プロジェクトファシリテーション

2021/10/10

Slack導入がDXに繋がる話

Slack導入がDXに繋がるツイートがあったのでメモ。

【参考】
創業135年のカクイチがSlackを導入したら課長職が不要になった話:日経ビジネス電子版

石倉秀明 | Mr.リモートワークさんはTwitterを使っています 「いやー、これですな > Slackの導入で経営陣の情報がじかに社員隅々まで伝わるため、情報を伝達するだけだった立場に優位性がなくなってしまった 情報格差を作ることで権力を保持してたタイプの管理職からすると、チャットコミュニケーションは脅威なのかもね https://t.co/hfLTAIQTMA」 / Twitter

えとみほさんはTwitterを使っています 「この記事、とてもリアルで良かった。  「カルチャーの変革とデジタルは一緒に取り組んだほうがいい」 ほんこれです。DXというのは、上部だけ便利にすることではなく、働く人のマインドやカルチャーを変えること。」 / Twitter

経営陣の意見が末端社員までリアルに届く環境になると、単なる伝書鳩の中間管理職はいらなくなる。
DXとは、コミュニケーションルートを変革することで組織構造だけでなく組織文化まで変えてしまうこと。

つまり、課長という役職がなくなることで組織構造が劇的に変わり、その結果、社員の行動を規制する価値観が変わって、社員の行動そのものが以前から変化してしまうこと。

「DXとは組織論である」とは、たぶん、そういうことを意味しているのだろうと思う。

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2021/08/29

リーダーシップと意思決定の分布では日本が独特のポジションにある

リーダーシップと意思決定の分布では日本が独特のポジションにあるというツイートをメモ。
ロジカルでないラフなメモ書き。

【参考】
日本企業においてリーダーシップが生まれにくい理由~リーダーシップを取る事の割の合わなさ問題~ - Togetter

心理的安全性は日本企業では実現しにくいかもしれない: プログラマの思索

中野 仁 (AnityA)さんはTwitterを使っています 「リーダーシップと意思決定の分布が日本が独特という話。 階層主義で合意形成を重んじるとなると、上下左右全部に話を通して凄まじいコミュニケーションコストがかかる上に、上と左右からはとりあえず意見だけは言えるのでリーダーに対して投げられる石がだいたい当たるという事では…。 https://t.co/bqHxAufImN」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「このスレッドのリーダーシップ分析が素晴らしいのでリンクしておく。リーダーシップの適切な日本語訳がないのは、日本人がそういう概念を持ってないと言う恥ずかしい事実。」 / Twitter

中野 仁 (AnityA)さんはTwitterを使っています 「確かにリーダーシップに適切な日本語訳が無いという話に繋がるかも知れませんね。 無理やり似た様な概念をひねり出すと、村長シップ、マイルドヤンキーシップ…みたいな。 義侠心(中国発)かなぁ。」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「@Jin_AnityA ちきりんさんのVoicyを聞いて、ビジネスや組織戦略、ITにカタカナ用語が多いのは日本語に適切な言葉がない、つまり日本人はそんな概念を生み出せなかったと言う事実に気付きました。リーダーシップは統率力や指導力だけではないです。」 / Twitter

中野 仁 (AnityA)さんはTwitterを使っています 「ボトムアップ&合意によるプロセスの複雑性がわかりやすく出るのがワークフローシステム ・とにかくフローが長い。承認階層が5段階とかある。 ・兼務があちこちにあって分岐の数が多い。例外処理が多い。 ・念の為に参照する人が大量にいる。フローに入ってなくてもひっくり返す事ができる。」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「ワークフローの複雑さと合意形成のルートの長さは相関関係があるのか、なるほど」 / Twitter

【1】日本人の意思決定やリーダーシップでは、階層主義でボトムアップの合意形成を重んじるタイプ。
一方、アメリカやイギリスは日本と正反対で、フラットでトップダウンのタイプ。
他方、中国やロシア、インドでは、階層主義でトップダウンのタイプ。
なぜか日本だけ特異なタイプになっている。

米英では、フラットに互いに議論して対立しても、最後はリーダーが専制主義のようにトップダウンで決める。
大統領制は民主的な王政に近いスタイルだろうか。

アジアに多い階層主義でトップダウンのタイプは、目に見える身分制度、目に見えない階層があって、専制主義的にトップダウンで決める。
絶対主義王政、東洋的君主制などの過去の歴史を眺めればこのタイプは理解しやすい。

【2】階層主義でボトムアップなリーダーシップを持つ日本は、どんな特徴を持つのか?
目に見えない身分階層は日本でもよく見られる。
建築業界やメーカー、IT業界にはびこる多重請負構造、男女間の目に見えない格差などが思い浮かぶ。
しかも、忖度や根回し、腹芸など日本独特の気遣いもある。

すると、トップは権限を持っていても、実際に権限を振るうとメンバーのサボタージュにあって、にっちもさっちもいかない。
結局、参謀役を使って事前にメンバーに根回しして、ゆっくり推し進めるみたいな感じになる。
ただ、こういうスタイルでなぜ集団主義的傾向が出て、皆が同じような価値観を強いられるのかが不思議だ。
実際は、そういう圧力に反対する人もいるし、力があるなら無視すればいいから。

【3】しかし、なぜ日本だけが階層主義でボトムアップなリーダーシップになりやすいのか?
この辺りは、昭和の頃にすごく流行した日本文化論を思い出す。
日本人は世界から見て特別な人種なのだ、特別な文化を持つのだ、といろんな識者がいろんな観点で解説していたけれど、何かしっくり来なかった気もする。
いくら集団主義的傾向を持つ日本人が多いからと言っても、そこからはみ出た人も多いし、自分の意見をはっきり主張して周囲との軋轢を気にしない人もいるし、一概にそうとは言えない。

【4】こういう傾向を持つ日本人の弱点は、戦略がない点、リーダーシップの経験を持つ人が圧倒的に少ない点だろう。
結局、そういう弱点が今いろんな所で社会に出ているのだろうと思う。
問題は皆分かっているのに、自分の利益を侵害されるとその人達は反対するので、全体最適な観点ではなく局所最適化しやすい。

【5】心理的安全性は日本人の間では非常に難しい文化と思う。
たぶんその理由も、お互いのプライドや人格を傷つけてしまう意識が強すぎるために、忖度や根回し、腹芸のような変なテクニックが必要となり、お互いの心理的安全性を上っ面で維持しようという方向に傾くのだろう。

心理的安全性は日本企業では実現しにくいかもしれない: プログラマの思索

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2021/08/08

redmine.tokyo10周年を祝う会でふりかえりしました #redmineT

redmine.tokyo10周年を祝う会が開催されたのでメモ。

【参考】
Redminetokyo 10周年を祝う会 - redmine.tokyo

shinagawa.redmine キックオフミーティング が開催されました - secretbase.log

akipiiさんはTwitterを使っています 「https://t.co/i2sJFMVOU3 の初回の打合せの参加者は、割といましたね。@tkusukawa @tech_machii まるやまさんもおられましたね。#redmineT」 / Twitter

はるかさんはTwitterを使っています 「あきぴーさんの記事はこれですね。https://t.co/DjjTZPJ3S2 #redmineT」 / Twitter

redmine.tokyo10周年を祝う会で歴史を堪能する #redmineT | マドびっ! Madosan's View

【1】redmine.tokyoのコミュニティですごいと思うのは3つある。
1つ目は、コミュニティが10年続いたこと。
自分がスタッフとして関わったコミュニティで、熱量が維持されて10年も続いたコミュニティは、redmine.tokyoとSEA関西ぐらいだろうか。
アジャイルのコミュニティも他のコミュニティも、10年も長続きしなかった。
どのコミュニティも浮き沈みがある。
ブームに乗って盛り上がった時もあるが、スタッフが高齢化したり、熱量を持つスタッフが減ってしまったりする。

あるいは、熱量を持つスタッフが複数人いて最初は良かったが、視線のベクトルが異なってしまって、コミュニティとして分離してしまったり、とか。
いくら仲が良くても、思想や性格も違うので、それがきっかけで別れてしまう時もある。

そんな経験を経て、「コミュニティは細く長く続けること」が大事かなと思っている。

【2】2つ目は、redmine.tokyoは初期立ち上げのスタッフが多数残っていること。
@tkusukawaさん、@naitohさん、@ohwadaさん、@haru_iidaさんが残ってくれている。
もちろん離れたスタッフもいるが、10年も続いた縁は本当に長いと思う。
人間関係は長いほど、その人の性格や価値観も分かってくるし、そういう安心感もある。
熱量が減ったとしても、同窓会みたいな感じで戻れる場があるのは心強い。

【3】3つ目は、KPTを10年続けていること。
会社でも、コミュニティでも、KPTのふりかえりを実施している所は少ないのではないか?

第1回勉強会でKPTをWikiに残しているが、当初は僕がちょっとやりたかったという気持ちもあって気軽な感じだった。
それが10年もKPTを続けると、今回の勉強会で試して分かったことや良くなかった点を、次回に活かしたいね、という内容が出てくて、次回の勉強会に活かせるようになる。

年2回の勉強会なので、半年ごとのPDCAサイクルを自然に回していることに、後から気づいた。
KPTの活かし方はこんなものなのかな、と後から気づきが多かった。

【4】僕はコミュニティという場は好きだ。
理由は、コミュニティでは、同じ価値観や問題意識を持っている前提が暗黙的にあるおかげで、誰とでも気軽に人間関係を作れるから。
相手がたとえ社長のような社会的地位が高くて年収が高くても、コミュニティでは全く関係ない。
その人自身に能力があり、人格が優れていて、リーダーシップがあれば、自然に輝くし、自然に人間関係が作れる。
つまり、本音で話せる雰囲気が出やすい。

一方、会社では、組織上の地位や権限、権力関係が人間関係にも現れてくる。
どうしても、腹を割って話すのは難しい。
上司であれば、丁寧語を使ったり、相手におもねったり、忖度してしまう。
営利企業であり、仕事であるから、人間関係に請負契約みたいな雰囲気も出てしまう。

コミュニティではそういう責任がない点もあるだろうが、より純粋な人間関係が現れやすい気がした。

【5】redmine.tokyoも今振り返ると、浮き沈みはあったのではないか、と思う。
立ち上げ当初は、藤原さん、小久保さん、岡本さん、@haru_iidaさんのように、ツールの自動化の連携、アジャイル開発への適用に興味を持つ人が多かった。
あるいは、SIerのプロジェクトリーダーとして、ソフトウェア開発のPJ管理を自動化して、チーム運営する基盤を求めていた。
しかし、Scrumが普及し、ツール自動化が当たり前になって、その流れはある程度廃れた。

一方、2015年頃からRedmineユーザの兆候が変わってきた。
情シスやメーカーのような他業界の人達が入ってきて、いろんなRedmine利用事例を発表するようになってきた。
あるいは、PMOやSEPGのように、複数プロジェクトのQCDをモニタリングしたい第三者レビューの観点の人も入ってきた。
そんな話を聞くと、いわゆるプロジェクトリーダー層だけでなく、他業界で現場を回している係長クラスの人達にRedmineが当てはまっているんだな、と感じる。
つまり、Redmineユーザ層の変化が暗黙的にスムーズに行われたのではないか、と結果的に思う。

【6】参加者が現場に持つRedmineは、どれも唯一で、独自にカスタマイズされたRedmineばかりだと思う。
つまり、参加者が運用しているRedmineは、他のユーザの現場に持っていくと使えないだろう。
なぜなら、参加者が持っている問題意識や課題を解決するためのRedmineに特化しているので、他の現場ではコンテキストが違うからだ。

特に最近のredmine.tokyoのLTで聞かれるRedmine利用事例は、どれも個性的で、その現場でしか通用しないRedmineだ。
他に持って行っても通用しない。

だからこそ、そういうRedmine利用事例を聞くのは面白い。
そういう問題意識や課題から、なぜ、そんなカスタマイズしまくりのRedmineになってしまったのか、そういう経緯を知れるのが面白い。

【7】僕自身も最近はRedmineとチケット駆動開発の思索よりも、他のテーマのほうが多くなってきた。
今となっては、会計システムと同じように、チケット管理システムも普通の開発基盤になったように思える。
チケットでタスク管理することで、一元管理する発想は、もはや当たり前で、そこに新規性はない。

では、Redmineはどういう方向に進化すべきか?
どんな課題を解決していくべきなのか?
Redmineが提示すべき価値観とは何なのか?

その辺りは今後も考えていく。

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2021/07/23

心理的安全性は日本企業では実現しにくいかもしれない

「心理的安全性」という概念は、まだ、日本人には早すぎる。 | Books&Appsという記事がとても参考になったのでメモ。

【参考】
「心理的安全性」という概念は、まだ、日本人には早すぎる。 | Books&Apps

Masanori Kusunoki / 楠 正憲さんはTwitterを使っています 「日本で個人主義が根付いてないというのは、漱石の昔から言い古されてきた話題ではあるけれども、だから日本人には早すぎるなんて緩いことをいってると、いよいよオワコンに / “「心理的安全性」という概念は、まだ、日本人には早すぎる。 | Books&Apps” https://t.co/NPzz4gkmFs」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「良い記事。心理的安全性は人間関係のリスクを取っても率直に言える組織風土を指す。いまもいじめがはびこる日本では根付かないかもしれない。「心理的安全性」という概念は、まだ、日本人には早すぎる。 https://t.co/9Em4UXSWCe」 / Twitter

僕は心理的安全性という概念をきちんと理解できていなかったと思う。
「心理的安全性」という概念は、まだ、日本人には早すぎる。 | Books&Appsの通り「ハーバードビジネススクール教授、エイミー・C・エドモンドソンは、「心理的安全性」の定義を「対人関係のリスクをとっても安全だと信じられる職場環境」としている」ならば、対人関係を気にせず率直に意見を述べられる組織風土や組織文化を指すわけだ。

そういう心理的安全性の定義を踏まえると、特に日本の企業や学校では、心理的安全性はとても実現しづらい。
同調圧力、集団主義的傾向、権力者への従順さなどが日本人という個人を脅かすから。

日本人は、相手と話す時に彼との序列順位をいつも気にしている。
日本人は、年功序列、多重下請け構造という目に見えない社会構造をいつも気にしている。
気にしなければ、生活できない人が多いから。

でも、ソフトウェアを中核としたビジネスモデルで発展させていくには、優秀な人材を集めて、彼らが率直に意見をぶつけて、知的バトルの中から、規模の経済を打ち倒すアイデアや方策を生み出さねばならない。
だから、心理的安全性という組織文化は非常に重要なのだ。
「心理的安全性の低い組織には、賢く、有能な人間は集まらない。パフォーマンスが著しく落ちるからだ。」
たぶんそういうところが従来の既存企業には欠落しているのだろう。

とはいえ、特にIT人材は日本人だけでは今後不足していくので、早晩、海外のIT技術者を日本企業も取り込んでいかないといけなくなる。
そんな状況で、心理的安全性を自ら実践していけるのか?

昭和や平成初期の時代の雰囲気から抜け出せない人を外すしか解決できないのでは、と思ったりもする。

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2021/04/08

プロジェクトのリスクはコストの増減で管理する

「プロジェクトのリスクはコストの増減で管理する」のであり、「コスト管理と課題管理は同じではない」。

【参考】
コストマネジメント(コストコントロール体系) | イノベーションマネジメント株式会社

プロジェクトリーダーのレベルではなく、事業部長や複数プロジェクトを取りまとめる組織の長の観点では、各プロジェクトのリスクをどのように軽減したり、回避したりするか、に注力するようになる。
リスクを完全にゼロにすることは、お金もリソースも使い過ぎるので、現実的ではない。

各プロジェクトでは、計画時にプロジェクト特性に応じて、リスクを洗い出す。
プロジェクトリーダーは、プロジェクトのキックオフ後、実行中では、リスクがどのように変化して、増大して手に負えなくなるか、事前に防げるか、に注力していく。

一方、事業部長や部課長の観点では、どこかのプロジェクトで火を噴くリスクがあると考えて、事前に各プロジェクトのリスクをコストで予算化しておく。
そういう予算は、プロジェクト外費用ならコンティンジェンシー予備費だし、プロジェクト内費用であればマネジメントリザーブ(マネジメント予備費)になる。
そして、実際に火を噴いたら、マネジメント予備費を使うし、更に足りなければ、コンティンジェンシー予備費を投入してでも、火を消すようにする。

一般に、マネジメント予備費を使う権限は、プロジェクトリーダーの采配と組織の最末端の管理職である課長の采配の2つで決まるだろう。
マネジメント予備費は契約時に、利益やコストを見込んで、契約金額に上乗せして積まれている。
マネジメント予備費を使うほど、利益は落ちるので、プロジェクトリーダーの権限ですべてを使っていいわけではなく、最低限の利益ラインを超える場合は、課長の承認が必要になるだろう。
普通は、一旦プロジェクトが火を噴けば、際限なくコストは膨らんでいく。

そして、コンティンジェンシー予備費は、事業部のトップである事業部長の承認で決まる時が多いだろう。
コンティンジェンシー予備費を使う段階まで来ると、経営陣にもその使途理由を問われるので、社内では相当な噂になりやすいだろう。

駄目なプロジェクトでは、プロジェクト計画時にリスクをそもそも洗い出せておらず、単なる課題一覧に過ぎない。
適当に解決するだろう、という期待を含めた課題管理に陥っている。
だから、リスクが顕在化して手に負えなくなると、肝心の予算がなく、単なるデスマーチ案件となってしまって、会社のお金や人員を無尽蔵に浪費していってしまう。
元々、リスクに対する予算などの手当がないので、何の戦略もなく、ズルズルと状況に押し流されるだけになる。

本来は、リスクの内容に応じて、影響度や深刻度、重要度に応じて、そのリスクが発生した場合にかかる費用を見積もり、それらの合算をコストとして予算として見込む。
もちろん、全てのリスクを洗い出して合算したら、途方もない金額になるから、ある程度のリスクは許容することで予算化しないことになる。
あるいは、コストが掛からない対策があれば一番良いが。

PMOの仕事をしていると、プロジェクト運営という観点だけでなく、プロジェクトの採算やコスト管理まで見るようになってきた。
その時に、駄目な会社では、ISO9001を運用していると標榜しながらも、プロジェクト計画書に記載されたリスク一覧が単なる課題一覧に貶められている風景を何度も見てきた。
本来、リスク管理とは何だろうか?という疑問があったが、リスクはコストの増減で管理するという発想が必要と分かり、ようやく腑に落ちた。


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2021/04/04

沢渡さんの資料「テレワークに役立つ8つのスキル」はいいね

沢渡さんの資料「テレワークに役立つ8つのスキル」が参考になるので、メモしておく。

【参考】
経営課題解決のためのテレワーク導入・活用Webセミナーレポート|トピックス|ハマリモ! 浜松テレワーク推進プロジェクト

テレワークが主体になった仕事では、以前とは違ったスキルが必要になっていると感じる。
特に、周囲に誰も居ないので、自分自身でスケジュールや仕事の内容をコントロールすることが重要になったし、それがさらにシビアに厳しくなった感じだ。
テレワークによって、正社員であっても、個人事業主が請負契約で仕事しているイメージに近い。

なぜなら、テレワークの成果物としてアピールすべきものは、目に見える成果として出さなければ、存在しないのと同じだから。
よって、より高いアウトプットを定期的に出すためのスキルが別途必要になっている、と考える。

「テレワークに役立つ8つのスキル」では、下記がある。
・ロジカル・コミュニケーション
・セルフマネジメント
・ヘルプシーキング
・クリティカル・シンキング
・チームビルディング
・プロジェクトマネジメント
・ファシリテーション
・ITスキル/リテラシー

「テレワークに役立つ8つのスキル」を分類すると、2つのカテゴリに分類できるだろう。
他者とやり取りする技術、そして、自分自身を律する技術。

テレワークでは、他者とやり取りする手段がチャットやTV会議に限られるため、対面よりも情報量が圧倒的に少ない。
だから、いかに濃い情報をやり取りできるか、が鍵を握ると考える。

そのために、論点を明確に手短に話したり、議論している内容から課題を抽出して構造化・言語化したり、お互いに率直に話せる環境を醸し出したり、などのスキルがいる。

また、テレワークでは、自分一人で成果物を作り出す能力がより求められるので、自己管理がより重要になる。
問題を整理し、ゴールを定め、ゴールまでのプロセスを作り、作業に分解して、作業しながら自分の立ち位置を自己測定する。
つまり、プロジェクトマネジメント力がかなり求められる。

また、集中して仕事できる環境を整備し、時にはモチベーションを奮い立たせたり、リラックスできる環境もいる。
もちろん、オンライン会議ツール、チャットツール、チケット管理ツール、オンラインスケジュール、オンラインファイル共有などのツールを使いこなすことも大事。
つまり、セルフマネジメントの環境を整備するのも大事。

無理ならば、アラートをあげて他者にヘルプを求めたり、専門家に頼れるルートもいるだろう。

自分でリモートワークしていて、こういう考え方が必要だな、と色々思いつくものの、整理できていなかったので、こういう図で言語化できて、とてもありがたい。
他人に話す時にも使えるので有用と思う。





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2021/03/30

ソフトウェア開発は打ち合わせ駆動開発だ

ソフトウェア開発は打ち合わせ駆動開発だ、と思う。
WF型開発でも、アジャイル開発でも、同じように思える。
以下、ラフなメモ。

たとえば、一般的なWF型開発では、各工程の終了ゲートでは、顧客やステアリングコミッティの承認を得るための会議を開いて、そこを通過するのを目的とする。
その会議のために、プロジェクトマネージャはパワポの資料をわんさか作成する。
その会議で報告して最終検収するために、メンバーはその会議資料の元ネタとなるプログラミングしたシステム、その設計書、テスト仕様書、不具合一覧、リリース手順書などを揃える。

もちろん、設計、開発、テストの各工程では、レビューを通過しなければ、先に進めない。
レビューアが承認する、という儀式が待っている。

一方、アジャイル開発では、各工程のゲートはないが、スプリントプラニングやスプリントデモなどのイベントがある。
それらイベントが、開発チームの行動を制約して、プロジェクトの目的をメンバーに思い出させる。

では、ソフトウェア開発以外のビジネスでは、打ち合わせ駆動のスタイルではないのか?
営業であれば、打ち合わせするよりも、お客様の現場に直行して交渉するほうが大事だ。
受付や店頭販売の人であれば、窓口や店頭でお客様に商品説明するほうが大事だ。
工場の生産現場であれば、打ち合わせよりも実際に生産ラインで組み立てるほうが大事だ。

つまり、普通のビジネスでは、SEやPMのように、1日のスケジュールが打ち合わせで一杯になる、なんてあまりないのではないだろうか。
換言すれば、ソフトウェア開発では、打ち合わせで仕様を詰めたり、アーキテクチャの方針を決める、という創造的な仕事よりも、出来上がった成果物のレビューで完了承認する、とか、作業が遅延していないか進捗確認する場の方が良いのではないか。
とにかく、ソフトウェア開発に関わる人は打ち合わせが多すぎる。
だから、会議室をたくさん用意するほど、どんどん会議室が埋まってしまう症状が見られやすい。

ソフトウェア開発が打ち合わせ駆動開発になりやすい原因は何だろうか?
平鍋さんは、ソフトウェアはコミュニケーションウェアだ、と言われたが、まさに、数多くの伝言ゲームを経て、一つのソフトウェアが作られる。
ソフトウェアは目に見えないものなので、逐一、みんなが額を寄せ合って、プログラムの意図や意味、バグ、アーキテクチャなどを説明しなければ伝わらないのかもしれない。

ソフトウェア開発が打ち合わせ駆動開発になりやすい特徴があるならば、その打ち合わせをもっと有意義なものにすればいい。
PMBOKでも、会議体というコミュニケーション計画は重要なマネジメントの一つ。
アジャイル開発では、故意にイベントを設けて、イベントが開発チームのモチベーションを上げるような仕組みを提供した。

そういう事を考えると、打ち合わせを制するものはソフトウェア開発を制するのかもしれない。

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2021/03/02

プログラマとスクラムが社会実装を変えていく #Findy_GovTech

今夜、ガバテックの話をZoomで聞いていた。
話は面白かったが、色々考えさられた。
考えたことをラフなメモ書き。

【参考】
経済産業省デジタル化推進マネージャーと弁護士ドットコムが語る!行政にエンジニアが関わる意義 - connpass

【1】政府行政をエンジニアが関わって、DXを推進していくのがガバテックと言えるかもしれない。
パネラーが言うように、今まさに旬のテーマ。
デジタル庁ができるし、ITエンジニアがより政治に関わっていくこともできる。

パネラーは、エンジニアリングで社会実装を変えていく、と言っていたが、話を聞いていたら、僕は「プログラマとスクラムが社会実装を変えていく」という意見を持った。

理由は2つある。

【1-1】1つ目は、プログラマが政府行政のIT化で活躍できる場がすごく多く、昔から受け継がれる問題、今まさに直面している問題に対し、プログラマしか解決できないテーマが多すぎるから。

たとえば、コロナワクチン接種管理システムの構築もそうだし、コロナ不況で失業したり、緊急事態宣言でビジネスを制限された人達に補助金を出すシステムもそう。
こういうシステムが必要とされているのに、インフラ構築できない、Webシステムを構築できない、業務要件をデータモデリングでまとめられない状況にある。
政府行政にいる人達は、ITの専門家ではないのだから、そういう技術に詳しくないのは当然だ。
だからこそ、ITエンジニアがより深く関わるチャンスがあるし、それによって、社会を変革していく道筋も生まれる。

ハンコ押印を使った各種申請、税金の支払いが楽になるだけでなく、より積極的に、ITという手段を通じて、政府を通じて世の中をより良くしていく、という活動にコミットできるわけだ。

【1-2】2つ目は、プログラマが政府行政のIT化に関わっていく場合、組織体制はスクラムに即した体制にならざるを得ない印象を持ったから。
パネラーが言うには、政府行政で、パネラーに協力してくれる人達は、事実上、プロダクトオーナーの役割を担ったり、色んな部署と調整したり、逆にパネラーのようなITエンジニアを守ってくれるような活動をしてくれたらしい。
パネラーのようなITエンジニアと政府行政の人達の間に信頼関係が構築できたことで、より深くコミットすることもできた、と。

そういう話を聞くと、まさに、そういう組織体制はスクラムで実装することになるだろう、と思う。
なぜならば、スクラムを適用すれば、スクラムの3つの役割にピッタリ当てはまるからだ。

【1-3】国民の公共サービスの利便性を提供するようなサービスを提供するケースを考えよう。
すると、そのような業務要件を考えるプロダクトオーナーが必要であり、政府行政の業務や法律に詳しい、政府行政の人達自身が担当する。
インフラを構築したり、システムを実装したり、セキュリティ対策を考える人達は、各分野のITエンジニアがチームを形成する。
そして、外部から雇い入れたスクラムマスター、または政府行政の人でファシリテーションが上手い人が、プロダクトオーナーとチームの間で調整する役割を担うだろう。
結局、そのようなプロジェクトチームをシステム毎にたくさん作り、スピード感を持って政府行政のDXを推進していくしかないだろう。

【2】しかし、政府行政のDX推進を妨害する問題は、内製開発できずにベンダーに発注してベンダーロックインになってしまうことだろう。

現状は、政府行政の中の人達が、ITプロジェクトをマネジメントする能力が不足しているし、発注者として、プロダクトオーナーの役割を果たす能力も不足している。

【2-1】本来のあるべき姿は、政府内部で公共サービスを提供するシステムは、全部自前で開発できると一番いい。
リリース後も常に保守する責任を持つし、サービス利用者の声を集めることで、次々に新たなサービスを提供して利便性を高めて、世の中をより良くしていくことができるはずだ。

そういう内製開発が政府内で実現したならば、SaaSベースの開発スタイルになるだろう。
文字通り、ソフトウェアでサービスを提供するわけだ。
理由は、「ソフトウェア・ファースト」の本に書いてある通りと全く同じ。

そして、そのシステム開発のプロセスはスクラムで行われるのが自然だ。
政府行政内の人がプロダクトオーナーを担当し、その業務要件がプロダクトバックログで表現され、サービス利用者が使いやすいように、業務フローやデザインは、ストーリーテリングのように数々の利用ストーリーを踏まえたもので作られるだろう。

【2-2】しかし、現状はギャップが大きすぎる。
パネラーも言っていたように、いきなりデジタル庁で解決するわけではないだろう。
おそらくは、デジタル庁のメンバーは発注者のプロジェクトマネージャーの立場がまず求められて、そういう仕事から現状の問題をこなしながら、今後のあるべき姿へ地道に変革していくことになるのではないか。

【3】しかし、政府行政のIT化の根本問題は、個人のプライバシーとどのように折り合いをつけるべきなのか、があると思う。

【3-1】実際、確定申告のWebシステムであれ、コロナ接触管理アプリCocoaであれ、国民全員に10万円をばらまいた補助金であれ、全て、国民1人が持つプライバシーをどのように扱えばいいのか、に苦慮している。

そもそも、中国のような監視社会であれば、個人の行動履歴、購買履歴、所得や資産情報、医療情報も全て、政府が把握できているのだから、本当に困っている人達に特定して補助金を配ることもできるし、特定した感染者を強制隔離することで、世間の人達の健康を守ることもできる。

だが、政府の公共サービスでは、個人のプライバシーが他人に悪用されるリスクや脅威がとても影響が大きいために、セキュリティ面の対応によって、機能は複雑化し、業務フローもとてもややこしくならざるを得ない。
たとえば、確定申告のeTAXは、なぜあんなに、スマホでもPCでも使いにくいのか、とみんな思っているのではないか。

しかし、過去の歴史を踏まえると、政府に個人情報を預けると何をされるか分からないという、命に関わる危険性をみんなが持っていたし、政府を信用していないから、プライバシー保護という名目で、今までこの問題を放置してきた。

コロナ感染という特別な状況が、その問題が自分たちの生活に直結するぐらい重要である、と分かってきたのではないか。

【3-2】一方、今回のコロナ不況で薄々分かったことは、我々自身も、政府の行動が信用できるならば、自分の個人情報を預けてもいい、と考えているのではないか。

実際、現在の政府の公共サービスは全て申請主義なので、サービスを受けたければ、自分たちからたくさんの書類を集めて、大量の文書を書いて、提出後は長く待たないといけない。
本当に困っている人達に、給付金を直接渡すべきなのに、政府から困っている人達を特定できないから届けることもできない。
よって、失業者が溢れたり、犯罪者や自殺者も増えたりして、社会自体が重苦しく、不便なものになっていく。

だからこそ、そうならないように、例えば、本当に困っている人達に給付金を配ったり、あるいは、コロナワクチンを接種すべき人達を政府自身が特定すべきだし、それらを一括管理できるようにすべきだろう。

【3-3】他方、プライバシー保護のグレーゾーンや法律のグレーゾーンに積極的にリスクを取って関わっていくことで、新しいビジネスを生み出すことの重要性も分かってきたのではないか。

たとえば、テスラは電気自動車を単に提供するだけでなく、販売した電気自動車の走行ログをもとに自動運転技術をより強化させている。
また、走行ログというビッグデータをもとに、自動車損害保険ビジネスに乗り出す、とか、Uberのような配達ビジネスに自動運転をミックスしたビジネスも生まれるだろう。

アップルも、アップルウォッチを提供することで、個人の健康情報を収集することで、ヘルステックという新たなビジネスを生み出そうとしている。
個人の健康情報のログをもとに、医療サービスや保険サービスの新たなビジネスが生まれるし、健康に関わるスポーツビジネスも生まれるかもしれない。

【3-4】つまり、個人情報の保護がグレーゾーンであっても、それに関するビジネスにソフトウェアが決定的に重要な役割を果たし、大きく社会を変えている状況では、この流れに乗り遅れると、もはや国自体が衰退するしか無い。
実際、コロナ感染の社会状況において、日本の大臣は、日本はデジタル敗戦だ、という発言もした。
すなわち、日本はソフトウェアでビジネスを変革するだけでなく、ソフトウェアで公共サービスや社会を変革していくことすらも、他国から大きく遅れてしまった。

米国は、多くのベンチャー企業などが法律のグレーゾーンをものともせずに、ソフトウェアで新たなビジネスを生み出した。
中国は、一党独裁の統制社会を維持するために、ソフトウェアを上手く利用して、インターネット規制やネット検閲、監視カメラなどによる監視体制などを利用してきた。
もちろん、BATのようなIT大企業も生み出しているが。

EUもプライバシー保護や民主主義を掲げてGPDRとか色々作ってきているが、結局、米国や中国のソフトウェアビジネスやソフトウェアの変革の波から乗り遅れているのではないか。

【3-5】そんなことを考えると、プライバシーはもちろん重要だが、各種申請や税金支払、補助金受け渡しのような公共サービスの利便性を求めたり、コロナ感染のように公共性を重視すべき場面では、ある程度のプライバシーは政府に委ねる方向性に今後進んでいくような気がしている。

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2021/02/13

トランザクティブ・メモリーを使え~「プロジェクトをリードする技術 / Project Leading is Skill」の資料はプロジェクトリーダー初心者にお勧め

プロジェクトをリードする技術 / Project Leading is Skill - Speaker Deckを読んで、特に「トランザクティブ・メモリー」が良かった。
良い資料と思ったのでメモ。

【参考】
akipiiさんはTwitterを使っています 「良いスライド資料だなあ。進捗管理で、ボトルネックを常に移動させることは僕も感じていた。プロジェクトをリードする技術 - kakakakakku blog https://t.co/vB5toW5fSy」 / Twitter

プロジェクトをリードする技術 - kakakakakku blog



【1】プログラマ上がりのプロジェクトリーダーは、プレイングマネージャーだと思う。
すると、一人でプログラムを書いたり、自分でバグ修正した方が速いわけだが、それではチームは回らない。
いかにチームを回すか?

上記の資料で良いと思ったのは、アジャイル開発でやればいいんだ、みたいな一本調子ではなく、バランスが取れている所。
たとえば、「計画が得意=クリティカルパスの見極め」は、ガントチャートでも、バックログ管理でも、スプリント管理でも重要だ。

以前、どこかの本で、MSProjectでいちばん重要な機能はガントチャートではなく、PERT図だ、と喝破した記載があって、同意する。
優れたリーダーは、タスクにばらした時に、ネットワーク図をイメージして、どのパスが最短ルートなのか、を頭の中でイメージしている。

ソフトウェア開発が難しいのは、日々の状況によって、クリティカルパスがどんどん変化することだろう。
たとえPJ計画当初にガントチャートを作っても、初めての技術、コロコロ変わる要件、仕様への落とし込みで、クリティカルパスはコロコロ変わる。
つまり、ボトルネックは常に推移していく。
駄目なリーダーはガントチャート保守でボトルネックを見出そうとするが、その作業に追いつかずに破綻する。

【2】チームビルディングも重要な技術の一つ。
タックマンモデルとか色々あるけど、「トランザクティブ・メモリーを大切にしよう」という言葉は僕も同意する。
メンバーの役割分担をリーダーだけでなく、メンバー全員が知って、リレーのバトンを渡すように上手く回す。
そのためには、誰がどんな専門スキルを持ち、誰が暗黙知を持っているのか、を知っておけばいい。

「トランザクティブ・メモリー」は僕は以前は知らなかったので、もっと早く知っておけばよかったと思う。

「トランザクティブ・メモリー」という言葉は、「ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学」ではなく「世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア」を読んで僕は初めて知った。

【3】「世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア」では、トランザクティブ・メモリーの社会実験でこんな話がある。

交際期間が3ヶ月以上の大学生のカップル60組を集めた。
そのカップルの半数はそのまま、残りはランダムな組み合わせのカップルにする。
そして、それぞれのカップルに、記憶力ゲームを試してもらう。

具体的には、科学、歴史、食べ物、テレビ番組などのカテゴリの文章を、カップルは自分の判断で選択して記憶し、どれだけ正確に記憶できていたかを試す。
カップルごとの合計点で評価する。
つまり、記憶作業は1人で行うが、パフォーマンスの優劣はカップルの合計で決まる。

この実験のポイントは、カテゴリ選択時にカップルが相談できないこと。
つまり、カップルはお互いに相手がどんなジャンルを覚えているのか、知らない。

さらに、交際していたカップルと赤の他人同士のカップルをさらに半分に分けて、もう一方には、男性は歴史、食べ物、テレビ番組、女性は残りのカテゴリと指定しておく。

つまり、
①交際しているカップルでジャンル指定のないカップル、
②他人同士でジャンル指定のなかったカップル、
③交際していて男女それぞれが覚えるべきジャンルを指定されたカップル、
④他人同士で男女それぞれが覚えるべジャンルを指定されたカップル、
の4つでランダム化比較試験を行うわけだ。

その結果はどうなるか?

①のカップルの方が②のカップルよりも結果が良くなった。
交際していたカップルの方が記憶力がいい、というのは常識の範疇。
なぜなら、交際していたカップルは、彼と彼女の強みの部分をお互いに知っているので、強みを発揮できるジャンルをお互いに選べばいいから。

しかし興味深いのは、③のカップルよりも④のカップルの方が結果が良かった。
つまり、あらかじめ記憶するジャンルを指定されてしまうと、交際していたカップルよりも、赤の他人同士のカップルの方が記憶力が良かったのだ。

この実験が意味していることは、「ある程度の交際期間を経たカップルは、お互いにどんな強みや弱みを持っているのか、というトランザクティブ・メモリーを自然に持つようになる」ということだ。
たとえば、彼が映画に強いけど彼女は弱い場合、彼女は彼に聞けばいい。
一方、彼女は美味しいレストランはよく知っているが、彼は知らない場合、彼女に聞けばいい。

つまり、Who knows What、誰が何を知っているのか、誰が組織内で特定分野の専門知識や経験を持っているのかを知っていること、というトランザクティブ・メモリーの重要性を示す。

他方、カップルとして自然に形成されたトランザクティブ・メモリーを新しい枠組みで無理に歪めると、非効率を生み出し、カップルの記憶力は著しく落ちてしまう。
むしろ、赤の他人同士のカップルの方が、ジャンル指定だけに基づいて記憶するので、トランザクティブ・メモリーを歪められてしまった交際カップルよりも、はるかに効率的に記憶できたわけだ。

この実験の話を読んで連想したのは、暗黙知を重視する、トランザクティブ・メモリー型の組織文化を故意に歪めた事例は割と多いのではないか、と思った。

たとえば、自社でソフトウェア開発しないユーザ企業やSIでは、大量の派遣プログラマを案件ごとに短期間に総動員してはリリース後に切り捨ている。
すると、案件のプロマネは、トランザクティブ・メモリーに依存しない、属人性のないPJ管理、属人性のない技術で管理したくなる。
そのやり方は、メーカーの単一製品の大量生産方式のように、単純労働者が多い場合には、トランザクティブ・メモリーを重視しなくても、効率的なオペレーション管理を重視すれば成功しただろう。

しかし、ソフトウェア開発のように、暗黙知があまりにも多いビジネスでは成り立たない。
むしろ、苦労して開発してリリースにこぎつけた時、数多くの暗黙知は派遣プログラマに残っているが、彼らが解き放たれたら、そのチームに得られた暗黙知は雲散霧消してしまう。

たとえば、M&Aで買収した企業の社員を、買収元の経営者が勝手に異動させてバラバラにさせてしまうと、せっかく買収先の企業の社員の中であったトランザクティブ・メモリーが破壊されて、M&Aの相乗効果が得られなかった、とか。

うまい例が思いつかないが、トランザクティブ・メモリーを有効活用していない組織や企業は、日本に割と多い気もする。

なお、「世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア」も「ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学」の本もお勧め。

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2021/01/14

みんなのPython勉強会#65の感想~社会変革の鍵はIT技術者にあるのかもしれない

みんなのPython勉強会#65に初参加してみて、内容がとても良かった。
自分もPythonが理解できるようになったので、その意義がすごく理解できる。
社会変革の鍵はIT技術者にあるのかもしれない、と思った。
結論のないラフなメモ書き。

【参考】
みんなのPython勉強会#65 - connpass

セミナー参加ログ》みんなのPython勉強会#65 2021/1/13(水) 19:00?21:00(オンライン開催) - acokikoy's notes

【1】Pythonのビジネス、データサイエンティストの話、LT、そしてシビテックまで、幅広いテーマでとても興味深かった。
その中で、シビテックの話がとても興味を引いた。

シビテックは、プログラマが市民の立場で、政府や公共機関に出てくる問題をITで解決すること、と理解している。
関さんは、Coder fo japanというOSSコミュニティで活動されている。
東京のコロナ感染のWebサイト構築で一躍有名になった。

都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト

また、台湾のIT大臣のオードリーさんがGithubにプルリクを送ったことでも注目された。

ソフトウェアの政治的影響力とは何だろうか: プログラマの思索

関さんの話によると、日本では、2011年の東日本大震災の時にシビテックに関わるプログラマが増えて注目を浴びたらしい。
さらに、昨今のコロナ感染状況の期間で、関さんのいるSlackメンバーは、約4倍以上の人数に増えた、とのこと。
つまり、社会の危機的状況が、プログラマをシビテックに関与しようというモチベーションを与えているわけだ。

では、なぜそんな状況でプログラマは、シビテックに関わろうとするのか?
理由は色々あるだろう。
たぶん、人間としての生存本能が現れるのではないだろうか。

こういうOSSコミュニティは、IT技術者にとって、とてもメリットがある場だ。
理由は、自分とは違うバックグラウンドを持つ技術者と関係ができて、技術力もアップするし、視野も広がる。
講演では、東京のコロナ感染のWebサイトでは、色盲の人に優しいアクセシビリティを考えるべき、というプルリクもあって、非常に勉強になった、とのこと。

【2】講演後の質疑応答で気になったのは、シビテックが欧米と日本でどのような特徴の違いがあるのか、という話。

関さんによると、欧米人は自分の意見を持って自己主張する。
政府はこういう政策を取るべき、こういう行動を取るべき、とか。
一方、日本人は、自己主張しない代わりに、応援するタイプが多い。
良い政策があれば、それを後押しするように活動する。
言い換えれば、日本人はリーダーシップがなく、受け身の人が多いのだろう。

また、米国では行政府の人はリボルビングドア(回転ドア)なので、OSSコミュニティの人の中に、行政府に所属して働いた経験を持つ人が多い。
すると、行政の事情に詳しいので、行政のニーズをよく知っていたり、行政の人間関係や法律上の壁などの事情をよく知っている。
ゆえに、シビテックではそういう人たちと組むことで、より効果の出せるIT技術による解決策を提示できる。

一方、日本では、OSSコミュニティに行政に関係する人が少ないので、行政と連携しにくい。
プログラマもそういう行政の裏事情を知らないので、連携しづらい面がある。
しかし、東京の副都知事にヤフー経験者の人が入ったおかげで、東京ではシビテックが盛んになってきた、と。

また、行政はITに詳しくないので、ITに詳しい技術者やOSSコミュニティと関わりたいニーズはある。
特に最近は、デジタル庁を設立する話も出たし、農林水産省や経済産業省もIT技術者を募集する広告を見かけるようになってきた。
こういう危機的な状況だからこそ、IT技術者が求められているのだろう。

社会変革の鍵の一つに、IT技術者も含まれている。

【3】そういう講演を聞きながら、今のコロナ感染対策が難しい理由も素人ながら何となく想像できるようになってきた。
その理由は、コロナ感染という問題が影響する範囲が広すぎて、数多くの分野の専門家を集結させて、一貫した方針を打ち出す必要があるのに、どれが正解か分からないので対策を取るのが難しいからだろう。

たとえば、コロナ感染の新規感染者を予測し、政策に合わせてその精度を次々に手早く変更していくには、西浦先生のような疫学の専門家が必要だし、感染などの医療に詳しい医学者が必要。
しかし、彼らだけで問題を解決できるわけではない。

たとえば、ロックダウンにより経済的に困っている人たちへ給付する政策を実行して、人々にどういうインセンティブを持たせれば効果が上がるか、という行動経済学とか、財政出動とその効果を測定するには、マクロ経済学とか、そういう経済学の専門家も必要。
そして、そういう経済政策や医療政策を実行するための正統性を確保するために、新しい法律を整備する法律家も必要。

たとえば、コロナ感染者が増加している状況で、コロナ感染者をスマホで追跡・隔離したり、検査した情報をクラウドの基盤に蓄積したり、刻一刻と変わる情報をWebサイトで収集・公開したり、各人に適切な給付金を配布するための一連の仕組みをWebシステムで構築したりするには、専門のIT技術者が多数必要になる。

つまり、それぞれの分野で一流の人を集めて、彼らを的確にアサインし、振ってくる問題をさばいていくことが求められる。
そういうことを実施する時、トップが全ての分野に精通して理解できるのは難しいだろう。
トップは全ての分野に精通した専門家ではないのだから。

では、そういうチームを編成して、問題を一つずつ解決していくことを成し遂げるには、何が必要なのだろう??
専門家でもないリーダーには、どんなスキルが求められるのだろうか?
どんなリーダーシップを発揮したら、問題となる状況を解決できるのだろうか?

何故ファシリテーションが流行しているのか?: プログラマの思索

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