カテゴリー「製造業」の13件の記事

2026/07/12

製造業の工程管理の課題とアジャイル化の壁

米中の製造業がアジャイル開発を推進して躍進する一方、なぜ日本の製造業はアジャイル化に苦しむのか。
自動車や半導体装置の事例から見えたのは、機能別組織による工程分断という組織構造の呪縛だ。
次世代のものづくりに向け、製品アーキテクチャと組織の壁を越え、アジャイル変革を成し遂げる突破口を探る。

【参考】

【1】僕は、製造業でもアジャイル化すべきだと思う。
実際、イーロン・マスクのTesla、SpaceXは、製造業でアジャイルを実践している企業だろう。
しかし、日本の製造業は従来の工程管理、WF型開発に固執し、最先端を行く米国企業、中国企業に追いつけてない。

【2】では、日本の製造業の工程管理の実態は何か?
彼らの工程管理では、どんな課題があるのか?

製造業の業界にもたくさん種類があり、各メーカーごとに工程も異なる。
ここでは、僕が経験したメーカーとして、自動車OEMメーカー、半導体製造装置メーカー、防衛宇宙メーカーの事例を通して考えてみる。

【3】1点目は、各メーカーの工程管理の実情は、製品軸の事業部内でも機能別に部門が担当し、工程を跨いだ連携が困難になる。
つまり、機能別組織が工程管理の分断を生んでいる。

SIerでは、PJ単位に、1つの事業部が見積もり~運用保守までの工程を全て管理しているだろう。
つまり、SIerの事業部内には、PM、PL、SE、PGがいて、彼らが各案件を担当する。
とはいえ、インフラ部隊、セキュリティ部隊は専門家集団なので、全社共通の機能別組織として存在し、各案件で必要な時だけ顔を出して作業する。
また、事業部制組織なので、事業部には、管理部門がある。
SIerでは、管理部門が事業部ごとに散在し重複した機能を持つので、無駄は発生しているが、案件優先なので良しとしているだろう。

よって、SIerでは、1つの事業部が全てのリソースを把握して、複数案件を管理する構造になるから、WF型開発であっても、全工程で担当者は密に連携する特徴がある。

【4】一方、製造業では機能別組織が中心なので、SIerとは組織観点が大きく異なる。
製造業では、メカ・エレキ・ソフト・生産計画・製造・品質管理などの部門は、独自の専門知識が必要であるため、専門家集団として統率する方がメリットがある。
しかし、その弊害も大きい。

たとえば、自動車OEMメーカーでは、試作車を作り、それを元に設計し試験して、設計仕様を固める。
その後、量産準備に入り、大量の部品を期日通りに発注し入荷して、工場で量産し、販売会社に渡して出荷する。
デメリットは、設計部門、生産計画部門、調達部門、製造部門、販売部門のように、専門分化されているために、各工程間の情報連携が悪いことだ。
だから、トヨタなど大手OEMメーカーでは、車種ごとにプロダクトオーナーのような人やチームが存在して、エンジン・ブレーキ・シャーシ・サスペンションなどの専門家集団へ必要な機能要件を提示して納入させて、独特な優れた車を生み出していた。
つまり、ある意味では、Scrumのような組織体制や運用を回していたわけだ。
しかし、組織構造としてはマトリクス型組織になるので、作業者にとっては、2ボス体制になるので、2ボスの優先順位が異なると混乱する。
また、専門部署の作業者も1つの案件に関わるわけではなく、複数の案件の開発に関わるケースも多いので、複数案件の担当になる。
よって、メンバーの作業負荷に繁忙期が発生しやすく、リソース管理が非常に難しくなる。
これが、マトリクス型組織の弊害だ。

【5】たとえば、半導体製造装置メーカーでは、TSMCやサムスンなどの大手半導体メーカーに製品を出荷する。
半導体製造装置も機種単位に作られ、基本は派生開発が中心になる。
AMSLのような大手であれば1機種500億円もするし、他の工程担当のメーカーでも1機種数億円から数十億円はするので、月産台数は100台にも満たない。
しかし、自動車並みに部品点数が多く、顧客ごとにカスタマイズした機能要件で設計する必要があるので、典型的な特注品の受注生産になる。
彼らも設計部門が非常に重要であり、設計工程で仕様が確定し、その仕様に基づいて発注や製造が行われる。
設計部門は派生開発を担当するので、複数の機種を担当するために、マトリクス型組織になる。
同様に、2ボス体制やリソース管理の問題が発生する。

【6】たとえば、防衛宇宙メーカーでも、同様の工程が存在する。
こちらも典型的な特注品の受注生産になる。
面白い点は、ミサイルやレーダーなどの防衛装置は巨大であるので、倉庫へ配置したり、実際の戦場に配置するために建設部隊が必要になる点だ。
建設工程は、SIerで言えばシステム移行に相当するだろう。
彼らも設計部門が非常に重要だ。
なぜならば、設計部門が基本的にプロジェクトマネジメントも担当し、メカ・エレキ・ソフト、調達、製造、建設部門に指示を出し進捗管理を行っているからだ。
すると彼ら設計部門も、複数の製品を担当するケースが多いので、マトリクス型組織になる。
同様に、2ボス体制やリソース管理の問題が発生する。

以上のように、どのメーカーでも工程管理がしっかりしているが、工程が各組織に分断されているために、情報連携が悪い。
どの部門も複数の製品や案件を担当するので、マトリクス型組織になるので、特に要員管理に非常に苦労している。

【7】2点目は、SIerと比較して製造業は工程が専門的で分断するために、アジャイルな工程管理を実現しづらい点だ。

SIerなら、ウォータースクラムフォールのように、Agileを挟んだWF型開発が主流だろう。
よって、アジャイル開発をスムーズに運用しやすいメリットがある。
明確に要件が固まれば、後は定期リリースの型に当てはめれば、自然にアジャイル開発になるからだ。
しかし、製造業では事情が異なる。

【8】たとえば、自動車OEMメーカーでは、試作工程のテストカーを作る段階は完全にアジャイルだ。
その後の設計、試験も普通はアジャイル開発を実装できるはずだが、単なるバグ修正ばかりやっている。
実際、設計してECUをハードウェアで作り、ソフトウェアを乗せて、山奥の試験場でテストカーを走らせてバグ出しする。
そのサイクルを繰り返すので、アジャイル開発にしやすいはずだが、そうならない。
なぜならば、ハードウェアがなければソフトウェアも載せられない。
つまり、ハードとソフトの間には依存関係や支配関係があり、どうしてもソフトウェアは後回しになりやすく、しわ寄せを受けやすい。
本来は、アジャイルリリーストレインのように、複数のマイルストーンを1スプリント内に設けてハードとソフトの開発を同期させるような仕組みが必要なはずだが、そのようなプロセス設計は結局見られなかった。

そして、量産準備から調達、量産以降の工程は全てWF型開発になる。
大量の部品を期日に従って調達し、生産ラインで量産していくため、どうしても期日通りにWF型開発でやるのが当たり前になる。
しかし、昨今は、戦争や国際政治、地震台風などによるサプライチェーン阻害により、量産工程を期日通りに回す運用が非常に難しくなっている。
よって、WF型開発で量産するという発想をアジャイル開発に切り替える、というアイデアへ変えるべき時に来ているかもしれない。

【9】たとえば、半導体製造装置メーカーでは、特注品の派生開発がほとんどなので、マイルストーン単位の開発をアジャイル開発に置き換えられるはずだ。
しかし、実際は、見積もり工程や設計工程がPLMやERPと連携されておらず、自動車並みに複雑な製品を作っているのに、Excel仕様書で散在しているためにすごく煩雑な作業になっている。
単なる手作業で忙しく回しているに過ぎない。
調達や量産も同様の事象の問題が発生し、期日通りに製造するのが難しい状況にある。

【10】たとえば、防衛宇宙メーカーでも同様に、特注品の派生開発が中心だ。
ここでは、設計部門がプロジェクトマネジメントも担当しているので、彼らが意図的にアジャイル開発を適用してプロジェクト管理できればよいが、彼ら自身がアジャイル開発を知らないし、たくさんの機能部門と調整する作業に忙殺されている。
調達や量産も同様の事象の問題が発生し、期日通りに製造するのが難しい状況にある。
ここでもアジャイル開発を適用できていない。

【11】つまり、製造業では、各工程とその機能別組織に分断されているために、アジャイル開発を適用するハードルが高く、アジャイル開発プロセスをそもそも適用しづらい。
アジャイルリリーストレインのような高度な同期システムが必要になるが、個別の企業ごとに実装するには、検討すべき点が多くて非常に難しいだろう。

【12】そんな状況にあるので、現時点では、日本の製造業アジャイルはAsIsの呪縛から逃れるのが非常に難しいと考える。
しかし、イーロン・マスクの企業はやっているのだから、何かヒントがあるはずだ。
そのヒントを探してみる。

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2026/06/10

自動車・半導体・防衛産業から読み解く、業界を制する設計思想

SIerから製造業に飛び込み見えてきたのは、業務を根本から支配する設計アーキテクチャの存在だ。
自動車のECU、半導体の巨大サプライチェーン、防衛産業のキルチェーン。
これら業界を制する概念を紐解き、アーキテクチャ主導による製品開発の重要性と本質を考えてみる。

【参考】
More Effective Agile ソフトウェアリーダー になるための28の道標 | Steve McConnell, 長沢 智治(監訳), クイープ |本 | 通販 | Amazon

アジャイルサムライ 達人開発者への道 | Jonathan Rasmusson, 西村 直人, 角谷 信太郎, 近藤 修平, 角掛 拓未 |本 | 通販 | Amazon

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで | 市谷 聡啓, 新井 剛 |本 | 通販 | Amazon

作る、試す、正す。 アジャイルなモノづくりのための全体戦略 | 市谷 聡啓 |本 | 通販 | Amazon

【1】SIerで長年働いてきて、製造業に入ってみると、彼らの業務を支配する設計アーキテクチャを知りたくなってくる。
製造業のそれぞれの業界で使われる製品固有の前提、制約条件を元に、彼らはどんなルールに支配されているのか?

【2】たとえば、自動車ならば、ECUのアーキテクチャになるだろう。

(Gemini翻訳)
車ECU(Electronic Control Unit)は、自動車のエンジン、ブレーキ、エアバッグなど様々なシステムを電子的に制御する「車載小型コンピューター」です。センサーから得たデータをもとに最適な動作を計算し、1台の車に約100個搭載されることもあります。現代の車には不可欠な「頭脳」です。
ECUの主な特徴と役割
役割(自動車の「頭脳」): エンジンの燃料噴射・点火制御、ブレーキ(ABS)、パワーステアリング、車線維持支援など、安全・快適・性能を包括的に管理します。
構成: マイクロコントローラ、メモリー(ROM/RAM)、入出力インターフェースで構成され、厳しい耐熱・耐振動設計が施されています。
連携: 車載ネットワーク(CAN)を介して、それぞれのECUが連携して動作します。
種類: エンジン系、シャシー系、ボディ系(ライト、ドア)、情報系(ナビ)など、機能ごとに分散しているほか、これらを統合する「統合ECU」の採用も進んでいます。
近年は、自動運転や電動化の進展に伴い、より高度な処理能力を持つECUの重要性が高まっています。

では、ECUを支配するアーキテクチャにはどんな種類があるのか?

(Gemini翻訳)
自動車の脳にあたる「コンピューター(ECU)」の配置ルールは、進化とともに3段階あります。
・ドメイン型:役割ごとのチーム制。「走る」「止まる」など機能別に脳を分ける方式です。機能が増えるほど配線が複雑になり、車が重くなるのが弱点です。
・ゾーン型:場所ごとのエリア制。「右前」「後ろ」など車の場所で脳をまとめます。近くの部品を最短の配線でつなぐため、線を劇的に減らして軽量化できます。
・セントラル型:一極集中制。車の中央に超高性能な「1つの脳」を置き、全てを指揮します。スマホのようにソフトの更新だけで車の性能を後から進化させやすくなります。
現在は、配線を減らしつつ高度な制御を行うため、2と3を組み合わせた形が主流になりつつあります。

最近では、自動運転(AD)や走行制御(ADAS)が全てのECUを指示・制御する必要があるために、ADやADASの機能を持つ統合ECUが必須となるセントラル型アーキテクチャが主流になっていると思う。
ハード面でもソフト面でもアーキテクチャ設計が以前よりも遥かに重要な印象だ。

昔は、トヨタやホンダが「ハードの部品のすり合わせ」により1つの自動車を作っていた印象。
しかし、今は、SDVという「車のAPI化やOTAでソフトウェアによるハード制御などの実装に近い設計手法」になったために、20~50個ものECUを結合して、性能、品質、セキュリティなどを担保するのは、昔ながらの「すり合わせ」では実現不可能。

「すり合わせ」という複数チームのコミュニケーション活動による解決ではなく、ハード面でもソフト面でも「アーキテクチャにより自動車の構造をすり合わせる」へ時代が変わったと考える。
だから、MBSEのような「アーキテクチャ主導の製品開発」が重要になってきたと考える。
※OTA=いわゆるスマホのソフトウェアアップデート機能みたいなもの。自動車用語特有。

自動車の組込ソフトウェア開発が難しい理由は、3つあると思う。

1・ECUというハードとソフト双方を結合した部品を作った後に、さらに複数のECUを統合して初めて1台の自動車が完成するので、結合・統合テストで非常に苦労する。

2・自動運転(AD)や走行制御(ADAS)のように、全てのECUに指示制御する統合ECUが初めて出現したために、従来のハード中心のゾーンアーキテクチャからソフトウェア主導のアーキテクチャに変わったので、ソフトウェア開発力が弱いメーカーは非常に苦しい。

3・A-SPICE、機能安全、サイバーセキュリティのような監査プロセスを踏んで品質担保を保証する必要があるので、ソフトウェア開発チームはソフトウェア開発だけでなく、監査ドキュメント作成の作業負荷も増えている。これらの規格をOEMメーカーがTier1の部品メーカーに要求するため、開発現場はいつも人手不足で作業が大変な印象。

自動車のアーキテクチャ設計で面白い点は、分散アーキテクチャから集中型アーキテクチャへ移り変わってる流れであり、マイクロサービス設計の発想とは異なる点だ。
理由は、自動運転機能が自動車の全ての機能に関わるので、集中型アーキテクチャでオーケストレーションせざるを得ない。

残念ながら、日本のOEMメーカーは、この流れに全く沿っていない。
中国メーカーとテスラに負けていると言えるだろう。

【3】一方、たとえば、半導体ならば、どんな設計アーキテクチャが重要なのか?

半導体の製造工程は、高度に専門化されて細分化されていて、巨大なサプライチェーンと化している。
もはや1社で全ての工程をカバーできる代物ではない。
最先端の半導体技術、ナノレベルの微細加工や洗浄の製造技術、超高純度の素材を必要としている。
半導体製造工場を1つ建てるだけでも数兆円掛かるのではないか。

半導体の製造工程では、高度に専門化された製造装置や超高純度の素材が使われる。
それら製造装置、素材を製造するメーカーは、各工程で5社未満に限られる。
日本なら、東京エレクトロン、スクリーン、信越化学などがあるだろう。
一般に、半導体製造において、最も重要とされる「露光(リソグラフィ)工程」を担い、圧倒的な市場シェアを誇るオランダの企業はASMLだろう。
ASMLが製造するEUV露光装置は1台あたり数百億円にのぼる超高額機器。
究極の、すり合わせ技術の塊。
ASMLだけで、半導体製造工程の付加価値の半分くらい占めているのではないか。

彼らのお客はTSMCやサムスン、インテルなどの巨大ファウンドリー。
彼らがどんどん積極投資するから膨大な売上になる。
だからこそ、今は、半導体に絡む株式投資をしたら、すぐに億万長者になれるだろう。

半導体製造工程のサプライチェーンを知り尽くすことが、半導体業界を理解できる鍵になる。
すべての技術、設計はサプライチェーンの細分化された工程に深く埋め込まれているからだ。

【4】では、防衛産業において、重要な設計思想、アーキテクチャ設計の思想は何だろうか?

重要なアーキテクチャ設計の思想は「Kill Chain」になるだろう。

防衛産業や軍事用語における「キルチェーン」とは、標的の発見から攻撃の実行、そしてその効果の判定に至るまでの一連の軍事プロセスを「チェーン(鎖)」に見立てた概念だ。
キルチェーンは一般的に「F2T2EA」と呼ばれる6つの段階で構成される。

Find(発見): 敵や標的がどこにいるかをセンサーや偵察で探知する。

Fix(特定): 標的の正確な位置情報や動向を割り出し、特定する。

Track(追跡): 移動する標的を継続的に監視・追跡する。

Target(照準・目標選定): どの兵器で攻撃するのが最も効果的かを選択し、照準を合わせる。

Engage(交戦・攻撃): 実際にミサイルや戦闘機などで攻撃を実行する。

Assess(評価・戦果確認): 攻撃が成功したか、標的が破壊されたかを評価する。必要であれば再攻撃のプロセスに戻る。

Geminiに聞いたら、
「この概念の根底には、「一連のプロセスのうち、どこか一つの輪(段階)を断ち切る(破壊・妨害する)ことができれば、敵の攻撃全体を無力化できる」という考え方があります。逆に言えば、自軍の攻撃を成功させるためには、この鎖を素早く、かつ途切れることなく最後まで完遂する必要があります。」
「キルチェーンは「敵のプロセスをどこで断ち切るか」「自軍のプロセスをいかに高速で回すか」を考えるための基本となるフレームワークです。」
と言っていた。
つまり、F2T2EAの6つの工程のいずれかを断ち切ると、後続の工程に進めなくなり、ターゲットを撲滅できなくなる。
一方、F2T2EAの6つの工程を高速に回すほど、攻撃力が増して、相手側の攻撃を防御しやすくなるだろう。

このキルチェーンと、アジャイル開発に出てくるOODAは非常に相性が良い。
OODAの4つのステップがキルチェーンの6つの工程に対応付けられるからだ。

Geminiに聞いたら、
アジャイル開発において「市場の変化に素早く適応する」ことが目的であるように、キルチェーンにおけるOODAの目的は「相対的なスピードで優位に立つこと」です。
自軍が敵よりも速くOODAループを回し続けると、敵の「Observe」と「Orient」は常に古い情報に基づいたものになります。結果として敵は混乱し、誤った「Decide」を下すか、意思決定そのものが麻痺します。これにより、物理的に敵を完全に破壊しなくても、敵のキルチェーンを機能不全に陥らせることが可能になります。
と言っていた。

つまり、アジャイル開発はスピードを重視するが、OODAの概念に即することにより、分析と学習が加速されるわけだ。

More Effective Agile ソフトウェアリーダーになるための28の道標」にOODAの解説があるのだが、僕は今まで腑に落ちなかった。
なぜOODAがアジャイル開発と密接に関係するのか分からなかった。
しかし、キルチェーンの観点で考えれば、OODAは非常に理解できる。
OODAはまさに、相手国を攻撃し殲滅させるための設計思想なわけだ。

【5】自動車の「ECUアーキテクチャ」、半導体の「専門家されたサプライチェーン」、防衛産業の「キルチェーンとOODA」はまさにその業界を制するアーキテクチャの設計思想だろう。
これらの概念を元に考えることで、より詳細な機能要件や性能要件も理解できるようになるだろう。

これらの概念をさらに深堀りしてみたい。

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2026/04/05

製造業のDXの鍵はPLMにあり!図解でわかる製造業バリューチェーンの正体

製造業のDXを勝ち抜く鍵は、分断されたデータの統合にある。
CRM、PLM、ERP、SCM。
これら基幹システムの真の連携構造と、今なぜPLM導入が急務なのかを、現場感覚に基づいた図解を元に、書いてみる。
ラフなメモ書き。

【参考】
誰も教えてくれない「SCM計画立案・遵守」の疑問 あなたの会社の生販在(PSI)計画は機能していますか? | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない「生産管理システム」の正しい使い方 | 本間 峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない 「工場の損益管理」の疑問 | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない 「部品工場の納期遅れ」の解決策 | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する

5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon


【1】製造業のシステム連携はどのような構造になっているのか?

製造業のシステムは、CRM→PLM→ERP→SCMの流れに沿って、製造業の業務を支えている。
それぞれのシステムの役割は異なる。

下記の図が非常に分かりやすかった。

Integration of PLM, ERP, SCM and CRM

【2】CRMでは、営業マンが顧客の引き合いから受注までを管理する。
1つの顧客に対し、引き合いは複数件ある。
見積もりが発行されて、見積もり番号が採番される。
そこから受注が確定すると、製番番号が採番されて、PLMに引き継がれる。

業務によっては、1製番に対し複数の見積もり番号が集約されるケースもある。
このケースは、完全リピートの受注だろうが、過去の製番をベースにするが新規に製番番号を発行する場合が多いだろうと思う。

一方で、1つの見積もり番号から複数の製番に分割される場合もある。
このケースは、製品が大規模で複雑なので、製番を分けることで製品設計や製造をやりやすくする単位にすることがあるだろう。

【3】PLMでは、設計部門が製番を元に製品のコンフィグレーションを作成して、製造工程に渡すための詳細な設計書や手順書を作成する工程を管理する。
製造業では、設計部門の技術力がコアコンピタンスになるケースが多いだろう。

つまり、独自の製品を作って付加価値を付けるために、設計資産を蓄積する必要がある。
だから、PLMのように設計資産を蓄積し、活用するためのDBが必要になる。

PLMでは最終的にE-BOMを作り出す。
このE-BOMが、ERPにおいて生産計画や所要量展開で使うM-BOM、保守サービスで使うS-BOMの元ネタになる。
それらもPLMで一元管理したい欲求がある。

【4】ERPでは、生産管理部門が製番ごとに生産計画を作り、製造部門が生産計画に基づいて製造する。
SCMでは、購買部門が生産計画に基づいて必要な部品を発注して手配する。

ERPでは、M-BOMを整備するのが重要。
SCMでは、購買用のP-BOMを整備するのが重要。

ERPでは、MRPが最も重要な機能の一つになるだろう。
しかし、「」で語られているように、受注生産が主体である日本の製造業には、MRPは向いていない印象を持っている。
生産量の変動が大きすぎるために、生産管理部門の現場担当者が、工場を走り回って何とかやりくりしているのが実態ではないだろうか。

【5】製造業のバリューチェーンにおいて、CRM・PLM・SCM・ERPの重要度の比重はどのような関係になるのか?
下記の図が分かりやすかった。

PLM in Enterprise IT Domains | Rahul

plmvalue.jpg (446×270)

バリューチェーン上では、
設計=PLM、CRM
製造=ERP、SCM
出荷後の保守サービス=ERP、CRM
が主体になるみたい。
これは、僕が現場を見た感覚と同じ。

【6】PLMとERPは何が違うのか?

PLMは、製品の構想から廃止に至るまでの設計資産を一元管理するシステム。
ERPは、製品の生産、製造が主体だが、在庫、購買、工程計画、生産スケジューリング、倉庫管理と配??送、人事、財務、サービスなど、製造およびアフターサービスプロセス全体を管理するシステム。

下記の記事が分かりやすかった。

PLM対ERP ? 競争か協業か? | ラフル

30年前にERP導入ブームがあったと聞く。
実際、その後、製造業の基幹系システムにERPパッケージ製品導入、あるいは、ERPの自前システム構築がよくあった。

【7】そして、最近ではPLM導入ブームが多い気がする。
それはなぜか?
たぶん、今の時代では製造業もDX戦略を実行せざるを得ないが、肝心の製品データや設計資産が現場担当者の頭の中にあったり、CADデータのように社内に散在しているために、まずデジタル化を目指す必要があるからだ。
デジタル化を推進するためにPLMが必要になったからだろう。

製造業を支えるシステム設計、DX戦略については今後もウォッチしていく。


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2026/04/04

製造業はなぜ機能別組織に固執するのか?IT業界との対比で見えたDXの壁

なぜ製造業は機能別組織に固執するのか。
IT業界との対比から、DXを阻む専門性の壁と組織変革の鍵を解き明したい。
考えたことをラフなメモ書き。

【参考】
すり合わせの優位性は健在か?日本の製造業が直面するPLM活用とMBSEソフトウェア運用の理想と現実: プログラマの思索

PLMツールとは部品表の構成管理ツールでありGitHubである: プログラマの思索

いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する

図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

システムズエンジニアリングに基づく製品開発の実践的アプローチ

システムズエンジニアリングの探求 | ジョン・ホルト, Jon Holt, 伊藤 侑太郎, 河野 文昭 |本 | 通販 | Amazon

システムズエンジニアリングハンドブック 第5版 | デイビッド・D・ウォルデン, 西村秀和 |本 | 通販 | Amazon

実践に活かす モデルベースシステムズエンジニアリングの基礎 | 西村 秀和, 西村 秀和, 河野 文昭 |本 | 通販 | Amazon

5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon

「プロエンジニアになるための「アジャイル開発」再入門」が素晴らしい: プログラマの思索

製造業の品質管理の背後にあるSDCAという考え方をソフトウェア開発に適用できるのか: プログラマの思索

【1】自動車、半導体、機械装置などの製造業の業界を見てくると、IT業界とは違った景色が見えてくる。
僕が違和感を持つ点は、製造業はなぜ、機能別組織にあんなにこだわるのか?

【2】IT業界であれば、最近はアジャイル開発に向いた組織構造にするのが当たり前だ。
技術革新のスピードが速く、環境変化が速すぎるために、組織構造も従来のWF型開発ではやりづらい。
大規模なソフトウェア開発案件であっても、要件定義に時間をかけるとしても、裏側では、プロトタイプ検証やインフラ環境構築などの並行開発もやっている。

特に最近は、ローコード開発のプラットフォームが揃ってきたので、1億円くらいの開発案件であったとしても、機能を細分化して、今週に要件定義をやったら来週にはプロトタイプを見せる、という開発サイクルで段階リリースしていく手法も多く見られるようになった。

発注したユーザにとっても、自分たちの要件が翌週には形が見えるので、自分たちの現場に特化した画面や機能であるか検証しやすいメリットがある。
開発チームにとっても、ビッグバンリリース後に捌ききれない問合せや障害が多発するよりも、ユーザから早めにフィードバックをもらって手戻りを無くす方が心理的にも楽だし、開発のリズムも整えやすい。

つまり、IT業界ではアジャイル開発が主流になった理由として、アジャイルという開発プロセスがかなり確立してきたこと、さらには、ローコード開発プラットフォームが充実してアジャイル開発を実践できる開発基盤が揃ってきたこと、があるためだろうと考える。

よって、従来のWF型開発のように、インフラ層・DB層・ミドルウェア層・フレームワーク層・アプリ層・UI層のように機能別に特化した組織構造では、アジャイル開発が非常にやりにくい。
部門間のコミュニケーションロスが多すぎる。
よって、アジャイル開発に特化した組織構造にするには、ストリームアイランドチームのように、アプリ層を中心に一つのサービスやサブシステムを作る単位でインフラ層からUI層までをカバーする組織構造のほうがやりやすい。

DevOpsの考え方、クラウドが普及したことにより、技術的にもシステム運用やアプリ開発が一体化した開発プロセスも一般的になってきた。

すなわち、IT業界では機能別組織はアジャイルではなく、縦に一気通貫する事業部型組織に近いストリームアイランドチームが主流だろうと考える。

【3】では、製造業であっても、環境変化や技術革新がこれだけ速いのに、なぜ、製造業は機能別組織にこだわるのか?

製造業にいる人達も、自分たちがタコツボになりやすい傾向を既に知っている。
彼らに聞けば、環境変化や技術革新のリスクを、彼らもよく分かっている。
彼ら自身、機能別組織の欠点は知っている。
しかし、そこから彼らは抜け出せない環境にある。
それはなぜか?

【4】製造業では未だに機能別組織がはびこっている理由は、根深い特性があると考える。

理由は、設計・製造・営業に特化した方が専門知識を蓄積しやすく、効率化しやすい特性が強すぎるからだろうと考える。

たとえば、自動車であれば、たとえEVや自動運転が主流になったとしても、ボディ・エンジン・ブレーキ・サスペンション・タイヤなどのハードウェア部品が必要であり、それらの各部品の仕様や特性には深い専門知識が必要だ。

半導体製造でも、スマホやAIデータセンターに特化したチップを設計して、シリコンの原材料から微細加工したICチップを切り出して大量製造するには、数兆円規模に特化した設備や機械装置、原材料が必要だ。
半導体の各工程に特化した専門知識が必要になる。

つまり、製造業では、各機能に特化した専門知識のレベルが深いこと、さらには歴史も長いことにより、専門化した機能別組織の方が仕事しやすい傾向がある。
機能別組織の方が、専門性を発揮しやすい一方、設計や製造の現場で試行錯誤したノウハウを蓄積することにより、ナレッジを組織が維持管理しやすい。

製造業は、専門性に特化することで、業務を局所最適化しまくって、生産性を上げる方向に向いている。

【5】では機能別組織の弱点は、何があるだろうか?

1つ目は、機能を担当する部署間でコミュニケーションが数多く発生し、コントロールが難しくなる点だろう。
各機能ごとに専門家集団がいるので、他の専門家には言葉や意図が通用しづらい。
その分、無駄なコミュニケーションコストが積み重なりやすい。

おそらく、日本の製造業はすり合わせが上手い、と言っていた理由は、専門家集団同士のコミュニケーションを以心伝心でやれたからではないだろうか。
そんなことを考えると、日本の製造業は、すり合わせという行為をきちんとエンジニアリングできていたのだろうか、と疑ってみたくなる。

【6】2つ目は、機能別組織に特化した製造業の企業は、顧客ニーズを拾いきれず、市場ニーズの変化に弱い点があるだろう。

なぜならば、機能別組織では、営業・設計・製造の部門だけでなく、各部門内の各工程の部署は、自分たちの業務の局所最適化しか考えていないので、製品を利用する顧客までイメージが及んでいないからだ。
これだけ環境変化が速い時代では、顧客ニーズがコロコロ変わるのに、そのニーズを随時反映していくプロセスが機能別組織には取り込みにくいのだ。

特に、各工程の作業担当者は、自分たちの業務を終わらせることしか頭にない。
せいぜい、製品出荷時までしか頭にない。
すると、出荷したらおしまい、という考えになりやすい。

実際、出荷後の保守サービスを担当する部門が製造業の会社では作られていないケースが多い。
いわゆるカスタマーサクセスを担当する部門がないのだ。
だから、保守サービスのノウハウを蓄積したり、出荷後の製品を利用した顧客ニーズを拾い取る業務を担当する部門がないのだ。

一方、特にSaaSを中心とするIT企業では、ユーザのニーズを吸い取る部署があるのが普通だ。
また、サブスクリプションのビジネスモデルが多いので、利用ユーザのニーズに敏感になりやすい傾向があるから、そこからノウハウを蓄積するプロセスも確立しているだろう。

どうしても製造業は硬いビジネスモデルになりやすい傾向がある。

【7】しかし、Software is eating the worldの時代では、製造業も設計資産のデジタル化や、ITを使ったビジネスプロセス改革程度では不十分だ。
機能別組織から脱却して、顧客ニーズを吸い取ってフィードバックループを回すような組織へ変革すべきだろう。
それが、製造業のDX変革で目指すべき形になるだろうと考えている。

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2026/03/29

すり合わせの優位性は健在か?日本の製造業が直面するPLM活用とMBSEソフトウェア運用の理想と現実

石油危機は再び日本の自動車産業を塗り替えるのか。
現場で感じた「すり合わせ」の限界、PLMによる設計資産のデジタル化、そしてMBSE導入に立ちはだかる高価な壁。製造業DXの理想と過酷な現実を深く考察してみる。

【参考】
Xユーザーのブルームバーグニュースさん: 「石油危機が自動車市場を変える、かつての勝ち組日本車劣勢 https://t.co/NoIbkcR5k0」 / X

PLMツールとは部品表の構成管理ツールでありGitHubである: プログラマの思索

いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する

図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

システムズエンジニアリングに基づく製品開発の実践的アプローチ

システムズエンジニアリングの探求 | ジョン・ホルト, Jon Holt, 伊藤 侑太郎, 河野 文昭 |本 | 通販 | Amazon

システムズエンジニアリングハンドブック 第5版 | デイビッド・D・ウォルデン, 西村秀和 |本 | 通販 | Amazon

実践に活かす モデルベースシステムズエンジニアリングの基礎 | 西村 秀和, 西村 秀和, 河野 文昭 |本 | 通販 | Amazon

5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon

【1】50年前の石油危機が日本の低燃費自動車普及のきっかけと同様に、今回の石油危機がEV化、SDVを加速させるだろう。
日本メーカーはITに弱いのでこの波に乗れないように見えるのが辛い。

Xユーザーのブルームバーグニュースさん: 「石油危機が自動車市場を変える、かつての勝ち組日本車劣勢 https://t.co/NoIbkcR5k0」 / X

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【2】日本の製造業の現場を1年ほど見てきて、疑問に思う点は2つある。

【3】1つ目は、日本の製造業が得意とする「すり合わせ」とは一体何だろうか?
現代では「すり合わせ」の技術に優位性はあるのか?

50年前なら、ソフトウェアはハードのおまけであり、ハードウェアのすり合わせ技術が品質保証に繋がっていたのだろう。
しかし、現代では、自動車であれ、機械製品であれ、部品点数は数万点、10万点以上に及ぶ。
そんな大量の部品を組み合わせて量産するのは、人間の脳みそによる管理限界を超えている。

また、市場環境の変化、国際政治の変化によるサプライチェーンへの影響により、次から次へと多品種少量生産を強いられる。
そんな状況で、すり合わせをいちいち実施していて、環境変化の速度についていけるのだろうか?

「すり合わせ」の優位性は今でもあるのか、正直疑問に思う。

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【4】もう一つは、日本の製造業のDX戦略のあるべき姿はどこにあるのか?

いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化するでは、DX成熟度というべき段階レベルがある。
具体的には、DX成熟度には、デジタル化→デジタル改革→デジタル変革 の3つがある。

現在、日本の製造業のDX成熟度は、まだデジタル化の段階にある。
彼らの現場では、職人技術者の頭にノウハウが染み付いていて、OJTという名で技能継承してきた。
いまだに2D-CADが主流であり、つい最近まで紙ベースの製図が割とあった。
製品設計図がデジタル化されていると言っても、Excelやパワポで散在していて、一元管理もできていない。

だからこそ、PLMツールを使って、製品設計図をデジタル化して一元管理しようと試みている企業が多い。
この流れは正しい道筋と思う。

しかし、彼ら日本の製造業は、今後、デジタル化された資産をどのように戦略策定に使おうとしているのか?

本来は、PLMツールに格納された設計資産を、FMEAのような品質保証と結びつけたり、見積もりや原価計算などのコスト管理に結びつけたり、MESやERPを連携させて工程管理で使うことで、設計工程や製造工程の業務プロセスを改善したい。
だが、日本の製造業の設計・製造プロセスは過去の長い歴史の経緯もあって、非常に複雑で例外フローが多く、属人的なフローが多すぎる。
まずは整理整頓する段階で留まっている。

PLMツールとは部品表の構成管理ツールでありGitHubであるならば、設計資産を有効活用して、QCD向上につながる業務プロセス改革に使いたい。
そういう戦略策定が必要になるだろう。
今は試行錯誤しているように見える。

Dxplm

【5】PLMツールで設計資産を一元管理できたとして、MBSEとどのように関係づけて、より高度な製品開発にもっていくか、という課題もある。

実際の物理構造である設計図面ではなく、論理的なあるべき機能からモデルを構成して、モデルベースで製品開発していくべき。
それがMBSEになろうだろう。

【6】しかし、僕は、MBSEは巷で言われているように本当に有効なのか、疑問に思っている。
理由はいくつかある。

1つ目は、新製品開発の期間が短く、多品種少量生産を強いられる環境の中で、いちいちモデルを新規作成するのは、時間もコストも掛かりすぎる。
せっかく作ったモデルもすぐに陳腐化しやすい。

また、一度作成したモデルも、設計後に量産化する前の検証段階で、何度も手が加えられて変更される。
つまり、モデルの構成管理が必要になる。
しかし、モデル作成専用のソフトウェアがなければ、構成管理は難しいだろう。
たいてい、MBSE専用のソフトウェアは非常に高価であり、大量の設計者が同時使用できる代物ではない。
モデル作成のコスト、モデルの構成管理のコストは、想像以上に高く、ハードルが高い。

MBSEソフトウェアとして、カメオシリーズが有名。
Cameo Systems Modeler | カメオ システムズ モデラー | SysMLモデリングツール | アイコクアルファ株式会社

Mbse

【7】2つ目は、モデルを作成できたとして、何が嬉しいのか、効果が見えづらいことだ。

確かに、論理的なモデルにより、ハードウェアの制約や過去開発の思い込みをゼロベースから検討できるのはメリットの一つだが、それだけでは弱すぎる。

僕の直感では、ハードで実現した試作品を作る前に、MBSEで作成したモデルをソフトウェア上で何度もシミュレーションで何度でも検証できることが最大のメリットではないか、と考える。
なぜならば、ハードの試作品を作っては検証して、何度も作り直すのは、仕損費が膨れ上がり、設計コストが耐えられないからだ。

むしろ、ソフトウェア上で何度も作っては検証して、機能だけでなく性能や非機能要件まで細部の仕様を詰められれば、試作品の仕損費を劇的に減らせる。
量産に持ってくまでの試作期間を短縮することも可能だ。

つまり、Simulinkでシミュレーション検証する、CAEで検証する、と言った検証作業をソフトウェア上で何度も試せる点が重要だろうと考える。

そして、ここでも、MBSEベースのモデル検証にはMBSE専用ソフトウェアが必要であり、MBSE専用ソフトウェアが非常に高価である点がボトルネックになってくる。

すなわち、MBSEベースのモデル駆動開発とは、MBSE専用ソフトウェアによるモデル開発とモデル検証であって、我々IT技術者が思い描くGitHubベースのソフトウェア開発ではない。
よって、MBSEベースのモデル開発は非常にハードルが高いと言えるだろう。

この考え方が正しいのかどうか、今後も思索していく。

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2026/03/20

DX戦略はDX成熟度を考慮して戦略策定すべき

DXとはそもそも何なのか?
DX戦略の考え方は何なのか?
いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化するを読んで考えたことをメモ。

【参考】
いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する | 石角 友愛 |本 | 通販 | Amazon

【1】DX、デジタルフォーメーションという言葉はよく聞くが、その定義を聞くと、人によってバラバラだ。
たとえば、デジタル化の回答もあれば、ITによる業務プロセス改善という意見もあれば、ITを使った新しいビジネスモデル構築という意見もある。
どれが正しいのだろうか?

デジタルフォーメーションという言葉を聞くと、僕は、デジタルに変身!と叫ぶウルトラマンに変身するイメージを思い浮かべてしまう。
実際の日本企業は、そう簡単に変身できないだろうが。

【2】いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化するでは、DXには3つの段階があると解説している。
DX成熟度というべき段階レベルがある。

【2-1】Digitization

アナログ→デジタルへ移行
例:
ペーパーレス化
図面の電子化
CADによる設計
承認フローの電子化

【2-2】Digitalization

・デジタル化したデータを利用して、
ビジネスプロセスを変革する
・作業の進め方を変えて、
顧客や企業の関与と相互作用の方法を変革し
新しいデジタル収益源を生み出す
例:
ERPによる経営資源共有
見積・設計・製造プロセスの改善
3D設計+CAEによる設計品質向上
PDMツールによる技術情報の部門内共有


【2-3】Digital Transformation

新しいビジネスモデル、コアビジネスのデジタル変革
人や組織に関する変革
例:
自社以外に、顧客やサプライヤ、ステークホルダーを
巻き込んだ変革
グローバルPLM
ライフサイクルを通じたBOM再構築

【3】僕が現場で見る限り、日本の製造業は、Digitizationの段階で留まっているケースが多い。
特に、職人芸の気質が強い中小企業がそうだ。

たとえば、ノウハウは職人、経理や現場担当者にくっついていて、なかなか周囲にナレッジ共有できない。
OJTで学ばせるだけ。
日本人は現場で優秀なので、トラブル対応や火消しをいつも頑張ることで乗り切っている。
よって、組織として習熟しているとは言えないといつも思っている。
なぜならば、業務プロセスを誰も明文化していないし、明文化したとしても例外フローが多すぎて標準化もできていないからだ。
つまり、いくらERPなどのITシステムを導入しても、帳票出力システムに過ぎず、現場担当者の優秀さに頼り切っている。


【4】さすがにそんな状況はまずいと考える経営者も多い。
そこでDX戦略を作るわけだが、一朝一夕には行かない。
まずは、職人芸のノウハウを形式知化し、現場担当者の優秀さに依存しない業務プロセスの確立が必要になってくる。

その段階が、Digitization。
まずはノウハウをデジタル化して、見える化すべき。
実際にやってみると、相当な量になる。
特に製造業は会社の歴史も長いケースが多いし、職人芸のノウハウもたくさんあるので、書き起こすだけでも大変だ。
しかし、その価値は十分にあると僕は考える。

なぜならば、昨今は人手不足や若者不足が当たり前なので、現場の優秀なベテランに頼り切るやり方はもう通用しないからだ。
技術継承するためにも、Digitizationは必須だ。

【5】Digitizationが進んでくると、業務プロセスも見えてくるので、Digitalizationによって、業務プロセス改善、さらにはプロセス改革まで進める。
だが、業務プロセスの改善程度ならまだしも、プロセス改革は相当難しいと感じる。
なぜならば、人の再配置、部署の改廃、ひいては子会社化やM&Aなどの組織構造の変化にも関わってくるからだ。

ITコーディネータ勉強会で聞いた事例では、ERP導入を通じて業務プロセス改革をやった時、ITコーディネータである部長の部下である総務部の女性3人が結局退職した、と話されていた。
業務プロセス改革により仕事がなくなり、彼女らの存在意義が無くなったからだ。
リスキリングや別の能力開発を行ったのだろうが、人間はそう簡単に変わらない。
ましてや40代、50代にもなれば、新しい知識や技術の習得は難しくなる。
しかし、そんな人間関係の軋轢も覚悟の上でやらなければならないだろう。

【6】そういう業務プロセス改革を突き進めると、最終的には、組織構造の変革を通じて、組織文化の変革、社員のマインド改革まで行き着く。
そうすると、組織変革を通じて、会社のコアコンピタンスも再定義されて、新しいビジネスモデルや新規事業創造に向かうだろう。

そういう流れがDX化であるが、実際は10年以上かけて体質変化させる流れになるだろうと思う。
人間はそう簡単に変わらないからだ。
人間はそもそも保守的な存在である。
人間は、環境変化に即座に順応できるわけではない。
人間は自らの価値観を持ち、プライドを持つからだ。

会社には、若者もいれば、ベテランもいるし、最近では女性がたくさんいる職場も当たり前だ。
女性にも若い独身女性もいれば、既婚女性もいるし、子育てしている女性もいる。
また、中国人やインド人、ベトナム人などの外国人のSEや作業員も多いはずだ。
つまり、以前に比べると、日本の製造業も多様な人材が職場に溢れている。
よって、彼らの価値観を会社の価値観に合わせるのは至難の業だ。

そんな状況を踏まえて、DX戦略を考えるべきだろう。


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2026/03/08

PLMツールとは部品表の構成管理ツールでありGitHubである

製造業のパッケージ製品に出てくるPLMとは結局何なのだろうか?
考えたことをラフなメモ書き。

【参考】
BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon

図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない「生産管理システム」の正しい使い方 | 本間 峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない 「工場の損益管理」の疑問 | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない 「部品工場の納期遅れ」の解決策 | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない「SCM計画立案・遵守」の疑問 あなたの会社の生販在(PSI)計画は機能していますか? | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

製造業におけるPLM製品とMES製品の違いは何か?: プログラマの思索

E-BOMとM-BOMの違いは何か?: プログラマの思索

製造業のDXを推進する部門をITコーポレート部門に割り当てるとなぜ失敗するのか: プログラマの思索

製造業の本質は「すり合わせ」と「PSIのトレードオフ」にある|akipii

【1】製造業でよく使われるパッケージ製品は、ERPだと思っていた。
いわゆる生産計画と生産実績の管理、そこから会計管理までつながる基幹系システムのことだ。

しかし、製造業ではもう一つの重要なパッケージ製品があると分かった。
それがPLMツールだ。
製品そのもののライフサイクル管理を指す。
たいていは部品表を管理するためのツールだ。

では、なぜPLMツールは製造業でそこまで重要なのだろうか?

【2】PLMツールの本質は、部品表の構成管理にある。
その理由と経緯について書いてみる。

【3】製造業のビジネスモデルとは、製品を製造して、付加価値を付けて販売することだ。
その製品は数多くの部品から構成される。

自動車なら10万個の部品、飛行機なら100万個の部品が必要と言われる。
その他の精密機械装置であれば、1万~10万点ぐらいの部品から組み立られるケースが多いだろう。
部品数が10個程度ならまだしも、数千個、数万個になると、人間の記憶や紙媒体だけで管理するのは難しい。

しかし、今までの中小製造業では、こういう組立加工の製品を現場の長年の勘と経験だけでやってきた。
ちょっとした大手製造業ですら、せいぜいExcel媒体で管理しているに過ぎないケースが多い。
日本の製造業の現場では、ベテラン社員が長年の技能経験を元に、部品のノウハウを蓄積してきたおかげで、口頭伝承でも何とか製造できてきた。
でも、新人社員の確保が難しくなったり、技能継承が難しくなったりして、もはや勘と経験だけでは維持できない。
だから、PLMツールを用いて、部品表を整備し、部品の特徴や組立加工時のノウハウを全て蓄積することで解決しようとする。

【3】一方、こういう勘と経験が長年続いてきた理由の一つに、日本の製造業は見込生産よりも受注生産が主体のビジネスモデルだったからではないか、と考えている。
実際、日本の製造業では製番管理で部品や原材料の発注購買から生産計画、生産指示、生産実績まで管理しているケースが非常に多い。
たとえば、中小製造業なら元請けから製造委託を受けたり、過去の受注生産を元にリピート受注したり、リピート製番から部品を少しカスタマイズして派生開発したりするケースが多いだろう。
つまり、過去の受注生産の実績データを元に、製番をどんどん派生させて部品を少し入れ替えたり、カスタマイズして生産するケースが多いのだ。
すると、今までの受注生産の経験を活かして、ちょっと派生開発する程度で、現場の頑張りで何とかやってこれた、という実態が多いのではないだろうか。

しかし、多品種少量生産が普通になった現代では、過去のリピート製番から多数の派生製品が作られるので、過去の変更履歴やその経緯、変更理由が分からなくなっている。
そのために、生産後のクレームや本番障害、生産途中の仕損品の増加などに苦しめられているのではないか。

だから、過去のリピート製番にある部品表や工程表(レシピ)を記録し、リピート製番から派生開発する時はその変更履歴や経緯を記録したい。
そのためにPLMツールを導入して、部品表の変更履歴を残したいのだ。

そんな経緯があるから、PLMツールが必要だと理解している。

【4】「BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon」では、部品表の履歴管理が重要だ、という主張がある。
今までその理由は分かっていなかったが、たぶん、日本の製造業ではリピートの受注生産が多い背景があるので、部品表の履歴管理をPLMツールで一括管理すべきだから、と考えている。

【5】PLMツールが部品表の構成管理であるということは、ソフトウェア開発にたとえれば、部品表の履歴管理をGitHubで管理しているようなものだ。
実際、過去の1つの製番に対し、複数の製番が派生開発されるケースが多いからだ。
つまり、ルートにある製番からツリー状にどんどん部品表が広がっていく。
ちょうど、カンブリア紀から現代までの生物の歴史みたいに。

【6】すると、PLMツールによる部品表の構成管理では、どのようにリビジョン管理されるのか?
そのやり方は「図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon」に詳しく書かれている。

具体的には、リピート受注時に、大元の製番から派生させて新規製番を作る。
しかし、受注生産の場合は、製品の仕様が固まるまで、顧客と何度かやり取りが発生する。
その都度、製番に紐づく部品構成は何度も更新されて記録される。
普通はリビジョンを付けて管理する。

そして、最後に見積もり確定する時に仕様が固まる。
この時に、製番が確定するので、バージョンを付けてFixする。
バージョンを付けて確定した製番が重要であり、その途中経過のリビジョンの製番データは不要だ。
普通は、社内で設計部門が承認した版をバージョンとして残し、過去のリビジョンは消す機能がPLMツールに必要だろう。
これらの部品表の構成管理は、PLMツールのワークフロー管理機能として実現されているだろう。

ソフトウェア開発から見れば、丁度この考え方は、Githubのブランチ新規作成とタグ付けと同じだろう。

また、GitHubのDiff比較と同様に、PLMツールでもリビジョンごとの部品表比較が重要だ。
設計部門の運用を見ると、部品の差分結果のコメントに、変更理由や見積もりに至った経緯を書き込んでいる。
この差分結果を出力してエビデンスを残して、見積もりの根拠に使っている。

PLMツールには他にも重要な機能がたくさんあるので別途まとめてみたい。

【7】まとめとして、PLMツールの存在意義は何なのか?

PLMツールは元々、設計部門が作るE-BOM、生産計画部門が作るM-BOM、購買部門が作るP-BOM、保守サービス部門が作るS-BOM、それらを統合して一括管理するツールだ。
一方、日本の製造業のビジネスモデルでは、受注生産が非常に多く製番管理が主体なので、製番の派生開発のために部品表の構成管理として使いたい意図がある。

PLMツールで部品表の構成管理を一括管理できれば、部品表の精度が上がることで設計品質の向上、生産計画におけるM-BOMの精度向上により生産リードタイム短縮、受注前の引き合いで見積もりを即座に行うことによる見積もりリードタイム短縮につながるメリットがある。
そこまで行き着くには、製造業の内部で、単に部品表を口頭伝承や紙媒体からデジタル化するだけでなく、PLMツールに蓄積された資産を有効活用できる施策を実行しなければならない。
製造業にはまだまだ改善できる余地がたくさんあるのだ。


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2026/02/23

自動車の組込ソフトウェア開発が難しい理由は3つある

自動車の組込ソフトウェア開発の現場を見ると、とても難しいなと思う。
第三者視点で考えたことをメモ。

【参考】
自動車業界におけるA-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格に対応したプロセス改善とは何か?: プログラマの思索

システムズエンジニアリングに基づく製品開発の実践的アプローチ | 後町智子, 土屋浩幸, 鈴木 研 |本 | 通販 | Amazon

図解カーエレクトロニクス 上 システム編 増補版 | デンソー カーエレクトロニクス研究会, 加藤 光治, 日経Automotive Technology |本 | 通販 | Amazon

図解カーエレクトロニクス 下 要素技術編 増補版 | デンソー カーエレクトロニクス研究会, 加藤 光治, 日経Automotive Technology |本 | 通販 | Amazon

Automotive SPICE 4.0 実践ガイドブック[入門編] エンジニアリングセット | ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ | 車・バイク | Kindleストア | Amazon

Automotive SPICE 4.0 実践ガイドブック[入門編] 管理支援 | ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ | 車・バイク | Kindleストア | Amazon

ISO26262 2nd実践ガイドブック[エンジニアリングセット] | ビジネスキューブ・アンド・パートナーズ | 車・バイク | Kindleストア | Amazon

詳解 車載ネットワーク -CAN、CAN FD、LIN、CXPI、Ethernetの仕組みと設計のために- | 藤澤行雄, 品川雅臣, 高島 光, 村上 倫, 石本裕介 |本 | 通販 | Amazon

【1】自動車の組込ソフトウェア開発を現場で見ていると、皆いつも忙しそうにしている。
基幹系システム開発の時よりも大変なように見える。

組込ソフトウェア開発の初心者である僕から見て、ハードとソフトを組み合わせて正常動作させることすら、根本的に難しいように思う。
業務系Webシステムの設計・開発・保守を経験した僕が見て、ハードと一体化したソフトウェア開発は、ハードレベルに近い知識も必要。
相当大変なように思える。

また、自動車にも自動運転のように、AIを使った機能追加は当たり前になった。
おそらく、どのOEMメーカーも、どの部品メーカーも、AIを使った新機能の開発、さらには研究開発に相当のリソースを投入しているはずだ。
もはやハードウェアに付加価値はないので、ソフトウェアでいかに付加価値を上げるか、にビジネスモデルの力点が移動している。
しかし、AIの開発は、組込ソフトウェアやWebシステムとは異なる異次元の専門知識も必要なので、習得のハードルも高い。

さらに、自動車の製造には、数多くのISO規格の認証が必要だ。
なぜならば、民生品と言えども、人命に関わる製品なので、人命第一の品質保証が問われるからだ。
数多くのISO規格の監査を踏んで承認が得られなければ、そもそも販売できない。

そんな状況を踏まえると、自動車の組込ソフトウェア開発が難しい理由は、3つあると思う。

【2】1・ECUというハードとソフト双方を結合した部品を作った後に、さらに複数のECUを統合して初めて1台の自動車が完成するので、結合・統合テストで非常に苦労する。

そもそも、ECUとは、車載の電子制御装置(Electronic Control Unit)の略。CPUが10個ぐらい搭載されていて、ハード部品と組込プログラムから成る。例えば、エンジンECU、ブレーキECU、エアバックECU、自動運転ECUなどがある。一般に、デンソーのようなTier1メーカーが製造し、OEMメーカーであるトヨタ、ホンダに納品し、OEMメーカーが20~50個くらいのECUを結合して1個の自動車を作る。

Geminiでは、下記の解説があった。
車ECU(Electronic Control Unit)は、自動車のエンジン、ブレーキ、エアバッグなど様々なシステムを電子的に制御する「車載小型コンピューター」です。センサーから得たデータをもとに最適な動作を計算し、1台の車に約100個搭載されることもあります。現代の車には不可欠な「頭脳」です。
ECUの主な特徴と役割
役割(自動車の「頭脳」): エンジンの燃料噴射・点火制御、ブレーキ(ABS)、パワーステアリング、車線維持支援など、安全・快適・性能を包括的に管理します。
構成: マイクロコントローラ、メモリー(ROM/RAM)、入出力インターフェースで構成され、厳しい耐熱・耐振動設計が施されています。
連携: 車載ネットワーク(CAN)を介して、それぞれのECUが連携して動作します。
種類: エンジン系、シャシー系、ボディ系(ライト、ドア)、情報系(ナビ)など、機能ごとに分散しているほか、これらを統合する「統合ECU」の採用も進んでいます。
近年は、自動運転や電動化の進展に伴い、より高度な処理能力を持つECUの重要性が高まっています。

つまり、ECUに組み込むソフトウェアのテスト、ECUというハードとソフト自体の結合テスト、さらには複数のECUを組み合わせた1つの自動車という統合テストという多段階のテストが必要。
Webシステムのような単純なテストモデルではない。

また、彼らのテスト作業を見ると、回這う現場にはECUというハードの台数が少ないので、ECUのテスト時間を予約して、その間にテストしてバグ出ししている。
ECUというテスト機器も1チーム1台ではなく、複数チーム1台しかないので、テスト機器の確保が大変みたい。
すなわち、ハードに縛られたソフトウェア開発では、テスト対象のECUというハードウェアが作業のボトルネックになりうる。

【3】2・自動運転(AD)や走行制御(ADAS)のように、全てのECUに指示制御する統合ECUが初めて出現したために、従来のハード中心のゾーンアーキテクチャからソフトウェア主導のアーキテクチャに変わったので、ソフトウェア開発力が弱いメーカーは非常に苦しいと思う。

Geminiに聞くとECUのアーキテクチャには、ハードの名残りから進化した歴史がある。

自動車の脳にあたる「コンピューター(ECU)」の配置ルールは、進化とともに3段階あります。
・ドメイン型:役割ごとのチーム制。「走る」「止まる」など機能別に脳を分ける方式です。機能が増えるほど配線が複雑になり、車が重くなるのが弱点です。
・ゾーン型:場所ごとのエリア制。「右前」「後ろ」など車の場所で脳をまとめます。近くの部品を最短の配線でつなぐため、線を劇的に減らして軽量化できます。
・セントラル型:一極集中制。車の中央に超高性能な「1つの脳」を置き、全てを指揮します。スマホのようにソフトの更新だけで車の性能を後から進化させやすくなります。
現在は、配線を減らしつつ高度な制御を行うため、2と3を組み合わせた形が主流になりつつあります。

つまり、最近では、自動運転(AD)や走行制御(ADAS)が全てのECUを指示・制御する必要がある。
そのために、ADやADASの機能を持つ統合ECUが必須となるセントラル型アーキテクチャが主流になっていると思う。
ハード面でもソフト面でもアーキテクチャ設計が以前よりも遥かに重要な印象。

昔は、トヨタやホンダが「ハードの部品のすり合わせ」により1つの自動車を作っていた印象。
しかし、今は、SDVという「車のAPI化やOTAでソフトウェアによるハード制御などの実装に近い設計手法」になったために、
20~50個ものECUを結合して、性能、品質、セキュリティなどを担保するのは、昔ながらの「すり合わせ」では実現不可能。

「すり合わせ」という複数チームのコミュニケーション活動による解決ではなく、ハード面でもソフト面でも「アーキテクチャにより自動車の構造をすり合わせる」へ時代が変わったと考える。
だから、MBSEのような「アーキテクチャ主導の製品開発」が重要になってきたと考える。

【4】3・A-SPICE、機能安全、サイバーセキュリティのような監査プロセスを踏んで品質担保を保証する必要がある。
ソフトウェア開発チームはソフトウェア開発だけでなく、監査ドキュメント作成の作業負荷も増えている。
これらの規格をOEMメーカーがTier1の部品メーカーに要求するため、開発現場はいつも人手不足で作業が大変な印象。

その問題点は下記に書いた。

自動車業界におけるA-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格に対応したプロセス改善とは何か?: プログラマの思索

【5】自動車のソフトウェア開発が面白いなと思う点は、元々、ハードとソフトを組み合わせるので難易度が高い上に、MBSEのようなアーキテクチャ主導のソフトウェア開発が必要になったこと、更には、A-SPICE、機能安全、サイバーセキュリティのようなISO規格遵守も必要になったことにより、他のシステム開発よりも複雑かつ難易度が高い点だ。

一方、他の製造業の業界に比べると、トヨタを頂点とした自動車業界は品質面でもプロセス面でも優れているので、彼らの考え方を理解できれば、他の製造業を富士山から眺めるような観点で見下ろして、強みや弱みを比較分析して把握できるだろうと思う。
たとえば、家電、機械製品、化学、医療、食品加工、防衛産業などの製造業を比較評価することで理解しやすくなると思う。

その辺りも色々考えてみたい。

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2026/02/15

自動車業界におけるA-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格に対応したプロセス改善とは何か?

自動車業界におけるA-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格に対応したプロセス改善の話を聞いてきた。
自動車業界の裏話もたくさん聞けて、すごく有意義だった。

【参考】
【ハイブリッド開催】品質・効率・安全を同時に実現する統合開発プロセスの最新アプローチ (第75回 SEA関西プロセス分科会) | Peatix

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【1】聞いた講演のストーリーはこんな感じ。
自動車業界では、従来のISO9001系列の規格だけでなく、A-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格が次々に導入された。
本来のハード設計、組み込みソフトウェア開発だけでなく、その開発プロセスがこれらの規格に準拠していることが求められる。
そのために、監査のドキュメントが多くて開発現場の負荷が高く疲労している問題が出ている。

そこで、A-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格で定義されるプロセス領域や各プロセスを整理統合したプロセスを作ることで、1つの監査資料で複数のアセスメントに対応できるようにしたり、整理統合したプロセスの順番に実施すれば、複数のアセスメントのレビューをスムーズに進められるように対応した、という流れ。

【2】僕としては、それぞれの規格に対する考え方を聞いて面白かった。

まず、A-SPICEは元々、CMMIから派生したSPICEというプロセスモデルがあり、これを自動車業界向けに特化したAutomotive-SPICEが作られた。
元々、CMMIの目的は組織の成熟度を上げるために成熟度モデルに従ってプロセス改善しましょう、という考え方だった。
しかし、A-SPICEはPJごとのアセスメントに行うために、他のPJではA-SPICEが当てはまらないケースが多くなる。
すると、A-SPICEに準拠しないPJにアサインされたメンバーはプロセス改善する目的も意欲もないので、目的が失われてしまい、組織のソフトウェア開発能力が上がらないという結果に陥りがち。
つまり、A-SPICEという規格を通すだけに頑張る、という環境に陥りがち。

そもそも、A-SPICEは欧州の自動車メーカー、特にOEMメーカーが生み出した規格であり、A-SPICEはサプライヤに対する品質要求を定めて、サプライヤのふるい落としに使う。
部品メーカー、つまりサプライヤはプロセス改善に躍起になっているのが実情らしい。

聞いた話では、たとえば、OEMメーカーは、試作車の段階で4社のサプライヤから同じ部品を採用し、各段階でサプライヤを3社、2社と1社ずつふるい落とし、最後の量産工程で初めて1社に決定する。
つまり、サプライヤは試作段階では投資フェーズであり、量産工程で初めて投資を回収するわけだ。

サプライヤはA-SPICEに準拠するように対応するわけだが、A-SPICEを満たさない部品を納入した場合、サプライヤは罰金を支払う契約になるらしい。
つまり、サプライヤは納入して代金をもらうはずなのに、逆に罰金まで支払ってでも、量産工程に採用されるために対応し続ける時もあるらしい。
それぐらい、OEMメーカーに部品を採用されるのは利益があることなのだろう。
そんなA-SPICE規格の内情を聞くと、かなりしんどいプロセスだなと思う。

【3】機能安全の規格は原子力発電所やプラント工場が対象らしく、民生品向けでは自動車が初めてらしい。
機能安全のよくある例は、踏切だ。
たとえば、踏切を安全に動作させるために、バーを付けたり、センサーを付けたり、音を鳴らしたり、点灯させたりする。
そういう機能を付加して、安全を保証するわけだ。

また、危険な状態になったら、安全な状態へ移す機能をつける場合もある。
いわゆるフェイルセーフ。

さらに、試作工程の設計だけでなく、量産工程でも機能安全を検討する。
たとえば、故障率も調べて、許容率よりも超えて故障したら、設計工程から機能安全を考えて作り直す必要も出てくる。
つまり、故障や誤操作を想定しながら、設計工程で機能安全の設計を考える必要があるわけだ。

機能安全の規格もかなり複雑かつ膨大な印象。
機能安全という品質特性は、全ての機能に横断的に関わるだろうから、特有の設計手法が必要だろうと思う。

【4】車載サイバーセキュリティの規格も機能安全と並ぶ、安全性確保のもう一つの柱。

車載サイバーセキュリティの規格が生まれたきっかけとしては、ジープクライシス(Jeep Hack/Crisis)があったらしい。
具体的には、2015年頃の米国で、2人のセキュリティ研究者が走行中のジープを遠隔でハッキングし、運転席のドライバーが操作できない状態で速度を落としたり、ブレーキを無効化したりできることをデモで証明したらしい。
つまり、コネクテッドカーに対するサイバー攻撃の脆弱性が実証・公表されたわけだ。
これにより、ジープの所有者から訴訟が起き、リコールや損害賠償に発展したらしい。
そこで、自動車メーカーは躍起になって規格を作って対応しようとしているわけだ。

【5】では、これらの規格に自動車メーカーはどのように対応しているのか?

基本は、ECUごとに、A-SPICE、機能安全、サイバーセキュリティの規格を当てはめる。
一般に、自動車のECUは100個近くあるらしいので、100個のA-SPICE、機能安全、サイバーセキュリティのドキュメントを全部作っている。
つまり、ECUごとに監査用ドキュメントが異なり、それぞれのアセスメントの観点も違うので、ECU100個 x 3規格=300個の書類を作る必要がある。
開発者の観点では、同一のECUというハードとソフトに対し、似たような、しかし違う観点の監査用ドキュメントを作らないといけない。
実際の現場を見ると、ハードにソフトを組み込んだ開発とテストだけで精一杯なので、後付けで監査ドキュメントを作っているようだった。
つまり、プロセス改善の目的や動機もなく、ただアセスメントを通すために資料作成している感じだった。

【6】最後の質問では、プロセス改善のコンサルの拠り所、肝は何か?という質問があった。
回答は2つあった。

1つ目は、現場の開発プロセスと規格のマッチング。
サプライヤの現場にはそもそも、開発プロセスという概念がなく、定義された工程がない場合がある。
すると、A-SPICEに応じたソフトウェア開発やハードウェア開発、ハードとソフトを統合した開発プロセスを最初から導入して、現場で初めて実践する必要がある。
あるいは、サプライヤに独自の開発プロセスがあったとしても、A-SPICEに合わせたハード・ソフトの開発プロセスに定義し直す必要がある。
どちらにせよ、規格に対応するだけで精一杯ではないかと想像する。

2つ目は、規格を現場に浸透させること。
アセスメントを依頼する人は管理者、企画部門になるが、監査ドキュメントを作るのは現場のソフト開発者やハード設計者になる。
現場の人には、規格に準拠する動機やインセンティブがない。
現場の人に、いかに、規格に即することが重要なのか、を浸透させる事が大事なわけだ。
しかし、A-SPICEはプロジェクト単位、ECU単位になるので、別PJになれば俺は関係ない、という立場になりやすい。

そういう葛藤を聞いて面白いなと思った。


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2026/02/08

E-BOMとM-BOMの違いは何か?

E-BOMとM-BOMの違いは何かを考えると、日本の製造業に特有である製番管理とBOM管理が密接に絡むのではないか、という仮説を持った。

【参考】
なぜArasは国内PLM市場で支持されるのか カギは“製造業の強み”への深い理解:国内製造業のPLM - MONOist

PLMを構築できない部門がやろうとすると失敗する

5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon

中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう! | 谷口 潤 |本 | 通販 | Amazon

MES入門 | 中村 実, 正田 耕一 |本 | 通販 | Amazon

図解MES活用最前線: 実践事例でわかるMES〈製造実行システム〉導入のポイント | 中村 実, 中村 一世, 実践MES研究会 |本 | 通販 | Amazon

IoT時代のMESをもう一度考え直す ? (3) MESの未来像とは : タイム・コンサルタントの日誌から

IoT時代のMESをもう一度考え直す ? (1) MES普及を妨げたもの : タイム・コンサルタントの日誌から

IoT時代のMESをもう一度考え直す ? (2) MESの機能と階層を理解する : タイム・コンサルタントの日誌から

【1】僕はERPに含まれる生産管理、つまりM-BOMとMRPの部分の機能しか知らなかった。
だから、BOMに種類があり、目的ごとにBOMの使い道が違うという発想がなかった。

日本の製造業のうち、組立製品や部品加工業が多いと思う。
東京や大阪の下町で見かける中小企業の工場がまさにそうだろう。
彼らのビジネスモデルは、多品種小ロットの受注生産だ。
たいてい、大企業や元請けから受注した一品物の部品や製品を製造し納入するビジネスモデル。

その仕組は製番管理であり、受注生産になる。
すると、受注時に製品の設計図を作って、顧客とすり合わせしながら設計図を固めて、初めて受注が確定する。
その時に、設計BOMなるE-BOMが確定する。
普通は、リピート製品が多いので、過去の製番に紐づくE-BOMを元に、ちょっと部品をカスタマイズして設計図を完成させる。

そのE-BOMを元に、部品ごとの単価表を組み合わせた部品原価と、工場人員の作業工数、設備機械や電気水道などの運用費用をあわせた製造原価が確定する。
それが見積もりBOMになる。
見積もりはQuoteなのでQ-BOMと呼ぶときもあるらしい。

見積BOMを元に、製造スケジュールや負荷計画を立てて、生産計画を作る。
それが製造BOM、つまりM-BOMになる。
ここからMRPを使って、製品に必要な部品をいつまでにどれくらい手配すべきか確定し、部品発注される、という流れ。

5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazonを元に、受注から生産までの流れを書いてみた。

【2】BOMには、E-BOMやE-BOMだけでなく、P-BOM、S-BOMなどもある。
実際にインスタンスを書いてみると理解しやすい。
中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう! | 谷口 潤 |本 | 通販 | Amazonを元に、具体例を書いてみた。

ポイントは、部品を自社で作るのか、外部に委託するのか、しかも外部に委託する時に部品や材料も渡して組み立ててもらうのか、などの種類によってBOMの構成が変わること。
また、S-BOMのように、販売後の保守では、単なる保守サービスだけでなく、オプション品を提案することで売上を確保する営業もしていきたい、という発想までつながる。

【3】目的別BOMで考えた時、どのBOMが一番重要なのだろうか?
BOMをマスタ保守すべき対象として考えた時、E-BOMが一番重要だろう。
なぜならば、E-BOMが全てのBOMの発生源となるからだ。
E-BOMの内容がおかしかったりブレていれば、そこから派生するM-BOMもP-BOMもS-BOMもおかしくなってしまう。

また、多品種小ロットの受注生産が基本的なビジネスモデルでは、製番管理とE-BOMが密接に絡む。
受注時の顧客要望より、過去のE-BOMに似たような製品を抽出してきて、そのE-BOMをカスタマイズして製番が確定する。
つまり、製番には、製造すべきE-BOMがある。
よって、製番に紐づくE-BOMは、今までに蓄積してきたE-BOMのどこかから派生しているので、何らかのツリー構造を持つ。

すなわち、E-BOMは過去の製番の履歴が蓄積された巨大な部品のツリー構造をマスタとして持つ。
これこそが、製造業の競争力の源泉になるわけだ。

しかし、製造業の中小企業はもちろん、大企業であっても、E-BOMをきちんと管理できている現場は実は少ない。
IT化されていない頃は紙の製図で設計図を書き、そこに部品情報を書き込んでいたので、E-BOMとして抽出できていない。
たいていの製造業では、たくさんの設計図が紙やExcel、PDFなどが存在するが、マスタとして利活用できる状態ではない。
だから、PLMで一括管理して、資産管理しましょう、という流れ。

【4】E-BOMとM-BOMの違いは何か?
それは、E-BOMが全てのBOMの発生源であり、M-BOMは生産計画に使われるBOM。
それらBOMを全工程で統合して一括管理するツールがPLMになるわけだ。

PLMの考え方は、図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazonが一番分かりやすかった。

【5】佐藤 知一さんが下記Blogに書かれていた「E-BOMをコンフィグレータとして使う」イメージがようやく分かった。

IoT時代のMESをもう一度考え直す ? (3) MESの未来像とは : タイム・コンサルタントの日誌から

E-BOMができていれば、部品構成が分かっているので、そこから自動で見積もりが一瞬で出てくる。
さらに、部品をオプション部品やカスタム部品に分類しておけば、顧客に最適なオプション部品を提案してさらに付加価値を上げることができる。
そういうE-BOMの仕組みをコンフィグレータ(コンフィギュレータ)でシステマティックに作っておくわけだ。

しかし、コンフィグレータを作ってきちんと管理できている製造業は少ないだろう。
ちょっとした複雑な製品になれば、部品点数は1万点、10万点ぐらいにすぐに膨れ上がる。
それらを何十年もかけて、全ての受注生産した製品のE-BOMを管理するのは難しい。

また、日本の工場は、設計者も製造担当者も真面目に働きすぎているので、IT化しなくても工場が回るのだろうと納得した。
今まで、E-BOMやコンフィグレータがなくても、受注生産してきて、売上を確保してきたからだ。
現場の人たちの頑張りのおかげ。

とはいえ、さすがに現代ではそのやり方は通用しなくなってきたという状況なのだろう。
この辺りの考察は再度まとめる。

【補足】
誰も教えてくれない「生産管理システム」の正しい使い方 | 本間 峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない 「工場の損益管理」の疑問 | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない 「部品工場の納期遅れ」の解決策 | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

誰も教えてくれない「SCM計画立案・遵守」の疑問 あなたの会社の生販在(PSI)計画は機能していますか? | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

受注生産に徹すれば利益はついてくる! | 本間峰一 |本 | 通販 | Amazon

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