまうのではないか。

令和の時代は、TeamsやSlackなどのチャットで部下とやり取りするから、承認するなら、いいねボタンでいい。
いちいち文章を書いて返信する必要もない。

【3】LIFE SHIFT(ライフ・シフト)の一節に、1990年の仕事のやり方と2015年の仕事のやり方の違いが書かれている。

1990年の仕事は、全てが紙ベースだった。
顧客とのやり取りは、近ければ電話や会社訪問、遠ければ郵送による手紙のやり取り。
だから、海外出張する時は2週間や1ヶ月ぐらいかけるのが普通だった。
タイプライターを打つ女性に、提案書の書類のイメージを伝え、添削して返す。
この頃は、手紙や申請書を判子で押印する承認処理が多かった。
意思決定する時は慎重に行える時間や余裕があった。

2015年の仕事は、全てがオンラインになる。
顧客とのやり取りは、メールやチャット。
海外出張したとしても、1週間以内で慌ただしい。
毎日、100通以上のメールを読んで、処理して、日々の意思決定を下す。

この四半世紀で、承認処理も意思決定も大きく変わった。
意思決定の手法が変われば、意思決定の中身も変わってくると思っている。

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2021/12/28

チケット駆動開発のプロセスとチケット管理システムの全体像 #Redmine

チケット駆動開発のプロセスとチケット管理システムの全体像はこんなイメージではないだろうか?

【1】チケット駆動開発とは、チケットを起点として、業務の活動をすべてチケットで追跡する仕組みでありプロセスだ。

具体的には、リリース計画を作成して、チケットを一括登録したり、チケットを随時登録する。
登録されたチケットは担当者によって日々更新されたり完了されて、その進捗状況は、ガントチャートやロードマップなどのチケット集計機能によってリアルタイムにモニタリングできる。
管理者はこの情報を使って日々の意思決定やリスク管理に適用する。

リリースバージョンでグルーピングされたチケットが全て完了になったら、そのバージョンはCloseされて、成果物がリリースされる。
ソフトウェア開発ならば、バージョンつまりスプリントやイテレーションがCloseされると同時に、そのバージョンのモジュールがビルドされてデプロイされてリリースされる。

リリースされたモジュールや成果物は開発者が検証したり、ユーザが実際に使ってみて、開発者が見つけた障害修正やユーザの改善要望が管理者へフィードバックされる。
管理者はそのフィードバック情報を元に、次のリリース計画をブラッシュアップして、次のスプリントを開始する。

すなわち、チケット駆動開発とはアジャイル開発を実装したプロセスの一つとみなせる。

【2】一方、チケット駆動開発はチケット管理ツールという具体的なソフトウェア製品よって支えられている。
このソフトウェア製品という特性と実際の運用をまとめたものをチケット管理システムと呼ぶことにしよう。

【2-1】チケット管理システムの具体的な中身は何か?
基本はPMBOKが言うPMIS、つまりプロジェクト管理情報システムだ。
すなわち、チケットというインプット情報をPMISへ食わせた後、PMISがいろんな観点で加工して、PJ管理に必要な各種レポートをアウトプットして吐き出す仕組みだ。

第三者の観点から見れば、チケット管理システムはすごく単純だ。
なぜなら、インプット+プロセス+アウトプットという逐次実行の仕組みに過ぎないからだ。

【3】しかし、チケット管理システムというPMISの機能を解剖すると、単純な機械でありながら強力な機能を持っていることが分かる。
PMISの主な機能は、フロー管理とストック機能の2つだ。

【3-1】まず、フロー管理は、チケットを流通媒体とみなし、タスクをサクサク流すことに力点を置く。
MS Plannerのタスクカード、Agile開発やカンバン駆動開発のストーリーカードやタスクカード、申請承認ワークフローの申請書に相当する。
フロー管理では、作業のリズムを重視する。

【3-2】次に、ストック機能は、チケットを記憶媒体とみなし、日々の作業結果を記録していくことに力点を置く。
障害管理票や課題管理票、WBSなどの記録媒体。
過去の作業履歴、得られた経験や知識はチケットに記録されているので、チケットが蓄積されるほどナレッジ資産になる。
ストック管理では、ナレッジ基盤を目指す。

【3-3】実際は、チケットがフローとストックの2つの意味を二重に持っていることから、PMISはフロー管理とストック管理の機能を自然に持つようになる。
この特徴により、数多くのチケットを集計した結果から有用なメトリクスが得られる。
例えば、ガントチャート、EVM、リソース管理、タスクボードなど。
また、この特徴により、蓄積されたチケットの履歴やチケット間の関係、成果物とチケットの相互関係から、トレーサビリティの機能が生まれる。

【3-4】チケット駆動開発では、ビルドしたモジュールはバージョンというタグがあり、バージョンでグルーピングされたチケットがあり、そのチケットには作業履歴が残っていて、チケットには構成管理ツールの配下に置かれたソースコードや設計書などの変更履歴が紐づくように、運用される。
このトレーサビリティという機能があるからこそ、開発者は自信を持って開発できるし、管理者もリリースしたモジュールの品質を自分でコントロールできるようになる。

【4】チケット管理システムには、その運用を支える数多くのロールがある。
チケット管理をスムーズに運用するために必要なアクターがあることは、Redmineコミュニティで数多く研究されてきた。

【4-1】チケットを起票する現場の人は、PMISを業務のナレッジ基盤とみなす。
自分が入力した作業結果だけでなく、他人の作業結果も参考にして、ナレッジを利用することで自分の作業手順を効率化することに役立つ。

【4-2】管理者は、PMISをメトリクス集計のプロセス黄ばんと看做す。
彼らは、ガントチャート、EVM、リソース管理、タスクボード、信頼度成長曲線など各種の有用なメトリクスを用いて、業務活動の進捗管理、品質管理、要員管理をモニタリングし、日々の意思決定に活かす。

【4-3】お巡りさん(Redmine警察)は、チケット管理の守護神だ。
彼は、現場の人や管理者がチケット管理に困っていたら支援して、チケット管理をスムーズに運用させる。
チケットは生鮮食料品みたいなもので、日々更新されなければ、ただのゴミに過ぎない。
だから、お巡りさんは定期的にチケット管理システムを通じてチケット管理が運用されているか見て、チケット駆動開発を守る人になる。

【4-4】エバンジェリストはチケット管理の伝道師だ。
チケット管理がいかに素晴らしいか、チケット管理を通じて組織をどのように発展させていくべきか、現場の人や管理者を啓蒙する人だ。
エバンジェリストは熱い気持ちを持ち、チケット管理に関わる人の心に息吹や熱気を注入する人だ。

【4-5】PMISは、現場の人達や現場のプロセスに合うようにカスタマイズしたくなるので、マイスターという開発者がPMISをその現場特有のPMISへカスタマイズし、現場のプロセスに局所最適化する。
マイスターはまさにPMISの職人だ。
マイスターから見れば、PMISはPJ管理の開発基盤という側面も持つ。
つまり、チケット管理システムというPMISはプロジェクト管理を実現するソフトウェアフレームワークという開発基盤とみなせる。
すなわち、チケット管理システムはカスタマイズしやすい特徴を持つので、いろんな現場に適用できるように局所最適化しやすい。
だからこそ、改善が大好きな日本人にはチケット管理システムが合うのだろう。

【4-6】活動家は、PMISのログ(Redmineの活動タブ)を見て、現場の人達の活動、さらには組織の活動をモニタリングし、PMISを組織のプロセス改善の基盤として使う。
活動家は、1個のPJや1個の部署だけでなく、複数のPJや部署を横断して、人間の血液診断や健康診断のように、PMISを通じて組織の活動診断を行う人になる。

【5】こういうポンチ絵を描いてみると、チケットで作業も課題も障害も管理する、という単純なアイデアから生まれたチケット駆動開発は、いろんな側面に支えられて、豊富な応用結果を持つことが分かる。
こういうことを考えるのが楽しい。

脱Excel! Redmineでアジャイル開発を楽々管理:エンジニアがお薦めする 現場で使えるツール10選(3)(1/5 ページ) - @IT

ストック型チケットは記憶媒体、フロー型チケットは流通媒体: プログラマの思索

Redmine警察・マイスター・活動家は導入の立役者 | マドびっ! Madosan's View

Redmineの普及促進にはRedmine警察やRedmineマイスターという役割の人達が必要: プログラマの思索

打ち捨てられていたRedmineが復活するまでの軌跡 - Qiita

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2021/11/23

信頼と心理的安全性は概念が違う

恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」を読んで、「信頼と心理的安全性は概念が違う」ことに気づいた。
ラフなメモ。

心理的安全性はPM理論のメンテナンスの発展形ではないか: プログラマの思索

管理職に求められる能力はPM理論そのものではなかったのか: プログラマの思索

【1】「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」の解説では、日本人の先生が率直に、心理的安全性を知った時、その価値がすぐに理解できなかった、と吐露している。
理由は、信頼と心理的安全性の違いが分からなかったからだ。
なぜ、あえて、心理的安全性の概念を打ち出す必要があったのか?
この違いを理解することは、実践上、とても重要だ、と。

そう、僕もそうだった。
信頼関係のある人間関係であれば、他人に率直に意見を述べることはできる。
いわゆる本音だ。
信頼関係が大事だとみんなが気づけば、心理的安全性という概念をわざわざ言う必要性はないはずだ。

【2】「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」の解説では曰く。
日本の組織でも、イノベーションや創造性が重要だと経営陣は社員に対して言う。
それを実現できないのは、個人の問題なのか?
実際は、経営者は、失敗するな、というメッセージも発している。
つまり、アンビバレントな両方のメッセージを社員に送っているわけだ。
すると、社員は現実上、個人に責任が発しないように、イノベーションのリスクを取らない行動を取る。

この問題の本質は、個人の問題ではなく、チームや組織の問題だ。
チームワークの研究では当たり前の、職場の雰囲気が個人の行動に多大な影響を及ぼす前提を頭では分かっていても、実際のビジネスの現場を通じて、個人の問題に帰属しない、チームや組織の問題があることを理解した、と。

【3】では、信頼と心理的安全性の違いは何なのか?
信頼は、個人が特定の対象者に抱く認知的・感情的態度。
一方、心理的安全性は、集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度だ。
つまり、心理的安全性は組織文化に由来しているのであって、個人の性格に依存しているものではない。

集団で共有される心理的安全性は、集団全体の行動に影響を与える。
職場に異なる意見を受け入れる雰囲気があれば、メンバーは率直な提案をあげ、周囲はそれに耳を傾け、チーム全体で建設的な議論を交わす。
他メンバーもそういうやり取りを見ることで、違う意見や率直な考えが許される、と感じ取り、その結果、集団全体の活発な議論へ発展する。

一方、個人間に存在する信頼の影響は、あくまでも、信頼できる他者とのやり取りだけに限られる。
個人間の信頼のままでは、会議中は各自が自身の思いを秘めているだけで、チーム全体の活発な議論につながらない。
これでは、組織のポテンシャルを最大限引き出し、独創的なアイデアを実現するのは難しいことは明確だ。

つまり、個人間の信頼のレベルに留めるのではなく、それを集団で最大限に共有することが重要であると認識することが重要なわけだ。

チームワークの研究者は、チームは単なる個人の寄せ集めではなく、分解せずにチーム自体として現象を捉えるべき、と言っているらしいが、それは、バーナードの組織の3要素を思い出す。
人が集まれば組織を形成するわけではない。
共通目的があって、各人が貢献意欲を持ち、他者と対話を取ることができて初めて組織を形成する。
その基盤に、心理的安全性の概念がある。

個人間の心理的現象と集団で起こる心理的現象を明確に区別することが重要だ、という指摘は心に残った。
つまり、心理的安全性は、集団に起こる特殊な心理的現象なのだ。

【4】心理的安全性が重要であるもう一つの理由は、イノベーションを生み出す組織の特徴の一つにメンバーの多様性があるが、多様性だけではイノベーションにつながらず、心理的安全性と多様性が組み合わさって初めてイノベーションにつながる、という指摘だ。

メンバーの多様性が高ければ、常にイノベーションが生まれるわけではない。
多様性の高いチームは、メンバー間の価値観が大きく異なる為、意見の衝突が起きやすく、相手を説得するのも難しい。
つまり、多様性だけでは、メンバーが持つ専門知識を組み合わせてチームとして成果を出すのは難しい。

よって、多様な意見や価値観が存在する時、意見の違いや衝突が起きたとしても、思い切って意見を共有できる雰囲気、つまり心理的安全性が必要不可欠なわけだ。

この指摘は、考えてみれば当たり前なのだが、僕自身が忘れていた説明変数だった。
チームがイノベーションを生み出すには、メンバーの多様性だけでなく、率直な意見を言い合えるような心理的安全性もクリティカルな要素になっている。

【5】心理的安全性が難しい原因は、それが集団に共有された雰囲気であることだろう。
信頼のような個人間の心理的現象と比べて、集団に存在する現象は、個人一人が頑張っても変化を起こすのは難しい。
各メンバーが協力しあって、チームとしての意識的行動が起きて、初めて、心理的安全性が高まる。

しかし、心理的安全性はとても脆い心理状態だ。
たった1人のメンバーの振る舞いで簡単に壊れてしまう。

【6】では、多様性や心理的安全性を持つようなチームを構成するには何が必要なのか?
それは、リーダーシップの重要性だ。
リーダーが組織文化に大きな影響を及ぼすために、リーダーが心理的安全性を維持し続けるように振る舞う必要がある。
また、昨今であれば、各メンバーがリーダーシップを発揮して、協力しあって心理的安全性を生み出す必要がある。

しかし、日本では縦割り社会であり、年功序列制度や脅し、いじめなどが文化として根付いてしまっているために、心理的安全性は非常に作りにくい面があると思う。
特に、チームの中で社会的地位が低いメンバーほど、集団圧力に順応しやすく、周囲に合わせて行動しやすい。

一方、リーダーは力を持っているので、規範から生じる集団圧力にも抵抗しやすく、逸脱した行動も取りやすい。
だから、本来は、チームのメンバーはリーダーになれるぐらいの能力を持っている専門家が望ましいのではないか。

また、リーダーは、心理的安全性は個人の問題ではなく、チームや組織の問題であると捉えて、対処する必要があるのだろう。

【追記】
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらすのAmazonの感想にも似たような内容があって同意した。
(引用開始)
巻末の村瀬俊朗准教授の解説がわかりやすく、この解説を読むためだけに本書を購入する価値があります。
心理的安全性と似ていて理解しづらい他の概念、信頼などとの違いを簡潔・明瞭に解説しています。
また、心理的安全性の向上の促進要因が執筆時点では研究が進んでいるところで、これから解明されていくところだということに言及しています。現時点では心理的安全性は尺度でしなかなく、計測はできるが操作は難しいということが暗に伝わってきます。

その前提を持って本文を読むと、何が言いたいのかだんだんわかってきます。豊富な裏付けデータとケーススタディを通じて、心理的安全性と学習・イノベーション・成長に相関関係があるという事実を解説している書籍だということです。
私は学習・イノベーション・成長できる組織作りを目指したいからこの本を手にしたのですが、そのために肝心な心理的安全性を促進する要因はまだ不明点が多く、説明できないということがわかりました。心理的安全性が高い組織の特徴は優秀なリーダーがいることです。結局は優秀なリーダーがいるチームは学習・イノベーション・成長する組織になる、という誰でも知っている事実が計測可能になった点が最大の功績だと思います。
(引用終了)

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2021/11/20

心理的安全性はPM理論のメンテナンスの発展形ではないか

恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」を読んでると、心理的安全性に関する色んな発想が出てきた。
感じたことをメモ。

『恐れのない組織』の書評とサクッと要約|勝つためにプレーする組織のつくりかた - サクっと読書(サクどく)

【要約】『恐れのない組織』と心理的安全性|【国内MBA/体験記】白山鳩|note

『恐れのない組織』の「解説」を公開します。|英治出版オンライン

【人事の読書記録】「恐れのない組織」エイミー・C・エドモンドソン | 人事担当者の頭の中

【1】「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」を読むまで、心理的安全性を誤解していた。
何でもフラットに言い合える関係、雰囲気を指すだけと思っていた。

心理的安全性の背景には、個人が標準化された作業に従事するブルーカラーから、専門性を持つ複数人が共同作業でチームを形成して成果を出すホワイトカラー集団に変わったことがある。

不安があると人間は能力を発揮できない。
強迫や不安の思い込みがあると、人は意思を削られる。
時間に追い立てられても、速く考えることはできない。

心理的安全性とは、対人関係のリスクを取っても安全と信じられる職場環境であること。
他人に自分の意見を主張しても、人格を攻撃していると思われず、率直な意見同士で対立しても後に残らないこと。

【2】たぶん、日本の組織ではとても難しい。
日本人は、学校に入った後、ずっとその一生では、縦割り集団の意向に沿うようにしつけられる。
ビジネスの世界ならもっとあからさまであり、正規社員と派遣労働者、発注者の大企業と受託の中小企業などでは、脅しが頻繁に見られる。
それはいけないと建前はあっても、所詮ビジネスは請負契約が基本なので、その契約を背景に強者は弱者に押し付けることができる。
ウォルフレンの著作に、日本人には脅しが有効だ、という言葉があって、その言葉に心情的に反発したが、実際の日本の職場ではその言葉は真実だ。
中国人SEなど海外出身の人の方が脅される弱い立場でも堂々と張り合うのに、日本人はいつも黙って従順でいる。

【3】心理的安全性という概念を導き出すきっかけの研究も面白かった。
病院において、チームワークが医療の誤り率に関係するテーマを研究されていた。
チームには専門家が多数いて、医師は人的ミスを判断できる。
こうした専門家は実質的に、従属変数となるもの、チームレベルでの誤り率のデータを集めてくれる。
そして、研究者自身が医療に明るくなかった点も、逆に実験者バイアスという認知バイアスに関わらない利点をもたらした。

実際にデータを統計分析すると、誤り率とチームの有能さの間に有意な相関関係があると分かったのだが、意外なことに、負の相関関係があったのだ。
つまり、優秀なチームほどそうでないチームよりもミスを多くしているようなのだ。
そんな話があるだろうか??
チームワークが優れていればミスが増えるのは道理に適っていない。

この事実から、有能なチームには率直に話す風土があって気軽にミスを報告したり話し合ったりできる、という仮説が導かれた。
これが心理的安全性という概念の発端だった。

そして、いろんな業界のデータを集めるうちに、心理的安全性はグループレベルで存在する、という興味深くシンプルな事実が共通項として生まれた。

さらに、率直に意見を簡単に言い合えるチームもあれば、率直に発言するのは最後の手段というチームもある。
つまり、心理的安全性はまさにグループごとのリーダーによって作られる。

実は心理的安全性の概念は新しいものではない。
エドガーシャインの組織変革の研究でも、組織や個人は学習の不安にぶつかるが、それを克服するには心理的安全性が必要だ、と著書で書かれているらしい。

不安によって能力のある個人の意欲や能力をうまく引き出せない理由は、専門性の高い仕事や多様なメンバーによるチームで共同作業を行う仕事では、心理的安全性が欠けているからだ。

【4】「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」のP.44にある心理的安全性と業績基準の関係のマトリクスがとても分かりやすい。
心理的安全性の高低x業績基準の高低のマトリクスがある。

心理的安全性が低く、業績基準が低い →無気力ゾーン
心理的安全性が低く、業績基準が高い →不安ゾーン
心理的安全性が高く、業績基準が低い →快適ゾーン
心理的安全性が高く、業績基準が高い →学習能力が高くパフォーマンスも高いゾーン

XY理論、マイクロマネジメント主体の管理手法は、作業派を不安ゾーンに陥れて働かせる。
確かに成果は出るが、心理的に安全ではない。
このやり方がつい最近まで主流の管理手法だったので、そのやり方でソフトウェア開発などのナレッジ労働者に適用してもアウトプットが出ない。

と言っても、心理的安全性が高くても業績基準が低ければ、人は快適ゾーンで暮らすことになる。
こういう職場は昨今のグローバル化により、存在し得なくなった。
どこの職場もいつも競争にさらされているからだ。

心理的安全性と業績基準の関係のマトリクスは、PM理論を連想させる。

管理職に求められる能力はPM理論そのものではなかったのか: プログラマの思索

PM理論におけるパフォーマンスとメンテナンス、つまり、仕事の成果と人間関係の2つの軸は、パフォーマンスは業績基準、メンテナンスは心理的安全性に対応付けられるのではないか。
それを言い換えただけかもしれないが、現代ではこちらの概念のほうがFitするのかもしれない。

【5】「恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす」では、会社や組織が不正を起こした事例を数多く載せている。
フォルクスワーゲン、ファルコ、そして日本の原発事故。
いずれも、組織が成果を従業員に強制し、心理的安全性をないがしろにすると、従業員は不正を働き、その成果をあげようとする行動を誘発する。
成果が悪事よりも重要だ、という雰囲気を生み出してしまうのだ。

こういう集団心理は、インセンティブによる動機づけを連想させる。
昨今の経済学、心理学の傾向では、人や組織を動かすにはインセンティブを故意に作り出し、インセンティブによる行動を誘発して物事を変化させようとする手法に変化している。
マーケット主導という概念も、結局は他人に新たな欲望や感情を働きかけて、市場にその行動を反映させようとするものだと思う。

すると、心理的安全性もインセンティブによる行動の誘発の一手法とみなせるのではないか。
自由に率直に意見を言い合えることで、新たな独創的なアイデアを生み出し、チームの成果を生み出すという好循環な仕組みを、心理的安全性というインセンティブがもたらすわけだから。


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2021/10/31

PJ管理におけるQCDのトレードオフ

PJ管理を考える時、「QCDのトレードオフ」はWF型開発でもAgile開発でも、普段の定常業務におけるマネジメント業務でも必要だ。

今、仕事の品質がボロボロだった時、もっと時間をかけて品質を担保するか、他の人に頼ったり、外部へ作業委託したりしてコスト超過を見越して品質を担保するか。
つまり、品質の担保をスケジュール遅延、コスト超過でカバーしようとしている。

他方、短納期の仕事であれば、8割程度の品質で合意を取って、まずは一旦納品する戦略を取る場合もある。
あるいは、手順が分かっているなら、複数人で分担して並行作業して、最後に統合する戦略もあり得る。
つまり、短納期をそこそこの品質かコスト超過でカバーしようとしている。

以前、ローバー、火星を駆ける―僕らがスピリットとオポチュニティに託した夢
を読んだ時、火星探査の調査機オポチュニティを製作する過程で、エンジニアは理論一本槍、技術一本槍ではなく、QCDのバランスを絶妙に取る能力が一番大事、という一節を思い出した。

「ローバー、火星を駆ける―僕らがスピリットとオポチュニティに託した夢」の感想: プログラマの思索

(引用開始)
もう一つは、科学者とエンジニアの宿命的対立と、それを乗り越えた科学者とエンジニアの共同作業による成果の偉大さだ。

つまり、科学者の立場は、真実の探求、自然界の仕組みの探求、制約なしの研究の結果を重視する。理想主義者。
一方、エンジニアの立場は、技術的課題の単なる解決ではなく、最も優れた方法で問題解決する。限られた予算、開発スケジュール、納期の制約の下、「まずまずのところ」で折り合って解決する。がんこな現実主義者。

しかし、科学者とエンジニアは宿命的な対立構造があるが、それを乗り越えたら、偉大な成果が得られる。
(引用終了)

PJ管理におけるQCDのトレードオフの考え方は、自分がチームやPJを運営していたり、メンバーを統率している時に、時々忘れがちなのでメモしておこうと思った。

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2021/10/10

Slack導入がDXに繋がる話

Slack導入がDXに繋がるツイートがあったのでメモ。

【参考】
創業135年のカクイチがSlackを導入したら課長職が不要になった話:日経ビジネス電子版

石倉秀明 | Mr.リモートワークさんはTwitterを使っています 「いやー、これですな > Slackの導入で経営陣の情報がじかに社員隅々まで伝わるため、情報を伝達するだけだった立場に優位性がなくなってしまった 情報格差を作ることで権力を保持してたタイプの管理職からすると、チャットコミュニケーションは脅威なのかもね https://t.co/hfLTAIQTMA」 / Twitter

えとみほさんはTwitterを使っています 「この記事、とてもリアルで良かった。  「カルチャーの変革とデジタルは一緒に取り組んだほうがいい」 ほんこれです。DXというのは、上部だけ便利にすることではなく、働く人のマインドやカルチャーを変えること。」 / Twitter

経営陣の意見が末端社員までリアルに届く環境になると、単なる伝書鳩の中間管理職はいらなくなる。
DXとは、コミュニケーションルートを変革することで組織構造だけでなく組織文化まで変えてしまうこと。

つまり、課長という役職がなくなることで組織構造が劇的に変わり、その結果、社員の行動を規制する価値観が変わって、社員の行動そのものが以前から変化してしまうこと。

「DXとは組織論である」とは、たぶん、そういうことを意味しているのだろうと思う。

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2021/08/29

リーダーシップと意思決定の分布では日本が独特のポジションにある

リーダーシップと意思決定の分布では日本が独特のポジションにあるというツイートをメモ。
ロジカルでないラフなメモ書き。

【参考】
日本企業においてリーダーシップが生まれにくい理由~リーダーシップを取る事の割の合わなさ問題~ - Togetter

心理的安全性は日本企業では実現しにくいかもしれない: プログラマの思索

中野 仁 (AnityA)さんはTwitterを使っています 「リーダーシップと意思決定の分布が日本が独特という話。 階層主義で合意形成を重んじるとなると、上下左右全部に話を通して凄まじいコミュニケーションコストがかかる上に、上と左右からはとりあえず意見だけは言えるのでリーダーに対して投げられる石がだいたい当たるという事では…。 https://t.co/bqHxAufImN」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「このスレッドのリーダーシップ分析が素晴らしいのでリンクしておく。リーダーシップの適切な日本語訳がないのは、日本人がそういう概念を持ってないと言う恥ずかしい事実。」 / Twitter

中野 仁 (AnityA)さんはTwitterを使っています 「確かにリーダーシップに適切な日本語訳が無いという話に繋がるかも知れませんね。 無理やり似た様な概念をひねり出すと、村長シップ、マイルドヤンキーシップ…みたいな。 義侠心(中国発)かなぁ。」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「@Jin_AnityA ちきりんさんのVoicyを聞いて、ビジネスや組織戦略、ITにカタカナ用語が多いのは日本語に適切な言葉がない、つまり日本人はそんな概念を生み出せなかったと言う事実に気付きました。リーダーシップは統率力や指導力だけではないです。」 / Twitter

中野 仁 (AnityA)さんはTwitterを使っています 「ボトムアップ&合意によるプロセスの複雑性がわかりやすく出るのがワークフローシステム ・とにかくフローが長い。承認階層が5段階とかある。 ・兼務があちこちにあって分岐の数が多い。例外処理が多い。 ・念の為に参照する人が大量にいる。フローに入ってなくてもひっくり返す事ができる。」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「ワークフローの複雑さと合意形成のルートの長さは相関関係があるのか、なるほど」 / Twitter

【1】日本人の意思決定やリーダーシップでは、階層主義でボトムアップの合意形成を重んじるタイプ。
一方、アメリカやイギリスは日本と正反対で、フラットでトップダウンのタイプ。
他方、中国やロシア、インドでは、階層主義でトップダウンのタイプ。
なぜか日本だけ特異なタイプになっている。

米英では、フラットに互いに議論して対立しても、最後はリーダーが専制主義のようにトップダウンで決める。
大統領制は民主的な王政に近いスタイルだろうか。

アジアに多い階層主義でトップダウンのタイプは、目に見える身分制度、目に見えない階層があって、専制主義的にトップダウンで決める。
絶対主義王政、東洋的君主制などの過去の歴史を眺めればこのタイプは理解しやすい。

【2】階層主義でボトムアップなリーダーシップを持つ日本は、どんな特徴を持つのか?
目に見えない身分階層は日本でもよく見られる。
建築業界やメーカー、IT業界にはびこる多重請負構造、男女間の目に見えない格差などが思い浮かぶ。
しかも、忖度や根回し、腹芸など日本独特の気遣いもある。

すると、トップは権限を持っていても、実際に権限を振るうとメンバーのサボタージュにあって、にっちもさっちもいかない。
結局、参謀役を使って事前にメンバーに根回しして、ゆっくり推し進めるみたいな感じになる。
ただ、こういうスタイルでなぜ集団主義的傾向が出て、皆が同じような価値観を強いられるのかが不思議だ。
実際は、そういう圧力に反対する人もいるし、力があるなら無視すればいいから。

【3】しかし、なぜ日本だけが階層主義でボトムアップなリーダーシップになりやすいのか?
この辺りは、昭和の頃にすごく流行した日本文化論を思い出す。
日本人は世界から見て特別な人種なのだ、特別な文化を持つのだ、といろんな識者がいろんな観点で解説していたけれど、何かしっくり来なかった気もする。
いくら集団主義的傾向を持つ日本人が多いからと言っても、そこからはみ出た人も多いし、自分の意見をはっきり主張して周囲との軋轢を気にしない人もいるし、一概にそうとは言えない。

【4】こういう傾向を持つ日本人の弱点は、戦略がない点、リーダーシップの経験を持つ人が圧倒的に少ない点だろう。
結局、そういう弱点が今いろんな所で社会に出ているのだろうと思う。
問題は皆分かっているのに、自分の利益を侵害されるとその人達は反対するので、全体最適な観点ではなく局所最適化しやすい。

【5】心理的安全性は日本人の間では非常に難しい文化と思う。
たぶんその理由も、お互いのプライドや人格を傷つけてしまう意識が強すぎるために、忖度や根回し、腹芸のような変なテクニックが必要となり、お互いの心理的安全性を上っ面で維持しようという方向に傾くのだろう。

心理的安全性は日本企業では実現しにくいかもしれない: プログラマの思索

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2021/08/08

redmine.tokyo10周年を祝う会でふりかえりしました #redmineT

redmine.tokyo10周年を祝う会が開催されたのでメモ。

【参考】
Redminetokyo 10周年を祝う会 - redmine.tokyo

shinagawa.redmine キックオフミーティング が開催されました - secretbase.log

akipiiさんはTwitterを使っています 「https://t.co/i2sJFMVOU3 の初回の打合せの参加者は、割といましたね。@tkusukawa @tech_machii まるやまさんもおられましたね。#redmineT」 / Twitter

はるかさんはTwitterを使っています 「あきぴーさんの記事はこれですね。https://t.co/DjjTZPJ3S2 #redmineT」 / Twitter

redmine.tokyo10周年を祝う会で歴史を堪能する #redmineT | マドびっ! Madosan's View

【1】redmine.tokyoのコミュニティですごいと思うのは3つある。
1つ目は、コミュニティが10年続いたこと。
自分がスタッフとして関わったコミュニティで、熱量が維持されて10年も続いたコミュニティは、redmine.tokyoとSEA関西ぐらいだろうか。
アジャイルのコミュニティも他のコミュニティも、10年も長続きしなかった。
どのコミュニティも浮き沈みがある。
ブームに乗って盛り上がった時もあるが、スタッフが高齢化したり、熱量を持つスタッフが減ってしまったりする。

あるいは、熱量を持つスタッフが複数人いて最初は良かったが、視線のベクトルが異なってしまって、コミュニティとして分離してしまったり、とか。
いくら仲が良くても、思想や性格も違うので、それがきっかけで別れてしまう時もある。

そんな経験を経て、「コミュニティは細く長く続けること」が大事かなと思っている。

【2】2つ目は、redmine.tokyoは初期立ち上げのスタッフが多数残っていること。
@tkusukawaさん、@naitohさん、@ohwadaさん、@haru_iidaさんが残ってくれている。
もちろん離れたスタッフもいるが、10年も続いた縁は本当に長いと思う。
人間関係は長いほど、その人の性格や価値観も分かってくるし、そういう安心感もある。
熱量が減ったとしても、同窓会みたいな感じで戻れる場があるのは心強い。

【3】3つ目は、KPTを10年続けていること。
会社でも、コミュニティでも、KPTのふりかえりを実施している所は少ないのではないか?

第1回勉強会でKPTをWikiに残しているが、当初は僕がちょっとやりたかったという気持ちもあって気軽な感じだった。
それが10年もKPTを続けると、今回の勉強会で試して分かったことや良くなかった点を、次回に活かしたいね、という内容が出てくて、次回の勉強会に活かせるようになる。

年2回の勉強会なので、半年ごとのPDCAサイクルを自然に回していることに、後から気づいた。
KPTの活かし方はこんなものなのかな、と後から気づきが多かった。

【4】僕はコミュニティという場は好きだ。
理由は、コミュニティでは、同じ価値観や問題意識を持っている前提が暗黙的にあるおかげで、誰とでも気軽に人間関係を作れるから。
相手がたとえ社長のような社会的地位が高くて年収が高くても、コミュニティでは全く関係ない。
その人自身に能力があり、人格が優れていて、リーダーシップがあれば、自然に輝くし、自然に人間関係が作れる。
つまり、本音で話せる雰囲気が出やすい。

一方、会社では、組織上の地位や権限、権力関係が人間関係にも現れてくる。
どうしても、腹を割って話すのは難しい。
上司であれば、丁寧語を使ったり、相手におもねったり、忖度してしまう。
営利企業であり、仕事であるから、人間関係に請負契約みたいな雰囲気も出てしまう。

コミュニティではそういう責任がない点もあるだろうが、より純粋な人間関係が現れやすい気がした。

【5】redmine.tokyoも今振り返ると、浮き沈みはあったのではないか、と思う。
立ち上げ当初は、藤原さん、小久保さん、岡本さん、@haru_iidaさんのように、ツールの自動化の連携、アジャイル開発への適用に興味を持つ人が多かった。
あるいは、SIerのプロジェクトリーダーとして、ソフトウェア開発のPJ管理を自動化して、チーム運営する基盤を求めていた。
しかし、Scrumが普及し、ツール自動化が当たり前になって、その流れはある程度廃れた。

一方、2015年頃からRedmineユーザの兆候が変わってきた。
情シスやメーカーのような他業界の人達が入ってきて、いろんなRedmine利用事例を発表するようになってきた。
あるいは、PMOやSEPGのように、複数プロジェクトのQCDをモニタリングしたい第三者レビューの観点の人も入ってきた。
そんな話を聞くと、いわゆるプロジェクトリーダー層だけでなく、他業界で現場を回している係長クラスの人達にRedmineが当てはまっているんだな、と感じる。
つまり、Redmineユーザ層の変化が暗黙的にスムーズに行われたのではないか、と結果的に思う。

【6】参加者が現場に持つRedmineは、どれも唯一で、独自にカスタマイズされたRedmineばかりだと思う。
つまり、参加者が運用しているRedmineは、他のユーザの現場に持っていくと使えないだろう。
なぜなら、参加者が持っている問題意識や課題を解決するためのRedmineに特化しているので、他の現場ではコンテキストが違うからだ。

特に最近のredmine.tokyoのLTで聞かれるRedmine利用事例は、どれも個性的で、その現場でしか通用しないRedmineだ。
他に持って行っても通用しない。

だからこそ、そういうRedmine利用事例を聞くのは面白い。
そういう問題意識や課題から、なぜ、そんなカスタマイズしまくりのRedmineになってしまったのか、そういう経緯を知れるのが面白い。

【7】僕自身も最近はRedmineとチケット駆動開発の思索よりも、他のテーマのほうが多くなってきた。
今となっては、会計システムと同じように、チケット管理システムも普通の開発基盤になったように思える。
チケットでタスク管理することで、一元管理する発想は、もはや当たり前で、そこに新規性はない。

では、Redmineはどういう方向に進化すべきか?
どんな課題を解決していくべきなのか?
Redmineが提示すべき価値観とは何なのか?

その辺りは今後も考えていく。

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